エリックとエルメス 第6話『水檻』


◆ ほずぴー? ◆

 前回の冒険で入った経験点は、エリック、エルメスともに1,100点です。エリックはその内の500点を使ってセージを1つ上げ、ミーシュのためにフェアリー語を取得します。
 また、今回は参加しませんが、エルメスはそのまま貯蓄しました。

水原(GM)「第6回だにゅ〜」
雪島(エリック)「『彼は石にあらず。かの者に失われし物を与え、武器を取らせよ。さすれば闇は切り裂かれ、必ずや新しき時代は訪れん』」
水原「(苦笑)。もうそれはいいって」
雪島「いやいや。私が思うに、“シルファ”ってのは、女の子の名前に見せかけた男で、これが“彼”。“失われし物”が“心”で、“武器”がミーシュの村にあったものなんじゃないかと」
水原「なるほどね。リウスは?」
雪島「う〜ん。リウスの片想いの人がシルファかなとも思ったんだけど……ホモ?(爆)」
水原「ダメじゃん!」
雪島「困ったなぁ。実はリウスは女性とか!?」
水原「もういいって(苦笑)。とりあえず今回、いよいよ第6回。君がエルメスと別れてから初めてのプレイだ」
雪島「第2部開始って気分ね」
ほずぴー(ミーシュ)「…………」
水原「今回はまず、エリックとミーシュの方だから」
雪島「了解」
ほずぴー「…………」
水原「ん? どうしたんだ? ほずぴー」
雪島「まだ役になり切らずに、どんどん話してくれていいんだよ、ほずぴー」
ほずぴー「そうじゃなくて、本当に今回から私、ほずぴーなの? ほずえじゃダメなの?」
水原「ああ、ほら。一応ミーシュはエルメスの恋敵的存在だから、エルメスのプレイヤーがやるのは、それはそれで問題ありかなと思って」
ほずぴー「本質的には、私はほずえだよ?」
雪島「違うよ。あなたはほずぴーよ」
水原「そうそう。ほずえは風邪引いて寝てるんだ」
ほずぴー「私、だんだん悲しくなってきたよ……」
水原「まあいいや」
ほずぴー「良くない(泣)」
水原「今回、ここで一度、各キャラの今後の方針やらをまとめたい」
雪島「うぃ」
ほずぴー「にゅ」
水原「まずエリックだけど」
雪島「目的はミンフの心の救出。とりあえず情報が、“アノスの女神”と呼ばれていて、1年前に失踪したクリーナって人のことだけだから、彼女の足跡を追う」
水原「おう。ミーシュは……」
ほずぴー「よくわかんない」
水原「ミーシュは、妖精界から迷い込んで、もう長いことこの世界に住んでいる妖精だ。子供だけどね。で、ずっと一緒にいた者たちが死んでしまった今、とりあえず妖精界に帰りたいって思いがある」
ほずぴー「なるほど。じゃあ、妖精界に帰る方法を探せばいいんだね?」
水原「積極的にじゃなくてもいいよ。で、エリックとしては、ミーシュをどうしたい?」
雪島「妖精界に帰してあげるのが一番いいね。だから、ミーシュが積極的にならなくても、こっちで色々と当たってみる」
水原「そうしてやってくれ。あと、ほずえ……じゃない、ほずぴー」
ほずぴー「言い直さなくてもいいのに(涙)」
水原「ミーシュはエリックに一切恋愛感情を持ってないから。兄とか頼れる人っていうイメージもないから。どちらかというと、主人っていうイメージが強い。弱い者が強い者に服従するイメージ。エリックの言うことは基本的にはどんなことでも聞いてね」
ほずぴー「わかった。で、結局言葉の問題は?」
水原「ミーシュはごく簡単な共通語が話せるようになった。ごく簡単な、ね」
ほずぴー「おはよう、こんにちは、おやすみ、ごめんなさい、ありがとう、さようなら」
水原「そんな感じ。で、エリックの方はセージを上げてフェアリー語をとってくれたから、それなりに意思の疎通ができる程度」
雪島「おはよう、こんにちは、おやすみ、ごめんなさい……」
水原「も、もうちょっと話せていいよ……」
雪島「わかった」
水原「で、エリックはミーシュのことは好きなの?」
雪島「俺はエルメス一筋。何としても出会って、誤解を解く。まあ、全部片付いてからでも構わないと思ってるけど」
水原「積極的なのか否か、よくわかんないね」
雪島「今一番最初にすることは、ミンフの“心”を取り戻すこと。それから、ミーシュを妖精界に帰してやること」
水原「なるほど。それくらいかな? 他、何か質問は?」
ほずぴー「はい!」
水原「よし、じゃあほずぴー」
ほずぴー「うぅ……。ミーシュの服は?」
水原「ああ、適当に買って着せたことにした」
雪島「服着て、キャラシにある“イリュージョン・クロース”の効果は大丈夫なの?」
水原「問題ないよ。所詮はクロースだから、クロースの下に服を着ただけ。一見するとエルフの娘」
ほずぴー「わかった」
水原「他に質問は?」
雪島「はい!」
水原「じゃあ、雪島君」
雪島「先生は彼女いますか?」
ほずぴー「あははははっ」
水原「う〜ん。実はいるよ」
雪島「えっ! いるの!?」
水原「君だよ、君」
雪島「ああ、そうなの?」
ほずぴー「変な会話」
水原「じゃあ、本編に入っても大丈夫かな?」
ほずぴー「ん〜〜」
雪島「一応オーケー。また何か思い出したら、その都度聞くよ」
水原「ブラジャー。じゃあ、始めましょう」

