『 家なき娘 』 あらすじ



■書名 : 家なき娘[上] / 家なき娘[下]
■著者 : エクトール・マロ / エクトール・マロ
■訳者 : 二宮フサ / 二宮フサ
■定価 : 700円 / 700円
■出版社 : 偕成社 / 偕成社
■ISBN : 4-03-652440-2 / 4-03-652450-X
■初版発行日 : 2002/02 / 2002/02
■購入版発行 : 2003/04 ( 2刷 ) / 2003/04 ( 2刷 )
 
■購入日 : 2003/08/16 / 2003/08/16






−上巻・表紙の折り返しより−


フランス人を父に、インド人を母に持つ少女ペリーヌ。

インドからやっとの思いで、フランスにたどりついたとき、

すでに父は亡く、母もパリで力尽きてしまう。

一人ぼっちになったペリーヌは、

父の話をたよりに、母の教えを胸に、父の故郷マロクールにむかう。

はたして、祖父はペリーヌをむかえいれてくれるだろうか。

ペリーヌの父は、結婚が原因で勘当されていた……




1 ベルシー市門
ペリーヌは11、2歳の女の子。インドからフランスまで旅をしてきて、すっかりみすぼらしい格好をしていたが、気品は少しも損なわれていない。パリカールという名のロバが引く箱馬車には、ギリシア語、ドイツ語、イタリア語、そしてフランス語で「写真」と書いてある。ペリーヌはずっと母親と二人で写真屋を営んで、ここまで旅をしてきたのだ。アニメではここは17話のシーンだが、原作はここから始まる。

ペリーヌは今、パリに入るために、ベルシー市門の税関の長い行列を待っている。母親は長旅の最中、病気にかかり、箱馬車の中で休んでいる。パリが初めてで辺りを楽しく眺めていたペリーヌに、<牛モツ小僧>という旅芸人の少年が話しかけてきた。少年はペリーヌにどこへ行くか尋ね、ペリーヌは城塞の大通りの空き地に行くと答える。すると少年はそこは治安が悪いから、ギヨ園に行くといいとペリーヌに教える。ペリーヌは母親と相談して、ギヨ園で厄介になることにする。

2 ギヨ園
二人は少年に教えられたギヨ園に行く。ギヨ園の持ち主は<塩から>というあだ名を持つ、飲んだくれのおっさんで、元々はくず屋だったが、腕を折ってからは自分の土地を貸す商売をしている。いわゆるアニメで言うシモンじいさんだ。<塩から>は一週間分の値段を請求するが、二人はフランスのマロクールへ行くために立ち寄っただけだったので、料金を日割りにしてもらう。

母親は食事が喉を通らないほど悪くなっていた。ペリーヌはそんな母親を医者に診せることを決める。そしてそのお金を作るために、馬車や写真器材、そしてずっと一緒に旅をしてきたパリカールも売ってしまおうと母親に持ちかける。母親は夫との思い出の品々を売ることをひどく悲しんだが、本当ならそういうことはペリーヌではなく自分が考えなければいけない立場なのにと考え直し、売ってしまうことに同意する。

3 サンドリエ医師
<塩から>から紹介された医者はサンドリエ先生と言い、確かに腕の良い医者だったが、診察代が高かった。一度に3フラン。これがペリーヌにとってどれだけ高かったかというと、その後ペリーヌはサンドリエ先生に言われた薬を購入する際、7フラン50サンチーム請求されたが、支払うことが出来なかった。サンドリエ先生は母親に入院を勧めるが、こんな状況であるし、ペリーヌのこともあったので母親はそれを拒否する。

箱馬車や写真器材など、パリカール以外のすべてのものを<塩から>が買い取ってくれることになったのだが、この金額がたったの17フラン50サンチーム。二人はサンドリエ先生の勧めでギヨ園で部屋を借りることにしたのだが、家賃がロバや馬車も合わせて17スー。20スーが1フランなので、1フラン弱ということになる。今のペリーヌには大金だった。

4 馬市
パリカールを売る水曜日の馬市までに、とうとうペリーヌは薬代を払えなくなってしまった。母親は気丈に振る舞ってはいたが悪くなる一方。それでもペリーヌは母親の容態が良くなることに希望を持っていた。水曜日までに、ペリーヌは同じギヨ園に住む、流しの歌うたいの<公爵夫人>と、古靴を解体する職人の<鯉おやじ>、そして廃車に住んでいる飴屋と知り合いになった。

水曜日、ペリーヌは<塩から>と一緒にパリカールを連れて馬市へ行く。それまでの間に、パリカールが実はすごい酒飲みだとわかった<塩から>が彼を気に入り、付いてきてくれることになったのだ。ところが当のパリカールは、馬市の前まで来て、それ以上動かなくなってしまった。どうしても中に入らないのだ。その時偶然<塩から>の知り合いの、くず屋のルクリが通りがかり、パリカールを買ってくれることになった。ペリーヌは100フランで売りたかったが、結局ルクリに30フランで売ることになった。

