『 フランダースの犬 』 感想





絵画への純粋な情熱を胸に生きる少年・ネロは、

ある時、1匹の犬・パトラッシュを助け、深い友情で結ばれます。

貧しくとも、どんな苦難も支えあって生きる彼らに待っていたのは、

果たして、どんな運命だったのでしょう?


DVD解説書より


2004/01/01第1話『少年ネロ』
ふ〜む。ネロが思っていたより大きかった。原作だと、パトラッシュとはネロがまだ2、3歳の時に出会ってるからな。第1話にして、早くもどことなく暗い雲が立ちこめているように思われる。結末を知っているからそう思えるだけだろうか。本編とは関係ないが、OPとか、作中でもスキップしていたところとか、なんとなくネロがカクカク動いていて気になる……。
2004/01/01第2話『アロアと森へ』
早くも粉屋の旦那がピリピリモードだ。それにしても、アロアは可愛い。まあ、萌えではないが。無邪気で我が儘で素直といったところか。最後の「素直」があるからかなり良い。ただの金持ちの我が儘娘じゃ、なんともあかんからね。ネロは無邪気にはしゃいでいるが、時々ふっと老成した陰がよぎる。俺にはむしろそっちが本当のネロである気さえする。
2004/01/02第3話『アントワープの町で』
帽子を取ったネロは実に利口そうな顔つきをしている。今回はおじいさんとおばさんの会話が心に残ったかな。「人の運なんて、いつまでも沈みっぱなしじゃないよ。今にいいことがあるって」結末は知っているが、それまでに、ネロにも何かいいことが起こるだろうか。まあ、考え方によっては、『フランダースの犬』の結末は「不幸」ではないのだが。
2004/01/02第4話『新しい友達』
おお、ネロはみんなに好かれるいい子だ! ネロもいいが、ジョルジュがまたいいな。なかなか男気がある。こういう連中同士の遊びは楽しかろう。アンドレはまあ別にどうでもいいや。悪いヤツではなさそうだが、親父が親父だからな。アロアもジョルジュとポールとすぐに仲良しになったし。誰のことも嫌いにならず、誰にも嫌われないいい子♪
2004/01/04第5話『パトラッシュ』
パトラッシュ、可哀想に。金物屋も、パトラッシュがいなくなったら自分が困ることくらいわかるだろうに。結局、どういうふうに使っても、倒れることはないだろうと思っているのだ。それにしても、ジョルジュとポールはいいヤツだ。しかし、あのジョルジュをもってしても金物屋にあっけなく突き飛ばされた。やはり子供の限界か。
2004/01/04第6話『がんばれパトラッシュ』
うおー、頑張れパトラッシュ! しかし、考えようによっちゃ、金物屋がああいう人間だったからこそ、ネロはパトラッシュと一緒にいられたとも言える。金物屋がああいう人間でよかった(ポリアンナ)。それにしても、ジョルジュとポールの秘密の場所はいいなぁ。ああいう場所、好き。俺もあと10年若返ってああいう塔を駆け上りたい。
2004/01/04第7話『スープをおのみ』
この作品でむかつく人物、1.粉屋の旦那、2.金物屋。この作品で可哀想な人、1.アロア、2.ジェハン。まあ、「この作品」ってのは原作の話だが、アニメでも大差あるまい。今回もアロアがなんとも不憫だった。金持ちには金持ちの苦しみがある。ましてアロアは子供だから、何もできやしない。だったらなまじ金持ちでない方が幸せかも知れない。
2004/01/04第8話『ほえたよ おじいさん』
クロがかわいいなぁ。今のところ、パトラッシュ、クロ、アロアが可愛い。まあ、ネロも可愛いが。粉屋の旦那は相変わらずだなぁ。ネロに対する露骨な発言が気に入らない。アロアの教育以前に、お前の頭の中を修正しろ。あんたが一番まっとうな大人じゃない。あのクソ親父を持ちながら、アロアはいつも明るくて元気いっぱいだ。ええのぉ。
2004/01/07第9話『おもいでの鈴』
善良チームオールキャスト。荷車の前でぽつんと座っていたパトラッシュがなかなか可愛かった。今回はあの嫌な金物屋に見つかってしまって、かなりうぐぅ。う〜む。原作みたいに、ケンカして死ねばいいのに。これから先、まだしばらくあいつが出てくるかと思うとうんざりだ。早く出てこなくなれ〜。
2004/01/07第10話『アロアのブローチ』