◆ 死は唐突に? ◆

GM「歩け」
エリック「てくてく」
ミーシュ「ぽてぽて」
エリック「なあ、ミーシュ……。って、日常会話は、通常こっちがフェアリー語で話してる」
ミーシュ「にゅ? じゃあ、普通に喋ってもいいの?」
エリック「ダメ。そっちの言葉をこっちがまだよく解らないから、初めからわかる範囲でだけ伝えて」
ミーシュ「わかった。じゃあ、はい、何ですか?」
エリック「いい天気だね」
ミーシュ「そうですね。お日様は好きです」
エリック「そうか。俺は風が好きだな」
ミーシュ「風さんですか?」
エリック「うん。風の属性があるらしい」
GM「(笑)」

 第4話参照。

ミーシュ「これからどうするんですか?」
エリック「うん。“湖岸の王国”ザインに向かってるけど、あそこは魔術師が嫌いだから、なるべく避けたい。北の方から、エア湖の最南端を沿うようにしてエレミアに抜けよう」
ミーシュ「そんな難しいこと、わかんないよぉ」
エリック「俺も、そんな難しいこと、まだ言えないよぉ」
GM「大変だねぇ。どうやってプレイしようか?」
エリック「試行錯誤を繰り返すうちに、なんかいい方法が見つかるよ」
ミーシュ「そうだね」
GM「な〜んか、戦闘してぇ」
エリック「き、危険なこと言ってる」
ミーシュ「(笑)」
GM「……しよっ。一度ルールに沿って、“不意打ち判定”なんぞをやってみよう。レンジャー+知力で振ってみて」
エリック「うぃ。(ころころ)6ゾロ」
GM「……雪島って、つまんないよね」
エリック「そんなこと言ったって、出たものはしょうがないじゃん!」
ミーシュ「はぁ……」
GM「せっかく“不意打ち判定”を知ろうと思ったのにな……」
ミーシュ「ダイスが振れなかったよ」
エリック「うわー。私今まで、こんなに6ゾロが出て嬉しくなかったの、初めて」
GM「くく……」
エリック「で、とりあえず気が付いたよ。敵だーっ、エルメス」
ミーシュ「エルメスぅ? Who?」
エリック「ああ、間違えた。今頃どうしてるのかなぁ……ぐすっ」
ミーシュ「敵じゃないの? エリック」
エリック「ああ、そうだったね。何?」
GM「9本の首を持った、全長10mの大蛇」
エリック「走るぞ、ミーシュ! せいいっぱいでいいから走れ! 665ページ(謎)」
ミーシュ「エリック? 逃げる? わかった。走るよ」
GM「冗談冗談」
エリック「当たり前だって。いきなりこんなところで、ヒュドラに遭遇なんて、有り得ない」

 注:ヒュドラ……モンスター・レベル10。外観はさっき言った通り。

GM「とりあえず知名度チェックして」
エリック「(ころころ)うわ〜。11とか振った。今回、出目全部記録して、後から平均とってみよう。とりあえず17」
ミーシュ「(ころころ)3とかいってるよ。それにしても、開始から6回目にして、初めて“不意打ち判定”とか“知名度チェック”とかしてるね(笑)」
GM「うん。最初は細かいルールよりむしろ、ほずえ……ああ、エルメスのプレイヤーのことだけど」
ミーシュ「私! 私はほずぴーじゃない!」
GM「はいはい(笑)。ほずえにまず、TRPGってのがどういうのか教えたかったからね。細かいルールは追々覚えていけばいいんだよ。で、17なら当然わかるけど、ロック・ウォームね。モンスター・レベル5、敏捷度5、生命力28、精神力9。これが2匹」
エリック「やれやれ。1匹はミーシュにシェイドで片付けてもらうとして、精神力足りるのか? 実は俺、ソーサラーとして持っていて欲しいだけの精神力を持ってない」
ミーシュ「15はきついよね。私、18」
エリック「でも、ミーシュは生命力が8しかないから、絶対に攻撃されないようにね」
ミーシュ「了解」
エリック「しかし、そっか……。エルメスがいないと、壁がいない」
GM「エルメスは壁かい……」
エリック「間を取って戦おう。ファイター抜きでも戦えることを、ロック・ウォームにも教えてやる!」
GM「はいはい(汗)」

<1ラウンド目>

エリック「こっちが先に気が付いたから、距離置いてやらせて」
GM「いいよ」
ミーシュ「じゃあ、とりあえずAにシェイド」
エリック「一撃で決めてくれーっ!」
ミーシュ「ゾロったらどうしよう。(ころころ)おーげー。9は16」
GM「こっち、抵抗値12で固定だから」
ミーシュ「さっ、振ります。うりゃーっ!」
GM「おおっ!」
エリック「おおっ(汗)」
ミーシュ「おおっ(涙)」
エリック「どうやら、俺たちもこれまでのようだな」
ミーシュ「ふぅ(逃避)」
エリック「よかったね、ミーシュ。早速経験点が10点も入って!」
ミーシュ「うん!」
エリック「き、気を取り直して、ファイア・ウェポン、自分」
ミーシュ「ええっ!? 武器で戦う気なの?」
エリック「二人で魔法で戦ってたら、ミーシュまで攻撃されちゃうよ」
ミーシュ「エリック……」
エリック「おおっ。10とか振った。ここまで、平均11!(出目の話)」
GM「じゃあ、ロック・ウォームは近付くよ」

