エリックとエルメス 第10話『王国』


◆ 4年ぶりのエリック ◆

 前回の経験点は、エリックが1ゾロ2回の1,590点、リーザが1,570点でした。ミーシュは離脱しているので無視の方向で。
 エリックはシーフ4まで40点足らず、涙を飲んで保留。ごくん。
 リーザは、ファイターを5にするにもセージを6にするにも足りないので、同じく経験点は保留します。
 なお、この第10話は、第11話から第14話まで終わった後にプレイしています。そちらを先にお読みいただければ幸いです。

水原(GM)「それじゃ、延ばしに延ばした第10話をやるべか」
ゆかりん(リーザ)「延ばしに延ばしたっていうレベルじゃない気が……」
雪島(エリック)「1,500日だね」
ほずぴー「そうだね」
ゆかりん「あれ? ほずぴー、いるの?」
ほずぴー「先輩のコーディみたいな、単発キャラが回ってくることを期待して……」
水原「いるだけだな」
ほずぴー「えっぐえっぐ」
雪島「最近、その泣き方お気に入り?」
ほずぴー「うん、そう」
ゆかりん「その泣き方聞くと、リランナを思い出すんだけど」

 第13話参照。
 どうでもいいキャラなんだが、珍しくPCサイドの人間が死んだということで、妙にプレイヤーの記憶に残っているらしい。

水原「さてと、第12話でエルメスサイドの内容を思い出したけど、今回はエリックサイドだ」
雪島「向こうでかなり色々わかったから、また何を知ってて、何を知らないかをまとめないとね」
ほずぴー「そもそも、第8話、第9話ってどんな話だっけ?」
ゆかりん「オランで誘拐事件が起きてて、リーザのお友達のチェムもさらわれた。リーザはそれを助けるためにエリックと一緒にいる」
水原「エリックはクリーナを抱きしめた。第9話で、その恨みを買って、女の子を抱きしめられないカースをかけられた」
雪島「それはいいから……。洞窟の中でチェムたちは見付かったけど、“心”が奪われた状態だった。クリーナはすでにビーチボールを完成させていて、バレーツィンに行った」
水原「ビーチボール……。俺はビーチボール大の光の玉と言ったはずだが」
雪島「それは“ビーチボール”っていう名前になりました」
ゆかりん「第14話で、クリーナがムオー教団と手を組んでるのがわかったけど、エリックたちは、クリーナがムオー教団にだまされてるって思ってるんですよね?」
水原「エリックたちはムオー教団を知らない。何者かにだまされてるってだけだな。石板の内容は知ってる」
ほずぴー「オランの特殊部隊っていうのが、エリックの後を追って、1週間後に来るんだよね?」
雪島「別にエリックが追われてるわけじゃないけどね。転送ゲートを壊せないかな?」
水原「それはプレイ始まってから、ダイスを振ってもらうか」
雪島「そういえば、ホルウェンは使い魔作ってないけど、エリックはゲマを持ってる」
水原「『生命点5、精神点2、飛べる、喋れる』だったな?」
ほずぴー「精神点2っていうのが、果てしなく役に立たないよね」
雪島「飛べて喋れることに意味があるのよ。リプレイ読み返すと、ゲマは相当役に立ってると思う」
水原「エリックよりは役に立ってるな」
雪島「しくしく」
ゆかりん「私たちはバレーツィンに行って、それからどうするのかな?」
雪島「シルファを助けようとするクリーナに、メラクリウスをだました誰かが接触するはずだから、そこを押さえるなりなんなりしないと……って、エリックは思ってるはず。実際は、クリーナはバレーツィンをスルーすると思う」
水原「じゃあ、そろそろ始める?」
雪島「敵についてまとめようか」
ゆかりん「はい」

 下は雪島がまとめたもの。
 メラクリウス:人間嫌いの国バレーツィンの国王のダークエルフ。元々悪人だったけれど、オランでエリンという女性と出会い、改心する。二人は恋仲になるも周囲に認められず、ついには争いに。エリンが怪我を負い、メラクリウスはオランを飛び出してバレーツィンを興す。
 “人差し指”カナルファス:エレミアで、狂気を撒き散らしていたダークエルフ。人を殺すことでシルファを助けようとしていた。第7話で撃破。メラクリウスの古くからの仲間。
 “中指”ガンド:オランで対峙したドワーフ。“心”を集めるクリーナに賛同していた一人。第8話で撃破。
 “薬指”メイムウェイン:“心”を集めることに協力していたグラスランナー。第9話で撃破。メラクリウスの古くからの仲間。
 ニィルスレイト:バレーツィンのハーフエルフ。指かどうかは不明。元々“心”を集めることに賛同してなかったようで、後日クリーナが裏切り者であることを察知する。人間嫌いは人一倍。
 リウス:バレーツィンの王女シルファと恋仲の青年。指かどうかは不明。ムオー教団のトップ、フレウレッティの息子。PCに捕まったフレウレッティを、ニィルスレイトとともに助け出す(第14話)。
 クリーナ:アノスの修道女だったが、GMに強姦される。彼女を慕っていた者が復讐、強姦した者たちを殺害する。その事件で信用に被害を受けた修道院は、事実と一緒にクリーナを消そうとする。クリーナは逃げ出し、後日修道院を焼き払う。シルファのために“心”を集めているが、本当はマルショシアスを復活させて、アノスに攻撃するつもり。
 フレウレッティ:ムオー教団のトップで、メラクリウスをだまして“心”を集めさせ、ラムリアースに攻撃するためにマルショシアスを復活させようとしていた。第14話でムオー教団を離れる?
 プルソン:フレウレッティの仲間で、ともにマルショシアス復活のために動いていた男。第14話で撃破。
 ブロンズ・パ=ロット:ムオー教団の教祖。マルショシアスを復活させるべく、神殿とやらでビーチボールを持ってくる予定のクリーナを待っていると思われる。
 アビゴル:ホルウェンの村から“魔鏡”を奪った男。第12話で撃破。“魔鏡”はマルショシアスの復活に必要なアイテムで、ホルウェンの村の祖先の一人が、昔マルショシアスの封印に尽力したということで、村にあった。
 フェアリーの村を襲ったダークエルフ:まだ不明。第9話の時点では、バレーツィンの人間と結論付けていたけれど、クリーナがムオー教団と手を組んでいるとわかった今、教団の人間である可能性もある。奪われたフェアリー・ストーンはビーチボールの作成に必要なもので、第9話でフェアリーたちの手に返った。

