■ 朝のこと

 ここで軽く今回の旅行の行き先について触れる。
 DB(ドイツ鉄道)はNRW(ノルトライン=ヴェストファーレン)州の州内チケットを販売していて、州内であれば列車もバスも乗り放題である。
 1枚で5人利用できて(ばらせないので集団で動く必要はある)、1枚41ユーロ。3人で使っても一人13.5ユーロなので、デュッセルドルフ市街を回った1月3日以外は、毎日このチケットを購入した。
 そういうわけで、今回の旅行は旅行記のタイトルにあるように、NRW州だけを回っている。デュッセルドルフ、ケルン、エッセン、アーヘン、ミュンスターといった都市である。
 そしてこのチケット、平日は朝が9時からしか利用できないため、毎日9時過ぎにしか動き始めていない。もっとも、夏とは違い、冬のドイツは8時でもまだ暗く、夜も16時にはもう暗くなってしまうので、朝遅くから動く残念感はそれほどなかった。
 写真はホテルの部屋から撮ったもの。夜に見えるが、朝の7時過ぎである。8時近かったかもしれない。


 朝食はバイキングだが、種類は極めて少ない。
 パンとハム、チーズ、トマトとキュウリっぽい野菜、ヨーグルト、オレンジジュースとコーヒー。
 毎日写真のような朝食を摂り、3日で飽きた。


 準備を整えてデュッセルドルフHbfへ。
 ちなみにこの「Hbf」は「Hauptbahnhof」の略で、中央駅のこと。各都市にある。


 現地のGilbertと合流。自動券売機で州内チケットを購入する。
 この自動券売機、なかなか優れもので、すべてタッチパネルで、何か国語か表示を切り替えられ、時刻表のプリントも出来る。
 先に書いたが、ドイツの鉄道には改札がない。階段を下りるともうそこに列車が止まっている。
 乗客はチケットを買ったら、階段の手前や、あるいはバスの中などにある刻印機で刻印する。
 これが無いと不正となり、時々回ってくる検札に見つかると、罰金となる。Gilbertもドイツに来て早々、チケットは買ったのに刻印のし忘れでやられたとか。
 なお、州内チケットの場合は不要。その代わり、代表者一人の直筆サインが要る。
 改札がないシステムは画期的だが、真面目なドイツ人向けの印象。
 駐輪場がすぐ隣にあっても、駐車禁止のスペースに自転車を駐める人が大量にいる日本だと、不正が横行しそうだし、よくわからない権利を主張する人が多いので、検札・罰金の際にも色々揉めそう。
 日本は現行の改札システムが良いだろう。


■ エッセン

 本旅行の記念すべき最初の行き先はエッセン。この郊外にあるツォルフェアアイン炭鉱業遺産群という、ユネスコの世界遺産にも登録されている場所である。
 右も左もわからない状態で、Gilbertに導かれていく。おんぶにだっこではいかない。1月1日以降は彼はいなくなってしまうので、勝手を覚えなくてはいけない。
 エッセンHbfでトラムに乗り換える。トラムも州内チケットでOK。
 しばらく走り、降りる時はボタンを押す。これが必要かはよくわからない。トラムはバスと違って、恐らくすべての停車駅で停まる。
 停まってからドアを開けるためにボタンを押すので、その絡みもあるのかもしれないが、よくわからない。まあいいや。
 到着すると特徴的な建物が我々を出迎える。


 廃墟のような場所を想像していたが、どうやらここ、炭鉱跡を利用した博物館になっているらしい。
 思っていたものと違うが、とにかくエスカレータで上がり、受付へ。
 ここでやや戸惑う。何やら金額がいくつか書いてあり、どうも値段によって回れるスペースが違うようだ。
 Gilbertも現地在住とはいえ、そこまでドイツ語や英語が得意というわけでもないので、あれこれ悩んだり、頑張って受付の人に聞いた結果、博物館に入らず、シアターと屋上だけの場合と、博物館にも入る場合と、さらに特別展も見る場合で分かれるもよう。(怪しい)
 特別展には入らないプランで中へ。
 360度のシアターで炭鉱の紹介なのかNRW州の紹介なのかよくわからない映像を見て、屋上からの景色を楽しんでから、博物館をふらっとする。
 詳細は割愛。写真を数枚掲載する。


 この博物館に長居しすぎた。
 実は博物館の外も、炭鉱跡地をふらふら歩けたのだが、知ったのは後からなので、ちらっとだけ見て後ろ髪を引かれつつ炭鉱跡を後にする。
 エッセンHbfに戻り、食事。自分とRichardは写真のような魚のサンドイッチを食べ、JairusとGilbertはマクドナルドに行った。
 なお、この食事が本旅行で食べた、最初で最後の魚料理だったと記憶している。




■ ドルトムント

 次の目的地は、エッセンからもう少し東にあるドルトムント。「次の」と言っても、冬のドイツはせいぜい回れるのは2箇所。この日最後の目的地と言えよう。
 ドルトムントHbfから1つか2つ行った駅に、ドルトムントのサッカーチームのスタジアムがあるらしい。
 自分はサッカーにはまったく興味がないが、Jairusが行きたいとのことでそこへ。
 どうやらスタジアムの内部の見学ツアーがあるらしい。
 結果としてこのツアーは、その日はいっぱいで、翌日以降のツアーを予約して……と色々考えた末、時間的な都合が合わず、見送りになった。
 写真はスタジアムの外観と、中に置いてあったサッカーゲーム。かなり白熱した。


 ドルトムントに戻ったら、もう暗くなり始めている。
 せっかくなので街をぶらっとして行こうと下車すると、クリスマスマーケットの名残があった。
 ここでソーセージを切って提供される食べ物と、美味しくはないが名物の甘いホットワインを食す。


 その後、Jairusと別れ、Gilbertの案内でRichardと三人でエッセンに戻り、大人のサウナへ。
 実は前日、初対面にしてサウナの話になり、ノリで連れて行ってもらうことになったのだ。
 色々面白いエピソードはあったのだが、割愛する。
 外に出たら雨が降っていたため、建物の写真も撮っておらず、この思い出は形に残らずに風化していくのだ。
 ……もったいないから、その内別の場所で書くかも。

 エッセンhbfに戻る。
 イルミネーションでキラキラライトアップされているが、やっている店は少なく、カフェのようなところに入って、ビールを飲みながらサンドイッチを食べた。
 途中の駅でGilbertと別れ、Richardと二人でデュッセルドルフに戻る。
 この時、初めて検札が来て、しかもサインをし忘れていて(この時にサインが必要だと初めて知った)あたふたしたが、事なきを得た。
 よりによってGilbertと別れた後でと思ったが、無事だったのでまあいい思い出。
 そんなこんなで旅行2日目(実質1日目)は終了。最後の写真は夜のエッセン。