5 母の遺言
パリカールを売った30フランまでもがなくなってしまう前に、マロクールへ旅立とうと決意する母。ところが翌日、駅へ行くために呼んだ辻馬車にすら乗ることが出来ず、母親は倒れてしまう。医者は<公爵夫人>にはっきりと彼女が長くないことを告げ、<公爵夫人>も<鯉おやじ>もペリーヌの不幸に嘆いた。

そしてとうとう母親は、ペリーヌに最期の遺言を残してこの世を去る。パリにいてはいけない。例え金や食べ物がなくてもマロクールへ向かうべきだ。「人に愛されるようにすることで、愛されること。お前にとって、すべてはそこにある」ペリーヌは母親の死に打ちのめされ、彼女の最期の言葉を胸に刻みながらも、泣き続けるのだった。

6 出発
母親の葬儀が終わると、<塩から>が、<公爵夫人>が、<鯉おやじ>が、飴屋が、皆がペリーヌに優しく話しかけた。お金はいらないからここにいたいだけいていいし、もしも働きたければいくらでも協力するというのだ。ペリーヌは彼らの厚意に思わず涙したが、すぐにマロクールへ旅立つのが母との約束だったので、<塩から>に道を聞いて彼らと別れた。

どこまでも続くと思われたパリをようやく抜け出し、サン・ドニの町でパンを買おうとペリーヌだったが、パン屋のおかみに差し出した5フラン銀貨を偽物だと言われ、取り上げられてしまう。泥棒扱いされ、人々に罵られながら、ペリーヌは必死に逃げた。もちろん銀貨は偽物などではなかったが、ペリーヌにはそれを証明する術がなかったのだ。残されたのはたったの1スー。マロクールはまだ遥か先で、ペリーヌは絶望的な心境になったが、それでも再び歩き始めた。

7 最初の夜
パリを出た最初の夜、ペリーヌは寝床に困った。ちょうどアーティチョークの畑に沿って歩いていると、農夫たちの話が聞こえてきた。それによると、毎晩見張りをしているが、今夜は見張りをしないという。畑は二つあり、片方はすでに刈り取られていて、もう片方は刈り取られていなかった。話していたのは刈り取った方の農夫で、もう片方の畑の持ち主は見張りをさぼっているらしかった。

これ幸いとペリーヌは彼らの見張り小屋で眠ることにした。ところがその夜、ペリーヌは物音に目を覚ました。見みると、どうやら刈り取られていない方の畑に畑荒らしが来たらしい。ペリーヌは恐れた。もしもここにいることを知られてしまえば、殺されてしまうかも知れないし、農夫に知られたら仲間だと思われるかも知れない。ペリーヌは息を押し殺し、そして彼らが去るとともに慌ててそこから逃げ出した。

8 嵐
翌日、ペリーヌはあまりの飢えに堪えきれなくなり、残った1スーでパンを買った。そして、4分の1ずつ食べようと思っていたそれを、あっと言う間に全部食べてしまう。空腹が満たされると、今度は渇いた。ペリーヌは薄汚れ、人々に好意的でない目で見られていることに気付いていたので、水を頼むこともできなかった。ついには口に小石を入れて舌を湿らせ、渇きを潤した。

そうして歩いていると、背後から嵐がやってきた。ペリーヌは水が飲めると喜んだが、ものすごい雷鳴を聞きすくみ上がる。逃げなければならない。幸いにも二キロほど先に森が見えた。ペリーヌは走った。雷はすぐそこまでやってきていて、時折、地面を打つ。なんとか森まで逃げ切ったペリーヌは、近くにあった小屋に入った。そしてどうやらこの小屋が見た目より頑丈だとわかると、安心して眠りに落ちた。

9 力尽きて
嵐は過ぎたが、翌日も雨だった。出発できないと見たペリーヌは、そこで身づくろいをする。顔を洗ったら疲れが取れたし、全身泥だらけでみすぼらしかった姿も随分まともになった。けれど、空腹だけは満たすことができず、とうとうペリーヌは小屋の屋根に混じっているシラカバの枝葉を食べてみた。生憎これはまともに食べられたものではなかったが、とうとう落ちるところまで落ちた感じだ。可哀想に。

その翌日は好天だった。ペリーヌは気分良く出発したが、空腹はいっそうひどくなっていた。お金が落ちていることに期待していたが、そんな上手いことにはならず、仕事を求めても無下に断られた。そしてある森まで来ると、息もできないほどの熱気に、ペリーヌは「もうだめだ」と感じた。ついに死を覚悟し、せめて誰にも見られないところで死のうと、森の奥に入っていく。そして、まるで眠るように横たわるのだった。

10 パリカールとの再会
力尽きたペリーヌを起こしたのは、パリでルクリに売ったパリカールだった。パリカールに引き続き現れたルクリは、ペリーヌに飲み物とパンを与える。ルクリはあまりの暑さに少し休もうと、この森に入ったらしい。

ペリーヌはルクリにこれまでのことを話し、マロクールへ向かっていることも話した。ルクリは、少女がお金の宛ても食べ物の宛てもないことを知り、自分の商売を手伝わないかと持ちかける。ペリーヌは二つ返事で承諾し、ルクリの手伝いをしながらマロクールの近くまで一緒に旅することにした。