<2ラウンド目>

ミーシュ「闇。(ころころ)出目10は17でそっちは抵抗できないから……。(ころころ)出目10は1回回って」
エリック「おおっ!」
GM「名誉挽回か?」
ミーシュ「15点」
GM「じゃあ、Aは沈黙した。ダームの塔が沈黙しました」
ミーシュ「??」
エリック「ファイア・ウェポン、もったいなかったかも。防御専念で、彼女に任せようかなぁ」
GM「どうする?」
エリック「せっかくだから! 俺はこの赤のダガーで斬りに行くぜ!」
ミーシュ「??」
GM「どうぞ」
エリック「うっ……5は9」
GM「回避ね。じゃあ、こっちの攻撃は13だよ」
エリック「く、ください……」
ミーシュ「エリックさん!」
エリック「うぅ……。エルメスの『貴方は下がっていてください!』って言葉を思い出すよ」

 第4話参照。

GM「じゃあ、とりあえず打撃点は10点。これは鎧で軽減して」
エリック「(ころころ)7点引ける」
GM「じゃあ、3+5の8点受けて」
エリック「ぐふっ」
GM「ザクとは違うのだよ!」
ミーシュ「??」

<3ラウンド目>

ミーシュ「フェアリーの一つ覚え。シェイドかけるにゅ。(ころころころころ)9発」
GM「うぃ。4点受けて、あと5点」
エリック「回避専念(泣)」
GM「じゃあ、攻撃点は13だから」
エリック「(ころころ)あれ?」
ミーシュ「エリック……死んじゃいやだよ」
エリック「…………」
GM「打撃点、10点ね」
エリック「(ころころ)出目8は6点減の、4+5のダメージが9点。生命力-3か……」
ミーシュ「死んじゃ、ヤだよ……」
GM「…………」
エリック「生死判定か……」
ミーシュ「…………」
GM「…………」
エリック「ふぅ。俺、なんでこんなところで生死判定のロールやってんだろうな」
GM「雪島……」
エリック「何?」
GM「俺にここで、ダイスを振りたいだけのために、ロック・ウォームを2匹出したことを後悔させないでね」
エリック「チャ・ザにでも祈って。5+2D-3が7以上か。ダイス目は5以上だね」
ミーシュ「絶対に4とか振りそう……」
GM「雪島だし……」
エリック「今日は出目がいいから」
GM「雪島……」
エリック「うん」
GM「ここで2とか3とか4とか振ったら、『One of the Stars』の最後だと思ってね」
エリック「それはそれでドラマじゃない?」
GM「…………」
ミーシュ「…………」
エリック「行きま〜す♪ (ころころ)ほら! 10とか出たじゃん!」
ミーシュ「はぁ〜〜〜〜」
GM「汗かいた……」
エリック「心臓がバクバク言ってるよ」
ミーシュ「これで今回はもう、何が来ても怖いくないぞ」
GM「じゃあ、君は救われた」

<4ラウンド目>

ミーシュ「シェイドをかけるべきか、エリックにヒーリングを使うべきか……」
エリック「ヒーリング。間違いなくヒーリング」
ミーシュ「そうだね。次の芋虫の攻撃は、6以上で回避できるんだし」
エリック「そうそう」
ミーシュ「じゃあ、ヒーリング」
エリック「起き上がった」
GM「じゃあ、ミーシュ回避して」
ミーシュ「(ころころ)6ゾロ♪」
エリック「よしっ!」

<5ラウンド目>

ミーシュ「シェイド。11は8の4の11発」
エリック「わけわからん(笑)。いや、わかるんだけどね」
GM「もう、多少経験のある人にしかわかんないね。そのままリプレイ起こすよ」
ミーシュ「にゅ。死んだ?」
GM「別に死んだわけじゃないけど、倒れた」
ミーシュ「良かった」
エリック「自己嫌悪。エルメスにも助けられ、ミーシュにも助けられ……」
GM「本っっっっ当に情けないな」
エリック「はぁ……」