◆ フルアドリブでバレーツィンへ ◆

GM(水原)「さてと……ふぅ」
エリック(雪島)「そ、その溜め息は何?」
GM「いや、シナリオが何もない」
リーザ(ゆかりん)「えーっ!? どうしてこの大詰めになって……」
GM「ここ2、3日、シナリオを考えていたんだが、何も思い付かんかった。君らの行動によって、あまりにも色々な可能性が考えられるから」
エリック「じゃあ、第9話の続きからだね?」
GM「そうだな。遠くに山、近くに川、目の前には森。足元には魔法陣。レックスの転送ゲートを抜けて、バレーツィン……正確にはその付近にやって来た」
リーザ「街っぽいものは見えますか?」
GM「いや、そこからでは見えない」
エリック「クリーナは? ビーチボール持って、先に飛び込んだはずだけど」
GM「もちろん、いない。いても嫌だろ」
エリック「足跡とかあるかな? クリーナはバレーツィンに向かってて、どこかでムオー教団の連中がビーチボールを奪うはず……と、エリックは思ってる(汗)」
GM「やっぱり先に第10話をやらなかんかったな。まあしょうがない。上手に演じてくれ。レンジャー+知力」
リーザ「レンジャーなんてないし。素で7」
エリック「10出た! 14」
GM「10が出ても14か。まあ、クリーナが通ってから時間が経ってないから、わかったことにしよう。森の方に続く足跡がある」
エリック「とりあえず、対談でも言ったけど、この魔法陣、こっち側から消せないかな?」
GM「ふむ。エリックのソーサラーは4で、リーザのセージは5か」
リーザ「良識はないけど知識はある、お子様ハーフエルフ」
GM「じゃあ、ソーサラーかセージ+知力で16だな」
エリック「とりゃ! (ころころ)11は18!」
リーザ「私はダメだったけど、エリックが頑張ったからいいや」
GM「18なら完全に消せたことにしよう。でも、向こう側には残ってるし、天下のオランの魔術師ギルドが相手だから、数日延ばせただけで、やがてはここに辿り着くだろうよ」
エリック「じゃあ、足跡を辿って、森に〜」
GM「森の中では、足跡を辿るのが難しいぞ? レンジャーで16だな」
エリック「それ、6ゾロ以外、無理。(ころころ)全然ダメ」
リーザ「同じく」
GM「じゃあ、足跡は見失った挙げ句、道にも迷ってもらおうかな」
リーザ「エリック、バレーツィンどころか、私たち、この森を出られるのか?」
エリック「魔法陣消しちゃったし、森を出られても、戻れなかったり」
リーザ「最悪……」
GM「しばらくうろつき回っていたら……レンジャー、まあシーフでもいいや。レンジャーかシーフ+知力で、14だな」
エリック「今日は、目標値を先に言うね。(ころころ)12しかない」
リーザ「私はファイターとセージしかないから、全然ダメ」
GM「じゃあ、罠にかかってもらおうかな。単純な罠だよ。踏むと、網にかかって吊るし上げられる」
リーザ「きゃあ!」
エリック「きゃあ!」
GM「お前まで言うな、気色悪い」
エリック「プレイヤーは女の子なんだからいいじゃん」
GM「読者には、エリックが『きゃあ!』と言ったようにしか見えない」
エリック「それで、この網は抜けられるの?」
GM「仮にも罠だからな。シーフ+器用度で……15くらい?」
エリック「高っ! (ころころ)ダメダメ。器用度なんて全然ない」
リーザ「素で……(ころころ)さっきから期待値近辺しか出ない」
GM「じゃあ、しばらく吊るされてると、良く似た感じのハーフエルフの男女がやって来るよ。手には槍を持ってる。『お前たち、ここで何をしていた!?』」
エリック「見ての通り、森を歩いていたら罠にかかった。ちょうど良かった。助けてくれ」
リーザ「それはギャグですか?」
エリック「プレイヤー的にはギャグだけど、エリックは大真面目かもね」
GM「『罠を張った本人が助けるなど、滑稽だろう。ここは普通には来られない場所だ。どうやって来て、どこに行こうとしていた』」
エリック「嘘をつこうかな。俺はこのハーフエルフの女の子と一緒に、バレーツィンを訪ねるところだったんだ。クリーナさんに誘われたんだ」
リーザ「そうそう。人間たちにいじめられていた私を、クリーナさんが助けてくれたの」
GM「ハーフエルフの兄妹は顔を見合わせてから、君たちを下ろして、武器を取り上げて縛ろうとするけど。抵抗する?」
リーザ「斬りかかって、逆に人質にする?」
エリック「そんなバカな! 何もしないよ。俺たちをどこに連れて行く気だ? クリーナさんは?」
GM「『俺たちでは決めかねる。と言って、今はカナルファスさんもニィルスレイトさんも誰もいないからな。とにかく、クリーナさんの名前を出された以上、手荒な扱いもできないし……』」
リーザ「十分手荒だと思うんだけど。私たちはバレーツィンを信じて来たのに」
GM「『話が本当だと確実になったら謝るよ。掟だからとあきらめてくれ』兄妹は君たちを連行するけど。抵抗する?」
エリック「しないしない。早くバレーツィンに連れてってくれ」
GM「じゃあ、複雑に森を抜けると、やがて街が見えてくる。高い建物はないし、街壁もないよ。人口は500人くらい。亜人間も多いが、人間もそれなりにいる」
エリック「ニィルスレイトは人間を嫌っていたけど、人間も多いんだね」
GM「リウスのことは嫌ってなかっただろう。仲間以外の人間を敵視してる感じだ。実際、人間を嫌っているのは、亜人間よりも人間の方が多いと思わん?」
リーザ「どうしてですか?」
GM「森の奥で暮らしてるエルフや、自分たちの集落で暮らしてるドワーフは、別に人間嫌いにはならんだろ。結局、クリーナみたいに人間同士のいさかいで人間を嫌いになったり、後はハーフエルフだな」
リーザ「私、都合よくハーフエルフ」
エリック「実はハーフエルフ」
GM「有り得ん。城なんて立派なもんでもないけど、やがて一際大きな建物に来る。そこで兵士っぽいドワーフにタッチして、君らは建物の中に入る」
エリック「どこに連れて行くんだ?」
GM「『地下牢だ。それから、然るべき方が然るべき処理をする』」
リーザ「殺されるんだ……しくしく」
エリック「クリーナさんは? 彼女が来てくれれば俺たちのことはすぐにわかるが……。でも、本当に来られると困るけど」
GM「『クリーナさんも今外出中だ。恐らく見えるのはガンダさんだ』」
エリック「ガンダ?」
GM「『ガンドさんの息子さんだ』」
エリック「ああ、五指のドワーフか。これはプレイヤー発言ね」
GM「ドワーフが君たちを連れて地下への階段に行こうとすると、奥からどこかふわふわした様子の、色黒の少女がやってくる。『これはシルファ様!』」
エリック「おっと、超重要人物登場!」
リーザ「寝てるんじゃなかったんだ」
GM「エリックは気が付くけど、ミンフと同じ感じだね。じゃあ、リーザもチェムと同じ感じだとわかっていいよ。『ねえ、リウスはどこ? リウスは?』『リウスさんなら今、外出中です、もうじきお戻りになるかと』『リウスは? リウスはー?』」
エリック「抜け殻だね。ちなみに、可愛い?」
GM「可愛いよ。エルフ特有の美しさがある」
エリック「だ、抱きしめたい……」
リーザ「どうして!?」
エリック「いや、キャラ個性」
GM「すごい個性だな。シルファがふわふわどっか行くと、ドワーフは階段を下り始める」
エリック「聞いてみようかな。今のはこの国の王女様なんだろ? クリーナさんから聞いた。様子がおかしかったぞ?」
GM「『シルファ様はご病気なのだ。今、カナルファスさんやリウスさんが外出中なのも、シルファ様の病気を治すためだと聞いている』」
リーザ「大変ね。早く治るといいね」
GM「『ああ……』そういえば、リーザの喋り方が、妙にしおらしくなったな。前って、もっと勇ましい感じじゃなかった?」
エリック「お前たち、悪者だな!」
リーザ「それはいいから(笑)。じゃあ、もうちょっと勇ましくします」
GM「君たちは牢に入れられるよ」
エリック「まあ、ガンダが来るのを待とうかな。それにしても、やっぱりクリーナはだまされてると思う。シルファとチェムが同じ症状なら、シルファが治るはずがない」
リーザ「クリーナは、今まで“心”を奪ってきた女の子と、シルファが同じ症状だって気付かないのかな?」
エリック「“心”を奪われたシルファに、他人の“心”を補填しようとしてるのかもな」
リーザ「そんなことしたら、シルファが別人格になったりするんじゃ……」
エリック「やっぱりだまされてるんだな、誰かに」
GM「しばらくすると、ガンドに良く似た……っても、君らにはよくわからんだろうが、ドワーフがやってくる。『俺はガンダだ。クリーナ殿に声をかけられたって?』」
リーザ「リーザだ。見ての通り、ハーフエルフだ」
エリック「エリックだ。見ての通り、グラスランナーだ」
GM「どこが。『あいにく今、クリーナ殿がいない。だが、じきに戻ってくるから、それまで牢にいてもらおう』」
エリック「ちょっと待ってくれ。クリーナさんが戻ってくる保証は?」
GM「『戻ってこない理由がない』」
エリック「それがあるんだよ。俺たちは重要な情報を持って来た。メラクリウス様にお会いしたい。もちろん、縛ったままで構わない」
GM「『ダメだ。クリーナ殿を待て』と言って、ガンダは……」
リーザ「ちょ、ちょっと待て! 話を聞いてくれ! なんなら、先にお前に話す!」
GM「『よし、じゃあ聞いてやる。さあ、話せ』」
エリック「その……なんだ。お前はクリーナさんたちが、どんなことをしているのか知っているのか?」
GM「『“心”がどうのと言っていたが、俺の頭ではよくわからなかった』」
エリック「要するに、クリーナさんたちは、誰かにだまされてるって話だよ。シルファ様のためにしてることは、シルファ様のためになってないかもしれない」
GM「『有り得ないな。俺はクリーナ殿を信じる。じゃあ、そういうことで』」
リーザ「待ってってば!」
GM「『しょうがない連中だなぁ。わかった。それなら、メラクリウス様に話をしてくるから、待っていろ』」
エリック「是非そうしてくれ」