11 ロザリー
マロクールの近くでルクリと別れたペリーヌは、一人でマロクールへ向かう。その途中で、重たそうに荷物を持っている少女と出会い、彼女を手伝うことにする。彼女はロザリーと言い、ヴュルフラン・パンダヴォワーヌの紡績工場で働いていた。作中では最後まで直接的には語られないが、ヴュルフランはペリーヌの祖父である。ペリーヌは本名を言いたくなかったので、自分はオーレリーだと名乗った。ロザリーは両親を亡くしており、祖母はペリーヌの父親、エドモンの乳母であるフランソワーズ。アニメではロザリーの親は健在なので、ちょっと設定が違う模様。また原作には、ゼノビーという、ロザリーの口うるさい叔母も登場する。

ロザリーはペリーヌに色々と話をしてくれる。ヴュルフランの息子のエドモンは今行方不明で、ヴュルフランは彼を探している。エドモンはペリーヌの母親と結婚したことが原因で、父親に勘当されたのだ。ヴュルフランには二人の甥がいて、兄の息子のテオドールと、姉の息子のカジミール。アニメにはテオドールしか出てこず、またテオドールが姉の息子という設定。この二人はあまりにも頼りないので、ヴュルフランはエドモンの帰りを待ちわびている。ペリーヌはそんな話を聞きながらマロクールに入る。

12 マロクール
ヴュルフランの大きな屋敷を横目にマロクールに入ったペリーヌは、その賑やかさに驚いた。ペリーヌはロザリーに言われて、フランソワーズが経営する共同部屋に泊まることにしていたので、ロザリーと二人で彼女の家に行く。そして、彼女と二人で話をしていると、ヴュルフランが馬車に乗ってやってきた。

フランソワーズと話をする祖父を見て、ペリーヌは彼の厳格さと意志の強さを知る。また、ヴュルフランからお小遣いをもらって喜ぶロザリーから、彼が目が見えないことを聞く。この辺り、アニメではペリーヌは、自分がヴュルフランの孫であることを視聴者に伝えているため、いちいちペリーヌの心境がわかってよかったが、原作ではあくまで暗黙の了解となっているため、ペリーヌの心境がわからず、やや物足りない。

13 花うらない
マロクールに来るのは初めてだったが、ペリーヌは何度も父から話を聞かされていたので、まるで故郷のようによくわかった。村を歩いていると人々にじろじろと見られるので、遠くに見えた森へ行ってみる。そこは小高い丘になっており、マロクールの村が見渡せた。マロクールは古い工場は汚く、新しい工場は立派だったが、反して民家は、古くからある方が立派で、新しい家はみすぼらしく映った。

ペリーヌはこれからどうしようか考える。とりあえず紡績工場で働くことにはしたが、さて祖父にはどう接したものか、ということをアニメでは考えていたが、原作はあくまで祖父に関しては書かれない。ペリーヌは母親のことを思い出して、少し泣いた。そして母のことを思いながら近くの花をむしり、花占いをするのだった。「わたしは幸福になる、すこし、たくさん、完全に、全然だめ。私は幸福になる、すこし、たくさん……」

14 共同部屋の一夜
ロザリーに案内されて辿り着いた共同部屋は、ひどいところだった。まず狭い。せいぜい二人分しかない空間に6つのベッドが並んでいた。それに臭いもひどく、息が苦しかった。他に誰もいなかったのでペリーヌが先に横になっていると、同室の人たちが少しずつ帰ってきた。彼らは騒々しく今日のことを話し合った。ペリーヌは彼らの話を有用な情報だと考え、耳をそばだてて聞いた。そして、どうも工場長のタルエルは、みんなからひどく憎まれ、恐れられていることを知った。アニメではまったくなかったが、原作のペリーヌはよくこうして情報を集めている。

夜は騒々しくてちっとも眠れなかった。それに臭いは相変わらずだし、みんなが寝付く頃には空気が薄くて息苦しくなった。ペリーヌは割れた窓ガラスに紙が貼ってあることに気が付き、それを少しだけはがす。そしてそこから入ってきたわずかな空気を頼りに眠ったのだった。

15 狩猟小屋
翌朝、ペリーヌは仕事の始まる3時間も前に目が覚めた。空気は依然として悪く、ペリーヌはついに堪えきれなくなって、荷物を持って飛び出した。外で吸い込んだ空気の、なんと綺麗なことか!

ペリーヌは朝の時間をどう使おうか考えながら、泥炭堀のふちを歩いていた。どこかで座ろうと、林の中を歩いていると、泥炭堀のはずれに狩猟小屋を見つける。それは堀に囲まれた小さな島の上に建てられていた。細い木の幹を橋にして渡り、小屋に入ると、床にはシダが敷き詰めてあり、片隅に木の幹で作られた台が置いてあった。ペリーヌは、あんな部屋ではなく、ここで寝られたらどれだけ幸せだったかとうっとりした。

16 トロッコ押し
サイレンの音とともに、ペリーヌは慌てて工場へ向かった。そして、ペリーヌを探していたロザリーと合流して工場に入る。ペリーヌはそこで、技師のファブリ、外国通信係のバンディ、会計主任のモンブルーを見、遅刻してきたテオドールとカジミールも知る。ペリーヌの身内たちは、いつも遅刻してくるらしかった。

本当に仕事をさせてもらえるか不安だったが、ペリーヌは無事に働けることになり、工場長のタルエルに、トロッコ押しの仕事を言い渡される。トロッコ押しはとても単純な仕事で、ペリーヌは午前中、辺りを見回しながら仕事に勤しんだ。

17 ロザリーのけが
トロッコ押しの仕事は単純だったが、午後になり、残り数時間になるとペリーヌはひどく疲れ始めた。それでも、自分と同じくらいの少女が平気そうに仕事をしているのを見て自分を励ます。そうしていると、突然ロザリーが悲鳴を上げた。指を機械に挟んだのだ!