◆ 湖岸の村 ◆

エリック「好きな人ができました……」
ミーシュ「にゅ?」
GM「どうしたの?」
エリック「かんとり〜ろ〜〜〜ど♪」
ミーシュ「エリック?」
GM「っていうか、雪島?」
エリック「あははははっ。いきなりどうしたんだろ、私。なんか可笑しい。あははははっ!」
ミーシュ「せ、先輩が壊れた……」
GM「…………」
エリック「いやいやいやいや。いやいや、やめてやめて♪」
ミーシュ「…………」
GM「…………」
エリック「こほこほっ。さてと……」
GM「いや、さてと……じゃなくてさぁ」
ミーシュ「怖かったにゅ」
エリック「いや、なんか、今になってさっきの生死判定が怖くなってきた」
GM「済んだことだよ」
エリック「まあ、そうなんだけどね」
ミーシュ「とにかく行くにゅ」
エリック「何が見える」
GM「草原の向こうに、小さな村が見える。その先に、どでかい湖、エア湖が見える」
エリック「ほらミーシュ。湖だよ」
ミーシュ「海?」
エリック「湖だよ」
ミーシュ「どう違うの?」
エリック「甘いか辛いかだよ」
ミーシュ「どっちが甘いの?」
エリック「湖だよ」
ミーシュ「何が甘いの?」
エリック「水」
ミーシュ「本当に?」
エリック「嘘」
ミーシュ「くすん」
エリック「じゃあ、GM」
GM「……っていうか、本当のことは教えてあげないの?」
エリック「今の俺の語彙力では難しい。じゃあ頑張って、周りが陸地に囲まれたのが湖だと説明しよう」
ミーシュ「にゅ。よくわかんなかった。海も見たことがないから」
エリック「残念。村に行こう」
GM「小さな村だ。村人の姿が見える。村の中央で、集会を開いているらしい」
エリック「何人くらい?」
GM「15人くらい。何か真剣な表情。よく見ると、数人怪我をしているのか、腕や足に包帯を巻いている人がいる」
ミーシュ「何かあったのかな?」
エリック「行ってみよう」
ミーシュ「挨拶するといいよ」
エリック「すいませ〜ん!」
GM「じゃあ、村人たちが君たちの方を見る」
エリック「なるべく警戒を解きながら行こう。旅の者です。今夜はこの村に泊めていただこうと思うのですが、宿はありますか?」
GM「君たちを見てから、ちょっと彼らはまた顔を合わせて話し出す。どうする?」
エリック「どんな様子?」
GM「よくわかんない。ただ話してる。でも、真剣そう」
エリック「待ってよう」
ミーシュ「従う」
GM「じゃあ、やがて40歳くらいの男が来る。『あんたら、ちょっと頼まれごとできんかね?』」
エリック「どんな?」
ミーシュ「にゅ?」
GM「『あんたら、強いか?』」
エリック「難しい質問だ。内容によって、出来そうか出来なさそうか答えるよ」
GM「じゃあ、もう一度村人同士で顔を見合わせてから、話し始める。『実は、ポム……ってのは、この村の子供だが、そのポムが湖のマーマンたちに捕まってしまった』」
ミーシュ「まーまん?」
エリック「マーマンっていうのはね」
GM「振って、エリック(知名度チェックのこと)」
エリック「(ころころ)6は12」
GM「じゃあ、知ってる。プレイヤーの知識を披露してください」
エリック「マーマンっていうのはね、海中に棲む種族で、人間とかと一緒で独自の文化を持ったヤツらだ」
ミーシュ「??」
エリック「なるほどね(汗)。マーマンをうまく伝えられないよ」
ミーシュ「諦めよう」
エリック「で、ポムはどうしてマーマンに捕まったんだ? 普通、人間を捕まえたりしないだろう」
GM「……冒険者+知力」
エリック「(ころころ)2度目の6ゾロっす」
GM「じゃあ、完全に理解した。一瞬だけど、村人たちが無茶苦茶後ろめたそうにした。目を伏せたり、俯いたり」
エリック「マーマンに何かしたのか?」
GM「慌てたように村人の一人が話し始める。『実は、村のヤツが漁の最中に、たまたま遭遇したマーマンを攻撃してしまったんだ。それで怒ったヤツらが、ポムをさらっていきおった』」
エリック「じゃあ、残念だけど、もうポムは死んでますね。はっきり言おう」
ミーシュ「死んでるの?」
エリック「人は土を離れては生きられないと、リュシータ王女が言っている」
ミーシュ「なるほどね」
エリック「おっ。珍しく通じた」
ミーシュ「ラピュタくらいは見てるにゅ」
エリック「なるほど」
GM「じゃあ、君の発言に村人たちは顔を見合わせて、それから言う。『じゃあ、せめて死体だけでも拾ってきてはくれんか? 弔いたい』別のヤツが言う。『冒険者は、水の中でも呼吸ができるのだろう?』」
エリック「かなり歪んだ知識だけど、できないこともない。まあ、別にいいんだけど……」
ミーシュ「エリック、潜るの?」
エリック「水か……」
GM「別に、プレイヤーが泳げなくても、エリックは泳げるよ」
エリック「う、うるさいなぁ」

 注:エリックのプレイヤーの雪島琴美、基本的にスポーツはなんでもこなすが、何故か水泳だけは苦手。

ミーシュ「どうするにゅ?」
エリック「その、報酬は? 冒険者は職業なので、無料では命は懸けられないけれど」
GM「彼らは顔を見合わす。それから、怯えたように誰か。『村には大したものがありません。ですが、貴重な料理があります。滅多にはお出ししない特別な料理ですが、それでどうでしょう』」
ミーシュ「料理?」
エリック「どんな?」
GM「『はい。健康にいい、長寿料理です』」
エリック「長寿ねぇ……」
ミーシュ「ちょうじゅって?」
エリック「長生きすることだよ」
ミーシュ「へぇ〜」
エリック「GM」
GM「おう」
エリック「今から言う言葉に対して、しっかりと村人の反応を見させてね」
GM「了解(苦笑)」
エリック「長寿料理か。ひょっとして、マーマンの肉とか?」
ミーシュ「マーマンの肉ぅ!?」
GM「冒険者+知力」
エリック「(ころころ)出目6は12」
GM「じゃあ、それなりに顔色が悪くなったのに気が付く」
エリック「すっと目を細めて言おう。まさかだと思うけど、マーマンを生け捕ったりはしてないでしょうね? 人質交換の法則だ。あんたらは、ポムは生きていると確信している」
ミーシュ「マーマンの肉を食べると、長寿になるの?」
GM「そういう迷信が過去にあったの」
ミーシュ「へぇ」
GM「彼らは言うよ。『残念だけど、わしらの方を疑ってかかる連中に、ポムは任せられんな。悪いが、村を出ていってくれ』」
エリック「しょうがない。じゃあ、最後に一言言い残して出ていこう。好奇心でマーマンを捕まえるのもいいが、子供の命とどっちが大切かをしっかりと考えろよ」
GM「彼らは何も言わない。再び円を描いて、集会を再開した」
エリック「行こう、ミーシュ」
ミーシュ「あっ、うん」