必要ない回っちゃあ、必要ない回。でもまあ、原作はペラペラな本だし、こういう回がないとすぐに終わってしまうわな。それにしても、エリーナはいつも旦那にビクビクしながら生活しているんだなぁ。こういう厳格なだけの人間は嫌いだ。中間で入った挿入歌はどうかと思ったが、全体的に明るくてのんびりしたいい話だった。
2004/01/10第11話『エリーナの花畑』
はぁ……ハンスうぜぇ。アンドレももうちょっとまともなヤツかと思ったら、全然! あそこで舌を出した時点で、こいつも見限った。なんとも不幸のどん底物語だな。見ていてどんどん心が落ち込んでいく。名作ではあるが、あまりにも重い。『小公女セーラ』はまだましだったぞ? ベッキーとかいたからかなぁ。次回は金物屋か……はぁ……。
2004/01/11第12話『おじいさんの小さな壺』
はぁ……金物屋うぜぇ。なんかもう、見ていてイライラする。ここまでどん底だとなぁ。『セーラ』の時との決定的な差は、彼らは最終的に、生きたままこの苦しみから解放されないということだな。やっぱりおじいさんはこの作中で最も不幸な人だ。この人見てると、涙が出てくるよ。マジで金物屋、原作通りに死んでくれ。次回はアンドレか……はぁ……。
2004/01/12第13話『ナポレオン時代の風車』
アンドレとハンスはうざかったが、久々に和む話だった。ノエルが良いキャラ。さすが七英雄の一人だけはある。ノエルはジェハンが羨ましいと言った。確かに、貧乏で、もうどうにもならんくらいどん底ではあるが、明るく元気なネロがいる。しかしそれは、「せめてもの支え」でしかない気もするし、まだまだ若年の俺には、ジェハンの気持ちは測り知れない。
2004/01/12第14話『夜空に描いた絵』
やっぱり、ネロはどこか他の人とは違う次元で生きている気がする。他の人というのは、ジョルジュやアロアはもちろん、ジェハンや他のすべての人だ。今回再登場した絵描きや、前回のノエルじいさんは、ネロと同じ次元で生きている感じ。だからネロは惹かれるのだ。死ぬときに、他のあらゆる感情よりも絵を見られた嬉しさがあったのもそれか?
2004/01/12第15話『古い帳簿』
あー、これ、いい話。だけど、印象的なのは序盤のネロの笑顔。やっぱりネロは、アロアと遊んでいるときより、情熱を絵に注いでいるときの方が嬉しそうで、いい顔をしている。今回は、アロアがひどく心を傷めた回。なんでもかんでもネロのせいになる。アロアは、別に自分が怒鳴られたことなんかどうでもよかったのだ。
2004/01/12第16話『10サンチームの写生帳』
今回、アロアがネロの気持ちがわからなくて泣くシーンと、ネロが森に働きに行っているために一緒に遊べず寂しそうにするシーンがある。やっぱり、本質的にアロアは金持ちの娘で、働くということを知らず、ネロがたった10サンチームの画用紙を手に入れるためにどれだけ苦労しなければならないかわからないのだ。ネロと違うということが不憫。
2004/01/14第17話『丘の上の木の下で』
う〜ん、いい話だけど、結末を知っているとどうしてもアロアが不憫でしょうがない。アロアは本当にネロが好きなんだなぁ。第7話の感想で、一番可哀想なのはアロアだと書いたが、間違いじゃなさそうだ。ところでポールはすごいな。本当に、ひたすら兄の言葉を繰り返すだけ。まあ、兄を尊敬しているからこその言動なのだろう。
2004/01/14第18話『いたずらっ子のクロ』
まあ、要らない回と言えば要らない回。アニメ的には、ヌレットおばさんがいなくなる前振りだから必要だが、それもひっくるめて『フランダースの犬』という作品には要らないかな。でもまあ、クロとパトラッシュが仲良くなったし、見ていて心の和む面白い回ではあった。あ、そうそう。帽子を取った時のネロがかなり可愛い。
2004/01/16第19話『金物屋が村に』
うおー、ネロ萌え(違)。アントワープへ続く夜道で、おじいさんと言い合いをしていたネロが、著しく少年(笑)。ええのぉ。アロアが幼すぎてさすがに萌えないので、昔のショタ属性を存分に発揮するか。いや、ホモじゃないぞ? 「男」と「少年」は別のものなのさヽ(´ー`)ノ それにしてもコゼツの旦那は嫌いじゃ……。