ペリーヌはロザリーに付き添ってタルエルの許へ行った。そこにヴュルフランが現れて、優しくロザリーに医師に診せるよう言う。ペリーヌの初めて見る祖父の優しい姿だった。ロザリーが家に帰ると、フランソワーズは彼女を優しく迎えてくれたが、ゼノビー叔母さんはロザリーを罵倒するのだった。

18 喜望島
仕事が終わると、ペリーヌは真っ直ぐ朝見つけた狩猟小屋へ向かった。もうあの共同部屋には泊まりたくなかった。ただ、ロザリーにどう言い訳したらよいか悩んでいたのだが、そのロザリーは怪我をしたため、しばらくは聞かれることもないだろう。ペリーヌは誰にも知られないように、注意深く小屋へ行き、中に入った。

小屋の掃除が終わると、ペリーヌはものすごい空腹に襲われた。もっとも、もう旅をして倒れたときとは違う。ペリーヌには屋根もあったし、食べ物もあった。寝る前、ペリーヌは安全を考えて島への橋を外した。すると、まるで自分が島の女王にでもなったような気分がして嬉しくなった。ペリーヌはこの小屋のある島を、「喜望島」と名付けた。

19 エスパドリーユ
翌日の午前、ペリーヌは人々の噂で、ロザリーが小指を切断した話を聞いて心を傷めた。アニメではそんなにひどい怪我は負っていないが、原作では重傷だ。昼に見舞いに行ってみたが、ゼノビー叔母さんに追い返され、すっかりしょげ返ったペリーヌは、夕方はもう行かなかった。

小屋でペリーヌは衣食住の問題を考えた。住に関してはもはや狩猟小屋が使われるまで問題なく、食も給料が入ればなんとかなるだろう。差し当たって衣が問題だった。特に靴。ペリーヌはしばらく考えた末、自分で靴を作ってみることにした。「底が編んだ葦で、上が厚地の布の靴、エスパドリーユ」だ。この作業は困難を極めたが、実に4日もかけ、いくつも失敗した末、とうとう靴を作り上げた。

20 肌着づくり
靴を作り上げたペリーヌは、次に肌着を作ることにした。スカートもひどい状態だったが、肌着はいつも清潔にするようしつけられていたので優先させたのだ。ようやく手にした給料で材料を買うと、これも苦難の末、作り上げることに成功した。

ペリーヌは毎日ロザリーの見舞いに行っていたが、なかなか会えなかった。ある日の昼、ようやく会えたが、ロザリーの態度はそっけなかった。ペリーヌが共同部屋を引き払ったことに気を悪くしていたらしい。彼女にあしらわれたペリーヌはしょんぼりして小屋に戻った。

21 へんな夢
ペリーヌは夢で昼間の出来事を見ることが多かった。その晩、ペリーヌは卵料理が次から次へと作られる変な夢を見た。そして起きたとき、昼に草の中で見つけた鴨の巣にあった卵を、自分がどれだけ食べたがっているかを知った。ペリーヌはもう、二週間もパンと水だけで生活していたのだ。

ペリーヌは卵を取ってきて食べることにした。と同時に、調理するための鍋や、食事するためのフォークが欲しくなり、村で拾ってきた空き缶などを使ってこしらえた。そして食事の方も、卵にとどまらず、野原で食べられる草を採ったり、魚を釣ったりして、少しずつ豪勢にしたのだった。

22 ディナーごっこ
色々こしらえるのに日々を費やしていたため、ペリーヌはすっかりロザリーに会いに行かなくなっていた。ある時、とうとう決意してロザリーに会いに行くと、彼女は怒ったような嬉しそうな様子で出迎えてくれた。そして、会いに来られなかった理由を聞かれ、ペリーヌはロザリーに家のことを打ち明ける。話を聞いたロザリーは、ペリーヌの生活をとても楽しく思い、ペリーヌもロザリーを食事に誘うことにした。

部屋を花で彩り、ペリーヌは出来る限りの食事でロザリーをもてなした。この時の会話の中で、ロザリーはペリーヌに二つのことを伝える。一つは、外国通信係のバンディが腸チフスにかかり、またファブリがスコットランドへ出張中のため、英語を出来る人がいなくて困っていること。もう一つは、この狩猟小屋がもうすぐ使われ始めるということ。冬までは大丈夫だと思っていたペリーヌは、ロザリーの話を聞いて蒼ざめるのだった。

