■ キャプテンクックの家

 リッポンリーを出た我々は、再びKlein氏の車に乗り込み、車窓からいくつかの建物を見た後、元々の計画にあったフィッツロイ庭園のキャプテンクックコテージに向かった。ここはメルボルンの観光ガイドには必ず載っている有名なもので、確かに我々の他にもいくつかの観光客グループがあったが、見てそれほどの感慨はなかった。やはり観光地としては、メルボルンはいまいちと言うことか。
 下はコテージの正面。窓が少ないが、昔は窓の数がそのまま税金に反映されたため、敢えて窓の少ない構造にしたとのこと。


 次は入り口。実際に見ていた時は気にならなかったが、良く見ると漢字で「入口」と書いてある。


 内部の写真。ごちゃごちゃ。


 庭に出るとクック氏の像が立っていた。威厳ある眼差し。とてもこんな小さなみすぼらしいコテージに住んでいたとは思えない風貌だが、貧しい有名人があってもいいと思う。




■ メルボルンでの初めての食事

 フィッツロイ庭園を後にした我々は、いよいよ日通の『メルボルン市内観光』のラスト、昼食を摂るべくハイウェイをかっ飛ばした。もっと近場でもいいのに、と思ったのだが、店は旅行会社が決めるので、Klein氏にもどうにもならないとのこと。
 10分から20分ほど走って、辿り着いたのは下のような外観の店。結果的にはただのレストランだったわけだが、もしもKlein氏が一緒でなければ、絶対に自分たちだけでは入ろうとはしなかっただろう。


 ここを出てホテルまで送ってもらったら、いよいよKlein氏とも別れなければならないということで、小生はKlein氏にメルボルンでの過ごし方に関するいくつかの質問と、英語に関する疑問を投げた。具体的な内容はあまり覚えていないが、とにかく回答してもらった後は、いくばくかの自信が湧いていたのを覚えている。
 さて、この店はバイキング形式だったのだが、飲み物はコーヒー、紅茶、ジュースの内、どれかを1杯だけが無料でついてくるようになっていた。単に飲み物を頼むだけなのだが、実はこれがメルボルンに着いてから初めての外国人との会話になる。
 すっかり緊張した小生は、コーヒーリストの中にEspressoの文字を見付けたので、それがどういう飲み物かもよくわからずに、
"Espresso, please."
 と注文した。
 もちろん無事にEspressoが来たのだが、コーヒーなど滅多に飲まない小生は、これがめちゃめちゃ濃いコーヒーだと知らなかったのだ。苦い苦い。
 まあ、小生の話は置いておいて、この後Michaelが、メルボルンで最初の笑い話を作ってくれる。
 小生がテーブルに戻る前、Michaelは小生に、「俺はCappuccinoにする」と言っていた。にも関わらず、戻ってきたMichaelが持っていたのは紅茶だったのだ。
 これは一体どうしたことかと尋ねると、Michaelは「Cappuccinoを頼んだら紅茶が出てきた」と苦笑して答えた。これにKlein氏は大笑いした後、納得したようにこう言った。
「たぶん"cup of tea"と聞き違えられたんだな」
 Klein氏は、前にも一度Cappuccinoを頼んで、紅茶が出てきたという現場に出くわしたことがあるらしい。小生は聞いていなかったが、恐らくMichaelは、「チ」を「ティ」と発音したのだろう。
 後日もう一度、Michaelの発音に関する、これよりも遥かに面白い話が出てくるが、どうやら、「Youngの英語は聞き返される、Michaelの英語は間違われる」という傾向があるらしい。
 注文して変な高級料理が間違って出てくる可能性がない分、小生の方がましと見た。
 下は店内の天井近くの写真。ワイルドだ。