◆ 国王メラクリウス ◆

GM「じゃあ、1日くらい待たされて、ようやくガンダがやってくる」
エリック「1日!? この切羽詰った状況で……」
GM「『メラクリウス様がお待ちだ。さあ、牢を出られよ』ちなみに、縛られはしないから。その代わり、屈強そうなドワーフや、高レベルっぽいエルフが張り付く」
エリック「無視無視」
GM「じゃあ、階段を上がって、1階の奥の方にやってきた。ダークエルフのメラクリウス様が座ってらっしゃる。『俺に話があるそうだな』」
エリック「ああ、そうだ。深い話になるかも知れないが、ここで構わなかったか? 人がたくさんいるが」
GM「ふむ。『話の深さにもよるな。どれくらいのことを知っている?』」
エリック「ほとんどすべて。クリーナ……さん付けにしておこうかな。クリーナさんは? シルファ……さん付けにしておこうかな」
リーザ「もう全員さん付けにしてください!」
エリック「はいはい。シルファさんを治すためのビーチボールは完成させていたみたいだが」
GM「『詳しく知っているようだな』メラクリウスは数人を下げる。ガンダは残るよ。『ガンダから聞いた。俺やクリーナがだまされてるかも知れないという話だが』」
エリック「そもそも、どういう状況でシルファさんは倒れて、誰が“心”を集めればシルファさんが治るって言ったんだ? 何を根拠に?」
GM「メラクリウスの話だと、シルファが倒れた……というか、おかしくなったのは1年前の秋らしい。んで、夢でこういうお告げが下ったんだって。『お前たちを恨み、憎んだ者たちが、今のお前たちの幸せを恨み、憎み、妬んでいる。その負の力が凝縮して、お前たちに不幸を降り注がんとしている。王女の心を蝕んだのも、その力のせいだ。王女に心を戻すには、幸せな生活を送る人間の娘の心を集め、お前たちが奪われた分の幸せを奪い返して王女に与えるしかない。私はお前たちの高尚なる行いを支援したい』」
エリック「なるほどね〜。これで、カナルファスの言っていた、『お前たちの“生”そのものが、シルファ様を苦しめているのだ。お前たちが死ねば、シルファ様はきっと救われる』ってのの意味がわかったね」
リーザ「それで、このお告げが下って、“心”を集め始めたのはわかったけど、方法はどうやって知ったの?」
GM「メラクリウスは、このお告げが下った後、“五指”や重臣を集めて会議を開いたらしい。そうしたら、クリーナが、昔アノスの修道院にいた頃、“心”の集め方を聞いたことがあるって言って、彼らはクリーナの指示でそれを実践していたんだ」
リーザ「じゃあ、メラクリウスとクリーナが誰かにだまされたんじゃなくて、メラクリウスがクリーナにだまされた!? ……って、プレイヤーは知ってるんだけどね」
GM「やっぱり先に第10話を……以下略」
エリック「俺は“心”を奪われた娘を見たことがあるが、昨日偶然見かけたシルファさんと同じ症状だった。シルファさんも、他の娘たちと同じように、“心”を奪われたんだって発想には行き着かなかったのか?」
GM「『誰が何のためにシルファを?』」
エリック「誰かが大量の“心”を必要としているのさ。もう過去形にしてもいいけどね。けれど、自分たちでは人手もないし、とても集められない。だから、バレーツィンの人間を使った」
GM「『つまり、クリーナが裏切ったと言いたいのか?』」
エリック「連中の目的にもよるがな。まだクリーナ自身もだまされてる可能性もある。ただ、少なくともクリーナはビーチボールを完成させながらここにいない。初めからここに来る気がなかったのか、それとも、初めにシルファさんの“心”を奪った連中に襲われたのか」
GM「『真相はクリーナに聞かなければわからないと?』」
エリック「俺が知ってるのはそこまでだ」
GM「メラクリウスは探るような眼差しで君を見るよ。『それで、お前は何をしにここに来た? 何故そんなに詳しく知っている? ガンダに言ったことは嘘だろう』」
エリック「嘘って言うか……ああでも言わなくちゃ、殺されかねないからな。俺の大切な人が……っていうと、誤解されそうだけど」
リーザ「エリック、一人突っ込みが多い」
エリック「うぐぅ。大切な人があんたの娘と同じ目に遭わされたんだよ。それで犯人を追いかけていたらここに来たってわけさ」
GM「『お前の大切な人間とやらは知ったことではないが、シルファを助けることが結果としてその人間を助けることになるのなら、お前に協力しないでもない』」
エリック「それはありがたい」
GM「『だが、ここの存在を知っている人間は外に出すわけにはいかない。エリックとリーザだったかな? お前たちは、一生ここで生活するんだ』」
リーザ「えーっ!? それはできないわ。オランに戻らないと、お父様に怒られるし」
GM「『ここの存在を他人に知られるわけにはいかない』」
リーザ「それならもう遅い。今回の誘拐事件で、オランの魔術師ギルドがここを嗅ぎ付けた。後1週間から2週間もしたら、特殊部隊が編成されてここに来るはずだ」
GM「『何!? それは誠か!?』」
エリック「誠だ!」
GM「『お前たちが呼び込んだのではないのか?』」
エリック「なんのために? バレーツィンに恨みがあるなら、わざわざこんな単独行動せずに、一斉に攻撃するさ。俺たちは俺たちの大切な人の“心”を元に戻すために動いている。逆に、オランの人間に邪魔をされたくないのさ」
GM「メラクリウスは思案顔だ。『戦火に巻き込まれることになるのか……』」
エリック「…………」
リーザ「…………」
GM「なんか言えて」
エリック「な、何を!?」
GM「いや、俺がさんざん考えた末、シナリオが出てこなかったのはここなんだよ。俺とメラクリウスがイコールで結ばれるなら、PCの発言が欲しいところだ」
リーザ「私たちは、バレーツィン自体はどうでもいいんだけど……」
エリック「俺たちはクリーナを追う。あんたはバレーツィンやバレーツィンの市民のことを考えてくれ。元々あんたたちが撒いた種だ」
GM「『ぬぅ。こんなときに限って、どうして誰もおらんのだ。そうだ、ガンドとメイムウェインがクリーナとともにいたはず。あいつらはどうしたんだ? お前たち、クリーナに会ったんだろう。あいつらはどうした?』」
リーザ「あー、うーんとねぇ……」
エリック「オランの人たちに罪をかぶってもらおう。彼らは、残念ながら、オランの連中に……」
GM「『なんてことみ! なんてことみ! ああ、ことみ! ことみ!』」
エリック「な、何?」
GM「いや、連呼してみただけ。『おお、琴美、琴美……』」
リーザ「なんだかもう、無茶苦茶」
GM「ガンダ、大泣き。『ああ、なんてことみ! 父が……琴美!』」
エリック「父が私なの?」
GM「フロア中が陰鬱モード入っちゃったよ?」
エリック「じゃあ、俺たちはそろそろクリーナを……」
GM「『くそぅ! こうなれば弔い合戦だ! 戦じゃ、戦じゃ!』」
リーザ「そ、それはやめた方がいいんじゃ……」
GM「『何故だ!? 俺たちを見くびっているのか?』」
リーザ「相手が悪いかと」
GM「『じゃあどうする? 500人の民を、安定した生活を捨て、今からどこかへ移住する? そんなバカな! ここまでの国にするのに何年かかったと思っている!? 18年だぞ!』」
リーザ「でも、戦えば、負けなかったにしても被害がたくさん出る。それに、オランも一度負ければ、次はもっと大戦力で来る」
GM「『なんてことみ! ああ、なんてことみ! なんでこんなことみ……』」
エリック「自業自得かと……。っていうか、全部ムオー教団……は知らないから、何者かのせいってことみ……。ああ、自分で言っちゃった……もうダメぽ……」
リーザ「琴美さん……」
GM「メラクリウスが『なんてことみ!』って連呼してると、ふわふわ娘がふわふわやってくる。『お父様ぁ、リウスはー? リウスはー?』」
エリック「ふわふわゲマ」
GM「『そうだ、お前たち、リウスは知らないか? ニィルスレイトは?』」
エリック「リウスという人物については聞いたことがございません。ニィルスレイトはクリーナの方法に疑問を抱いてて、昔々、一度だけ見たけどそれっきり」
GM「『では、カナルファスとケーラは? エレミアに行くと言っていたが』」
リーザ「私はその人知らない」
エリック「残念ながら、彼らも無理をしすぎて……」
GM「『なんてことみ! 琴美! では“五指”はもう、人間の二人しか残っていないのか! しかもクリーナは裏切り者かもしれん!』」
リーザ「ああ、今の一言で、なんだか永遠の疑問が解消された感じですね」
エリック「そうだね。ニィルスレイトが“五指”じゃなかったんだ。こっそり聞いてみよう。ニィルスレイトが残ってるんじゃないのか? 彼は“五指”なんだろう?」
GM「『いや、あいつはシルファの専属の護り手だ』第3話で、メイムウェインが『シルファさんの回復を一番願うのは、あんただろ!?』って言ってたのはそのせいね」
エリック「なるほど! あー、すっきりした。さっ、リーザ。クリーナを追いかけよう!」
リーザ「わかった!」
GM「待てって。メラクリウスが頭抱えて悩んでんだから、ちっとは助けてやれよ」
エリック「だってその人、人間のこと、なんとも思ってないんでしょ? そういえば、エリンは?」
GM「嫁さん? 嫁さんは病床。まあ、基本的にはメラクリウスに同意だよ。もう人間には愛想が尽きた一人」
リーザ「ふわふわっ娘は?」
GM「ふわふわっ娘。可愛いな。シルファはメラクリウスの袖をくいくい引っ張って、『リウスは? リウスー』って言ってる」
エリック「リウスって誰? さっきの口ぶりだと、人間のようだが」
GM「『リウスは娘のお友達だ』」
リーザ「お友達」
エリック「やっぱりシルファさんを治すために外出中?」
GM「『そうだ! せめてリウスとニィルスレイトだけでも戻ってきてくれたら……』」
エリック「(GMに)戻ってきそう?」
GM「今頃コーディとダイス振り合ってるんじゃないのか? まあ、その前後だな。ことみんが7振ったせいでこっちにいるはずだったニィルスレイトも向こうに行っちゃったし(第14話参照)、でもまあそのおかげで、オランの連中が突撃してくる前には二人とも帰ってくるかと」
エリック「なるほどね〜」
リーザ「帰ってきても、徹底抗戦はやめた方がいいんじゃないかな?」
エリック「そうだな。マルショシアスを復活させて、ぶつけるとか」
リーザ「本末転倒だし。そうしたら、チェムもミンフも戻らないんじゃ……」
エリック「そうだな。それにマルショシアスなんて知らないし。とりあえず、俺たちとしては、国を捨てて逃げることをお勧めして、クリーナを追いかけたい」
GM「『これは……あれだ。囮を立てよう。オランの人間も、犯人が見付かればそれでいいのだろう?』」
エリック「それはまあそうだろうけど。俺は犯人にはなれないぞ? オランの連中、俺とリーザのことは知ってるから」
GM「『ここの場所さえわからなければ……う〜む。おい、人間。何か案はないか?』」
エリック「俺はそんな大きなレベルで物事を考えたことがないから、わからん。俺は早くクリーナを追いかけたいが。ぼやぼやしてると、シルファさんまで元通りにならなくなるかも知れないぞ?」
GM「しょうがない。じゃあ、メラクリウスは君たちを解放しよう。ただ、見張りが欲しいな。ガンダを同行させよう」
エリック「好きにしてくれ」