◆ マーメイド ◆

ミーシュ「プレイヤー発言だけど、エリックって、戦闘してないとカッコいいよね」
エリック「戦闘してないとね」
ミーシュ「人数の多いパーティーだったら、参謀として演じられたのにね。真っ向から戦うタイプじゃないでしょ?」
エリック「そうです」
GM「で、君たちはどうする?」
エリック「マーマンは助けたいなぁ」
ミーシュ「捕まってるの?」
エリック「あいつら、好奇心だけでマーマンを食う気だ。よくもまあ、上半身だけとは言え、人の形をしたものを食えるなぁ」
ミーシュ「食うの? 怖いね」
エリック「人食い人種と何も変わりない。許せんなぁ」
ミーシュ「どうする? エリック」
エリック「夜中まで待って、村に忍び込もう」
GM「夜中まで待つの?」
エリック「危険でしょう」
ミーシュ「そうだね。とりあえず強引に連れ戻すのも何だし」
GM「(なるほどね……)」
エリック「あいつらが俺の言葉に、マーマンを湖に帰せばそれもよし。適当なところで村の様子をみつつ、待機」
GM「了解」

 なるほど。
 実はGM、ここで『すぐ行く』と『夜をまたぐ』の二つの選択肢を用意していた。
 彼らが後者を選ぶのなら、ちょっと辛い思いをしてもらいましょう……。

GM「空に星が瞬き始めて、やがて夜が訪れた。まだ村には村人がぽつりぽつりと見える」
エリック「腹ごしらえでもしよう」
ミーシュ「ご飯♪ ご飯♪」
GM「その時、村の奥から、女性の凄まじい悲鳴が聞こえてくる」
エリック「な、何だ!?」
ミーシュ「怖い……エリック……。しがみついて、ブルブル震えよう」
エリック「村の様子は?」
GM「ちょっと近付くかい?」
エリック「ゲマを飛ばす」
GM「じゃあ、慌ただしい。一軒の小屋に、人が集まっていく。血相を変えてって感じだ」
エリック「むぅ〜〜」
ミーシュ「誰かがマーマンに早まったことをしたのか、捕まっていたマーマンが人間を襲ったか」
エリック「でも、今行くのが一番無駄だよな。マーマンのいる場所はわかったけど、よりによって、一番人が多いときに行くってのも」
ミーシュ「私が透明になって、見てこようか?」
エリック「危険だ。それならまだ、ゲマを飛ばす」
GM「飛ばす?」
エリック「飛ばそう。ふわふわふわふわ〜」
GM「久しぶりの音だ。じゃあ、ゲマが飛んでいくと、ものすごい光景を見る」
エリック「な、何?」
ミーシュ「怖い……」
GM「ものすごいから、説明はしないでおこう。どうする?」
エリック「いや、説明してくれないと(汗)」
ミーシュ「マーマンが食べられてたの?」
GM「捕まっているのは、小さなマーメイド……」
エリック「どこかのゲームを思い出したよ」
ミーシュ「マーメイド? 泡になるやつ?」
GM「そうだっけ? とりあえずマーマンの女性は、“マーメイド”と呼ばれる。その子が大きな水槽の中にいるんだけど、その水槽の水が真っ赤に染まっている」
ミーシュ「うっ……」
エリック「マーメイドは生きてる?」
GM「生きてるよ。ものすごく苦しそうに左肩を押さえている。そこから血がどくどく溢れ出てるのがわかる」
ミーシュ「怖いにゅ……。プレイヤーが……」
エリック「ほずぴー……」
ミーシュ「その呼び方、緊張感が薄れるにゅ」
エリック「そうだね(笑)。村人の様子は?」
GM「もめてる。一人の少年が手に大きなナイフを持っている。手が真っ赤に染まっている」
エリック「少年? いくつくらい?」
GM「二人いて、二人とも10歳くらい。ナイフを持ってる子供は一人だけど、二人とも口の周りに血が付いてる」
ミーシュ「…………」
エリック「バカが……」
GM「大人たちがあたふたしてる。子供たちは不思議そうに見上げてる。反省の色なし……というか、『僕たち、何か悪いことをしたのだろうか』って感じ」
エリック「(にこやかに)殺してもいいかな?」
ミーシュ「どっかのグラスランナーを思い出したよ」

 第3話参照。

エリック「マーメイドの傷は?」
GM「かなり深い。とにかく苦しそう」
エリック「すぐにでも助けに行くか。ちくしょう! ガキめ」
ミーシュ「許せないね」
エリック「ああ、ミーシュにはその光景を見せたくないなぁ」
ミーシュ「そっか、まだ知らないんだ。じゃあ、エリックに聞くよ」
エリック「答えられない。GM、マーメイドは致命傷?」
GM「いや、命は大丈夫だと思うよ」
ミーシュ「夜まで待つ?」
エリック「村人たちがマーメイドを殺そうと考えたら、この場所からだとアウトだしなぁ。何度も同じこと言ってるけど、ゲマは精神点が2しかないし」
ミーシュ「エリックと一緒で、戦闘になると役に立たない」
エリック「しくしく」
GM「村人たちは、とりあえず子供たちを外に引っぱり出す。それから、誰かがそいつらを張っ倒す」
エリック「いいぞ、やれやれ!」
ミーシュ「殺せ! 殺せ!」
GM「過激なヤツらだ」
エリック「どっちがよ」
GM「それもそうだ。村人は今、20人くらい」
ミーシュ「増えてる……」
エリック「小屋には?」
GM「5人くらい」
エリック「こっから小屋までは?」
GM「かなり。200m以上はある」
エリック「きついなぁ」
ミーシュ「何か面白い魔法はないかなぁ」
エリック「使えそうなのが、スリープ・クラウドとディスガイズ、ライトニング(笑)」
GM「それは使えそうだ(笑)」
ミーシュ「こっちはあんまりないなぁ……。あっ、GM」
GM「ん?」
ミーシュ「関係ないけど、コントロール・スピリット、火にしておいて」
GM「了解」
エリック「どっちが正義かは明白だけど、村人相手に喧嘩売るのもあれだしなぁ。20人いても、たぶんこっちが勝つけど」
ミーシュ「勝てるの?」
エリック「ライトニングの範囲拡大で、一瞬で蹴散らす自信がある」
ミーシュ「やる?」
エリック「やろうか」

