エリックとエルメス 第16話『決戦』


◆ レベルアップ ◆

 いよいよ最終回!
 エリックは前回の1,200点で経験点が4,160点になります。
 プレイヤーはソーサラーLv.5を目指したがったけれど、最終回で4,000点保留はもったいないのでシーフを取らせました。
 エルメスは基本点1,440点に、恐ろしいほどの出目の悪さを発揮して、1ゾロ5回の50点を加えた1,490点。
 合計が3,400点になったので、前回恥ずかしい思いをして復活したプリースト技能を4に上げます。
 ホルウェンは1,250点でギリギリ4,000点を越え、念願のシャーマンLv.4に。
 NPCに戻ったリーザは、1,200点を加算して4,130点に。もちろん、ファイターをLv.5にします。

◆ ガルガン・ルー ◆

GM(水原)「ってこって、いよいよ最終回だな」
ホルウェン(由佳里)「なんだかこう、胸にじ〜んと来るものがありますね」
エリック(雪島)「そう? 私は別に」
ホルウェン「琴美さん……」
エルメス(ほずえ)「綺麗にプレイヤーが先輩と私と由佳里になったね」
GM「そうだな。リーザもパーティーにいるから、たまには思い出して話しかけてやってくれ」
エルメス「な、何それ……」
ホルウェン「愛着のある子だし、エルフっぽいから、積極的に話しかけます♪ 魔法は好き?」
GM「『あんまり。ファイターとセージしかないし』」
ホルウェン「あなたとはお友達になれなさそうね」
GM「ひでー!」
エルメス「今回はちゃんとシナリオ考えてきた? 前回はひどかったから……」
エリック「あれはあれでエッチくていいんじゃない? ちなみに、私なら最後は見捨てたけど」
エルメス「エルメスはそういう子じゃないんだよ、きっと」
エリック「まあ、ロールプレイってことね」
GM「ちなみに、シナリオはないから。それは君たちが作るものだ!」
エリック「か、考えてないんだ……」
ホルウェン「先輩、ラストですよ? 感動の最終話が、ノンプロットなんですか?」
GM「たぶん、短くて味気ないリプレイになるよ。最終セーブ地点からラスボスまでは、だらだら長くない方がいいと思わん?」
エルメス「ま、まあ、考えようによったらそうだけど……」
GM「後はブロンズを倒して、みんな……生き残った人たちは、それぞれの明日に向かって歩き出す!」
ホルウェン「い、今、言い直しましたね」
GM「『Z』みたく、ラストで主要キャラがバタバタ倒れる、壮絶な物語になったりしてね」
エルメス「ホルウェンは生命点が低いから危ないね」
ホルウェン「な、名指し!?」
エリック「ゲマもここで死ぬかも……」
エルメス「それはまあ、最悪死んでも……」
エリック「冷たっ!」
GM「っていうか、たぶんそいつ、最終戦が終わってから思い出されるんだって。『あ、そういえばゲマがいた!』」
エリック「アリエール」
ホルウェン「じゃあ、始めますか?」
GM「おう。前回はマルショシアスが復活したところで終わった。武器を取らせたらどうにもならなくなるから、その前に倒すだな。ちなみに、シナリオはないが、敵データだけはちゃんと作ったから、最終戦は盛り上がるぞ?」
エリック「確か、男たちが5人くらいいなかった? それにマルショシアスを足すと、ちょっとこっち、戦力不足」
エルメス「リウスに手伝ってもらおう♪」
エリック「リウス? メラクリウスの言っていた男だな。仲いいの?」
エルメス「え? そ、それほどでもないけど……」
エリック「……(¬¬」
エルメス「そ、その疑わしそうな目はなんですか? 元々エリックさんがフェアリーの女の子とイチャイチャしてたからこんなことになったんでしょ!?」
エリック「してないよ」
エルメス「してました! 私、見ました!」
エリック「幻想だよ。ほら、今、いないし」
エルメス「殺したんですか?」
エリック「食べた」
エルメス「一つになったってことですね?」
エリック「どういう思考過程でそうなった!?」
ホルウェン「ところで、エルメスの指輪をもらいっぱなしだけど、よかった?」
エルメス「私が持ってても役に立たないから、最終戦まではホルウェンに使ってもらおう。エリックにも理解してもらって」
エリック「理解した。物分りがいいからな」
エルメス「どこが!」
エリック「ちなみに、非戦闘地域で魔法を使う場合は、いちいち指輪を貸し借りしてかけた方がいいな」
エルメス「そうだねー」
ホルウェン「そういえば、“魔鏡”ってあります? きのこ雲が……」
エリック「あれは、上がったの? 上がらなかったの?」
GM「秘密。今地面は、直径500メートルくらいの、柔らかい土にボールを押し付けたような凹みがあって、君たちはその中ほどにいる」
エルメス「やっぱり上がったんだ、きのこ雲……」
エリック「よく生きてたな、俺たち……」
GM「そしてそこに“魔鏡”が!」
ホルウェン「そ、それでいいんですか!?」
GM「何もかも吹っ飛んだんだよ。“魔鏡”は魔法のアイテムだから助かったんだね」
エルメス「よく無事だったね、私たち……」
ホルウェン「ああ、“魔鏡”が……。ドラフ、空の上から見てる? ほら、“魔鏡”を取り返したわ」
エリック「死んでないし……」
ホルウェン「故ドラフのために、一筋の涙を流そう。キラリン」
エルメス「私も涙ぐもう。ぐすっ……」
エリック「知らない人だから、何かあったんだなと思いながら、ぼーっと見てよう。ゲマは泣いていよう。『感動ゲマァァ!』」
GM「じゃあ、第16回は“魔鏡”を取り返したってことで終了ね」
エルメス「有り得ないから。ひとまずバレーツィンに行きますか? 私は知らないけど、エリックたちはバレーツィンの場所を知ってるのでしょ?」
エリック「俺もゲマも知ってる」
GM「『“たち”って言うのは、私とエリックのことじゃないの?』とリーザ」
エリック「『ゲマゲマ! リーザじゃないゲマ!』」
GM「『頭部しかないふわふわのくせに。げしっ!』」
エリック「『ゲーーーマーーー!』」
エルメス「楽しそう……。私も蹴っていいですか?」
エリック「ダメ。お子様だけ」
GM「『わ、私は子供じゃない!』」
エリック「はい、リーザに話しかける時間は終了ね。じゃあ、バレーツィンに……」
ホルウェン「冷たい……」
エルメス「ちなみに、マルショシアス他5名はどっちに行きました?」
GM「なんで丁寧語なんだ? 気持ち悪い」
エルメス「き、気持ち悪いって……。ロールプレイだよ、うん」
GM「北西だな。ラムリアースの方」
エリック「武器はそっちにあるのか、当初の予定通り、ラムリアースに復讐するのか。まあ、それは俺は知らないけど」
エルメス「バレーツィンに向かいながら、それぞれ情報交換しましょう」
エリック「そうだな。村を壊滅させたこととか、クリーナと抱き合ったことは黙っていよう」
エルメス「素っ裸で滝に打たれていたことは黙っていよう」
ホルウェン「私が言うよ。エルメス、殺戮の末、マーファ技能がなくなって、裸で滝に打たれてた話はしなくていいの?」
エルメス「うわー! 何言うの!?」
エリック「何? 何? エルメス、裸で滝に打たれてたのか?」
エルメス「打たれてないわ? ホルウェンが幻想を見たのよ。それに、私が殺戮だなんて、そんな!」
ホルウェン「ごめんね、エリック。私の幻想。エルメスが服をまくり上げて、子供たちに胸を触らせてたのも、私の幻想」
エルメス「してないしてない! してないよー?」
エリック「エルメス……」
エルメス「戦闘中にホルウェンを後ろから刺そう」
GM「じゃあ、リーザもクリーナとのことを……。『そういえば……』」
エリック「リーザの口の中にゲマが飛び込むよ。『ゲマー!』ゲマは俺の味方だ」
GM「そのまま食っちまうよ。『噛み噛み、ごっくん。ふぅー』」
ホルウェン「私のリーザを変なキャラにしないでください!」
エリック「じゃあ、夜に俺もエルメスの胸を触りたい旨を……」
エルメス「スケベ。エリックさんはやっぱり身体だけだったんだ……えっぐえっぐ」
エリック「エルメス、それは新しい泣き方かい?」
エルメス「ええ。可愛い?」
エリック「可愛いよ。もう一度泣いてみて」
エルメス「えっぐえっぐ」
エリック「可愛いよ、エルメス」
エルメス「エリック……」
ホルウェン「…………」
GM「…………」
エリック「冗談だよ? 冗談」
GM「君ら面白いから、シナリオなくてもリプレイは面白くなるかもな」
エルメス「誉められたのか、けなされたのか……」
ホルウェン「そろそろバレーツィンに着きます?」
GM「いや、その前に一イベントやらせてくれ」
ホルウェン「シナリオ、あるんですか? ないんですか?」
GM「秘密。森の中を歩いていると、不意に人の気配がして、声をかけられる。『エリック!』」
エリック「だ、誰? こんなところに知り合いはいないぞ? ガンダか?」
GM「いや、ガルガンだ」
エリック「誰?」
GM「ガルガン・ルーだって」
ホルウェン「町か何かでしたっけ?」
エルメス「それは過去に出てきた?」
エリック「なんか、そんな記憶があるような、ないような……」
GM「『おいおい、忘れたのか? オランの魔術師ギルドで……』」
エリック「あー、思い出した。魔法陣調べてたギルドの偉い人だな?」
GM「『そうだ。ようやくここに辿り着いた。お前たち、先に来ていたのか』」
エリック「ああ、まあそんなとこ。連絡しようとしたんだけど、戻れなくなっちまって……」
エルメス「誰ー?」
エリック「ほら、昨夜話した、オランで起きた誘拐事件を一緒に調べてた魔術師ギルドの人だ」
エルメス「ああ、初めまして」
GM「のんびり挨拶してる場合じゃないよ。『昨日着いて、バレーツィンの場所もわかった。だが、森には罠が張ってあるし、人数不足だ。お前たちも手伝ってくれ』」
エリック「そう来たか……」
エルメス「困ったね」
エリック「一応、パーティーの総意を。エルメスとホルウェンはどうしたい?」
エルメス「もちろん、バレーツィンに行きたいけど」
ホルウェン「右に同じ」
エリック「だから、うなじだって……」
ホルウェン「な、なんでそんな疲れたように言うんですか……?」
エリック「右にうなじ。じゃあ、適当に嘘をつこうかな。バレーツィンに仲間が捕まってることにするのと、もっと他にやるべきことができたから、そっちに行くって言うのと、どっちがいい?」
エルメス「前者の方が、バレーツィンの中にいるのを見つかったときに言い訳しやすそう」
ホルウェン「そうだね。バレたら、私たちまで罪人扱いされそうだし」
エリック「じゃあ、そう言おう。バレーツィンに仲間が捕まってるから、単独行動で助け出したい」
GM「ふむ。ガルガンは腕を組んで唸るけど、『まあしょうがない。気を付けろよ』って言って、仲間と一緒に引き上げていく」
ホルウェン「ああ、チェムたちをどうしたか聞きたいー。リーザが」
GM「そうだな。チェムたちは無事に保護して、今はオランにいるよ。病気の究明をしてるけど、“心”がどうのって話には行き着いてないようだ」
ホルウェン「なるなる。ホルウェン自身は興味ないけど、きっとリーザは安心」
エルメス「バレーツィンに急ごう!」
エリック「了解」