◆ クリーナを追って ◆

ガンダ(ほずぴー)「私がやるの? このドワーフ?」
GM「せっかくいるんだし。嫌なら別にNPCでいいけど」
ガンダ「わ、わかったよ。やるやる」
GM「頭悪そうな感じでやってくれればいいから。あー、要するに、普通にしててくれればいいってことだな」
ガンダ「今のは、なにかとても聞き捨てならないものを感じたんだけど」
GM「さわやかな冗談だ」
ガンダ「どこが! 罰として、お兄ちゃんは今日から1週間、毎日鯖の塩焼きね」
GM「か、勘弁してくれ……」

 ガンダの能力値。
 器用度:15(+2)/敏捷度:11(+1)/知力:13(+2)/筋力:16(+2)/生命点:18(+3)(抵抗:8)/精神点:19(+3)(抵抗:8)
 ファイターLv.5、バトル・アックス(16)、プレート・アーマー(16)
 攻撃力:7/打撃力:26/追加ダメージ:7/回避力:5/防御力:21/ダメージ減少:5

エリック「じゃあ、バレーツィンを出て可? 武器とかは返してもらえたよね?」
GM「おう。それじゃあ、やがて神殿に到着した。今日はここまでね」
エリック「えーっ!?」
ガンダ「わ、私、今入ったばっかなんだけど」
リーザ「しかもエルメスとバッティング?」
GM「シナリオが何もないんだが……。しかもガンダには抜けてもらわなかんし、突然の落石でガンダは……」
ガンダ「縁起でもないことを!」
GM「困った。誰か、何か面白いアイデア持ってない?」
エリック「逃亡中のフレミンが出てくる」
GM「すごいアイデアだな。それで第1話も、無理矢理キャンペーンと絡めるテンプル?」
エリック「絡めるテンプル」
リーザ「リウスたちがワイバーンに乗って飛んでくる」
GM「戦うのか?」
リーザ「戦いませよー?」
GM「そうだな。連中、ワイバーン操って乗って来れば、だいぶ早くバレーツィンに戻って来れる」
ガンダ「それで、シナリオは?」
GM「ネタが枯渇した。やっぱり、内心では、バレーツィンに残ってオランと戦ってほしかったのかも」
エリック「有り得ないって。メラクリウス、あんまり好きじゃないし」
GM「君らがいない間に、オランの連中が到着、徹底抗戦を決めたメラクリウスは最後まで抵抗した挙げ句、捕まって処刑。シルファも火あぶり」
ガンダ「俺は今すぐバレーツィンに戻って……」
リーザ「私もー」
エリック「こらこら」
GM「よし、決めた! 神殿に行こう。はい、じゃあ神殿ね。ガンダが場所を知ってて、背は低いが大きな教会の裏口に来た」
エリック「恋人は?」
GM「リーミア?」
エリック「エルメス!」
GM「いないね。まだ滝に打たれてるよ」
エリック「状況は?」
GM「眼前に、2メートル程度の石壁がある。苔生してる。森の木々がすぐ近くまで群生してるから、上るのは容易そうだ。中には、2階建ての建物。荘厳というには古めかしいし、ところどころが崩れ落ちていて、幽霊屋敷のようになってる」
リーザ「表に回るか?」
エリック「裏から入っても問題ないと思うけど」
リーザ「私はそういう特技がない」
エリック「木もあるし、2メートルだし、判定なしで大丈夫だろう」
GM「いいよ。入る?」
リーザ「じゃあ、裏口から。ちなみに、ガンダに、ここには人は住んでないのか聞いてみる」
GM「住んでないみたいだ」
ガンダ「住んでないみたいだ」
エリック「中は?」
GM「草がだいぶ伸びてるね。今は夕方にしよう。バレーツィンを出てから2日が経過している。横10メートルくらいの壁。建物の壁ね。その真ん中くらいの場所にいる」
リーザ「扉は?」
GM「角から2メートルくらいのところに、木製の古びた扉がある」
エリック「近付いて、13と言って聞き耳」
GM「何も聞こえないよ。鍵はかかってる。古いし、12で開く」
エリック「じゃあ、鍵開け……ふぅ」
リーザ「素で……ダメ」
ガンダ「俺もダメだな」
GM「ほずぴーの『俺』は果てしなく似合わんな」
リーザ「前までミーシュで『にゅ』だったから」
エリック「前までミーシュじゃなくても、ほずえちゃ……ほずぴーの『俺』は似合わない」
ガンダ「先輩が『琴美ちゃん』から『ことみん』に変わったから、私も『ほずぴー』から何か別のに変えて欲しいんだけど」
GM「ホズエバルク」
リーザ「そ、その馬の名前みたいなのは……」
エリック「ほずえ〜ん」
ガンダ「ほずぴーでいいよ、もう」
エリック「魔法使う?」
ガンダ「木製だよね? 武器斧だけど、壊せそう?」
GM「壊せるけど、それなりに音はするぞ?」
エリック「魔法で開けよう。(ころころ)11が出た。さっき出てよ……(残り精神点14)」
GM「じゃあ、開いた」
リーザ「がちゃ」
GM「中は3メートル四方の小部屋だね。埃を被った棚やら本やら瓶やら農耕具やら……」
エリック「もっと中に入る扉は?」
GM「おう」
エリック「聞き耳〜は11」
GM「何も聞こえないねぇ。鍵はかかってるけど、こっち側からならそのまま開けられる」
エリック「そういえば、罠やらなかったけど、なさそうだよね? 一々罠感知ってのもあれだし」
GM「まあ、ないだろうね」
エリック「じゃあ、開けよう」
GM「幅2メートルほどの通路が、奥の方まで伸びてる。右手に扉が2つ。左手に1つ。君らは左手から出てきた。奥で右に折れてる」