 それやったら、経験点減点ね。

ミーシュ「私はどうすればいいの?」
エリック「村人がこっちに来る間に、透明になってマーメイドにヒーリング」
ミーシュ「エリックは大丈夫なの? さっきのことがあるから、かなり心配そう」
エリック「まあ、なんとかなるでしょう」
GM「……やるの?」
エリック「やる。やっつける」
GM「あっそ」

 じゃあ、経験点マイナスね。
 一応、マーマンはモンスターで、村人は人間。他に色々と策があるのに、安易に殺せばいいなんて思ったらダメよ。

◆ 解放 ◆

エリック「忍び足で適当に近付いて、ガキを中心にライトニング(笑)」
GM「よほどむかついたんだね」
エリック「絶対に殺してやる」
GM「俺も、個人的にはガキ嫌い。じゃあ、振って」
エリック「怒りのダイス目は10とかいってる。どうせなら次、出て欲しかった」
GM「じゃあ、こっちはパンピーだから、どうにもできないよ」
エリック「ゾロるなよ。(ころころ)怒りの一撃! また10振った」
ミーシュ「やった!」
GM「喜ぶな喜ぶな」
エリック「19点オール♪」
GM「じゃあ、闇を切り裂くように突然巨大な光が村の中央に走った。村人がはっと顔を上げると、目前に迫り来る巨大な光の壁。何も叫ぶ間もなく、地に伏した」
エリック「ざまーみろ」

 なんか、今日の雪島、変。
 発言も、それから行動も……。

ミーシュ「にゅ。インビジビリティ使って、マーメイドを助けに行くにゅ」
GM「いいよ。マーメイドのところへ来た」
ミーシュ「うっ……。血を見て一瞬ひるんだけれど、すぐに治してあげる」
GM「じゃあ、彼女の怪我は回復した。彼女は精霊語で、『ありがとう』と微笑む。君がフェアリーなのはわかったらしい。或いは、人間じゃなかったから、警戒心を解いた」
ミーシュ「大丈夫?」
GM「『はい……。助かりました』嬉しそうだ」
ミーシュ「良かった!」
エリック「颯爽と現れて、悠然と言い放つ。お前ら、自分のやったことがわかってるのか!?」
GM「生き残った村人は、非常に何か言いたそうだが、ただ怯えている」
エリック「まあいいや、こんなヤツら。マーメイドを助ける」
GM「マーメイドは君を見て、ビクッとする。それから、ひどく怯えて震え出す」
ミーシュ「大丈夫だよ。優しく声をかける。あの人は、村人たちとは違うから。あなたを哀れんで、助けてくれたんだよ」

 本当に違うのか?(笑) 違うのは立場だけに見える。

エリック「優しく笑いかけよう」
GM「じゃあ、怖々に頷いて、『ありがとう』って呟く」
エリック「その言葉は雰囲気で伝わってきた。側に行って、髪を撫でてやろう」
GM「なんとも言えない顔をしてる。嫌がってはいないが、困ってる感じだ」
エリック「誰かを落ち着かせるにはこれが一番」
ミーシュ「じゃあ、私もやろう。撫で撫で」
GM「マーメイドはただ困ったように笑ってる。でも、一応微笑みは取り戻したらしい」
エリック「じゃあ、水槽を持って湖に行こう。持てそう?」
GM「二人じゃ無理」
エリック「ディスクリース・ウェイトってあるの?」
GM「あるよ」
エリック「じゃあ、使う。(ころころ)11とか振った。今日、すごい」
ミーシュ「じゃあ、運ぼう!」
エリック「二人で運ぶ」
GM「二人とも両手を使ってね」
エリック「うん」
GM「じゃあ、その状態で外に出たとき……レンジャー+知力」
エリック「10」
ミーシュ「出目で7」
GM「じゃあ、君たちが外に出た瞬間、『人殺し!』誰かがそう叫んで、ミーシュは体に衝撃を受ける。冒険者+筋力」
ミーシュ「4とか振った! 8しかない」
GM「じゃあ、君は水槽を取り落とした。エリック、冒険者+敏捷度」
エリック「マーメイドは助ける! (ころころ)あっ!」
ミーシュ「う……そ……?」
GM「ガシャン! 水槽は君たちの足下に落下して、ヒビが入る。水はすぐに地面の上に水たまりを作って、青ざめたマーメイドが土の上で苦しそうにのたうつ……」
ミーシュ「エリック……どうして一番肝心なときに、1ゾロなんて振るの?」
エリック「あぁ……」
GM「そいつがナイフを振り上げて、ミーシュに攻撃してくる。回避して」
ミーシュ「12」
GM「じゃあ、回避成功」
ミーシュ「泣きながらストーンブラスト」
エリック「やめろ、ミーシュ!」
ミーシュ「えっ? やめる」
エリック「無駄な精神点を使うな。GM、こっから湖までは?」
GM「500m」
エリック「この子(マーメイド)の生命点は?」
GM「12」
エリック「12ラウンド……2分か……」
ミーシュ「助けれそう?(マジで悲しそう)」
エリック「1ラウンドに48m移動できる。つまり、海まで11ラウンドかかる。1ラウンド使って、ディスクリース・ウェイトをマーメイドにかける。計算上、間に合う。途中で転ばなければ」
ミーシュ「うぅ……。エリックさん、絶対に転びそう」
エリック「まあ、それはないとしても、危険だなぁ。GM、この村に、井戸は?」
GM「当然、あるよ」
ミーシュ「水槽は?」
GM「もう使えない」
エリック「とりあえず、情けないけど、井戸の水を汲み上げて、桶に顔を突っ込ませて、その状態で海まで運ぼう。井戸から水を汲み上げるまでに、何ラウンドかかる?」

 発送の豊かさが、ちょっと雪島っぽくなってきたかな?