◆ 戦火のバレーツィン ◆

GM「じゃあ、バレーツィンだ。なんだか相当慌しいことになってて、武装した人間も目立つ。君たちは入り口で止められるけど、エリックとリーザを見て中に入れてくれるよ」
エルメス「やっぱり全員戦う感じ?」
GM「第一波はそれで防ぐ予定」
エリック「城……っていうか、メラクリウスのところに」
GM「じゃあ、メラクリウスの館に入ると、ちょうど歩いていたリウスとニィルスレイトが君たちを見つける。リウスが声をかけるよ。『エルメス!』」
エルメス「驚こう。思い切り驚こう。リウス、どうして!? あなた、コーディに……」
GM「待て。それはエルメスは知らない」
エルメス「あれ? あー、そうだ。私はザインで別れたきり」
ホルウェン「私もね。ブロンズを倒すって言ってたけど、倒せなかったみたいね」
GM「『面目ない。ところで、どうしてあなた方がここに?』」
エルメス「えっと……こんがらがってきた。誰が何を知ってるんだっけ?」
エリック「難しいね。俺はリウスは知らない。ニィルスレイトは知ってる」
エルメス「そうだ。あなたのこと、あなたのお父さんから聞いたわ。残念だけど、あなたのお父さんは今頃ラムリアースに……」
GM「『ああ、そのことなら心配ありません。フレウレッティは僕たちが助けましたから』」
ホルウェン「じゃあ、コーディと会ったのね? コーディはどうしたの?」
GM「『あの男ならそのまま放った。安心しろ』と、ニィルスレイト。そっけないが、君はエルフだから、言うほど冷たくはない」
エリック「とりあえず、ガンダはどうした? クリーナのことは聞いたか?」
GM「『マルショシアスを復活させたらシルファ様が戻るって? もう復活したのか? シルファ様はまだそのままだぞ?』これはニィルスレイト」
エリック「やっぱりそうか……。クリーナもだまされていたんだ」
GM「『で、クリーナは? 逃げたのか?』」
エリック「逃げたんじゃない。あの子は自分の罪がわかってるから……なんていうか、こう、旅に出たんだ!」
GM「なんだそれ? 『逃げたんじゃないか。これだから人間は!』」
エルメス「リウスだって人間じゃない! 一つの物差しで物事を測らないで!」
GM「ニィルスレイトは都合の悪そうなことは無視するよ。『それで、一体ここに何しに来たんだ?』」
エリック「何って言われると困るけど、事後報告とか、情報収集とか。そうだ! フレウレッティがいるなら、武器の場所がわかるんじゃないのか?」
エルメス「フレウレッティは今何をしてるの?」
GM「『シルファのところにいます』とリウス。『僕たちは忙しくて、ここ数日会ってませんが』」
ホルウェン「オランとの戦況はどうなの?」
GM「『森に入り込んだのは確認しました。一人捕らえて、人数も吐かせました。20人くらい来てるらしい』」
エルメス「まだ完全には戦いになってないわけね?」
GM「『ええ。残念ですが、今はシルファ個人のことよりも、国全体のことが優先です。そうだ、エルメス。オランの軍勢を撃退するのを手伝ってくれませんか?』」
エルメス「あ、有り得ない。それはできないわ。バレーツィンを敵にする気もないけど、オランを敵にする気もないわ」
GM「『どっちつかずで、最後には都合のいい方に行くわけだな。これだから人間は!』」
エルメス「違うわ! 私たちは私たちの信念のために戦ってるの! 今はマルショシアスの完全復活を止めるのが先なのよ!」
GM「『じゃあ、その後は?』」
エルメス「エリックさんと……ぽっ」
GM「なんだなんだ?」
エリック「とにかく俺たちには、あんたたちに味方する理由がない。メラクリウスには言ったけど、俺たちの目的がシルファを治すことと繋がるから、それまでの同盟だ。俺たちの言動は首尾一貫している」
GM「なるほどね。ふわふわ娘がふわふわやってくるよ。『リウスー。はぎゅっ』」
エルメス「幸せそう。私も〜。エリックー。はぎゅっ」
エリック「ひらっ」
エルメス「うわーん! 避けたー!」
GM「ふわふわ娘を追って、フレウレッティ登場。君たちを見て、眼球が飛び出すほど目を見開いて、そのまま眼球が飛び出す。『お前たちは!』」
ホルウェン「こんにちは♪」
GM「爽やかだな。『またこのわしを捕まえに来たのか!?』」
エルメス「今は休戦中よ。それより、マルショシアスが復活したわ。ブロンズは武器を取りに行った。私たちはそれを阻止したいのよ」
GM「『はーっはははは! ラムリアースなど滅んでしまえ!』」
エルメス「もう復讐はやめるんじゃなかったの?」
GM「『気が変わった』」
ホルウェン「変わらないで……」
GM「『ふむ』じゃあ、フレウレッティは武器のある場所を教えてくれる。随分ラムリアースに近いところだな。元来た洞窟を使えば、君たちの方が早く着ける。向こうはでかいから、あの洞窟は使えない」
エルメス「やった☆」
エリック「それで、シルファを元に戻す方法はわかったのか?」
GM「『わからん。わからんが、武器を取ればマルショシアスは完全に復活する。その前に倒せば、行き場をなくした“心”が持ち主のもとに戻ってくれたらいいなぁ〜、なーんて』」
エリック「あ、怪しい……」
ホルウェン「リーザはもう、掴みかかりたいような気分ね、きっと」
GM「掴みかかろうか。『いいなぁ〜、なーんてじゃあ、困るんだよ! チェムを返して!』襟首掴んで、ゆっさゆっさ」
エリック「もちつけ、リーザ」
GM「もちつけとか言うな」
エリック「どっちみち、武器を取られたら終わりなんだ。倒すしかない」
GM「『だけどエリック、もしダメだったら、エリックのお嫁さんだって……』」
エリック「俺の嫁じゃないし。俺の嫁は……って、エルメスの方を見て穏やかに微笑もう」
エルメス「…………」
エリック「なんか言ってよ」
エルメス「リアクションに困った」
ホルウェン「無性にからかいたい。私がクリーナとのことを知ってたら面白かったのに」
GM「『お前たち、行くのか?』」
エリック「そりゃ、まあ」
エルメス「もちろん」
GM「『頑張れよ』」
ホルウェン「ええーっ!? それだけなの? 今のは、何かくれる流れだった。じゃあこれを持って行け、みたいな」
GM「あげたいんだけど、役に立つアイテムは全部、対オラン戦で使わなくちゃならないから」
エリック「リウスか誰かに聞こう。オランの第一陣は防げそうなのか?」
GM「『防ぎます。いえ、希望ではなく、恐らく大丈夫でしょう』」
エリック「それから先は?」
GM「『わかりません。けれど、メラクリウス様は、徹底抗戦は避ける姿勢です。恐らく、従う者だけ連れてどこかに移ることになるでしょう』」
エルメス「シルファさんは?」
GM「『僕が連れて行きます。だけど、この状態では危ない。だから、僕たちが第一陣を防いでいる間に、マルショシアスを倒して、“心”を解放して欲しい』」
ホルウェン「なんだかわくわくしてきました」
GM「今のはプレイヤー発言か? 確かに、盛り上がってきたな」
エリック「ちなみに、オランの連中は、第一陣と第二陣の間に、時間的な隙間を作るのかな?」
GM「わからんね。戻ってきたら、バレーツィンはなくなってるかもね。そして惨殺されたシルファの遺体が……」
エルメス「ひどい……」
ホルウェン「マルショシアスを倒したら、ここに戻るの?」
エリック「シルファが治ったかどうかで確かめるのが一番早いから。治ってなかったらフレウレッティと一緒に、次の策を練らないといけない」
ホルウェン「ブロンズを倒せたら、私はそこまでは付き合わないかも」
GM「いいんじゃないかな? そしたらまたリーザをやってくれ」
エリック「“心”が戻るか戻らないかで、最終回かどうか決まるね」
GM「基本的には最終回。“心”が戻らなかったら、バッドエンドってことで……」
エリック「ど、どこで選択肢を間違えたんだろう……」
エルメス「私は第10回だと思う」
エリック「やっぱりあそこで倒さなくちゃダメだった? ブロンズ」
GM「まあでも、エルメスたちがいればともかく、倒すための理由が少なかったからな。エルメスの滝に打たれてる時間が長かったんだよ。つまり、殺戮を繰り返してたのがいけないわけだ」
エルメス「そんなぁ!」
ホルウェン「基本的に、“心”の件とは関係してない私は、蚊帳の外って感じ」
エリック「心の剣。なんだかかっこいい」
GM「んでは、そろそろバレーツィンを出るかい? 何かやり残したこととかある?」
エルメス「私は特に」
ホルウェン「右に……うなじ」
エリック「そう、それ! 右にうなじ」
GM「じゃあ、バレーツィンを出て、エルメスが裸になって打たれてた滝を経由して洞窟に向かいまひょ」
エルメス「滝はいいから……」

