S.W.RPG in MU宅


■はじめに
 大学時代に友人たちと、水原のGMで行ったS.W.RPGのキャンペーンの話をした。HDDの中からその時の記録が出てきたので、掲載してみようと思う。
 GMは水原渉で、元々某TRPGサークルに所属していた、大のTRPG好き。メインプレイヤーはMUともりくん。この二人は、水原が無理矢理引き込み、これが初TRPG。定かではないが、TRPGという存在を知っていたかも怪しい。時々水上も参加していた覚えがあるが、彼はMUやもりくんよりはずっとTRPGに馴染みがあった。
 この後、水原はサークルでも何度かキャンペーンのGMを行ったが、これほど長く続いたキャンペーンはない。ただし、このキャンペーンは熱意の低下と同時に、物語が変な方向に走り始めたことにより、13回で途中終了している。

2004/10/28 水原


■第1部 “ギガンゲン編”第1回 1997/10/14
 中原の都市レムリア。そこで彼らは邂逅する。人間の戦士シュウ、エルフの精霊使いツァオン、ドワーフの神官戦士アビラバ。女魔術師エルゼの呼びかけで集った彼らは、彼女の受けた依頼を共に果たすべく、冒険者としてのその第一歩を踏み出す。
 依頼の内容は、最近レムリアで起こっている少女失踪事件の究明。三人はエルゼとともに事件を調査し、ついにそれが誘拐事件であり、且つ犯人はゼイスという名の者であることを知る。そして彼らはその男の居場所を突き止め、これを倒して、彼の口から事件の真相を知る。
 曰く、「我々は上の者から送られてくる薬を抵抗力の少ない子供に飲ませ、何か変化を生じたときはそれを報告せよと言われている。それ以外のことは、これが何の薬かさえ知らされていない。上の者の名はキュール。レイドに住んでいる。行きたければ行けばいい。お前たちでは、返り討ちにあうのがオチだ」
 彼らはレムリアの街の警備の者にゼイスらを引き渡した後、レイドに向かうべく南に旅立つ。

■第1部 “ギガンゲン編”第2回 1997/10/15
 レムリアを出た一行が、南の大都市ロマールへの道の途中で出会ったのは一人の若い女性だった。「お願いしません。助けないでください!」開口一番そう言って、女性はツァオンに抱きついた。どうやら山賊から逃げていたようで、その後彼女を追って山賊どもが現れる。
 一行は労せずこれを撃破し、女性を救う。「ありがとうございませんでした。私の名前はフェルスといいません」彼女の独特の(そりゃもう、本当に独特の)話し方が彼らを困惑させる。以下、彼女の台詞を抜粋する。
「私は高レベルのバードではありません。ここから少し行ったところに洞窟がなくて、そのない洞窟の中に伝説のリュートがないんです。お願いしません。私と一緒にそのリュートを探さないでください」
 一行は彼女の手伝いをするべく、その洞窟を探し出し、これを探索する。やがて彼らは不思議な鏡を抜けて、一面真っ白の部屋に辿り着く。部屋がいくつも連なっていて、先に進んでいく内に、彼らはそこで一人のフェアリーを見つける。フェアリーは全裸で猿ぐつわをされ、全身を縄で縛られて捕まっていた。
 怯えるこのフェアリーから、唯一彼女と話が出来るツァオンが聞くに、どうやら彼女はとある男に捕まってここに縛られていた。ここにあった、リュートが入っていたと思しき箱はその男が持っていった。「助けてください」そう、フェアリーは懇願する。
 一行はフェアリーを連れて鏡を抜け、外に出る。ところがそこは、元いた道ではなかった。眼前に巨大な街。北東の果て、アルマ。
 彼らの振り向いたそこに、洞窟はなかった。