 わかりにくいので、図を載せます。

fig.1 教会の裏手


エリック「じゃあ、右の扉から聞き耳♪」

 ここから先、しばらく単調作業なので省略。下はエリックたちが描き上げた図。
 部屋には、アイテムらしいアイテムはなかったけれど、第4話で出てきた“古の石板”と同じ文が書かれた紙を発見し、あれが確かにマルショシアスに関係のある文章だったことを裏付ける。もちろん、エリックたちはマルショシアスを知らないが。
 ちなみに復習すると、こんな文章。
『彼は石にあらず。かの者に失われし物を与え、武器を取らせよ。さすれば闇は切り裂かれ、必ずや新しき時代は訪れん』
 現在は部屋Aにいて、図の上の扉の前にいる。

fig.2 教会内部


エリック「聞き耳は15」
GM「結構高いな。じゃあ、かすかに話し声が聞こえる」
リーザ「クリーナ?」
GM「一つは女性の声だねぇ」
エリック「鍵は?」
GM「かかってないよ」
リーザ「開けてギギギギとか音がされると嫌だし」
ガンダ「がつっと開けて、クリーナ殿に真相を聞くのがいいな」
エリック「バンッと開けて、ゲマだけふわふわ〜」
GM「それ、撃ち殺されるぞ?」
エリック「そうっと開けてみようか。考えててもしょうがないし」
GM「じゃあ、音は立たなかったけど、気付かれるね。15メートルくらい離れたところに6人いて、一人がクリーナ。他は男ばかりだね。ビーチボール持って、何やら話してたけど、君たちがドアをあけると、気付いてそっちを向く」
ガンダ「真っ先に声を出そうかな。クリーナ殿、何をしておられるのか! それはシルファ様を治すためのものではないのか?」
GM「ちなみに、近付く?」
ガンダ「近付きたいけど」
GM「近付こうとすると、クリーナが制止するよ。『近付かないで。ガンダ、どうしてあなたがその人間たちと一緒にいるの?』」
エリック「いきなり話を振られると、立ち止まらずにはいられないね」
リーザ「ちなみに私はハーフエルフ」
ガンダ「こいつらはクリーナ殿がだまされているかも知れないといって王国に来たんだ。だまされてるのか?」
GM「本当にバカっぽいな。『私はだまされてなどいない』」
エリック「じゃあ、王国をだましたのか? そいつらと一緒に」
ガンダ「裏切り者め!」
GM「『待って! 私は、確かにだましたけど、裏切ってはいない』」
リーザ「どういうこと?」
GM「『“心”を集めるために、シルファ様には一時的にご病気になってもらった。けど、それは一時的なものなの』」
エリック「本当に? じゃあ、どうすれば元に戻るんだ? そもそも、何のために“心”を集めてたんだ?」
GM「それには、司祭風の若い男が答えるね。『我らがマルショシアス様の封印を解くためである!』」
エリック「マルショシアス?」
GM「『マルショシアス様は偉大なる武の神である。その昔、愚かな魔法使いどもが封じ込めてしまった。我々は、その過去の過ちを正すべく、マルショシアス様の封印を解こうとしているのだ』」
エリック「あんた、誰?」
GM「『私はムオー教団のブロンズ・パ=ロット。そして他数名だ』」
ガンダ「そのマルショシアスが復活すれば、シルファ様が治るのか?」
GM「『そうだ!』」
リーザ「あ、怪しい……」
エリック「保証は?」
GM「『保証しよう!』」
エリック「保証しようって言われても……」
GM「『逆に、ビーチボールになった今、マルショシアス様の復活なくして、“心”が戻ることは有り得ない』」
エリック「お前たち、そう言って、クリーナすらだましてるんじゃないのか?」
GM「『だましてなどいない。クリーナもまたマルショシアスの復活を望んでいるのだ。どうしてだまそうか!』」
ガンダ「クリーナ殿は、なにゆえにそのような神を蘇らせたいんだ?」
GM「クリーナは答えないね」
エリック「俺からも聞こう。クリーナ、教えてくれ。っていうか、気付いてもおかしくないかな? アノスへの復讐を考えているのか?」
GM「ちょっと動揺した感じだ。『お前には関係ない!』」
エリック「修道院は焼き払ったんだろ? もう十分復讐したじゃないか。それ以上、何を望むんだ?」
GM「『もう放っておいて! あなたのお兄さんの婚約者とやらの“心”も、マルショシアスが復活すれば戻る。もう私たちを追いかける理由はなくなったでしょ?』」
エリック「戻る保証がない」
GM「『保証する』とブロンズ」
エリック「あんたはだまっていろ。クリーナ、戻る確証はあるのか? お前はバレーツィンに恩を感じているんだろ? もしもシルファが元通りにならなかったらどうする?」
GM「ブロンズはだまってないよ。『途中でやめれば戻らない。お前たちもマルショシアス様の復活に立ち会うか?』」
リーザ「本当に本当にチェムの“心”は戻るの?」
GM「『戻る。むしろ私には、何故君たちがそんなに疑うかわからない』」
エリック「困ったなぁ。プレイヤーは、フレウレッティが“心”の戻し方なんか知らないって言ってたのを知ってるけど、エリックとしては、何も知らないから、ついていくしかなさそう」
ガンダ「クリーナ殿は、マルショシアスを復活させたらどうするんだ? バレーツィンに戻るのか? それとも、アノスに行くのか?」
GM「『アノスに行ってから、バレーツィンに戻るわ。私の居場所はあそこにしかない』」
エリック「バレーツィンはじきになくなるぞ? オランの連中が嗅ぎ付けた。お前たちの起こした誘拐事件のせいだ」
GM「『なんだと?』クリーナはちょっと表情を険しくするけど、ブロンズが笑い飛ばす。『気にすることはない。それもマルショシアス様に願えばいいだけのこと』クリーナはすぐ安堵する。『そうだな。マルショシアスに、オランの人間も片付けてもらおう』」
リーザ「マルショシアスって、そんなに強いの? 封印したのは昔の魔法使いって言っても、人間なのよね?」
GM「ブロンズは強いと信じてるよ」
エリック「ここでブロンズをやっつけてビーチボールを奪ったところで、何もどうにもならないから、復活に立ち会うか……」
GM「じゃあ、一緒に行く?」
エリック「うぅ……そうしようか?」
リーザ「基本的に単純だから、他に方法もないし、ついていくけど」
ガンダ「行く気、満々!」