◆ ドラフ復活 ◆

GM「滝が見えてくる場所に来ると、近隣部族の男の子たちが……」
エルメス「こ、来なくていいから!」
GM「『あ、裸のねーちゃんだ!』『久しぶりー』少年が4人くらい走ってくるよ」
エルメス「に、逃げよう。エリック、走って」
エリック「なんで?」
エルメス「いいから!」
GM「走る?」
エリック「あんまり乗り気じゃない」
GM「リーザはクエスチョンマーク」
エルメス「しくしく」
GM「じゃあ、子供たちが追いついた。『ねーちゃん、教会は見つかったか?』」
エルメス「ええ、おかげさまで」
GM「『お礼を言いに来たんだな? いいぜ、また胸を触ってやるよ』『ほら、鎧脱いで服まくれよ』」
エリック「エルメスをじとーっと見よう」
エルメス「誤解しないでね?」
エリック「何を?」
エルメス「何をって言われると困るんだけど……。放っておいて行きましょう」
GM「じゃあ、子供たちが口々に言うよ。『胸! 胸!』『胸触らせろよー!』『脱げ脱げ!』『裸見せて! 俺まだ見てねーし!』」
エリック「大人気だな、エルメス。俺も裸見たいけど」
エルメス「い、嫌です!」
エリック「ああ、子供には見せて、俺には見せれないんだ」
エルメス「違います! これには深い深い事情が……」
エリック「まあいいや。入れたのは俺だけだし」
エルメス「入ってません!」
エリック「入れた! 絶対に入れた!」
ホルウェン「また大人の会話を子供みたいにケンカしてる」
GM「リーザは真っ赤になって俯いてるよ」
エリック「ほら見ろ、エルメス。君が刺激的なことばかり言うから、リーザが恥ずかしがってるじゃないか」
エルメス「知りません!」
GM「和やかに話しながら、さらに数日が過ぎて洞窟に到着! プルソンの死体が転がってる」
エリック「こりゃ、ひどいな」
ホルウェン「そうね。誰がやったのかしら」
エルメス「ここに崩れてるスケルトン・ウォリアーじゃない?」
エリック「白々しい……」
GM「洞窟を抜けると、君たちの前にひょっこりと見知った顔が現れる。エリックは知らないけどね」
エルメス「リランナ! 生きていたのね! ひしっ!」
GM「ちゃう。それはお前が殺した」
エルメス「殺してないもん」
エリック「エルメス、君はその子を殺したからマーファ技能を剥奪されたんだな? 人殺しはよくないぞ?」
エルメス「違うもん違うもん!」
ホルウェン「で、誰?」
GM「ドラフだね」
ホルウェン「あれ? 久しぶりね」
エルメス「え、えらくシンプルな挨拶だね」
GM「まったくだ。『ようやく追いついたぞ、ホルウェン! うがぁぁっ!』」
ホルウェン「えっと、まだクエストかかってるの?」
GM「いや、冗談。ちゃんとロールプレイしてくれ」
ホルウェン「はいはい。ドラフ、どうしてここに?」
GM「『うむ。お前の匂いを辿って……』」
ホルウェン「匂いって……。あなた、クエストは?」
GM「『うむ。栗色の髪をした旅の女性が解除してくれた』」
ホルウェン「ほんとに? 都合よくない?」
GM「『まだ幼い娘だったが、高位のプリーストのようだった。礼を言って名前を聞こうと思ったが、名乗らずに去ってしまった』」
エルメス「誰かしら」
エリック「誰だろうね。白々しく」
GM「『クリーナじゃないか?』敢えてリーザが」
エリック「なるほど! 白々しく」
GM「白々しいな。『そんなわけだから、俺も戦うぞ?』」
ホルウェン「その人はどっちに? 私もクエスト解いて欲しかったわ」
GM「『残念だったな。南の方に行ってしまった。もう追いつけないだろう』」
ホルウェン「しょうがない。ブロンズを倒しましょう。ああ、そうだ。“魔鏡”を取り返したわ」
GM「『どれだ?』」
ホルウェン「はい、これ」
GM「じゃあ、受け取って、『くくく。これだからお前は甘いんだよ! 確かに“魔鏡”はいただいた!』」
エルメス「な、何それ?」
GM「ドラフはがばっと開いた口が耳まで裂けて、全身から太くて長い茶色の毛が伸び、体長が10メートルくらいになる。『ついに真の姿に戻ることができた!』」
エリック「戦闘?」
GM「いや、冗談。ドラフは鏡を返してくれるよ。『よかったな、ホルウェン』」
エルメス「な、なんなの、もう!」
ホルウェン「これからブロンズを倒しに行くけど、あなたも来なさいね」
GM「『もちろんだ。そして……』」
ホルウェン「そして?」
GM「『いや、その後のことは生き延びてから考えよう』」
ホルウェン「縁起でもないこと言わないで。ちゃんとみんなで生き延びよう」
GM「『そうだな。生命点が10点しかないお前が生き残れるよう、俺も頑張るよ』」
ホルウェン「う、うるさい」
GM「じゃあ、強力……かどうかはわからんが、仲間も加えて北上だな」
エルメス「こうなると、ケロケロケロッピも出てきそうだね」
エリック「それは誰だい?」
エルメス「ケロケロ言う人よ」
エリック「愉快だな」
エルメス「ええ、愉快だったわ。彼がいると、どんなシリアスな場面もコミカルになるの」
GM「それはプレイヤーのせいだろう」
エリック「失礼な!」