■第1部 “ギガンゲン編”第3回 1997/10/19
 アルマに入った一行は、さらに驚くべき事態と遭遇する。なんと、レムリアにいたときから、一年の歳月が流れていたのだ。驚きつつも、彼らは行動を開始する。
 まずツァオンシュウフェルスの三人は、フェアリーの服を買うべく服屋に入る。そこで店員の女性にフェアリーの正体がバレてしまい、服屋を出た彼らは、裏路地で衛兵に囲まれる。「少しそちらの女性のことで話がある」
 一方、アビラバエルゼは宿をとるべく酒場にいた。そこで二人はリュースというシーフと出会い、三人と同様、エルゼの呼びかけで一緒に行動することになる。
 酒場を出た三人は、衛兵ともめている仲間達と合流する。そして七人は、衛兵らと共にこの街の警備を“海賊王”ギアースから任されている、ワール・ミア・ナーディンという貴族の屋敷に行く。
 ワールの家は代々フェネスの神官の家系であった。フェアリーの件で特に問題なしと判断された彼らは、ワールから頼み事を受ける。「実は私にはスィシスという娘がいて、今年で16になる。すーーーーーんごく可愛くていい子なんだが、誰に似たんだかおてんばで、馬に乗っては槍をぶんぶんと振り回す毎日。最近では冒険者に憧れるようになって、私も妻も困っている。そこで君たちに頼みたいのだが、娘に冒険者になることを諦めさせて欲しい。冒険というものがどれだけ辛く苦しいことかを、娘に身をもってわからせて欲しいのだ」
 リュースの提案で、彼らはあらかじめ計画された冒険にスィシスをつれていくことにする。内容は大体このようなもの。アビラバエルゼがさらわれる。情報を集める内に、さらった者達が南の洞窟にいると知る。洞窟の中には大きな壺があって、彼らがそこに行くとさらった者達が、「一足遅かったな。お前たちの仲間は今頃この中で骨すら残っていないだろう」と言う。彼らは憤り、その者達と戦い、負ける。そして一人残ったスィシスに、「お前だけでも逃げろ!」と言う。そしてそれにより、スィシスは冒険が嫌いになるであろう。
 計画は、初めからハプニングに見回れた。フェアリーがいなくなってしまったのだ。仲間が言う。「ツァオン。お前が道具扱いばかりするから怒って行ってしまったんだ」
 それ以降は計画は順調にいき、洞窟からスィシスが一人で逃げ出す。後は街の外で使いの者が報酬を持って来てくれるのを待つばかり。ところが、翌日彼らの許に来た報は、スィシスが帰ってきてないということだった。
 一行はこれを調査し、スィシスをさらったのが洞窟で敵役を務めた者達であることを知る。そして彼らの居場所を突き止め、乗り込むのだが、そこで彼らはボロボロになったフェアリーを発見する。曰く、「ツァオンさんが私を道具としか扱ってくれないので、どうしていいかわからなくて、あてもなく街を歩いていました。そうしたらあの人達がスィシスさんをさらおうって話してるのを聞いてしまって、それで……。勝手なことをしてごめんなさい」(注:ミスです。フェアリーは共通語がわかりません)
 その後、一行は苦戦の末彼らを撃破する。そしてスィシスを助けて、ワールの許へ行き、一晩泊まっていくとことになる。
 その夜、ツァオンフェアリーに呼び出される。「ツァオンさん。私はこれからどうしたらいいですか? もしツァオンさんにとっても私は、(初めに私をさらった者と同様)ただの道具でしかないなら、私はここでお別れします」返答に困るツァオン。結局、「わかりました。ツァオンさんが私の力を必要としているなら、私もついていきます。ただ、私も一人では妖精界への道を探すことはできませんので、力をお貸しする代わりに、探すのに協力してください」という、非常に素っ気ない、互いの利益の一致のみの関係となった。
 翌朝、ワールが彼らを呼び出し、言う。「ご苦労だった、金はやる。さっさと出ていってくれ」一行は突然のワールの対応に腹を立てながらも、仕方なく金をもらって街を出る。そして、街を出てすぐ、彼らは道で待っていたスィシスに会う。曰く、「あなた方と冒険をして、とっても楽しかったです。そうお父さんに話したら、お父さん、『あの冒険者ども……』って怒ってしまって。私、お父さんに冒険に出たいって言いました。もちろん、『ダメだ』って言われたけど。だから、抜け出して来ちゃった。お願いです。私も連れていってください」
 初めはワールの依頼のこともあって断るシュウを、金をここに置いていけば問題ないと皆で説得し、それをシュウも承諾。スィシスは彼らと行動をともにすることになる。

