■ Outsideなイタリアン

 北のLygonStにイタリア街があるというのは、事前にKlein氏に聞いていたのである。先にその様子を載せよう。


 これを見てもらえればわかると思うが、ここには無数のイタリア料理店が並び、中も外も食事をする人々で賑わっていた。いいねぇ、この雰囲気!
 しばらくMichaelと二人でぶらぶら歩いていると、ものすげぇ陽気なおっさんに捕まる。おっさん、窓に張られた大きなメニューを手で差して、「これがパスタ、ピザもあるよ〜」みたいな感じで店を紹介。
 こうなると断れる我々ではない。導かれるままこの店に決定する。"OK, OK."とか言っていたら、おっさん、例のごとくinsideかoutsideか聞いてきた。今度はoutsideで食すことにする。
 さて、ここからが我々の貧弱なヒアリング力の登場である。
 とりあえずまず、我々はCASCADEというビールを注文した。そして次にピザを2枚注文したのだが、その後ウェイターが、何かペラペラと話し出した。小生は「ワイン」しか聞き取れなかったが、Michaelは「肉がどうの」という情報も得た。だが、それだけだ。
"Please speak more slowly."
 を繰り出してみたが、今回、これがいかに使えないかわかった。我々の言う「slowly」は、単語を一つ一つ区切って言ってくれという意味だが、流暢な英語をそのままゆっくり喋られても、やっぱりわからないのだ。
 結局店員さんは、
"After."
 と大きな声で言って(と言っても、別に怒った様子ではない)、そのまま店の中に戻って行ってしまった。
 今回の食事では、結局ワインは出てこなかったのだが、ひょっとしたら、肉を頼んだらワインがサービスでついてきたのかも知れない。これはMichaelの推測。
 ちなみに、ピザがめちゃめちゃ美味かったことを付記しておく。すっかりハイテンションになった我々は、2本目のビール、Heinekenを投入。かなーりいい気分で店を後にした。
 なお、会計時の英語はMichaelに一任。下は店の写真。だいぶぼやけた。写真中央が例のおっさん。間違えて「ごちそうさま」と日本語で言ったら、日本語で「どういたしまして、さよなら」みたいな言葉を返してきた。こいつ、すげぇ!




■ 尿意との死闘

 店を出た直後はまだそれほどでもなかったのだが、少しずつ、けれど確実に、尿意が小生とMichaelの身を蝕み始めていた。
 のんびり北の方へ歩き、そろそろ引き返すかと市街へ足を向けた辺りで、もはや限界は限りなく近くまでやってきていたのである。
「ああ、これはやばい」
 とにかくやばかった。どこかに公衆トイレはないものかと道を逸れると、小さな公園があった。もしもここが日本なら、間違いなくそこで立小便をしていたが、如何せんここは法律もわからないオーストラリア。万が一立小便で罰金200ドルとかになったら、目も当てられない。
 計画書にある通り、これから我々はメルボルンセントラルに行く予定になっていた。そこならば確実にあるだろう。
 そう思って、懸命に堪えながらメルボルンセントラルへ向かう。
 ところが、この建物、現在改装中で場所がさっぱりわからなかった。さんざん迷って着いた時には、もう歩くのも必死なくらい。しかもトイレの案内がなく、もうダメかと思った。
 エスカレーターを下って、さらに探すと、ようやくトイレの看板が! もはや走れた状態ではなかったので、のろのろと敗軍の兵士のような足取りでトイレへ。
 こうして我々は事なきを得たのである。無事に過ぎれば、すべては良い思い出。


 これは建物の中。ちなみに、金曜日は遅くまでやっているはずだったが、我々の到着はそれよりさらに遅かったので、もうどの店もやっていなかった。