◆ ブロンズ・パ=ロット ◆

GM「もう余計なプレイは一切しないね。武器のあるっていう洞窟に着いた」
エルメス「な、なんだか味気ない」
GM「最後にダラダラやるの、好きじゃないから。ほら、最近のRPGは、ラスボスの前で回復とセーブができるじゃんね、大抵。だからもう、今回はその感覚で」
エリック「じゃあ、振り向くとそこにブロンズが?」
GM「いや、まずはケロケロと合流だな。君たちが洞窟まで来て中を覗きこんでると、ふと声をかけられる。『おや? 見知った顔でケロケロ』」
エルメス「コーディ!」
ホルウェン「久しぶりね」
GM「『久しぶりでケロケロ。ああ、そうだ。フレウレッティだけど、残念ながらあの後、悪い奴らに強奪されてしまったケロケロ』」
エルメス「そ、そうなんだ。でも、あなたが無事でよかったわ」
エリック「それは告白?」
エルメス「え? 違うけど……」
GM「ケロヨーンは真っ赤になるか。『あ、ありがとう、エルメス。僕も、君とこうして再会できて嬉しいよ』」
エルメス「うっ……。ご、誤解よ、誤解」
GM「『エルメス……』」
エルメス「ひえー。エリックにしがみつこう」
エリック「こいつは俺のでケロケロ。もう入れたケロケロ」
エルメス「それは違うけど」
GM「『違うって言ってるケロケロ!』」
エルメス「いや、そうじゃなくて」
エリック「ほら、入れたことを認めたでケロケロ!」
ホルウェン「もう無茶苦茶ね。人間って不思議ね、ドラフ」
GM「『そうケロケロな、ホルウェン』」
ホルウェン「ドラフ、あなたまで……」
エルメス「それで、コーディ。あなた、こんなところで何してるの?」
エリック「七英雄のお前が、こんなところで何をしている」
GM「『先に武器を押さえようと思って、ラムリアースで武器の場所を調べてきたでケロケロ』」
エルメス「武器は壊せるの?」
GM「『見てみないとわからんケロケロ。ただ、可能性があることはやるでケロケロ』」
ホルウェン「殊勝な心がけね。じゃあ、武器とやらを見に行く?」
エリック「レッツーラゴ」
エルメス「レッツラゴーゴー!」
GM「じゃあ、洞窟に入って5メートルくらい歩くと、そこに武器が……」
エルメス「それは、冗談か何か?」
ホルウェン「5メートル……」
GM「ばかでかい斧だね。ハルバードみたいな感じ。明らかに魔法の光を帯びてる」
エルメス「で、壊せそう?」
GM「まさか」
エリック「地面を掘って、隠すか」
GM「相当でかいよ。長さが10メートルくらいある。斧の刃の部分が3メートルくらいかな」
エルメス「やっぱり、これを持つべき主を倒すしかないようね」
GM「君がそう呟くと、背後から声がする。『君たちに倒されるほど、もうろくしていないよ』」
エリック「ブロンズ?」
GM「そうでケロケロ。ブロンズ一行」
エリック「言おうかな。マルショシアスが復活したら、“心”が戻るって話じゃなかったのか? お前ら、クリーナもだましたのか?」
GM「『フレウレッティ様のご命令だったからな』」
エルメス「そのフレウレッティが私たちのこの場所を教えてくれたわ。彼はもう、マルショシアスの復活は望んでいない」
GM「『残念なことだ。だが、私は望んでいる。偉大なる神の復活を!』」
ホルウェン「なんのために?」
GM「『いい質問だ、エルフの娘! それは、私の趣味だ!』」
エリック「…………」
エルメス「…………」
GM「『偉大なる神をうっとりと眺めながら、甘い紅茶で朝のひと時を味わうのが、私の夢なのだ!』」
エリック「帰ろうか」
エルメス「バカバカしくなってきた」
ホルウェン「わ、私は倒さないといけない理由があるから」
エリック「で、本当は何?」
GM「彼はムオー教団の教義に賛成してるんだよ。マルショシアスを復活させて、魔法使いたちを根絶やしにすることやね」
エルメス「悪っぽくなったね」
GM「しかし、ラスボスがブロンズ・パ=ロットで、オランから来た奴がガルガン・ルー。なんとも情けない名前の連中が残ったな」
エリック「まあまあ。ケフカのラスボスも似たようなもんじゃん」
GM「それはそうか。んじゃ、戦闘やね。ドラフとコーディは雪島がやって。リーザは由佳里ちゃん」
エルメス「うわ! いいな、いいな! 私もやりたい。ドラフかコーディのどっちかちょうだい!」
GM「ダメー。お前はミーシュがいないからあきらめろ」
エルメス「ガンダは?」
GM「お前は、この最終戦において、あの頭の悪そうな、いかにも脇役のドワーフで満足なのか?」
エルメス「うぅ……」
GM「安心しや。いっぱい回避させてやるから」
エルメス「う、嬉しくない……」

◆ 最終決戦! ◆

GM「まずこっちのメンバーだ。ブロンズ、プリースト5、ファイター3」
エリック「強敵だ」
GM「それから、ダークエルフ。プリースト4、シャーマン4。神はマルショシアスだから、ダークプリーストじゃない」
エルメス「クリーナはダークプリーストだったね」
GM「あれはムオー教団の一員じゃないからな。ああ、突っ込まれないと寂しいから言っておくと、こいつがミーシュの村を襲ったダークエルフだから」
エリック「ああ、そういえば、忘れてた」
GM「次、ファイター4の金属鎧、両手剣。髭が生えてるから、髭ガンダムと命名した」
ホルウェン「わ、わかりやすいですね……」
GM「それから、小柄蛙顔のシーフ。レベルは4。東京タワーはファイターが4」
エルメス「それは、そういう形状をしてるの?」
GM「東京タワーみたいな形をした男だ。最後にマルショシアスはこのデータね」

 ということで、これが敵メンバーのデータ。

 ■ブロンズ・パ=ロット
 敏捷14/生命15(7)/精神14(7)/攻撃5/回避5/打撃11(片剣)/追加5/防御11(革)/プリ5(7)、ファ3

 ■ダークエルフ
 敏捷21/生命11(5)/精神22(7)/攻撃0/回避0/打撃7(片剣)/追加0/防御7(革)/プリ4(7)、シャ4(7)

 ■髭ガンダム
 敏捷17/生命18(7)/精神17(6)/攻撃7/回避5/打撃25(両剣)/追加7/防御25(金属)/ファ4

 ■小柄蛙顔
 敏捷16/生命13(6)/精神15(6)/攻撃6/回避6/打撃6(片剣)/追加6/防御6(革)/シー4

 ■東京タワー
 敏捷14/生命13(6)/精神15(6)/攻撃6/回避6/打撃15(片剣)/追加6/防御13(革)/ファ4

 ■マルショシアス(武器を持つ前。武器を持ったら手が付けられない)
 ML5/敏捷12/生命25(7)/精神18(6)/攻撃5(素手):5(尾)/回避4/打撃点11(素手):13(尾)/防御点8
 各ラウンドで1D6を振り、6の場合は炎を吐く。10メートル、個人、魔力8、20レート。