■第1部 “ギガンゲン編”第4回 1997/10/22
 一路テッザに向かう一行に、突然26体の狼が襲いかかった。一行は一瞬慌てたものの、いと易くこれを撃破。その後リュースが、森の中にそれを見ていたと思しき人影を見つけるが、逃げられてしまう。
 再び旅を続ける一行は、その道の途中で、雨とそれに伴う土砂崩れのために足止めを食らう。“財宝の街道”沿いの宿場村。そこは同じように足止めを食らった者達でいっぱいだった。
 村で話を聞くと、どうもこの雨はもう2週間も降り続けているらしい。しかもツァオンが調べるに、雨にはウンディーネが働いていない。彼らは村長の依頼でこの怪奇現象を調査する。
 犯人は明らかに人工のものと思しき雲の渦巻く山の山頂に居を構えていた。一行が乗り込むと、そこで待ち構えていたのは20歳ほどの若い女性だった。女性の名はイリス・セリシア・ヴァリアナート。彼らがやめるよう要請すると、彼女はあっさりとそれを承諾する。ところが、彼女は明らかに普通の人ではなかった。精神状態もそうであったが、なによりもまず、人間を食べ物にしていたのだ。
 一行がどうしたものか相談していると、彼女はフェアリーを見て、「そのフェアリーギガンゲンがさらってきたものですね。研究に必要なものなので返していただきます」そう言うと、フェアリーをテレポート(!)で飛ばしてしまう。そして彼女もまた、テレポートで自らを飛ばし、後には意味不明な研究材料だけが残った。
 ほんの50秒ほどの出来事だった。

<第4回・怒濤の50秒>

◎1ラウンド目
 イリス、フェアリーの方に歩き始める。「そのフェアリーは研究に必要なものなので、返していただきます」
 彼ら、攻撃するも効かず。
◎2ラウンド目
 イリス、フェアリーの手を掴む。シュウ「何の研究に使うんだ!?」
 リュースの攻撃がクリット。イリスにごくわずかのダメージを与える。
◎3ラウンド目
 イリス「まだ決めてません。ただ、フェアリーの翼が必要なんです。その研究ですから」にこっと笑って『テレポート』(!)でフェアリーを飛ばす。
◎4ラウンド目
 リュース、決死の覚悟でイリスのミスリル銀製のソードを盗む。これが成功!
 ところが、イリス「それは必要なものなのでお渡しするわけにはいきません」にこっと笑って『アポート』で取り返す。
◎5ラウンド目
 リュース「なら、何ならくれる?」
 イリス「そうですね。せっかくですからその棚のダガーでも差し上げます」にこっと笑ってそう言って、『テレポート』で行ってしまう。
 リュース、ミスリル銀製(+1)のダガーを入手する。