2004/01/16第20話『どこまでも』
うおー、ネロ萌え!(違) 森の中で木や鳥に怖がっていたネロが可愛い♪ 後、靴が割れてボロボロになって歩いているネロは、久しぶりに「養いたい属性」が……(爆)。くそぅ。なんでネロは女の子じゃないんだ。『ペリーヌ物語』、この絵でやって欲しかったなぁ。そうしたらストーリーもキャラ萌え度も、ともに五つ星だったのに。
2004/10/22第21話『船で来たお客さま』
 頭巾を取ったアロアって、とても珍しい気がする。ちょっとキャプってみた。今回の話は、かなり見応えがある。まず見応えシーンその1は、コゼツの旦那が帰宅したとき、ネロに一瞥くれただけで、完全に無視したこと。この親父、本当に貧乏人は嫌いと見える。そしてそのすぐ後、帰っていくネロを見つめるアロアの寂しげな眼差し。これの意味するところは色々考えられて、ちょっと解釈が難しい。見応えシーンその2は、アロアの「いらっしゃい、おばさま」このパタパタと軽快に走っていくアロアは可愛い。見応えシーンその3は、アロアと母親の口論。「ママ、あたし、今のままではそんなにいけない子なの? 今のままではそんなに恥ずかしい子なの?」この台詞は思わずじーんと来た。あと、これはどうでもいいが、アンドレが「一緒に見送りに行こうよ」とネロを誘ったのは意外。最後の見応えシーンは、丘の上でのネロの呟き。「いつまで待ってももう、ずぅっとずぅっとアロアは来ないんだ」これは、ネロの台詞としても感動できるが、この物語の最後のアロアの心境と同じだと思うと、思わず涙が出てくる。
2004/10/22第22話『イギリスからの贈り物』
ネロは、貧乏とはどういうことであるかを知っていて、自分が貧乏であることも知っている。それでも、ネロは貧乏を受け入れて、自分が不幸だと思っていない。本当に強くていい子だ。アロアは、金持ちが何であるか、貧乏が何であるかと、自分が金持ちでネロが貧乏であることを知らない。貧富の差が出る話は見ていて痛々しい。
2004/01/24第23話『アロアの誕生日』
アンドレ、死ね! まったく、少しはネロを見習え。つーか、「僕じゃないよ」とか言って逃げ出すガキと、素直に謝って後片付けまでする少年といて、どっちを怒るべきかなんて考えんでもわかるだろう。コゼツのおっさん、いいかげんにしろって。前のエリーナの花畑の件といい、悪の元凶はダックスとかいうあの犬と、愚かなその飼い主なのは明白じゃん。
2004/01/24第24話『アロアの絵』
ハンス、死ね! まあもう、あの親子はどうにもならねー。今回は、アロアのイギリス行きの話はともかくとして、原作にも存在する重要な回である。まーでも、実際のところコゼツのおっさんの立場になれば、彼の言動もわからんでもないが。例えば、別にネロがアロアに近付かなければ、ネロやジェハンが嫌いなわけではなかろうし……。
2004/01/27第25話『アロアがいない』
 老成した面持ちの二人。今回の話はあまりにも重く、難しい。アロアは止めて欲しかったんだよ、ネロ。でも、ネロだって本当は止めたかったのだろう。思うに、ネロは歳の割になんでもわかり過ぎるのだ。ジョルジュの言っていた「子供の時は嫌なことは嫌ってはっきり言え」というのはその通りなのだが、ネロは厳しい境遇に生きて、嫌と言うほど我慢を覚えてしまった。アロアも、恐らく母親の影響だろうが、父親が絶対なので文句は言わない。どうすることもできない子供たちに涙が出てくるよ。 
2004/02/01第26話『さようならアロア』
前半終了。ハンス死ね。息子と一緒に、まとめて逝け。イギリスは近いんだと地図を見ていた二人があまりにも寂しくてしょうがない。そう言えば、コゼツがネロの描いた絵をじっと見つめていたなぁ。そんなに気に入ったなら、描いた人間にもちっとは優しくしてやれよ。あと、ハンスの言うことをいちいち信用しすぎ。そこが一番気に入らない。
2004/02/01第27話『アロアのいないクリスマス』
後半開始。なんだか三人のクリスマス風景を見ていたら、涙があふれてきた。なんでこうも物悲しいのだろう。最後にエリーナがアロアからのプレゼントを持ってきてくれたが、あれは結局独自判断なのだろう。それにしても、エリーナもちょっとどうかと思う。どうしてあそこまで亭主に何も言えないんだ? 時代で片付けたくない。