 ちなみに、ドラフとコーディも加えたPCのデータも載せます。→これ

GM「行動順は、21のダークエルフが最初か?」
ホルウェン「次、私の19ですね」
GM「18の人は?」
リーザ「私18♪」
GM「だいぶ歳食ったな」
リーザ「年齢じゃないし!」
GM「17は? こっちは髭ガンダムが17」
エルメス「17♪ 年齢は18」
エリック「ぼちぼち1歳くらいプラスになりそうだな」
エルメス「結構期間の長いキャンペーンだもんね」
エリック「『子供たちの冒険』は全然時間の立たないキャンペーンだったけどね」
コーディ「俺が17でケロケロ」
GM「リプレイでは、エリックとコーディの発言とか分けるから、それを意識して発言してくれな。ほずえは別に普通でいいが」
エルメス「えっぐえっぐ」
エリック「新手の泣き方かい?」
エルメス「ええ」
GM「次、16。小柄蛙顔が16だ」
エリック「エリックとドラフが16」
GM「発言分けて」
エリック「む、難しい……。『俺が16』『俺も16』」
エルメス「面白いね、それ」
GM「じゃあ、それからブロンズと東京タワー、最後にマルショシアスだな」

 1. ダークエルフ
 2. ホルウェン
 3. リーザ
 4. エルメス、コーディ、髭ガンダム
 5. エリック、ドラフ、小柄蛙顔
 6. ブロンズ、東京タワー
 7. マルショシアス

GM「0ラウンド目は戦闘準備ね。魔法使い勢は味方に魔法をかけていいよ」
ホルウェン「ファイア・ウェポンとプロテクションね」
エリック「カウンター・マジックも捨てがたいけど」
ホルウェン「とりあえずプロテクションはみんなにかけましょう」
エリック「じゃあ、そっちは俺が受け持とう。どうせ1で使えるなら、俺が使った方がいい」
ホルウェン「なるほど〜。じゃあ、私はファイア・ウェポンを」
エリック「魔晶石全部使って、(ころころころころ)あう。1回1ゾロ振ったから、7回で全員に(残り精神点11)」
ホルウェン「じゃあ、エルメス、リーザ、ドラフ、コーディにファイア・ウェポン。魔晶石1つ使います。(ころころころころ)全部成功で(残り精神点6、魔晶石×2)」
エルメス「トランスしていい?」
GM「いいよ。復活した神の奇跡を」
エリック「胸を触らせて復活した奇跡を!」
エルメス「違うもん! じゃあ、回復2回分残して、7トランス。(ころころ)成功ね(残り精神点5)」
ホルウェン「これで13まで復活♪」
GM「じゃあ、配置も決めようか」
エリック「了解」

<1ラウンド目>

fig.1 1ラウンド目開始前


GM「じゃあ、ダークエルフからね」
エリック「ドキドキ」
GM「大丈夫だよ。男に告白する趣味はないから」
エルメス「ドキドキ」
GM「じゃあ、エルメスに告白」
エルメス「きゃっ」
ホルウェン「なんだろう、このノリは……」
GM「ドラフにバインディング。(ころころ)16ね(残り精神点19)」
ドラフ「高い……。うりゃっ! 11は17!」
GM「ちっ」
ホルウェン「ブロンズの精神力抵抗は7ですか〜。じゃあ、ミュートで純粋な振り合いしようかな」
GM「それはちょっと届かない。20メートル弱離れてると思って」
ホルウェン「東京タワー、髭ガンダム、ダークエルフにライトニングは打てます?」
GM「どれか二人で」
ホルウェン「じゃあ、髭ガンダムとダークエルフ。魔晶石一つ使います。せあっ! (ころころ)うっ……。11(残り精神点10、魔晶石×1)」
GM「髭は……抵抗。ダークエルフは……抵抗」
ホルウェン「悲しい。(ころころ)回ってた。髭ガンダムに13発、ダークエルフに11発」
GM「打撃の出目は相当いいな(髭の残り生命点9、ダークエルフの残り生命点4)」
エリック「早くもダークエルフを倒せそう」
リーザ「マルショシアスにしか行けないから、神殺しの称号をもらいに。7は14と言って神殺し」
GM「罰当たりなヤツめ。どうぞ」
リーザ「あぅ。10発」
GM「2点受けた(残り生命点23)」
エルメス「髭ガンダムに攻撃。10は18」
GM「それはもう、人間には躱せない」
エルメス「唸れ、エルメスソード! (ころころ)唸った」
エリック「まず一人」
エルメス「23発」
GM「14発も受けた。-5か。(ころころ)生きてるね」
エルメス「ちっ」
ホルウェン「エルメス、また剥奪されるよ?」
エルメス「あわわ。マーファ様、今のは自衛のための舌打ちです!」
コーディ「なんだそれ! リーザが不安だから、マルショシアスに行くケロ。9は16」
GM「お前ら、出目がいいな」
コーディ「最後の最後で奮闘。12発」
GM「6振ってそんなに来るのか。さすが腕力シーフ(残り生命点19)」
エリック「ダークエルフにファイアボール」
GM「一人だけになるけどいい?」
エリック「いいよ。リッチに。(ころころ)くっ……11(残り精神点6)」
GM「それは抵抗だな」
エリック「じゃあ、11発」
GM「7点受けて、-3? (ころころ)生死判定は無事」
エリック「ちっ」
エルメス「舌打ちとかすると、ソーサラー技能剥奪されるよ?」
エリック「何それー!」
ドラフ「東京タワーに攻撃。7は13」
GM「東京タワーに攻撃って、なんかすごいな。12しかないからどうぞ」
ドラフ「じゃあ、14発」
GM「7点受けた(残り生命点6)。なんかこう、予想外にぼこぼこにされてるなぁ。蛙はエルメスに12と言って攻撃」
エルメス「そんなの、寝てても受けない」
GM「くそぅ。ブロンズはキュアー・ウーンズをダークエルフに。10点回復ね(ブロンズの残り精神点13、ダークエルフの残り生命点7)」
エリック「やっぱりプリースト二人ってのが痛い」
ホルウェン「倒しても倒しても?」
エリック「そういう感触、ふにふに」
エルメス「先輩、どんどんお兄ちゃんみたいに……」
エリック「今のは、クッションの感触であって、決して胸じゃ……」
エルメス「胸じゃん」
GM「東京タワーは目の前にいるヤツに。7は13」
ドラフ「余裕♪」
GM「出目が悪い……。マルショシアスはまず1D6だな。(ころころ)おっと、炎」
エリック「ひえー」
GM「偶数リーザ。(ころころ)リーザね」
リーザ「うわーん。チェムぅぅ……」
GM「(ころころ)あ、ごめん。17発」
リーザ「きゃん☆」
GM「ああ、ちょっと待って。まず抵抗か。振り直そう。14で」
リーザ「びっくりしたー。(ころころ)抵抗です♪」
GM「今日、お前らみんな出目がいいな。11発」
リーザ「5点ですね(残り生命点11)」

<2ラウンド目>

fig.2 2ラウンド目開始前


GM「ダークエルフはエルメスにスリープ。(ころころ)なんかもう、今日期待値以上が出ない。5は12(残り精神点14)」
エルメス「それは……抵抗……あれ?」
GM「ふぅ。まず一人」