<人物>

シュウ : 勇者ミドル・クリスティンに憧れて家を飛び出す。レムリアに住んでいた。
ツァオン : 姉を殺した男を探して旅に出る。マエリムの森のエルフ。
アビラバ : 強く美しい武器を求めて放浪中。ドワーフの男。
リュース : ロドーリルのシーフ。アルマに海を見に来ていた。
エルゼ・カルステ : 最初の依頼人。容易くパーティーを集めたすごい人。
フェルス : 「お願いしません。助けないでください!」の人。リュートを探すバード。
フェアリー : 白い鏡の部屋に捕まっていた。再び捕まってしまう。
スィシス・ミア・ナーディン : 冒険者に憧れて家を抜け出したアルマの貴族の娘。
ワール・ミア・ナーディン : スィシスの父親。フェネスの神官。アルマの警備を務める。
ゼイス : レムリア東の村で妙な研究をしていた人。現在レムリアの牢屋の中。
キュール : ゼイスに薬を送っていた男。レイドに住んでいるとのこと。
ギガンゲン : ゲーエン「行く」の過去分詞。フェアリーをさらった張本人。
イリス・セリシア・ヴァリアナート : ラヴェルナ+ジェノア張りの強力な女性魔術師。

■第1部 “ギガンゲン編”第5回 1997/10/25
「ねえねえ、シュウさん。この街にABC(仮)っていうおいしい果物があるんですよ。せっかくですから食べていきましょう!」テッザに入るや否やエルゼがそう言って、一行は果物屋さんに。ところが、「いやぁ。ABC、今ないんだよ。今年はなんでかしゃんが、ひっっっっっっっとつもなんなくてね」彼らは『エルゼのお願い』(何故か二重鍵)で、これを調査する。
 ABCのなる木の下で犯人を待っていると、彼らは20体のイーグルに襲われる。そしてこれを撃破した後、先日の狼の一件と同じような人影を見る。しかし、追いかけるが逃げられてしまう。
 犯人はダダンガーという男で、数日後、ひょっこり現れた。ABCを、妙な薬を木に注入することによって、一つの大きなABCにしようとして失敗したらしい。一行はシュウの24点クリット(イリスでも倒れる)によって、これを呆気なくぶちのめす。
 注)オールアドリブの40分冗談シナリオだから、『ABC』とか『ダダンガー』とか、妙ちくりんな名前は気にしてはいけない。

■第1部 “ギガンゲン編”第6回 1997/10/28
 テッザからムディールへの道の途中、一行は今度は2体の虎に襲われる。多少手こずって倒した後、リュースがそこにグラスランナーの女の子の姿を認める。追いかけるが、やはり逃げられてしまう。
 ムディールで彼らは事件に巻き込まれる。夜、「歌いに行ってきません」と言って夕方に出ていったきり、帰ってこないフェルスを心配して街に繰り出すと、彼らは女性の悲鳴を聞く。行ってみると、そこには心臓を刳り貫かれた女性の死体があった。