◆ 復活前夜 ◆

GM「じゃあ、みんなでゾロゾロ行こうか。隠し階段から地下に下りて、洞窟を歩いていく」
エリック「クリーナのそばに行って、さっきの話の続きをしてみようかな。クリーナ」
GM「『私はお前と話すことなんか何もない。仲間面しないで』」
エリック「それは無視して、さっきの話を。アノスに攻撃するとか考えるの、やめなよ。もう十分だろ? いつまでどこまで恨み続ける気だ? 今、バレーツィンには居場所があるんだろ?」
GM「クリーナは無視するけど」
エリック「はぁ……。ため息をつこう。ああ、カースを解いてくれないか? 女の子を抱きしめることができなくて困ってるんだが……」
GM「クリーナはちらっと君を見て、楽しそうに笑うよ。『いい気味だ』」
エリック「困ったなぁ」
リーザ「ブロンズたちは、マルショシアスを蘇らせてどうするんだ? 単に過去を正すだけ?」
GM「『そうだ』嘘だけどね」
リーザ「そうなんだ……嘘だって知ってるけどね(笑)」
エリック「どうしてクリーナの復讐に力を貸すんだ?」
GM「『Give and Takeだな。“心”を集める手伝いをしてもらったから、アノスへの復讐を手伝う』」
リーザ「結構人情味のある人たちだな」
エリック「言ってることが全部本当なら。ここらでエルメスが飛び込んできて、『全部嘘よ!』とか言ってくれたらいいのに」
ガンダ「滝に打たれてる」
GM「しかも裸で。ブロンズが君たちに言うよ。『ところで、君たちはムオー教に入信する気はないかね?』」
エリック「すまん。ない」
リーザ「宗教はちょっと……」
ガンダ「ないない」
GM「『残念』色々歩いて、罠とか避けて、ようやく扉に辿り着く。開けて入ると、そこに全長5メートルほどの像が安置してあって、その前に巨大な魔法陣が輝いてる。他にも神秘的な品物の数々」
エリック「あれがマルショシアスか?」
GM「『そうだ。フレウレッティ様が戻らないが、先に始めてしまおう』」
エリック「誰だか知らないけど、戻ってくるのを待ったらどうだ? 急ぐ理由もないだろう」
ガンダ「いや、オランの連中が迫ってるから、早く復活させて、バレーツィンを守ってもらわなくては」
GM「ちなみに、儀式には1日くらいかかるけど、みんなどうする?」
エリック「クリーナは?」
GM「手伝うけど」
エリック「じゃあ、見ていようかな」
リーザ「同じく」
ガンダ「もうここにいる理由がないから、少しでも早くバレーツィンに帰った方がいい気がする」
GM「そういう判断をしてくれると助かるね。何か言い残していく?」
ガンダ「クリーナも誘ってみよう。クリーナ殿、一緒にバレーツィンに戻ってくれないか? みんなクリーナ殿を裏切り者だと思ってる。身の潔癖を証明したらどうかと」
エリック「潔癖! クリーナは犯されてるから、もう潔癖じゃないよ……可哀想に」
リーザ「きっと潔白のことだろうなって思いながら、だまっていよう」
ガンダ「まあ、ガンダだし」
リーザ「プレイヤーが間違えたんじゃないの?」
ガンダ「まさかそんな!」
GM「『私はここに残って、マルショシアスと一緒に駆けつけよう。ガンダ、先に帰ってこのことをメラクリウス様に』」
ガンダ「そう言われたらしょうがない。帰ろうかな」
GM「じゃあ、エリックとリーザは待っててもらって、ちょっとガンダをやろう」
エリック「そんなNPCの一人プレイ?」
GM「一人プレイっていうのは、オ●ニーのことか? お前が言うと萌えるな」
エリック「どういう思考回路を通ると、そういう発想に行き着くの?」
GM「いやいや。ガンダはほずぴーのPCだから」
ガンダ「そうそう」
リーザ「どう見てもNPC。むしろ、敵になってもおかしくない存在だと……」
エリック「親、殺したし。まあ、一応自殺だったけど」
GM「じゃあ、ガンダは数日かけてバレーツィンに戻ってきた。もちろん、その間に何もなければマルショシアスは復活してて、クリーナの言ったことが本当なら、翌日かその近くにクリーナも来るはず」
ガンダ「メラクリウス様のところに。ああ、町の様子はどう? 結局、オランに対してはどうすることに?」
GM「なんだか異様な空気だよ」
ガンダ「ぐ、具体的には?」
GM「ピリピリしてる。武装してる人もいる」
ガンダ「逃げる準備してる人は?」
GM「いないねぇ」
ガンダ「戦うことにしたのかな? お城に」
GM「じゃあ、城。『これは、ガンダ殿。お帰りなさいませ』」
ガンダ「ただいま♪」
GM「爽やかだな。メラクリウスのところに行くと、リウスとニィルスレイトが帰ってきてる。それから、見知らぬ男がいて、メラクリウスが驚いた顔で君を見る。『ガンダ! 何故一人なんだ!?』」
ガンダ「クリーナ殿にお会いしました。どうやら、クリーナはマルショシアスという神を復活させるために“心”を集めていたようで、マルショシアスが復活すれば、シルファ様も治るそうです。それから、そのマルショシアスが、オランの脅威も拭ってくれるらしいです」
GM「『な、なんてことみ……』メラクリウスは立ち上がりかけた腰を再び下ろす。『なんてことみ……琴美……』」
エリック「それ、さっきも聞いた」
ガンダ「何かあったんですか? ああ、リウス、お帰り。そっちの人は?」
GM「『彼は僕の父です。ムオー教団の創設者で、マルショシアスを復活させようとしていた人です』」
ガンダ「どうしてそんな人がここに? 言ってみれば、シルファ様を病気にした張本人ではないか」
GM「メラクリウスが答える。『今はシルファの治し方を考えるのが先だ。今ここでこの男の首を刎ねたところで、我々にとって何も利がない。この男はもはやマルショシアスを復活させるつもりはないようだし、シルファさえ無事に戻れば、過去のことは水に流すことにした。無論、戻らなければ首を撥ねるがな』」
ガンダ「シルファ様は、マルショシアスが復活すれば元に戻るそうです」
エリック「ほずぴー、わざとバカっぽく演じてるの? それとも、今のは素で言ったの?」
ガンダ「わ、わざとだけど……。私、そんなにバカっぽく見えます?」
エリック「そういうわけじゃないけど」
GM「メラクリウスは呆れ顔だ。『ガンダ。だからつまり、マルショシアスが復活すればシルファが元通りになるというのは嘘で、この男たちは、クリーナをだましていたのだ』」
ガンダ「なんだって? しかし、ブロンズという男は、『保証する』と言っていましたよ?」
GM「『ガンダ……ああ、なんてことみ。どうすればいいのだ。ガンダが止めてくれることを期待していたのに!』」
エリック「こいつに期待するのは、そもそも間違いだと思うけど」
リーザ「右に同じ」
エリック「うなじ!」
リーザ「み、右にうなじ……」
ガンダ「それじゃあ、今から行って止めてきます!」
GM「『もう遅いって。さあ、困った。もうじきオランの連中も来るだろうし……どうしたもんだ……』」
ガンダ「オランの連中は、マルショシアスが復活すれば、クリーナが止めてくれるのでは? それは、シルファ様のことは抜きにして」
GM「『いや、間に合わない』とフレウレッティ。『復活したばかりのマルショシアス様は、それほど力がない。武器を取らせねば』」
リーザ「そういえば、そんなようなことが書いてありましたね」
エリック「要するに、今なら倒せるってことだね」
ガンダ「じゃあ、そう言うかな。つまり、今なら倒せますね! 一斉に攻撃をしましょう!」
GM「『ガンダ……』もうメラクリウスは疲れた感じ。リウスが言うよ。『マルショシアスそのものは、バレーツィンにとって悪じゃない。それよりも、こうなった今、どうやってシルファを治すかと、オランをどうするかだ』」
ガンダ「シルファ様の治し方は、その男は知らないのか?」
GM「『だから、父たちはシルファのことなんてなんとも思ってなかったし、クリーナのこともだましていたんだ』フレウレッティは申し訳なさそうにするよ。『まさか息子が生きていて、しかもこの国にいるとは知らなかったんだ』」
ガンダ「ようやくことの重大さがわかってきたよ。で、町で皆が慌しく武装していたけど、結局戦うことに?」
GM「『うむ。もちろん、皆にも意見を聞いた上での判断だ。町の皆も、オランの人間が来ることを知っている。森には無数の罠を張った。5倍の見張りを置いた。武器も用意したし、臨戦体制も整えた。だが、あの人間が言っていたように、第一陣を打ち破ったら、次は大群で来るだろう』」
ガンダ「第一陣を打ち破って、次が来るまでの間に逃げますか?」
GM「『そのつもりだ。裏で逃げる準備もしてはいる。もちろん、これは今のところは城の人間だけでやっている』ああ、町の人間を見捨てるって意味じゃないからね。手筈の話」
ガンダ「それで、これからどうするのかな?」
GM「『今さら行っても遅かろう。シルファのことはクリーナを信じよう。ガンダ、お前もバレーツィンの守りについてもらう』」
ガンダ「わかりました。って、私の出番はおしまい?」
GM「っていうか、シナリオ自体、そろそろおしまい」
エリック「短い!」
リーザ「戦闘もしてないし、ダイスも全然振ってない」
GM「じゃあ、戦闘するか……」
リーザ「するかって……」