2004/02/01第28話『親切な貴婦人』
ハンスを睨み付けていたネロが印象的な話。珍しい。ハンスに対してはいつもおどおどして、決して逆らうようなところを見せなかったネロが……。アロアのいない内に、本編が進む。とうとうネロはルーベンスの2枚の絵の存在を知った。今回の貴婦人は、もう登場しないのだろう。次に会ったら、一緒に絵を見れてしまうから。珍しく善人だったのに。
2004/02/04第29話『ルーベンスの2枚の絵』
 ネロ可愛いなぁ。ちょっとキャプってみた。今回はいよいよネロが、その絵が素晴らしいことと、見るのに金がかかることを知る。絵を見るのに金がかかるのは、言ってみれば美術館に入るのに金がかかるのと同じようなものだと思えばしょうがないという気がしないでもない。俺の中で話は大詰め。ここから先は、コンクールの話と火事の話、おじいさんが亡くなる話以外の、言わば本筋に関係ない話は必要ないとさえ思う。冗長にならない脚本に期待しよう。
2004/02/04第30話『雪の中の約束』
ストーリー上、絵を見られないのは確実だったので、一体どうしてそうなるのかと思っていたが、おじいさんが倒れたか。ハンスは嫌いだが、今回はハンスがいなくても結果は同じだったろう。あの親切な貴婦人が少し不憫だな。いつか次にアントワープに来たら、ネロはもう死んでしまったと知ることになるか、いずれにせよ一生会えずに終わるのだから。
2004/02/07第31話『ネロの決意』
対カシの木、前編。ノエルじいさんと将来の話になったが、未来に夢を抱くネロは、見ていて痛ましいな。ちょいと他ごとをしながら見ていたから、微妙に頭に残っていないが、実際あまり何もない回だった気がする。ああ、ジェハンの話があったな。昔兵士だったから牛乳運びなんぞをやっているのか。なるほど、ちょっと理解した。
2004/02/07第32話『大きなカシの木』
どうしてかなぁ。なんでコゼツはあんなあからさまな嘘を信じるのだろう。ハンスが人間的にダメなヤツは、たとえネロやジェハンに対する態度を知らなかったとしても明白。やはりネロが嫌いだから、正常な思考ができないのだろう。コゼツとハンス。金や権力のある人間に限ってああなのは、いつの時代も同じか。
2004/02/09第33話『こころの手紙』
深い……。これはなんとも深い話だ。ネロの将来を考えたら、ミッシェルに預けるべきだろう。そういえば、いよいよヌレットが退陣するが、ミッシェルはどうなるのか。原作ではネロには本当に誰もいなかった。ネロに味方してくれそうな人間の動向は実に気になる。町の兄弟も然り。だいぶ大詰めになってきたな。
2004/02/11第34話『ヌレットおばさん』
ネロに親しい人、一人退陣。一羽寂しく泳いでいたクロが何とも物悲しく写った。結果的にハンスに小屋を壊されて、ジェハンの家の敷地内に住めたのは良かったんじゃないかな? ヌレットはクリスマスには帰ると言って去っていった。もちろん、実際には来られないのだろうが、原作通りならその日にネロは死ぬ。なんか泣けてくるな。
2004/02/11第35話『お帰りアロア』
アロア再会キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━ッ!! と、たまには顔文字(?)を使ってみるか。この感想、暗すぎるし(汗)。何故アロアがこんなにも早く帰ってきたのか、第三者的には簡単なのだが、まさかそういう発想はすまい。まあそれでも、アロアの病気なんてのは、この物語の本質的な悲しみの一部ですらないのだよ。原作にもない話だし。
2004/02/12第36話『アロアのくすり』
アロア復活キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━ッ!! アロアのイギリス行き自体が「脱線」だと考えていたから、これでようやく本編に戻ってきた感じだ。アロア、一瞬で元気になったな。やっぱりネロが心から好きなのだろう。今回は、医者がハンスを一括したのがナイス! よく言った! あと、アンドレが好印象。ちょっと変わったか?