※ごめんなさい。これ、接触魔法です。

エルメス「ふえ〜ん! これ、自発的に起きれる?」
GM「一生寝てて」
エルメス「うえ〜ん!」
ホルウェン「エルメスにディスペル〜」
GM「それも届かん」
エルメス「ぐすっ」
ホルウェン「ブロンズに回復されると鬱陶しいから、髭ガンダムにとどめでも刺そうか?」
エリック「恐ろしや、恐ろしや」
ホルウェン「いいです?」
エリック「いいよ」
エルメス「マーファ様はダメって言ってる気がするけど、寝てるから。すやすや」
ホルウェン「最後の魔晶石で、ウィスプ。7は14」
GM「倒れてるヤツって抵抗できるのかな? どうぞ」
ホルウェン「じゃあ、11発で」
GM「-15だな。さすがに死んだ。敵討ちで、このラウンドでエルメスを殺そう」
エルメス「えーっ! エリックさん、助けて」
エリック「ど、努力する」
リーザ「再び神殺し。10は17」
GM「本当に出目がいいな。くれくれ」
リーザ「14発です」
GM「6点受けた(残り生命点13)」
エルメス「私寝てる」
コーディ「じゃあ、リーザを手伝おう。ケローンアタック。12だって。いまいち」
GM「でも避けれない罠」
コーディ「11発ね」
GM「3点か(残り生命点10)」
エリック「愛のディスペル。(ころころ)6とか振った。でも13(残り精神点4)」
エルメス「達成値が低くて助かった」
ドラフ「東京タワーに立ち向かう。出目が落ちてきた12」
GM「出目が上がってきた。回避ね」
ドラフ「嫌な流れ……」
GM「エルメスは-2で回避して。8は14」
エルメス「だ、だめ……。私も落ちてきた」
GM「(ころころ)反撃ターイム」
エルメス「ええっ!」
GM「(ころころ)ちっ。そこで止まると、所詮シーフ。13発」
エルメス「2点受けた(残り生命点19)」
GM「ブロンズは、偶数がコーディ。(ころころ)またリーザね。フォースは15(残り精神点11)」
リーザ「6ゾロ♪」
GM「くそぅ。じゃあ、10発」
リーザ「4点受けて、残り7……。ちょっと不安」
GM「東京はドラフに。5は11と言って二人の世界」
ドラフ「楽々回避と言って二人の世界」
GM「マルショシアスは、まず1D6……通常攻撃ね。奇数がリーザ。(ころころ)あ、またリーザ」
リーザ「いじめだ……」
GM「15と11ね」
リーザ「16と17です♪」
GM「ちょっと弱かったかも……」

<3ラウンド目>

GM「そろそろダメージ魔法使おう。エルメスに15と言ってストーンブラスト(残り精神点8)」
エルメス「ぎりぎり抵抗」
GM「つまんねー! しかも低い。8発」
エルメス「また2点かな?(残り生命点17)」
ホルウェン「このラウンドでマルショシアスの息の根を止めよう! ストーンブラストは8は15(残り精神点8)」
GM「どうぞ」
ホルウェン「14発♪」
GM「高ぇ!(残り生命点1)」
リーザ「じゃあ、とどめを。6は13と言って神殺し」
GM「いいよ。君、絶対に呪われるから」
リーザ「きっと大丈夫。(ころころ)回った!」
GM「呪ってやる。爆発して黒い液体が飛び散るから」
リーザ「えーっ! 18発」
GM「-9ね。おっ、一応生き延びた」
エルメス「蛙にピョン。18」
GM「なんだそれ! 絶対に無理」
エルメス「ピョン。15発」
GM「(ころころ)うぉ……。落ちぶれるところまで落ちぶれた。素通りで-2。3振って……辛うじて平気か」
コーディ「ケロ。過去に決着を付けるケロ。攻撃は当たって、1クリが19発」
GM「-20になった。もうどうすることもできない。神は逝った」
エリック「普通に蛙にとどめ。距離あるけど、1ゾロ以外は当たるよね?」
GM「まあな。エルメスがきっと止める」
エリック「7発」
エルメス「いけないわ、エリックさん」
エリック「危ない、エルメス! ぐさっ!」
エルメス「きゃあ!」
ホルウェン「何してるんだろ……」
GM「-5になって……今度は逝った」
ドラフ「後3人。東京タワーに……ダメダメ。9」
GM「さすがにそれには当たらない。ブロンズは寂しいから、コーディとリーザにフォースね。15と14(残り精神点4)」
コーディ「15で抵抗」
リーザ「同じく♪」
GM「つまんねー! 9発ずつ」
コーディ「残り19」
リーザ「残り4だけど、もうたぶん平気」

※神が逝ったのに魔法が使えるのかというのはやや疑問だが、気にしない方向で。

GM「東京タワーはドラフに。16、最後の輝き」
ドラフ「じゃあ、もらってあげよう」
GM「ありがと。回らんかな〜。(ころころ)全然ダメ。10発」
ドラフ「ぐはっ! 1点受けた!(残り生命点16)」
GM「くそぅ。神はいないから、次のラウンドだな」

<4ラウンド目>

fig.3 4ラウンド目開始前


GM「もういいや。4人にストーンブラスト。1がエルメス、2がエリック、3がコーディ、4がドラフ、5がホルウェン、6がリーザね。(ころころ)エリック、リーザ、ドラフ、エルメス」
リーザ「や、やばいかも……」
GM「抵抗して。エリックが……もう嫌。10。リーザが17、死んだな。ドラフが15。エルメスが13(残り精神点2)」
エリック「余裕で抵抗」
リーザ「本当に死ぬかも。(ころころ)しかも1ゾロ……」
エリック「ユーノス家のことは忘れよう。俺は依頼を受けなかった」
リーザ「うわーん!」
ドラフ「ここもダメ」
エルメス「全然ダメ」
GM「じゃあ、ダメージね。エリックが10発。リーザが11発、ドラフが1クリの21発、エルメスが11発」
エリック「5点受けて、残り9」
リーザ「5点受けて、-1。また生死判定……」
エルメス「由佳里、よく振るよね」
リーザ「行きます。(ころころ)ふぅ、無事!」
エリック「ユーノス家に無事に送り届けることができそうだ」
ドラフ「16点も受けた。ちょうど0になって、生死判定は……大丈夫」
エルメス「5点受けて12」
ホルウェン「私も倍がけしよっと。遠距離射撃を後ろの二人に。ダークエルフが15、ブロンズが13(残り精神点4)」
GM「両方抵抗ね」
ホルウェン「残念。8発、11発」
GM「じわじわと(ダークエルフの残り生命点3、ブロンズの残り生命点9)」
エルメス「ハーフエルフは死んだから、私。ダークエルフに15と言って攻撃」
リーザ「生きてるもん!」
GM「回避ないから、ダメダメちゃん」
エルメス「サクッとするのは後味悪いから、ここで殺っちゃいたいなぁ。ダメか……12発」
GM「5点受けた。-2だな。生死判定は無事ね」
コーディ「ケロヨーンはブロンズに。11は18」
GM「それは無理」
コーディ「回んない。13発」
GM「6点受けた。後3だな」
エリック「じゃあ、ダークエルフにとどめを刺しに」
エルメス「いけないわ、エリック!」
エリック「攻撃は当たって、9発」
GM「またエルメスに?」
エリック「どくんだ! グサッ!」
エルメス「ぐふっ……」
エリック「どうしてっ!?」
ホルウェン「またやってる……」
GM「うい。死んだ死んだ。じゃあブロンズは、さっきから倒れてる人間をぎたぎたにされてるから、リーザでも殺そうかな」
リーザ「や、やめて……」
GM「一人くらい犠牲が出た方が美しいだろ。倒れてる二人にフォース放って、自分も倒れるか。『こうなればお前たちも道連れだ!』」
エルメス「えー! 本当にするの!?」
エリック「や、やめろ! と怒鳴ってみよう」
GM「『黙れ! 倒れている人間に剣を突き立てたり、魔法を撃ったりするのが、お前らのやり方なんだろう?』ってことで、リーザとドラフにフォースね。リーザは、ごめん。回って18発。ドラフは8発。ブロンズは精神点が0になってばったり」
リーザ「うぅ……。本当に死んじゃいました」
ドラフ「(ころころ)あ、無事♪」
ホルウェン「ドラフ……良かった……」
エリック「ひたすら絶望的に叫ぼう。リーザ!!」
リーザ「-13の憐れな死体が……」
エリック「な、なんてことだ……」
エルメス「なんてことみ先輩……」
ホルウェン「なんてことみさん……」