23 通訳
狩猟小屋がもうじき使えなくなるという話には絶望したが、ペリーヌはもう一つの話に希望を持っていた。ロザリーが、ペリーヌがバンディの助っ人として働きたい旨を伝えてくれることになったのだ。ペリーヌは祖父に会うためにここに来たのであって、こうして狩猟小屋の生活を楽しむためではない。せっかく築き上げた王国はもったいなかったが、ここで人脈を作ってなんとしても祖父に近付かなければと考える。

そして実際に、ペリーヌは通訳として使われることになった。突然サン・ピポワへ行けと言われ、行くとそこにはヴュルフランがいて、イギリス人の技師を相手に通訳させられる。ペリーヌはこの大役を見事に果たして、ヴュルフランの信頼を得ることに成功した。






−下巻・表紙の折り返しより−


フランス人を父に、インド人を母に持つ少女ペリーヌは、

父母亡きあと、父の故郷マロクールで、素性をいつわり、

名前もオーレリーと変えて、

祖父のヴュルフラン氏の工場で通訳としてはたらくようになる。

マロクールの村を支える紡績工場の経営者、ヴュルフラン氏は

その莫大な財産と冷徹さゆえに孤独だった。そして、

勘当した肉親と気づかぬまま、ペリーヌを心の支えと感じるようになる……




24 サン・ピポワ村で
初めて通訳をした夜、ペリーヌは久しぶりに満足な食事にありつけ、きちんとしたベッドで眠ることができた。翌日、ヴュルフランの甥のカジミールがやってきて、ペリーヌに対して当て付けのような言葉を吐く。すぐにヴュルフランがペリーヌを援護する形でカジミールを黙らせたが、二人のやりとりを見てペリーヌは、何故二人は家族なのにもっと互いに優しくできないのかと思う。この辺り、アニメのラストでペリーヌがテオドールに優しい言葉をかけているのに繋がると考えられる。

その後、ペリーヌはヴュルフランに頼まれて新聞を読んで聞かせる。ペリーヌは新聞など読んだことがなく、上手くできるだろうかと不安になったが、これもまた上手くやってのけ、ヴュルフランの信頼を得るのだった。

25 ヴュルフラン氏
ブノワ工場長から、ペリーヌの貧しげな容姿や、それに反して賢そうな顔つきなどを聞かされたヴュルフランは、ペリーヌに父母や旅のことを尋ねる。ペリーヌが事細かに話して聞かせると、ヴュルフランは、特にペリーヌがパリからたった一人で、しかも少ないお金でマロクールまでやってきた話に心を打たれた。

また、ヴュルフランは少女が親戚の家に行こうとしていたことを聞き、いつここを発つのか尋ねた。ペリーヌは、祖父とは会ったこともないし、父とわだかまりがあったらしく自分が受け入れてもらえるかわからないから、こうして職を手にした今、親戚の家には行くつもりはないと答える。ヴュルフランはその祖父と自分を重ね合わせて、きっとその年寄りは孫を歓迎してくれるだろうと言う。ペリーヌは実の祖父にそう言われて、思わず震える声で、「ほんとうにそうお思いですか?」と聞き返すのだった。

26 新しい仕事
ファブリ技師が帰ってきたので、ペリーヌは用なしになると思われたが、ヴュルフランは彼女を必要とし、事務所に来るように命ずる。ペリーヌは一体どんな仕事をさせられるのか不安に思っていたが、事務所で工場長のタルエルから、ヴュルフランはペリーヌに手紙の翻訳をさせるつもりだと教えた。同時に、タルエルは自分がいかに権限を持った人間であるかを言い、彼女にヴュルフランの周囲のことをすべて報告するよう脅した。つまり、スパイになれと言うことだ。

実際、ヴュルフランはペリーヌを手紙の翻訳に使うつもりだったし、それ以上のこと──つまり、彼の目の代わりになって色々なものを見、報告することを彼女に命じた。給料も高額が約束され、ペリーヌはとても喜んだ。もっとも、タルエルのことはずっと胸の中でしこりになっていたけれども。ヴュルフランはペリーヌの格好がみすぼらしいことを聞いていたので、マダム・ラシェーズの店で衣服を揃えるよう言った。

27 マダム・ラシェーズの店
マダム・ラシェーズの店は、あからさまに高級な店だった。ペリーヌはそこで、安い黒のスカートとブラウスを買った。他に靴下二足と肌着を二枚、それにハンカチを三枚という、なんとも質素な買い物をし、女主人にはもちろん、彼女の代わりにペリーヌの対応をしたヴィルジニー嬢にも軽蔑の眼差しを向けられる。

ペリーヌは立派な服を手に入れたので、もうあの狩猟小屋に泊まるわけにはいかないと、フランソワーズの家でよりよい部屋を借りた。そしてその足でヴュルフランの許へ行くと、彼はたいそう不機嫌な顔でペリーヌを出迎えた。ペリーヌが共同部屋に一日しかいなかったことを知ったのだ。ペリーヌは促されるまま、狩猟小屋での生活を話した。ロザリーとのディナーの話や、食器を自分で作った話をすると、ヴュルフランは生活力あふれるペリーヌに感嘆した。