2004/02/12第37話『うれしい知らせ』
仕事を覚えろ、というコゼツの言い分にも一理ある気はするが、まあネロはずっと小さなときから働いているのだから、たまに遊んでもいいのではなかろうか。ジェハンの「恨んではいけない」話はなかなか重かった。というか、今回は全体的に重かった。いよいよコンクール。ネロ、人生最初にして最後の挑戦が始まる。
2004/02/12第38話『ネロの大きな夢』
ジェハン vs コゼツ。鳥肌が立った。さしものコゼツも、老兵の真摯な眼差しには屈したか。まあ、さしものコゼツだから、という説もある。相手がハンスじゃ、ジェハンが何言っても無駄だったろう。「ネロ、子供が夢を見なくなったらおしまいだぞ」落ち込んでいたネロを一言で立ち直らせた。偉大なる祖父、万歳!
2004/02/14第39話『心をつなぐ二つの旗』
「ネロをいじめないで!」アロアがとうとう言った! ジェハンはネロに内緒で働いていた。ネロはそれを知らなかったのだから、コゼツは「教える」段階を通り越して「叱る」のはやめた方がよく思えるが、それはともかく、やっぱりコゼツはジェハンには一目置いているらしい。しかしまあ、展開的に、これが原因でジェハンが病気になるんだろうな。
2004/02/14第40話『おじいさんの口笛』
ネロが泣いてた……? 今思い返すと、ではなく、常々から「ネロって泣かないなぁ」と思っていた。そのネロが泣いてた。う〜む。ネロがパネルをもらって喜んでいるのを見たとき、不覚にも泣いてしまった。なんか無性に悲しい。この作品、もしも結末を知らずに、ネロは画家になると信じて見ていたらどうなっていたのだろう。ふと思った。
2004/02/14第41話『なつかしい長い道』
もう泣かずには見ていられない。最後にどうしておじいさんが歩き、また車を引いたかもわかってしまうから悲しくてしょうがない。ネロのような子供が見ていたら、ネロのように喜ぶのだろうか。終末へ向かって突き進んでいる。もはやここから先は、涙なしには見られなさそうだな。残される人たちに幸あれ。
2004/02/14第42話『となりに来た人』
持つべきものは友だ。しかし、ここ数回、そして恐らくこれからも、本質的な悲しみの回である。これまでは、「コゼツ死ね」とか「ハンスうぜぇ」で済んでいたが、今ネロを取り巻く悲しみは、決して人為的なものではない。セルジオも悪い人ではないし、コゼツの言う通り、これは「大人の話」だ。誰にも、どうすることもできない。
2004/02/15第43話『アロアのおてつだい』
「アロア、いつまでもネロと仲良くしておくれよ……」アロアはさも当然というふうに、何事もなかったかのように「うん」と頷いていたけれど、俺はこのおじいさんの台詞に泣きそうになった。その後、アロア、ネロのことを激白。この時のおじいさんの心中はどうだったのだろう。優しい祖父と、優しい孫。優しい少女、優しい友達。
2004/02/15第44話『おじいさんへのおみやげ』
 どん底。ペリーヌの母親が死んだときより遥かに悲しいのは、これでネロの天涯孤独が確定したからであり、またやはり見ている俺自身が先を知っているからだろう。最期におじいさんは幸せだったろうか。ネロは死ぬとき、満たされていた。終わりよければすべてよしと言うが、どんな人生を歩もうと、最期に満足できたかどうかがすべて。どんな人も、いつかは死ぬのだから、死それ自体を悲しんではいけない。もしも満足して逝ったなら、その人の死を悲しんではいけない。だから、俺はいつも、ネロの死について、可哀想なのはアロアだと言い続けている。おじいさんは満足して逝けただろうか。ネロを残していかなければならなかったのは悔やまれるだろうが、それは遅かれ早かれそうなるのに決まっている。歳が違うのだから。せめて、ネロの未来が見える状況で逝きたかったろうな、とは思う。
2004/02/16第45話『ひとりぼっちのネロ』
ヌレットおばさんに引き続き、ジョルジュも退場。おじいさんのために涙を流していたアロアが印象的。というか、もしもネロがいなくなってしまったら、この子はどれだけ悲しむのだろう。留学して会えないのと、生きていなくて会えないのとは違う。第52話でネロが死んだ後にアロアが出てくるかは知らないが、少し見てみたい気がする。