◆ 戦い終えて…… ◆

 その後、東京タワーは降参。
 感情的になっているエリックが殺すと宣言するが……。

エルメス「いけないわ、エリック」
エリック「どうして! こいつら、リーザを殺したんだぞ?」
エルメス「マーファ様はそういうことはしちゃいけないって言ってるわ」
エリック「俺はマーファの神官じゃないし」
エルメス「いいえ、いけません。この人たちは、ラムリアースの憲兵に突き出しましょう」
エリック「納得いかない。そうだ、じゃあダイスで決めよう。俺と2D6を振り合え」
エルメス「エ、エリックさん……」
ホルウェン「すごいことになってきた……」
エリック「(ころころ)8だ。さあ、エルメス。君の信仰を見せてみろ」
エルメス「な、何それ……。(ころころ)ふぅ。エリック。私、あなたにどこまでもついていくって決めたの」
GM「じゃあ、殺すのね?」
エリック「グサッ、グサッ!」
GM「ホルウェンは止めない?」
ホルウェン「私はリーザを殺されてむかついてますから。あんな子供を……怒りにプルプル」
エルメス「じゃあ、そっちは見ないようにして、ドラフの回復を」
ホルウェン「いいわ。それは私がやるから」
エルメス「ええ、じゃあお願いね」
GM「そういうわけで、ムオー教団は壊滅、マルショシアスも倒せましたっと」
エリック「で、“心”は?」
GM「ああ、忘れてた。君たちが倒したマルショシアスの体から、ふわふわと雪のように白い雪が……」
エルメス「それは雪なの? 雪のように白い“心”なの?」
GM「雪。“心”がふわふわと舞い上がって、やがて薄くなって消えていく」
エリック「……き、消えちゃったぞ?」
エルメス「消えちゃったね」
ホルウェン「あの、どうなったの?」
GM「さぁ」
エリック「とにかく、バレーツィンに。ああ、リーザは傷口だけ綺麗にして、引きずっていくから。生まれが貴族だし、金出して生き返らせてもらおう」
エルメス「この子、お金持ちの娘さんなの?」
エリック「ああ。無事に帰らせろっていう依頼だったんだが……」
エルメス「そう……」
ホルウェン「ドラフのクエスト解いてくれた人なら治せるかもね」
エリック「クリーナか……。かもしれないけど、あの子はきっともう、俺の前には現れないだろう」
エルメス「一晩だけの熱いロマンス?」
エリック「いや、別に何もなかったぞ? 証人もいなくなったし」
ホルウェン「鬼! ああ、そうだ。私とドラフは帰ろうかな」
GM「じゃあ、ドラフで何か言いたいことがあれば、雪島やってね」
ドラフ「うい。ホルウェン、俺たちは行くか?」
ホルウェン「そうね。鏡は取り戻したし、クエストも消えたし。ああ、エルメスには悪いけど、どっちにしろ、ブロンズは殺さないと私のクエストが解けなかった」
エルメス「そうね。もういいわ、あのことは。行ってしまうの?」
ホルウェン「ええ。短い間だったけど、楽しかったわ。握手握手」
エルメス「ぎゅっ」
ドラフ「握手握手」
GM「じゃあ、エリックがぎゅっ」
ドラフ「う、嬉しくない! エルメス!」
エルメス「はいはい。ぎゅっ」
GM「じゃあ、エルメスたちと別れた二人をやろう」
ドラフ「これからどうするんだ? 村に戻るのか?」
ホルウェン「まさか。村に戻ったら鏡のことで怒られるだろうし、また外に出られなくなるわ。あなたは帰りたいの?」
ドラフ「俺はもう、帰ったところで老いて死ぬだけだ。せっかく人間の世界にも触れたし、これから本格的に冒険者ってのになろうと思う」
ホルウェン「じゃあ私も、冒険者になって魔法の勉強をしようかしら。あ、エルメスの指輪。まあいいわ。これは記念に……」
エルメス「だ、だめ! 返してね」
ホルウェン「残念」
GM「じゃあ、ホルウェンとドラフは、魔法の勉強するならラムリアースがいいだろう。北に向けて旅立って行ったと。また新しい冒険を求めて」
ドラフ「完!」
GM「じゃあ、コーディだな。コーディは?」
コーディ「僕も北ケロケロ。二人に追いついて、途中まで一緒にって誘う」
エルメス「バレーツィンには来ないの?」
コーディ「行く理由がないし、リウスたちには会いたくないケロケロ。エルメス、気を付けるケロケロよ」
エルメス「ええ。ありがとう、コーディ。ぎゅっ」
コーディ「ぎゅっ。じゃあ、ホルウェンに追いつこう。おーい!」
ホルウェン「あ、ケロヨーン。あんたも国に帰るのね?」
コーディ「ああ。一緒に行くでケロケロ。ラムリアースを案内するケロ」
ホルウェン「お願いするわ」
GM「うし。三人は綺麗に消えたな」
ホルウェン「消えたとか言わないでください!」
エルメス「あはは」
エリック「じゃあ、俺たちはバレーツィンだ。壊滅してたらどうしよう」

◆ バレーツィンの落日 ◆

GM「じゃあ、バレーツィンと呼ばれていた場所だ」
エルメス「な、何それ!」
GM「もう誰もいないよ」
エリック「バカな! オランの人間は?」
GM「いないねぇ」
エルメス「死体がゴロゴロ?」
GM「いや、別に」
エリック「もうみんな引っ越したんだな。俺たちも人間だから、新しいバレーツィンの場所も、俺たちに知られないように、何も言わずに……」
エルメス「そうね……。リウス……」
GM「じゃあ、君たちがぼけーっと突っ立ってると、後ろから呼びかけられるよ。『エルメス、エリック』」
エルメス「振り向こう」
GM「リウスと元ふわふわ娘だ。今では瞳に生気が戻って、すっかり元気」
エルメス「治ったの?」
GM「『ええ。マルショシアスを倒してくれたんですね』と、リウス。シルファが一歩前に出て頭を下げるよ。『あなた方にはご迷惑をおかけしました。本当にごめんなさい。そして、ありがとう』」
エリック「いや。俺たちを待っていたのか?」
GM「『どうしてもお礼を言いたくて。リウスに無理言って』」
エリック「他のみんなは、もう新しい土地に行ったんだな?」
GM「『そうです』とリウス。『オランの第一陣は撃退しました。あなたの言っていたガルガン・ルーも殺しました』」
エリック「仕方ないさ。別に友達だったわけでもないし、気にしないでくれ」
エルメス「リウスたちも、もう行くの?」
GM「『ええ。恐らく、もう会うことはないでしょう』」
エルメス「そうね。さようなら、リウス」
GM「『さようなら、エルメス』『さようなら、二人とも』と言って、二人は去っていく」
エルメス「手を振ろう……ちょっと涙ぐみながら」
エリック「そっと肩を抱いてみるテスト」
エルメス「エリックさん……」
エリック「エルメス……優しくキスをしてみるテスト。ちゅっ☆」
エルメス「ん……♪」
GM「じゃあ、次はオランだな」
エリック「とっても憂鬱……」

◆ リーザ復活! ◆

GM「オランだ」
エルメス「どうするの? エリック」
エリック「ごめんなさいって書いた紙を貼った棺桶を、屋敷の前に捨てて逃げようか」
エルメス「……そうね」
GM「マジかよ!」
エリック「お金、どれくらいある? 生き返らせれそう?」
GM「厳しいんじゃない?」
エリック「ここで捕まったら最後がダメダメだ。エルメスは顔が割れてないから、エルメスにお願いしよう」
エルメス「うぅ……。わかりました。その代わり、今度ソフトクリームおごってくださいね」
エリック「安いな。100個でも200個でも」
エルメス「じゃあ、ユーノス家とかいうところに行こう」
エリック「エルメスの肩にゲマでも載せておこう」
エルメス「すいませーん」
GM「執事が出てくる。ワギャンだ」
エリック「最後の最後が、ブロンズ、ガルガン、ワギャン」
GM「『どちら様ですかな?』」
エルメス「あの、えっとですねぇ、その、大変申し上げにくいのですが……」
GM「ワギャンと一緒に女の子もいる。ゲマはチェムだとわかる。棺桶を見て震えてるよ。ワギャンも青ざめる。『ま、まさか……いや、もしやそんな……いや、まさか……』」
エルメス「えっと、その、リーザさんは敵の罠にかかって……仲間と一緒に……」
GM「『そんな! リーザぁぁぁあーん! あーん!』チェムが棺桶にすがりつく。『せ、せっかくチェムさんが治ったと言うのに、神よ!』」
エルメス「じゃあ、そういうことで」
GM「『お待ちください! 状況を詳しく……』」
エルメス「えっと、私は旅の冒険者で、こう、エリックの特徴を挙げながら、その男の人が傷付いた身体を引きずって私のところに来たんです。そして、リーザさんの死体を私に渡して、『どうかこの子を、オランのユーノス家に……』って言って、バタッと」
GM「『おおっ! では、エリック殿は死んでしまったと!?』」
エルメス「エリックさんって言うんですかー。いえ、はい、彼はもう……。私は事情もよくわかりませんが、彼の最期の言葉を実現させようと……」
GM「『ああ、リーザ! リーザはきっと私たちが生き返らせてあげるからね!』とチェム。ワギャンも泣きながら何度も頷いてから、君の名前を聞くけど」
エルメス「あー、別にいいかな? エルメスです。じゃあ、そういうことで」
GM「うむ。では、後日談だ。リーザはユーノス家や、チェムの家の人たちや、その他の、オランの誘拐事件の被害者の親族が金を出し合って無事に生き返った。リーザはエリックが死んで、エルメスが連れてきたって話を聞かされるよ」
エリック「そ、そう来た……?」
リーザ「そうなんだ……。エリックは、私を助けるために、自分は死んで、エルメスに私を……。ごめん、エリック……うわーん!」
エリック「生きてるし……」
リーザ「そうだ。エリックの故郷に行って、お兄さんにこのことを伝えなくちゃ……。旅に出よう」
エリック「ああ、是非そうしてくれ」
GM「じゃあ、リーザは生き返ってしばらくしてから、旅に出ると。レイドで再会だな」
リーザ「わくわく」