◆ クリーナとの夜、そして再会 ◆

GM「エリックたちね。戦闘します」
エリック「なにか、物語性が欲しいんだけど」
GM「ずっと見てるなら、物語性も何もないんだけど」
エリック「ブロンズ以外の人たちは?」
GM「みんな忙しそうに儀式に参加中。君たちとクリーナがぼけーっとしてる」
エリック「じゃあ、クリーナに声をかけようかな。可愛いし」
GM「可愛いよ。笑わないけどね。たぶんこの子は、アノスを出てから笑ったことなんてないだろうね」
エリック「くすぐってみようかな。こちょこちょ」
GM「『な、なに!?』ちょっと慌てた顔」
リーザ「あの人は何してるんだろ……人間って不思議」
GM「君は人間の世界で生まれ育ってるからね」
リーザ「わ、わかってるけど」
エリック「星を見に行かない?」
GM「『い、行かない』」
エリック「大丈夫! 何もしないよ。何もできないし……カースかかってるから」
GM「『そういう問題じゃなくて、私はお前と星を見たいとは思わない』」
エリック「誰となら思うの?」
GM「『誰とも思わない』」
エリック「じゃあ、外で食事にしよう」
GM「『お腹、空いてないし』」
エリック「じゃあ、新鮮な空気を吸いに行こう!」
GM「『どうしてお前は、私に構うんだ? カースは解かないぞ? あれは抱きしめた罰だ』」
エリック「君も俺を抱きしめていいぞ?」
GM「『誰が!』」
エリック「なんかこう、ずっと人を恨み続けてる君を見てると、可哀想で」
GM「『別にお前に可哀想と思われるような人生は送ってない。私は今の自分に満足してる』」
エリック「外で話そうよ」
GM「しょうがない。渋々ついていくよ。リーザは?」
リーザ「私は邪魔になるといけないから、お留守番♪」
エリック「そうなんだ。じゃあ、二人で」
リーザ「そしてこっそり後を(笑)。ほら、出会ったときのお返し」