 警備の者を呼ぶと、ここ数日で5人殺されていること、皆同じように心臓を刳り貫かれて死んでいた他、殺された場所にも年齢層にも何にも繋がりがないことなどがわかる。さらにこれが今日二件目で、一件目の関係者と思しき人物は拘束したと知るが、それはなんとフェルスだった。警備の者曰く、「殺された人の側にいて、我々が行くと自分から『私が犯人です』と言ってきた。おかしいとは思ったが、放すわけにもいかない」彼らはフェルスを解放するために事件の調査を開始する。
 翌朝、彼らの許に一人の中年の男性がやってくる。名をクレークといい、いなくなった娘キューナを探して欲しいとのこと。彼らはこの依頼を受け、殺人事件と同時に調べる。そして得た情報が、殺人事件の起こり始めは1週間前であること、キューナと同じようにいなくなった女性が他にも3人いること、それが全部2週間前であること、殺した犯人は4人組で、内一人は髪の長い女性だったこと、ローブを着たキューナをスラムの方で見た人がいること。彼らはスラムへ向かう。
 情報を辿って行き着いた場所は、一軒の廃屋だった。中には5人の女性。内一人は冒険者風で、名をルイーネと言った。曰く、「私たちはある男に捕らえられています。魔法的な結界が張られていて、ここから出られません。助けを求めたら、親や兄弟を殺すと脅されています」一行の、「ローブを着て外に出ていたのを見たという者がいるのですが」という質問に対しては、彼女たちは知らない、そんな覚えはないと答える。何かに操られているようだと、彼らは考える。
 翌日、情報を集めるエルゼを一本のダガーが襲った。あからさまにエルゼに向けられた殺気を感知したシュウだったが、間に合わず、ダガーはエルゼの右肩深く突き刺さった。犯人は、その影すら見ることなく逃げられてしまう。
 情報を集め、時は経ち、彼らは警備の者に事情を話して彼女たちの親兄弟を保護してもらった後、再び彼女たちの廃屋に行く。するとそこで、丁度廃屋から出てきたグラスランナーの女の子を見る。間違いなく、あのときの女の子だった。
 彼らは女の子のことは置いておき、急いで廃屋に入る。そこにはローブや武器を手にした女の子達がいた。そして戦闘へ。「イリス様やギガンゲン様の邪魔をする奴は殺す」
 つまりこういうことだった。犯人はこの女の子達で、捕らえられていたというのは嘘だった。彼女たちはここに自主的にいて、イリスの研究のために人を殺しては人間の心臓を集めていた。彼らはこのルイーネという女が、ギガンゲンの配下かつイリスと面識のある者だと知る。
 戦いは苦戦だった。先に4人の女性を気絶させた後、彼らはルイーネと対峙する。「ラ・フィムリム・イリシアシス・ナ・カトーヤ」彼女がそう唱えると、彼女の剣の刀身が強い炎をまとった。彼らは戦い、やがて彼女を追いつめる。そして彼女は剣を振るった。
 ぼうっと、炎が吹き上がり、辺りを焦がした。炎の中、シュウの一撃が彼女を昏倒させる。炎はやがて館を飲み込み、彼らはやっとのことでそこから逃げ出す。その時、キューナは助けられたが、他の3人は館とともに炎に包まれた。
 ルイーネの剣「フレア・ブレード」を没収し、彼女を警備に突き出した後、一行は依頼料をもらい、南に向けて旅立った。