28 御者ギヨーム
モンブルー会計主任はペリーヌを妬んでいた。サン・ピポワで、自分は役に立たなかったが、代わりにやってきたペリーヌがあっさり通訳をやってのけたからである。モンブルーとファブリと3人で歩いているとき、モンブルーはペリーヌに、「あんたもいまやわれわれの同僚ってわけだな」と、意地悪な言い方をしたが、ペリーヌはへりくだってそれを躱した。実際、食堂においても、ペリーヌは彼らより下で扱われていた。けれど、そんなことはどうでもよかった。ペリーヌにとって大切なのは、彼らと一緒に食事をし、彼らの会話から情報を得ることだった。この辺、アニメに比べて随分現実的で計算高い。

ペリーヌは御者のギヨームの馬車で工場へ行き、ヴュルフランとともに工場を見て回った。その時、大麻の色の検査をさせられたが、ペリーヌは見事に合格した。帰り、ギヨームが馬車におらず、ヴュルフランは怒った。ギヨームが酒を飲んで千鳥足で現れると、ヴュルフランはすぐさま彼をクビにし、ペリーヌに御者をさせたのだった。

29 タルエル
ペリーヌは情報収集に入念だった。それはこの野望の渦巻く工場で賢く生きるためだったし、エドモンの子供を嫌っている祖父にいつか受け入れてもらうためだった。ギヨームがクビにされた日の夕方、ペリーヌはファブリとモンブルーにギヨームのことを聞かれ、ありのままを話した。すると二人は食堂でギヨームやタルエルの話を始めたのだ。もちろん、彼らは直接タルエルの名は口にしなかったが、こっそり聞いていたペリーヌは、彼らが工場長のことを言っていることを理解していた。

二人の話では、ギヨームはタルエルの命を受けて、ヴュルフランの情報を提供していた。いわゆるスパイである。彼らは、タルエルはすぐにギヨームの代わりを探すだろうと言った。また彼らは、タルエルが次期社長の座を狙っていることと、そのための準備を前々から行っていたことを話した。ペリーヌはロザリーが呼びに来たので、聞き耳を立てていることを知られるといけないと思い、店を出た。そして、恐らくタルエルが自分にスパイをするよう言ってくるであろうことを考え、その魔の手から如何にして逃れればいいか思い悩むのだった。

30 バンディの部屋で
ヴュルフランに来る手紙の内、外国便は、バンディが病気になって以来、英語のものはファブリが、ドイツ語のものはモンブルーが訳していた。その日、ダッカから英語の手紙が届き、ヴュルフランはすぐに甥とタルエルを下がらせて、それをペリーヌに訳すよう言った。その手紙はとても長く、それにペリーヌはダッカからということで動揺していたため、すぐには訳せなかった。そこでヴュルフランは、彼女にバンディの部屋で訳すよう言い、同時に手紙の内容を誰にも知られないよう言い聞かせた。

ペリーヌがバンディの部屋で手紙を訳していると、まずテオドールがやってくる。彼は英語も読めないのにペリーヌから英仏辞典を借り、そのついで手紙の内容を聞き出そうとした。けれどペリーヌが頑として拒否したので、彼はすぐに引き下がった。次にタルエルが来たのだが、彼はすべてはヴュルフランのためだと巧みにペリーヌをたぶらかした。それでもペリーヌが言わないと、今度は自分には誰でもクビにする権限があると言ってから、後で手紙の内容を教えるよう脅して出て行った。

31 ダッカからの手紙
ヴュルフランに届いたダッカからの手紙には、彼が求めていた息子の情報はほとんど書かれていなかった。あったのは、彼の妻、マリー・ドレッサニが如何に美しく、心優しくて素敵な女性であるかと、彼らの間には娘が一人いたこと、そしてドレッサニ・ベルシュ社が倒産した後、彼らがチベットの国境に近いヒマラヤ山中のデラという町に行ったことだけだった。ヴュルフランはすぐに知りたい情報を教えてくれるよう、ペリーヌに電報を打つよう命令する。ペリーヌは電報局へ行くとき、またしてもタルエルに情報を教えるよう言われるのだった。

ペリーヌが電報局から戻ると、ヴュルフランは彼女に御者をやらせて外出した。その最中、ペリーヌからテオドールとタルエルの話を聞き、彼は少女に不安を抱かせたことを申し訳なく思う。そして、今後仕事は自分の部屋でするように言い、同時に彼女を自分の屋敷に住まわせることにした。ペリーヌが喜んだのは言うまでもない。ヴュルフランはそれから、自分にエドモンという息子がいること、そして彼がインドでマリーと結婚したのを機に絶縁状態になってしまったことを話した。ヴュルフランは絶縁しても息子を愛しており、音信不通の息子が生きていて、いつかここに戻ってくることを願っているのだった。

32 ヴュルフラン屋敷
ペリーヌはヴュルフランの屋敷に連れられ、その素晴らしさに圧倒される。そして、テオドールやタルエルの脅しに怯えていた自分が、その脅しがあったおかげでこうしてヴュルフランの屋敷に来られたことを可笑しく思うのだった。ペリーヌが屋敷にいる最中に、ヴュルフランは工場の事務所で彼女のことをタルエルに告げる。タルエルは絶対にヴュルフランには逆らわない信念を持っていたので、驚きつつも素直にヴュルフランの意向に従うのだった。