 第8話の『リーザ・ユーノス』の章のラスト参照。

GM「外だ。星が綺麗だ」
エリック「星が綺麗だな」
GM「『……そうだな』」
エリック「どうしてそんな刺々しく話すんだ? もっと普通に女の子っぽくしたらどう?」
GM「『私は元々こうだ』」
エリック「噂ではもっと女の子っぽかったみたいだけど」
GM「『余計なお世話だ』」
エリック「カースはどうやったら解ける?」
GM「『さあな。お前みたいな男は、女を抱きしめられない方がいい』」
エリック「それは困るなぁ。ところで、マルショシアスを復活させて、シルファが戻らなかったらどうするんだ?」
GM「『そうなったら、もうバレーツィンには戻れない』」
エリック「どうするんだ?」
GM「『どうにも……。お前が私をもらってくれるか?』」
エリック「はい?」
GM「『…………』」
エリック「いや、ちょっと待ってね。俺にはエルメスがいるから、そうはいかんよな? あー、うーんとね?」
GM「クリーナは切ないため息をつくよ。『結局、お前も好奇心で私に構ってるだけで、それ以上のなんでもないんだろ?』」
エリック「グサッと来るなぁ」
GM「『どっちにしろ、もう後戻りはできない。今ビーチボールを取り返したところで、シルファ様が元通りになるわけでもない』」
エリック「う〜ん。こういうシナリオじゃなかったら、クリーナになびくんだけど、エルメスがいるからなぁ」
GM「邪魔者っぽ。別にいいけど、クリーナでも。タイトル変えようかな。『エリックとクリーナ』」
エリック「ないない。俺はミンフのために、最後まであきらめるわけにはいかない。リーザも、チェムのことがあるから同じだ。クリーナ、君も、シルファのために最後まであきらめるなよ。彼女たちの“心”が戻るまで、手を組まないか?」
GM「『私はアノスに復讐する。お前はそれを手伝って罪人になるのか?』」
エリック「復讐はダメ。君もしてはダメ。何も生まれないし、君も余計に虚しくなるだけだ。拠り所は、別のところに求めなくてはいけないよ?」
GM「『例えば、何に?』」
エリック「バレーツィン。バレーツィンの人たちは、みんな君みたいな辛い思いをした人ばかりなんだろ? でも、誰も君みたいに、復讐とか考えてる人はいないんだろ?」
GM「『裏切ったつもりはないが、バレーツィンの人たちをだましてきたんだ。もう後戻りはできない』」
エリック「誰だって間違えることはあるさ。シルファが元に戻れば、君の罪は許されるだろうし、戻らなければ、君もだまされていたんだってわかる。君はバレーツィンに帰れる」
GM「クリーナは黙っちゃうよ。色々考えることがあるみたい」
エリック「だ、抱きしめたい……」
リーザ「エリック……」
GM「じゃあ、精神力抵抗で。カースもあるから、その恐怖心もあって、13くらいで成功にしようかな」
エリック「(ころころ)……クリーナ。ひしっ」
リーザ「うわ!」
GM「じゃあ、激痛が」
エリック「うわぁっ!」
GM「クリーナは呆れ顔だ。『お前は、学習能力がないのか?』」
エリック「君みたいな可愛い子に、あんな愁いを帯びた顔をされたら、抱きしめずにはいられないんだ」
GM「クリーナはふっと息を吐いてから、小さく微笑むよ。『カースを解いて欲しいか?』」
エリック「もちろん」
GM「『解いてもらって、私を抱きしめるのか?』」
エリック「えっと、展開によっては」
GM「じゃあ、クリーナは棒で地面に円を描いて、君にそこに座るよう言うよ。『この中に入って、座って目を閉じろ』」
エリック「言われる通りにしようかな」
GM「じゃあ、ふっと君は正面から両肩に手を置かれて、唇に柔らかな感触を……」
エリック「ええーっ!?」
GM「目を開ける?」
エリック「驚いて、思わず」
GM「じゃあ、ちょっと長めのキスをしてから、クリーナがそっと唇を離す。『これでもう、大丈夫なはずだ』」
エリック「あの……えっと……何?」
GM「いや、最後にエルメスと感動のキスシーンを考えてたんだけど、君がクリーナに意味深なことばかり言うから、こういう展開にしてみた。クリーナはそっと君の身体を抱きしめて、肩に顔を埋めるよ。『試してみて? 治ったかどうか……』」
エリック「ど、どれどれ? ひしっ」
GM「うん。大丈夫だね。そこに聞きなれた声が。『エリック……?』見ると、エルフの少女を連れた懐かしい人が、呆然と君を見下ろして……」
エリック「…………」
GM「いや、冗談冗談」
エリック「場所と時間的に、有り得るからすごく怖いんだけど」
リーザ「浮気現場を……。私はドキドキしながら見てるけど」
エリック「この場合、どうすればいいんだろ……。とりあえず、ミーシュのときと同じような感情で、抱きしめながら髪を撫でていようかな。なでなで」
GM「クリーナは、君の首筋に舌を這わせながら、手を股間に……」
エリック「えーっ!? みなりんじゃないんだからさぁ!」
GM「有り得んな。大丈夫大丈夫。『エリック……』って小さく呟いて、ぎゅっと抱きついたまま」
エリック「う〜ん。柔らかくて気持ちいい♪」
リーザ「証拠写真を撮っておこう。カシャカシャ」
エリック「君はエルメスを知らないんだから、別に俺がクリーナになびいても不思議に思うなよぅ」
リーザ「エルメスのこと、旅の最中に言ってないの?」
エリック「言ったかも(笑)。えっと、男の子的に言うと、それはそれ」
リーザ「最低!」
エリック「なでなで」
GM「なんだか戦闘する気がなくなってきたなぁ。そのままクリーナは寝ちゃおうかな」
エリック「な、なんてこと……」
GM「そこまで言ったら、『なんてことみ』って言えよ」
エリック「ヤだ。じゃあしょうがないから、そこで横になって、そっとクリーナを抱きしめて眠ろう。ひしっ」
リーザ「私もその内眠くなるから、その辺でくてっと寝ようかな。くー」
GM「平和な光景だ。翌日、君が目を覚ますと、クリーナはもういないよ」
エリック「腕には彼女の香りと温もりが……」
GM「もうない。結構前にいなくなったっぽい」
エリック「先にマルショシアスのところに?」
GM「いんや。手紙が置いてあるよ。手紙と言うか、書き置きと言うか」
エリック「なんて書いてある?」
GM「『ありがとう』って書いてある。『クリーナ・フレイ』って署名がある」
エリック「クリーナ……」
リーザ「起きてエリックのところに行こう。クリーナは?」
エリック「逃げられた」
リーザ「昨夜は……んっと、ううん、何も見てないぞ?」
エリック「見てたな?」
リーザ「見てない見てない。抱き合ってキスしてるところなんて見てない!」
エリック「見てたんだ……ショックだ」
リーザ「クリーナはどこに? バレーツィンかな?」
エリック「もう戻らないだろうね。きっともう、会うことはないよ……」
GM「そうだな。クリーナはエリックの言葉で、復讐を捨てたんだよ」
エリック「これでよかったんだ、きっと……」
GM「ふむ。マルショシアスのところに行ってみるかい?」
エリック「そうだね」
GM「じゃあ、君たちが立ち上がって、教会に戻ろうとすると、森から二つの人影が」
リーザ「あ、とうとう合流?」
エリック「振り返ろう」
GM「そこには驚いた顔の懐かしい人と、見覚えのないエルフの女性。ほずえ、やっていいよ」
エルメス「るん♪ エリック……さん?」
エリック「……誰?」
エルメス「私!」
エリック「冗談冗談。エルメス……どうして、こんなところに」
リーザ「また新しい女性登場。わくわくしながら見ていよう」
エルメス「あなたこそ、どうしてここに?」
エリック「話せばあまりにも長い長い旅路の果てに」
エルメス「私も、長い長い旅路の果てに……。ああ、そうだ。マルショシアスの復活を止めないと!」
エリック「止める? どうして?」
エルメス「あなたはマルショシアスを知ってるの?」
エリック「今、教会でブロンズたちが復活させている」
エルメス「どうして!? マルショシアスが復活したら、ミンフさんの“心”は戻らない!」
エリック「本当か!? しかし、ブロンズは戻るって」
エルメス「とにかく、行きましょう! 止めなければ」
エリック「わ、わかった。ああ、そっちの女性は?」
エルメス「ホルウェンよ。あなたと別れてからすぐ出会って、一緒に旅をしているの。教団に宝物を奪われて、取り戻すためにブロンズを追っているの。そちらの女性は?」
リーザ「リーザです。お友達の“心”を奪われて、助けるためにエリックと一緒にいるの。それ以上の関係じゃないから、安心してね」
エルメス「顔を赤くしよう。べ、別にそんなこと……」
GM「じゃあ、君たちが改めて教会に行こうとすると、空から突然、千本の雷を束ねたような光が教会の屋根を貫いて、鼓膜が吹き飛ぶくらいの轟音とともに、爆風が木々を薙ぎ倒し、山を跡形もなく削り取って、直径1キロくらいのきのこ雲が空を覆う」
エリック「な、なんだ!?」
エルメス「っていうか、私たち、生きてるの?」
リーザ「場面を想像したら、その場に踏みとどまって生きてる私たち、かなりすごい」
GM「まあ、部分的に冗談だとして、マルショシアスに乗ったブロンズが現れる。君たちは爆風に飛ばされて、へなへなになってると思って」
エリック「くっ……ブロンズ……」
GM「『さあ、次は武器だ! 諸君、さらばだ!』マルショシアスは空は飛ばないけど、割と速い速度で歩き去っていくね」
エリック「ま、待て……と立ち上がるけど、痛くて動けない」
リーザ「うぅ……痛いよぅ……」
GM「ホルウェンが回復させてくれる。けど、その辺りで第10回は終了だ。なんだかもう、めっちゃくちゃ」
エルメス「確かに、なんだかもう、滅茶苦茶だね」
エリック「きのこ雲は上がったの? 上がらなかったの?(笑)」
GM「さぁ」

◆ 反省 ◆

水原(GM)「戦闘なかったから、経験点は1,200点のみで」
雪島(エリック)「うにゅ」
ゆかりん(リーザ)「最後のリーザ」
ほずぴー「エルメスにも1,200点♪」
水原「お前はない。ガンダにならやってもいいぞ?」
ほずぴー「しくしく」
雪島「今回は、なんていうかこう、評価の難しい回だったね」
ゆかりん「つまらなくはなかったけど、物足りなさを」
水原「戦闘がなかったからだな。君らの行動によって、あまりにも多くの可能性が考えられたもんだから」
ゆかりん「バレーツィンに残って、オランの部隊を迎え撃ってたら?」
水原「もちろん、そういう展開になっただろうね。ビーチボールを奪うためにブロンズと戦闘になってたかもしれないし、クリーナとも戦いになってたかもしれないし」
雪島「クリーナは、今回で消す予定だったの?」
水原「いや。ただ、あんな感じでいなくなる予定だったのは確か。まあ、君らの行動によっては、復讐を実行してたかもしれんが」
ほずぴー「今回はエッチかった! ぶー」
雪島「まさか、キスだったなんて。思いつき?」
水原「あれはカースをかけたときから、一番最後にエルメスとのキスシーンを考えてた。だけど、あれだけ言われたら、女の子がちょっと夢見てもいいんじゃない?」
雪島「まあ、いいけど……」
ほずぴー「よくないもん! ぶー」
雪島「柔らかかった♪」
ほずぴー「ぷいっ」
ゆかりん「次回、第15話が感動のラストですか? それとも、前に言ってたみたいに、合流してから、さらに5話?」
水原「とりあえず、第15話は、回数を合わせるために、ちょっと違う話を挟む予定。キャンペーンとは関係ない。今さらだけど」
ほずぴー「滝に打たれるんだね?」
水原「そうそう。エルメスがマーファに再び微笑みかけられるシナリオ。で、最終回かな」
雪島「最終回は、バレーツィンの話と、“心”の話になりそうね」
水原「まあ、エリックたちは一旦バレーツィンに戻るだろうから。エルメスとリウスの再会だな」
ほずぴー「コーディはどうしたの!?」
雪島「死んだ」
水原「死んでないし」
ゆかりん「いよいよ終わるんですね。なんだか、一抹の寂しさも……」
水原「まだ油断はできない。シナリオないし」
ゆかりん「考えてきてくださいね! 最終話は!」
水原「そうだな。ホルウェンはドラフと再会して、エリックはエルメスと一緒にレイドに、そして……」
雪島「そして?」
水原「殺される」
ほずぴー「えーっ!?」
水原「まあ、先に回数合わせの次回だ。要らん気もするが、まあ回数ぴったりの方が綺麗だし」
雪島「了解っす。私は持ちキャラないけど」
ほずぴー「さよなら、ほずぴー」
ゆかりん「さよなら、ゆかりん」
雪島「お疲れ〜」
水原「お疲れさん」


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