◆ 二つの結婚式 ◆

GM「いよいよラストだ。長い長い旅の果て、ついに君たちはレイドに帰ってきた」
エリック「その間に、二人は何度も肌を重ね、もうすっかり大人の関係に」
エルメス「う……うん」
エリック「うわ! 素直!」
エルメス「ソフトクリームで売却された」
エリック「そ、そうなんだ……」
GM「じゃあ、レイドに着くと、ログラムとミンフが飛んでくる。『エリック!』」
エリック「と、飛んだ!」
GM「飛んでないから」
エリック「兄さん!」
GM「『エリック! ひしっ!』」
エリック「う、美しくない……」
GM「『よく戻ってきてくれた。ミンフと二人でずっと待っていたんだ!』」
エリック「ミンフは元に戻ったんだな。よかった、本当によかった」
GM「『ああ、ありがとう! エルメスちゃんもありがとう』」
エルメス「ちゃん……。ええ、いえ、よかったです」
GM「『エリックが戻ってきてくれた。これでようやく結婚できる』」
エリック「まだしてなかったのか?」
GM「『当たり前だろう。恩人のお前の無事もわからんのに、自分たちだけ幸せになれるか!』」
エルメス「じゃあ、すぐにでも結婚?」
GM「『いや、色々準備もあるし。お前たちも準備があるだろ?』」
エルメス「私たち?」
エリック「なるなる。デュアル結婚式?」
GM「ダブルって言え!」
エルメス「意味がわかって赤くなろう」
エリック「じゃあ、兄さんはどっかに押しのけて、ちゃんとプロポーズを……。エルメス」
エルメス「は、はい」
エリック「あの、俺と結婚してくれないか?」
エルメス「エリック……。ええ、喜んで!」
エリック「ひしっ! そしてキス!」
エルメス「ああ、エリックさん!」
GM「うむ、感動的だ。ここでクリーナのカースが解けるとよかったが、まあしょうがない」
エリック「言うな」
GM「じゃあ、準備にひと月くらいかかって、いよいよ盛大に祝おうとする前夜、リーザがやって来るよ」
リーザ「ようやく到着♪ 家の場所もわかったけど、なんて言おう」
エリック「その夜はエルメスと激しくセック……」
エルメス「明日は結婚式ね。ドキドキ」
エリック「セッ……」
リーザ「コンコン」
エリック「自分の家だし、出ようかな。はいはい」
リーザ「あの、私……って、あれ?」
エリック「リーザじゃないか! おおっ! ひしっ!」
リーザ「きゃあ!」
エルメス「うわ! エリック、何してるの!?」
エリック「ご、ごめん。女の子を見ると抱きしめずにはいられなくて」
エルメス「もう!」
リーザ「無事だったの? エリック!」
エリック「ああ、どうして死んだと思ったんだ?」
リーザ「だ、だって、ワギャンが……。エルメスが、エリックは死んだって……」
エルメス「…………」
エリック「…………」
リーザ「そっか、無事だったんだ。良かった、うん、良かった」
エルメス「ごめんなさい、リーザ。仕方なかったの。ねえ、明日結婚式なの。あなたも友達として参列してね」
リーザ「結婚!? おめでとう♪ もちろん参加させてもらうよ」
GM「じゃあ、その夜はリーザも家に泊まって、幸せいっぱいの二人。まさかそんな二人が、翌日の結婚式で、あんな悲しい事件に巻き込まれようとは……ジ・エンド」
エルメス「えー! ちゃんと綺麗に終わってよ!」
GM「はいはい。じゃあ、翌日です。近隣の人々がわんさか集まり、ギルドのシドランとかも来て、それはもう盛大なことみ。なんてったって、ダブル結婚式! 町はお祭りのような盛り上がりだ!」
エルメス「ああ、たくさんの人が私たちを祝福してくれてるのね」
エリック「そうだな」
GM「そんなとき、ふと空が曇って、降魔核……は降ってこないけど……」
エルメス「もう!」
GM「綺麗に締めてくれ。もうGMがすることは何もない」
エリック「じゃあ、誓いの言葉を。エルメス、君は神を信じるかい?」
エルメス「ええ、エリックさん。マーファの信者ですから。あなたは神を信じますか?」
エリック「いや、別に」
エルメス「エリック……ひしっ!」
エリック「はぎゅっ! 愛してる、エルメス。熱い口づけを!」
エルメス「それに答えるように。そしてブーケはリーザのところに」
リーザ「素直に喜ぼう。エリック、エルメス! お幸せに!」
GM「なんか、ちょっと微妙な気がしないでもなかったが、きっと綺麗に終わったんだろう。そうして、二人は末永く幸せに暮らしましたとさ。……そう、あの日、傷付いたニィルスレイトが訪ねてくるまでは……」
エルメス「だから、なんでそういう余計なこと言うの!」
GM「いやいや」

◆ 反省 ◆

水原(GM)「終わったー!」
由佳里(ホルウェン)「終わりました!」
雪島(エリック)「お、終わった……」
ほずえ(エルメス)「なんでそんな、絶望っぽく言うんですか!」
雪島「いや、なんかみんな嬉しそうだったから、つい」
水原「それは俺が余計なことを言うのと同じ心境だな?」
ほずえ「もう! 綺麗に終わってよ!」
水原「綺麗に終わったな。リーザが来て良かった」
由佳里「はい。最後に蚊帳の外じゃなくて良かったです♪」
水原「殺した甲斐があったな」
ほずえ「本当に殺すんだもん!」
水原「お前らが、気絶した人間をグサグサ刺すから。残酷な奴らだ」
ほずえ「だって、キュアー・ウーンズが来ると面倒だし。っていうか、私は止めた。ちょっとだけだけど」
雪島「まあ、米軍のイラク人虐待と同じで、戦場だと気分が昂揚して、ろくなことしないわけよ」
水原「肯定化すな。しかし、敵が弱かったなぁ。出目が悪かったのもあるが」
由佳里「死にました」
水原「あれは意図的に殺しただけ。ドラフの方が生き残ったのが意外」
雪島「死んだときの感動的な台詞とか考えてたんだけどね」
水原「ちょっと期待してた。すでに気絶してたが、最期の言葉を言わせてあげようと思ってたし」
ほずえ「それにしても、本当に完結したんだねー。4年……。15歳だった私も、今じゃ16……」
水原「それ、前聞いた。4年っても、断続的にやってたわけじゃないから、間を抜けば、実際7ヶ月くらいだな」
雪島「これで、次は『子供たちの冒険』ね」
水原「おう。春から忙しくなりそうだから、年度内に完結させよう」
雪島「頑張るよ」
由佳里「なんにしても、初参加のTRPGがちゃんと完結してよかったです」
ほずえ「私も、これが初めてだった」
水原「うむ。俺も、ちゃんとキャンペーンを完結させたの、初めてかも」
雪島「良かったねー」
水原「なんだよ、その他人事みたいな言い方は!」
雪島「私はいっぱい完結させてるから」
水原「じゃあ、『エリックとエルメス』はこれで終了だ。間が空いてマジで悪かったな」
由佳里「いえ、別にいいです♪ お疲れ様でした〜」
ほずえ「マジで悪いよ。まあいいや。お疲れ様♪」
雪島「お疲れさん」
水原「おう。無事完結♪」


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