夜、ペリーヌはヴュルフランとともに食事をするのだが、その間ずっと屋敷の者たちに好奇の目を向けられていた。ペリーヌはそれが気になって仕方なかったが、幸いにも恥ずかしいへまはせずに済んだ。食事が済むと、ペリーヌはヴュルフランに本を読むことを申し出る。そして彼に連れられて書庫で本を探している最中に、いきなりエドモンの絵に出会うのだった。ペリーヌは不覚にも涙を零し、ヴュルフランはそんなペリーヌに、「おまえは父親を思いだしたのか?」と、優しい言葉をかけた。ちなみにこれは、別にエドモンが彼女の父親だ、という意味ではないことを付け加えておく。

33 ベローム先生
翌朝、昨日打った電報の返事が届いていた。それによると、エドモンの最後の消息は5年前であるらしい。ヴュルフランはすぐに、エドモンの友人として電報に名前のあったルセールという人物にフランス語で、デラの町のマッカーネス神父には英語で電報を打つよう命令する。ところが、ペリーヌは躊躇した。彼女は英語はスラスラと書けたが、フランス語は苦手だったのだ。話を聞いたヴュルフランは、すぐに彼女に、ベローム先生という、この村一番の先生を家庭教師につけることにした。

ペリーヌの才能はベローム先生を驚かせ、ヴュルフランを満足させた。彼女は字や綴りは下手だったが、素晴らしい感性を持っていたのだ。字や綴りは練習すれば身に付くが、感性は一朝一夕でどうこうなるものではない。ペリーヌはベローム先生から祖父のことを聞いた。そして彼の見えない目は、手術すれば治ることを知る。けれど、ヴュルフランは目の病の他に気管支炎を患っており、これが災いして手術することができないというのだ。

ペリーヌは他に、ベローム先生からテオドールやカジミール、それにタルエルのことも聞きたかったが、さすがにそれはできなかった。けれど、カジミールの母親であるブルトヌー夫人が訪問する話が持ち上がると、先生はペリーヌにブルトヌー夫人の話をし、彼女の前では口を慎むよう忠告した。ブルトヌー夫人はなんとしても息子を次期社長にしたがっており、またテオドールの母親も同じ気持ちでいる。だから、どちらかの味方になればどちらかに恨まれるし、両方の味方につけば第三者に恨まれるだろう。先生はペリーヌに、賢く見えなければ見えないほど、あなたは賢いのだと諭した。

34 ブルトヌー夫人
ヴュルフランは二人の甥を自分の屋敷に住まわせていなかった。それは、甥はあくまで甥であり、息子ではない。自分の会社を継ぐのは息子のエドモン以外にあり得ないという意思表示でもあった。その屋敷に、どこの誰とも知れない小娘が住んでいると聞かされ、ブルトヌー夫人はこの娘のことを調べ回った。けれど、大した情報は集まらず、直接聞こうにもなかなかその機会が得られなかった。

ついに夫人は、ペリーヌがすっかり寝てしまってから部屋を訪れ、直接彼女と話をした。夫人はまず弟ヴュルフランの身体を気遣い、くれぐれも注意するようペリーヌに言った。ペリーヌはこれには素直に賛同した。ところがその後、夫人はやはり息子カジミールの味方になるようペリーヌを誘った。ペリーヌがこの誘いに乗らないでいると、夫人はペリーヌの服装をけなし、その世話を自分がしてあげようと恩着せがましく言って部屋を出て行った。

35 ヴュルフラン氏の怒り
ペリーヌには前々からどうしても一つ、腑に落ちないことがあった。それは、何故ヴュルフランはそれほどまでに愛する息子をインドにやったか、ということである。それはエドモンがひどい浪費と散在を繰り返したためなのだが、それにしても重すぎるだろう。ペリーヌはなかなかそれを聞き出せなかったが、ある晩とうとう思い切ってヴュルフランに尋ねてみた。

ヴュルフランはペリーヌに「義務」というものについて語ってから、自分が何故今彼に帰って欲しくなったかを説明した。それは主に病気が原因だった。そしてヴュルフランは、息子が帰ってこない理由を彼の妻と娘のせいにし、彼女たちに恨みの言葉を吐いた。ペリーヌはとても悲しくなって、第三者的に、その母親はとてもいい人だと書いてあった、娘はきっと祖父を愛するだろうと言う。けれどそれは、息子の結婚など認めず、破棄させてやろうさえ考えているヴュルフランを怒らせ、とうとうペリーヌは怒鳴りつけられて、泣きながら部屋を出て行くのだった。

36 おそろしい知らせ
ヴュルフランは息子の居場所を突き止めるべく、各国の新聞社に広告を出し続けた。有力な情報を提供してくれた者には多額の報酬を約束し、実際多くの情報が寄せられたが、それらはどれも金が目当てのいい加減なものだった。ところが、とうとう昨年の11月にサラエボにいたことがはっきりとした。ヴュルフランは大いに喜び、ペリーヌは悲嘆に暮れた。