《  フレア・ブレード  》
 知名度=24
 魔力付与者=イリス・セリシア・ヴァリアナート
 形状=刀身がうっすらと血の赤に光るレイピア
 必要筋力=10
 基本取引価格=不明
 魔力=儀式と合言葉により、攻撃力、追加ダメージに+2。打撃力+15。
 このレイピアは、『血肉と髪の儀式』(※)を受けた者が決められた合言葉を唱えると、刃に炎がまとい、打撃力だけでなく、攻撃力も大幅に上昇する。また念じて振ることにより、精神力を消費して、“スピリットウォール・サラマンダー”の効果がある。

※血肉と髪の儀式 : 然るべき日に処女の血で清めた剣を、祭壇に裸で寝かせた女性の腹に突き立て、祈りを捧げた後、その女性の髪を数本、魔力を吹き込んだ状態で刀身に埋め込む……らしい。今回の場合当然、血と髪の提供者=祭壇で寝かされた女性=ルイーネ。イリスって何やってるんだろうね、一体……。とにかくいろんな意味ですごい人だ。

■第1部 “ギガンゲン編”第7回 1997/11/01
 フォスの街で、夜、宿で寝ていたエルゼが、先刻から執拗に彼女を追い回していたグラスランナーの女の子に襲われる。幸いシュウ達が踏み込んだおかげで、エルゼは多少の怪我を負っただけですんだが、縛り上げられた女の子が驚くべきことを言う。「この人殺し。兄ちゃんを返せ!」
 ミミュール(通称mule(泣))という名のこのグラスランナーの女の子が言うに、彼女の兄はエルゼそっくりの女に半年ほど前に殺された。そして、その女と一緒にいた男が、彼女を「エルゼ」と呼んだ。
 ミミュールが嘘を言っているとはとても思えなかったが、だからといって、半年前は自分たちはこの世(次元)に存在していない。彼らは悩む。そして、グラスランナーの女の子をとりあえず同行させ、真犯人を見つけるとともに、実際のエルゼがそんなことをする人間ではないということを証明しようとする。
 一方で夜中、エルゼシュウは街を歩いていた。「あのグラスランナーの女の子の言っていた人……私の妹かもしれません」エルゼの話では、彼女には二人の妹(次女サリスと三女ミラン)と一人の弟(スターツ)がいて、両親と共に皆で仲良く暮らしていた。ところがある日、突然サリスが両親を殺し、エルゼ達も殺そうとした。このときミランは何とか逃げ出したが、弟のスターツは殺されてしまったそうだ。
 翌朝、ミミュールが言う。「あたしはこれからみんなと一緒に行くから、ギガンゲンさんのとこに行ってくる。しばらく来れないからって言ってこなくちゃ」彼らはミミュールギガンゲンの配下であることは知っていたが、これを聞いて一緒に行くと言う。ミミュールはもちろん賛成する。このときミミュールは、彼らをイリスの友人だと思っていた。
 “思い人の街道”を西はミードの方に歩くこと5日、街道からやや北に外れた山脈の麓に、木々に隠れた洞窟があった。ここがギガンゲンのアジトに続く道であるとミュールは言う。彼女の話では、ギガンゲンは空の上にいて、この洞窟の奥にそこへ行くための魔法の装置があるらしい(???)。さらに洞窟は複雑で、知らない者が入ると生きては出られないとのこと。彼らはミミュールの道案内を頼りに洞窟へ足を踏み入れる。
 ところがっっ! 入った洞窟の形はミミュールの知っているそれではなかった。「こんなはずじゃ……」彼らは罠と魔物と戦いながら先へ進み、ついにそこに辿り着く。そこには光の柱が立っていて、彼らがそこへ入ると、ふわりと身体が持ち上がり、洞窟を出て空へ昇っていった。眼下には広大なる“墜ちた都市”レックス。その向こうにはオランが見えた。
 やがて、雲を抜け、そこには半径1kmほどの島が浮かんでいた。島の周りには無数の巨大な水晶が立ち並び、その中央に、真っ黒に光る建物が建っていた。「あれがギガンゲンさんの屋敷です」
 彼らはゆっくりと島に降り立った。(イメージ的に、『イースII』のオープニング)