2004/02/16第46話『おじいさんの顔』
最後の要、ミッシェル到来。これでヌレット、ジョルジュ、ミッシェル、俺が考えていたネロ救済のためのすべての手段がなくなった。もっとも、ミッシェルに関しては、応募日から発表までの間に引っ越せる、という思いもあるし、ネロも立ち退きにあった後、自分から頼れるとは思うが。最近、ひたすら絵を描くネロが、自分の死を予感しているように思える。
2004/02/16第47話『風車小屋の火事』
なんてことみ。もうダメだ。最後にネロを見る、村の人たちの冷たい視線と言ったらない。悲惨だ。哀れだ。ミッシェルを頼るんだ、ネロ。お願いだから頼ってくれ。もうそれしか道はないんだ! ああ、もう! もうダメだ、嗚呼……。それにしても壮絶な火事だった。この時代、火事が起きたら、消火は絶望的で、如何に被害を食い止めるかが問題になる。
2004/02/18第48話『なくなった仕事』
くおぉっ! 聖堂で泣き出したネロを見ていたら、猛烈に養いたくなった。セーラと一緒に、まとめて引き取るぞ? くっそぅ。いいヤツに限って悲しい思いや辛い思いをする。俺とかいいヤツだから、いつも仕事が大変だ。ここでネロがミッシェルに頼らない理由がわからない。ヌレットとジョルジュは上手く可能性をなくしたのに、ミッシェルは中途半端だ。
2004/02/18第49話『描けたよ おじいさん』
ネロ、可愛いなぁ。ミッシェル来た。断ったこと自体は問題ではないが……さて、最後に妙な違和感が残らなければいいが。ところで、アロアもエリーナもコゼツに従順だし、アンドレもハンスに逆らわない。しかし、このアニメに出てくる父親にはろくなのがいない。子供はこのアニメを見て、どう思うのだろうか。今回はふとそんなことを思った。
2004/02/19第50話『発表の日』
1等の人しかわからないから、1等でなければ200番でも同じ。この落選を、ネロは自分の存在そのものを否定されたと受け取ったのかも知れない。原作の「いっさいが終わったのだ」の「いっさい」は、文字通りネロの人生も含めた「すべて」なのだろう。クロ退場。これでミッシェル以外の、原作に出てこないすべての人や動物がいなくなった。
2004/02/19第51話『二千フランの金貨』
今の段階での考えをまとめておこう。ネロは口で言っていたことはともかく、賞を取る気でいた。人は生き甲斐がなければ生きている価値がなく、おじいさん亡き後、ネロにとって生き甲斐は絵だけだった。アロアは、原作の言葉を借りるなら、「彼にとって失われたも同然」だった。その絵が落選した時点で、ネロは自分が生きる価値を見失った。だからミッシェルのところに行こうとも考えなかった。アロアやポールと別れることは、落選時点で決意していたようだが、死のうとしていたかはまだよくわからない。おじいさんに「遠いところへ行くつもりだよ」「さようなら、おじいさん」と言っているから、死のうとは考えてなかったのかも知れない。この辺は最終回に委ねよう。
2004/02/19第52話『天使たちの絵』
 2枚の画像は、大きな悲しみを背負ってこれからも生きていかなければならないアロアと、最後に夢にまで見た絵を見て、愛するパトラッシュと一緒におじいさんのところへ向かう、幸せそうなネロ。この作品で最も哀れなのはアロアだと、だいぶ前からずっと書いてきたが、やはりそうなのだと思う。多くのものを持ちながら最後に悔いて死ぬよりも、少ないものにでも幸せを感じて笑顔で逝く方がずっと良い。ネロの人生は、彼の主観的には決して悪いものではなかった。さて、前回書いた話の結論だが、ネロはやはり死ぬつもりだったのではなかろうか。ただ、おじいさんは胸の中にいて、死んでしまった先にいるとは考えていなかった。だから「さようなら」と言ったのかも知れない。この辺はネロの宗教観の問題だからよくわからないが、一応アニメ『フランダースの犬』のラストは、そういう解釈としよう。原作では、ネロにはミッシェルという選択肢はなかったから、考えるまでもない。あと、余談だが、一番最後の最後、もう5秒欲しかった。パッと終わりすぎ。 
2004/02/19■『フランダースの犬』の全体を通しての感想
 ■ストーリー全般