ペリーヌはヴュルフランの健康を考え、彼に希望が満たされない可能性を示唆した。そして、自分が父と母を亡くした時のショックを伝え、ヴュルフランにはそうなって欲しくないと言ったが、彼は「おまえがひどく辛い目にあったからといって、この世には悪いことばかりある、と思いこんではいけない」と、まるでペリーヌの言葉に耳を貸そうとしなかった。そしてついに、そんなヴュルフランの許に、エドモンがすでに亡くなっていることを告げた文書が届くのだった。

37 わびしいミサ
ミサのために次々と親族が訪れる中、部外者のペリーヌは誰にも相手をされず、ミサにも一人で歩いて行かなければならなかった。工場は操業停止になっているというのに、社長の息子のミサには工員の大多数が参列していなかった。エドモンの死とはまるで関係なさそうに賑わう村を眺めていると、ペリーヌはベローム先生に声をかけられた。彼女は、ヴュルフランはこれまで会社の利益しか考えず、工員たちのつらさや苦しみのことは考えてこなかったことを話す。ペリーヌはその話と、それが敬愛する先生から伝えられたことをひどく悲しんだ。

息子の死を告げられてからと言うもの、ヴュルフランはすっかり覇気がなくなり、仕事にも打ち込めなくなってしまった。誰とも会いたがらず、ただ一人で、何故神は自分を見捨て給われたのかと嘆くばかりだった。もちろん、ペリーヌにも為す術はなかった。

38 火事
しばらく病床に伏した後、ヴュルフランはペリーヌとともに工場の見回りをするようになったが、それはただしているだけで、報告も聞いていなければ、指示もタルエルに仰ぐよう言うだけだった。医者は何らかのショックが必要だと話すが、一体どんなショックがあると言うのか。ところがある日、ペリーヌとその祖父は、医者の言う「ショック」と出会う。村の託児所で火事が起きたのだ。

火事は三人の子供を奪った。ペリーヌはその事件にそれほど心を傷めているように見えないヴュルフランに、葬式に参加するよう言う。ヴュルフランは、何故自分の息子のミサにも参加しない連中のために、自分が葬式に出なければいけないのかと言うが、ペリーヌは反論した。友情を生むのは友情だ。人は、自分を愛してくれる人を愛するのだと。ヴュルフランは長い長い沈黙の後、子供たちの葬式を自らの手で行い、自分も参席することを決めた。

それからヴュルフランは、村に託児所を建設することを考案し、その調査をファブリに依頼する。また、ベローム先生にどうかその責任者になってくれるよう頼み、彼女はこれを承諾した。ペリーヌは祖父の変化を大いに喜び、その夜、行き先を告げずに彼をフランソワーズの共同部屋へ連れて行った。そしてヴュルフランに、工員の多くが、如何に劣悪な環境で生活しているかを教えたのだった。

39 大きな変化
1年近くの間に、村は劇的に変化した。病院に託児所、従業員用の宿舎、カフェテリア。ヴュルフランの屋敷の庭は巨大な公園になり、人々はここで余暇を過ごした。もちろん、急激な改革には反対する声も多く上がり、ペリーヌはその非難を一身に受けることになったが、彼女は仲間たちの友情に救われた。そして、彼女が昔トロッコを押していたという事実は、多くの工員たちを力付け、彼らも小さな少女の支えになった。

ある日曜日、何かの調査のために出張していたファブリがマロクールに戻り、ヴュルフランの屋敷を訪れる。ヴュルフランはそわそわしており、一体彼がファブリに何の調査を命じていたのか聞かされていなかったペリーヌは不安で仕方なかった。ファブリは、パリにエドモンの妻と娘の足跡を調べに行っていたのだ。そして妻の死を確認した後、娘の行方を追いかけた。ファブリが、パリカールが元気にしていたことをペリーヌに告げたとき、彼女はすでに立ち上がって泣いていた。こうして、ようやくペリーヌは、孫として、祖父ヴュルフランの腕の中に飛び込むことができたのだった。

40 家族で
ペリーヌがヴュルフランの孫だとわかった日は、奇しくもヴュルフランの誕生日だった。ペリーヌが両親との思い出話をしていると、外が賑やかになる。工員たちが社長の誕生日を祝うために集まってきたのだ。ヴュルフランが感激したのは言うまでもない。あの息子のミサの日とは違い、彼は工員たちに愛される人になったのだ。

精神の安定を得たヴュルフランは目の手術に踏み切る。そして苦難の末これを成功させると、ヴュルフランはペリーヌの顔にエドモンの面影見るのだった。ペリーヌはファブリがルクリから買い戻してくれたパリカールとの再会を喜び、そして彼の引く馬車に乗って、目が見えるようになった祖父とともに、立派になったマロクールの村を見て回る。人々の喜びにあふれる村を見て、ヴュルフランはペリーヌに言うのだった。これはお前のした仕事だ。自分は商売に熱中してこういうものを作り出す余裕がなかった。他に望むものは、お前にふさわしい夫が見つかること。そうしたら、きっと幸せに暮らそう──家族で。



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