GM「1……2……3……4……5ラウンドかな?」
エリック「じゃあ、敢行する」
GM「なるほどね。数えるよ」
エリック「いいよ」

<1ラウンド目>

エリック「走る」
GM「村人が邪魔する。さっきのヤツのおかげで、勇気が戻ったらしい」
エリック「マジでむかつく。ライトニング……出目8は抵抗できないから、13点オール」
GM「壊滅する」
ミーシュ「マーメイドを応援しよう。しっかり!」
GM「苦しそう。『た……助けて……』」

 以下、端折る。
 2ラウンド目:エリックは井戸まで行く。
 3ラウンド目:つるべを下ろす。
 4ラウンド目:組み上げ作業中。
 5ラウンド目:組み上げ作業が完了して、つるべを切る。
 6ラウンド目:戻ってくる。

エリック「ほら、水だぞ」
GM「すぐに顔を入れる」
ミーシュ「良かった〜」
エリック「まだ油断はできない。俺がこの子を抱き抱えるから、ミーシュは桶を固定して」
ミーシュ「はい!」
エリック「じゃあ、そのまま海へ行く」
GM「じゃあ、海だ。夜の海」
エリック「放そう」
GM「了解。じゃあマーメイドは、君たちに向かって『ありがとう』と二度ほど言ってから、海の中に消えていく」
ミーシュ「あの子、ありがとうって……」
エリック「そっか……」
GM「良かったね〜」
エリック「じゃあ、行こうか……」
ミーシュ「はい!」

 これで今回は終わりです。
 当初の予定がすべてパーになったために(これは“反省”で話します)、あまりにも早くセッションが終わってしまった。
 そこでGM、急遽一計を案じることに……。

◆ マーマンたち ◆

GM「じゃあ、そうして君たちが帰ろうとすると、突然背後からバシャッって音がして、小さな水柱が上がる」
エリック「なんだ!? 振り返る」
GM「すると、さっきのマーメイドがもがいてる。苦しそうだ」
ミーシュ「うぅ。いつも苦しそうで、可哀想だにゅ」
エリック「どうなってるの?」
GM「わからない」
エリック「しょうがない。行きます」
ミーシュ「ウォーター・ブリージング×2」
GM「いいよ」
エリック「行ってみる」
GM「すると、足っていうか尻尾というか尾鰭というか、マーメイドに噛みついている物体がある」
エリック「何?」
GM「判定して」
エリック「(ころころ)おおっ。本日3度目の6ゾロ!」
GM「じゃあ、わかる。ゴーストだ。子供のゴースト」
エリック「死後どれくらい?」
GM「全然経ってないけど、ふやけてる」
ミーシュ「ポムとか言う子供じゃないの?」
エリック「だね。斬りかかる」
ミーシュ「効くの? 刃って」
エリック「一応」
GM「どうぞ」
エリック「8は12」
GM「いいよ」

 注:子供なので、能力値をかなり落としています。

エリック「6点」
GM「それは弾き返すね」
エリック「やっぱり?(笑)」
ミーシュ「困ったね……どうしよう」
エリック「う〜む。倒れるまで魔法、打つか?」
GM「とりあえずこっちはマーメイドに噛みついてる。噛んでる部位から血が流れてる」
ミーシュ「打とう。ウィスプ……10」
GM「抵抗かな?」
ミーシュ「全然ダメ。7点」
エリック「しょうがない。エネルギーボルト……10」
GM「抵抗だね」
エリック「ああ、もったいない。10とか振った。9点」
GM「ゴーストは手をマーメイドに突き刺す。マーメイドは一瞬、ビクッと震えて動かなくなる」
エリック「えっ……?」
ミーシュ「…………」
GM「あっ、いや、生きてるよ。気を失っただけ」
ミーシュ「はぁ〜〜〜」
エリック「びっくりした」
ミーシュ「じゃあ、ラストです(精神力のこと)。ウィスプ……14」
GM「どうぞ」
ミーシュ「12点」
GM「じゃあ、倒れた。動かなくなる」
エリック「やったね」
ミーシュ「あと精神点が1しかない」
エリック「こっちはあと3」
GM「じゃあ、そこで精神力抵抗してもらおう」
エリック「マジ!?」
ミーシュ「きっつ〜〜。13です」
エリック「今日、不気味なほど出目がいい。17」
GM「じゃあ、とりあえず両方とも大丈夫」
エリック「なんだった?」
GM「シンク。ふと見ると、マーマンが3体ほど上がってくる」
エリック「逃げる」
ミーシュ「ついていく」
GM「ヤツら、速い。1体がぼろぼろになったマーメイドに行くと、残りの2体が君たちの方に突っ込んでくる」
エリック「ウォーター・ウォーキングとか欲しいけど、しょうがない。ダークネス……成功ね」
GM「ヤツら、音で判断して上がってくる」
エリック「うぐぅ。無駄に精神力を使った。とにかく逃げる」
GM「二人に1発ずつ、マイナス2で回避して」
ミーシュ「10とかいってる(泣)」
エリック「もっとやばい。8とかいってる」
GM「じゃあ、エリックは7発」
エリック「3点受けた」
ミーシュ「もう岸にあがれる?」
GM「二人ともいいよ。でも、もう1発ずつ。ヤツら、陸に上がってでも攻撃してくる」
エリック「ここはしのぐ!」
ミーシュ「8は13」
エリック「マイナス2でも13ある!」
GM「じゃあ、回避ね」
エリック「逃げろっ!」
ミーシュ「はい!」