ご存じの通り、原作はペラペラの小説である。ミッシェルは名前しか出てこないし、ジョルジュやポールと言った友達も、ヌレットおばさんのようなネロの味方も出てこない。また、アロアは全8節の内の4節からしか登場せず、確かにネロと愛を語らうが、基本的には脇役である。ネロは空想の中で、パトラッシュのことを、「かつては、これが私のただ一人の友でありました」と言っている。原作はあくまでネロとパトラッシュの友情、そしてネロの絵に対する情熱を描いた作品なのである。

だから、ネロは最期に幸せだった。大好きなパトラッシュと一緒に死ぬことができたし、ずっと見たかった絵も見ることができたから。もしもネロの心の中で、アロアがもっと大きな存在だったら、死ぬ前にアロアのことも考えたろう。アロアは作者にとっても脇役だったのではないかと思われる。『フランダースの犬』はアロアを主人公だと考えると、あまりにも救いのない話であるからだ。ずっと「この物語で一番可哀想なのはアロアだ」と言い続けてきたのもそのためである。

さて、アニメは1年間放映するために、色々なキャラを登場させたし、アロアの依存度も大きくなった。けれど、おおむね矛盾点も生じずに、上手くまとまっていたのではないかと思う。ただし、一番最後に一つ疑問がもたげたので、その点について言及しよう。第51話、第52話の感想で長々と書いたものである。ネロがすべてを失ってから、ミッシェルを頼らなかった理由だ。原作ではネロは「生きる道」がなかったから仕方ないが、アニメでは様々な味方が登場した。ジョルジュとヌレットは上手に退場させたが、ミッシェルは残っていた。にも関わらず、何故ネロはミッシェルを頼らなかったのか。

ネロはミッシェルのもとへ行くことに賛成していたが、少なくとも賞は取る気でいた。ミッシェルのもとでも絵を描くつもりだったし、木こりは生計を立てるものであって、生き甲斐はあくまで絵だった。ところが、コンクールで落選し、ネロは自分の絵を否定された。ネロは自分という存在そのものを否定された気がして、生きる希望を失った。確かにミッシェルのもとへ行けば生きてはいけるだろうが、ネロはその「生」に意味を感じなかった。だから、死を選んだ。

以上がラストの解釈。もちろん、単にミッシェルのところへ行けばネロが助かってしまうから、という「都合」もあったのだろうが、そういう解釈では面白くなかろう。ただ、原作では存在しなかった「道」をオリジナルで作った以上、何故ネロがその道を選ばなかったのかは、もう少し読者にわかりやすく伝えて欲しかったとは思う。


■キャラクター全般

下で「萌え度」を★×3にしているが、萌える対象はアロアではなくネロである。同性愛好者ではないが、元々少年は好きなので、ネロにはかなり萌えさせてもらった。古代ギリシアならもっと大きな声で言えることだろうが、まあ今の日本ではあまり男の身で「ネロ、萌え!」とか言うのはよそう。ちなみに、別に性的な対象としての萌えではないので、誤解なきよう。

○金物屋:原作ではあっさり死ぬが、アニメでは長々と登場したかなり鬱陶しいキャラの一人。せめてもの救いは、ジェハンやネロに対して、個人的な恨みがなかったことだろうか。それでも、こいつが出てくるたびに気が滅入っていたのは事実で、別にそれで客観的な評価を下げる気はないが、俺の中では辟易していた。

○コゼツ:ネロに冷たくあたるのは、しょうがないと思う。アロアは大切な一人娘だし、ネロはいくら素直でいい少年とは言え、あまりにも貧乏な身だ。だからそれはいいが、許せないのは、ネロのこととなると一々ハンスの言うことを信じていたこと。あからさまな嘘くらい、わかれと言いたい。

○ハンス:実際のところ、ネロに対して直接的な権力はあまりなかったように思う。あったにせよ、ほとんど行使していなかった。こいつがネロにした意地悪は、コゼツへの告げ口であって、もちろんそれ自体も鬱陶しいが、一々信じたコゼツにも問題がある。でもまあ、ハンスはかなり救いのない男だった。

○エリーナ:何故こうも夫の言いなりになっているのだろうか。かなり見ていてイライラした。もちろん、そう思うのは現代の日本人だからであって、実際この時代には女はほとんど権利を持っておらず、妻が夫に従順なのも理解しているから、まあエリーナを否定はしない。ただ、イライラしたとは書いておく。

○子供たち:ジョルジュとポールは最高。アロアはもういいや。言いたいことがなくもないが、一番可哀想なこの子には何も言うまい。アンドレは初めむかつくヤツだったが、最後にはいいヤツになった。ある意味、子供たちの中で一番変化があったかも知れない。子供たちは全員100点でよし。

○善良な大人たち:ジェハンは聖人。元々軍人だったと言うが、熊谷次郎直実のように、戦場で何かあって人生観が変わったのかも知れないな。ヌレットおばさんもいい人。最終話の翌日は、さぞや悲しんだことだろう。ミッシェルもいい人。ノエルも個人的に好き。ノエルとジェハンの語らいは最高。


■最後に

上のキャラクターの総括だが、とにかくむかつくキャラが多くて、イライラすることが多かった。けれど、『小公女セーラ』を見ていた時だって、セーラはかなりいじめられていたし、ある意味でこの作品よりひどかったように思える。けれど、この作品ほどはイライラしなかった。

この差がどこから来たかはわかっている。セーラは最後に幸せになり、ネロは最後に死ぬということを、事前に知った状態で見ていたからだ。だから未来を夢見るネロを見て一々悲しくなったり、アロアを見て不憫に思ったりした。第40話の感想で書いたのだが、もしもそうとは知らずに見ていたら、どうなっていただろうか。もちろん、その場合、最後に来る衝撃はすさまじいものだろうが、全体としてはもっと明るく見られたかも知れない。

すなわち、これは本来、この感想の一番先頭に書くべきなのかも知れないが、「この感想は、すべてネロの最期を知った状態で書いたものである」ということに留意して読んでもらいたい。

ストーリー ( 内容やテンポ、感動したかなど )★★★★★
キャラクター萌え度 ( 絵や声、性格、言動など )★★★☆☆


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