◆ PCたちの反省 ◆

GM「翌朝だ」
ミーシュ「エリック……昨日のことだけど……」
エリック「なんだ?」
ミーシュ「良かったのかな? あれで」
エリック「う〜ん。とにかく、あの子が無事だったから、それでいいんじゃないのか?」
ミーシュ「でも、村の人たち、みんな死んじゃった……」
エリック「しょうがないだろう。ヤツらは、死に値する行いをした」
ミーシュ「そっか……」
エリック「くよくよするな。過ぎたことだ。いいじゃねぇか、あの子に『ありがとう』って言ってもらえたんだから」
ミーシュ「うん……。私がヒーリング使ったとき、すごく喜んでた。私も、嬉しかった」
エリック「それが最高の報酬だ。良かったな、喜んでもらえて」
ミーシュ「そっか……。うん、そうだね」
エリック「次はいよいよエレミアだ。大きな街だぞ!」
ミーシュ「私、ちょっと怖い。私がフェアリーだって、気付かれないかな?」
エリック「大丈夫大丈夫。それに、気付かれても珍しがられるだけで、心配することは何もないよ」
ミーシュ「うん。ありがとう、エリック」
エリック「よしっ。じゃあ、行くか?」
ミーシュ「うん!」
GM「そうして君たちは、新しい朝日の中を、西を目指して歩いて行った……」

◆ 反省 ◆

水原(GM)「経験点、600点ね」
雪島(エリック)「げふっ。やっぱり少ない……」
ほずぴー(ミーシュ)「やっぱり、あの村人殺戮がいけなかったんだよ」
水原「当たり前だ! 雪島らしくないプレイだったな」
雪島「ごめん。むっちゃ腹立ったから」
水原「気持ちはわかるけどね。最後で、『ヤツらは、死に値する行いをした』って言ってたけど、だからって、それを行使する権利は君たちにはないよ」
雪島「わかってるよ。エリックもわかってるけど、ミーシュのために嘘をついたにゅ」
ほずぴー「今回、短かったね」
水原「おう。とりあえずプロットを見せよう」

 子供が一人、マーマンに捕らえられてしまった。
 助けに行くと、事実がわかる。
 今度はマーマンを助ける。
 マーマンを王国につれていく。
 子供は殺される。
 マーマンが襲ってくる。

ほずぴー「こんなけ?」
水原「紙に書いた部分はね。とりあえず、マーマンの王国の話がすっぽり抜けた。それから、ポムを助ける話もすっぽり抜けた、ここの駆け引きとかをちょっと期待してたんだけど……」
雪島「初めっから、全然助ける気なかったから」
ほずぴー「むかついたもん。あのガキども」
水原「まあね」
雪島「むかつき過ぎるキャラはダメだよ(嘘)」
ほずぴー「ああ、でもメイムウェインよりましかも。あれは今世紀最高にむかついた」
雪島「ヤツは絶対に殺す」
水原「強いよ」
雪島「シーフ7だっけ?」
ほずぴー「リプレイに、シーフ5、レンジャー7って書いてあった」
雪島「ああ、そうだった。強いねぇ」
水原「まあ、いずれ勝てるようになるでしょう」
雪島「先の長い話だ」
水原「とりあえず、大抵の場合、同情のできる敵は少ないから、もっと冷静にプレイした方がいいよ」
雪島「そうだね。ちょっとキレちゃった」
ほずぴー「反省……」
水原「今回は600点。いい勉強になったんじゃない?」
雪島「まあ、そうかな。でも、あの子を無傷で助けるのは難しかったよ」
水原「マーメイドのことに気付いたなら、とりあえずあんなふうに挑発せずに、依頼を受ければ良かったのに」
雪島「それもそうか」
水原「一番の問題は、あの大量殺人を行ったのが君たちだってことだ。知れたらえらいことになるよ。たとえ囚われたマーメイドを助けるためであっても、世間一般ではマーメイドはモンスターでしかないから。悪は君たちだ」
雪島「うぐぅ」
ほずぴー「バレる?」
水原「幸か不幸か、生存者はいない。大丈夫だよ」
雪島「ほっ」
ほずぴー「後味が悪いにゅ。でも、あの子だけでも助かったから、いっか」
雪島「そうそう。もう今回、そのことしか考えてなかった」
水原「そういえば、一番怖かったのは、最初のさりげない生死判定」
雪島「エリック、弱いね」
ほずぴー「本当に弱いよ」
雪島「シーフ、もう1レベルあげようかなぁ。やっぱりこの能力値、きつい」
水原「ファイターがいないパーティーか。この先もシビアだね」
雪島「せいぜい頑張るよ」
ほずぴー「頑張る」
水原「じゃあ、とりあえず今日のところは、少し早いけど終わっておこう」
雪島「お疲れさま」
ほずぴー「お疲れ」
水原「お疲れ様です」

  *  *  *

雪島「そうそう。今回、話題として提供したダイス目の話です。結果から言うと、平均8でした。かなり高いです。詳細は下」

セッション23456789101112合計平均
第6回『水檻』1回0回2回2回5回2回3回2回6回2回3回28回8


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