■第1部 “ギガンゲン編”最終回 1997/11/05
 第4ソティアン。レックスの遙か上空に浮かぶ島の上に建つ、真っ黒く輝く石とも金属ともつかぬ物質で出来たこの建物は、イリスらの間ではこう呼ばれている。
 内部には無数の研究室が並び、古代の知恵が凝縮された器具が、もはや失われた方法により絶え間なく、未だ知れぬ目的のために動き続けている。
 この第4ソティアンを拠点に活動、及び研究をしているのが、フェアリーをさらった張本人にして、イリス配下“オラン・東方支部長”ギガンゲン。ゲーエン「行く」の過去分詞である。
 ソティアンに入った一行は、そんな数々の装置や、謎めいた書物、凄まじい魔力を帯びた道具を横目に、探索を進める。やがて彼らはロンスキアンなるジャベリンを手に入れ、鍵をあばき、ギガンゲンらの部屋に辿り着く。
 そこには巨大な四つの水晶が、丁度正方形の四つ角を為し、ギガンゲンと、その部下であるラグランジュベルヌーイリッカチが立っていた。「ここで何をしている?」誰かが言うと、「研究だ」ギガンゲンが答えた。「そうだ。丁度今、魔力の充填が完了したところだ。お前たちにも見せてやろう」言い終えてから、彼が何かを呟くと、突然真っ白な光が一条、大地に向かって迸り、山を貫いた。唖然とする一行に、ギガンゲンが言う。「邪魔をしないと約束すれば帰してやる」
 「ふざけるな!」と、シュウ。「それよりフェアリーはどうした!?」「あのフェアリーなら逃げた。なんでも不思議な力に護られてるとかいないとか。そうイリス様がおっしゃったおられた」「そうか……それを聞いて安心した」シュウはすらりと剣を抜く。
 戦闘は(GMのオープンダイスによって行われたが、出目があまりにも悪かったので、GMが予想していたよりは遙かに)呆気なく終了した。最も、呆気なくとはいえ、かなりの苦戦をしたのは否定できないが。彼らはソティアンにあった伝説のリュートをフェルスに渡し、捕まっていた人々を解放し、実験器具を叩き壊して島をレックスの一角に沈める。
 その夜、人々は皆、こぞって街に帰り、フェルスもまた、彼らに唄を残して去る。「私には戦闘は似合いすぎています」そして翌日、ギガンゲンの正体を知ったミミュールの姿もまた、その場から消えていた。
 さあ、オランへ行こう……。
 その時だった。ざっ、と土の踏む音がして、振り向くとそこに、二人の女性が立っていた。一人はまだ幼い、恐らく15、6の少女。そしてもう一人は若い魔術師。名をイリス・セリシア・ヴァリアナートという。「あなた方は、あくまで私の邪魔をするのですね」彼らは剣を抜き、それと同時にイリスの傍らの少女も剣を抜く。「ユリア……殺してはいけませんよ」イリスのその一言が戦闘の合図となった。
 戦いは、当然のごとく、彼らの敗北で幕を閉じた。開始早々、イリスの鬼の8倍がけ“ペトリフィケーション”で、彼らは皆石にされてしまった。
 それからイリスはにこりと微笑んで、シュウの方に歩み寄る。「その剣は私がルイーネにあげたものです。ですが、ただ返していただくだけというのもあんまりですので、代わりのこの剣を差し上げましょう」そう言ってイリスシュウからフレア・ブレードを取ると、代わりに一本の剣を彼の石化した手に握らせた。
「それではさようなら。ユリア、行きましょう」
 どれくらい経ったろう。秋が過ぎて冬が来て、雪が降り、雨が降り、冷たい風が吹いては魔物達が夜な夜な啼き叫び、そして春が訪れる。
 半年後……。彼らの前に、一人の女性が現れた。全身ローブに包まれたその女性は、迷わずツァオンの前に来ると、さっとフッドをまくった。中から出てきたのは、紛れもなくフェアリーだった。「お久しぶりです、皆さん」
 フェアリーが何かを囁き、手を振り目を閉じて祈ると、眩しいまでの光が満ち溢れ、彼らの石化が解けた。「ツァオンさん……」
 話を聞くと、フェアリーイリスの“テレポート”で、どうやら彼女の意図していたところと違うところに飛ばされたらしい。それからフェアリーは姿を隠し、彼らの足跡を辿って、とうとうここに辿り着いたのだそうだ。
「さあ。オランへ行きましょう」
 彼らは再び歩き始めた……。

《  ロンスキアン  》
 知名度=18
 魔力付与者=不明
 形状=わずかに青白く輝くジャベリン
 必要筋力=5
 基本取引価格=不明
 魔力=攻撃力に+1。打撃力+15。クリティカル値10。
 このジャベリンは、直線上にいる敵に投げつけたとき、必ず当たるという特徴を持つ。

<人物>

ルイーネ・アユラー : ギガンゲンの配下にして、イリスのお気に入りの少女。
ミミュール : エルゼを付け狙うグラスランナーの女の子。エルゼに兄を殺されたという。
サリス・カルステ : エルゼの妹。ある日突然身内を皆殺しにする。
ミラン・カルステ : エルゼ、サリスの妹。姉の魔の手からは逃れたらしいが……。
ラグランジュ : Lagrange. だから何ってカンジだ。
ベルヌーイ : y' + P(x)y = Q(x)yα. もっと何ってカンジだ。
リッカチ : y' + P(x)y2 + Q(x)y + R(x) = 0. もういいや。
ユリア・ウェイン : イリスの右腕。16歳にして、凄腕の精霊使い。さらに戦士としても腕が立ち、ルイーネよりも強いとか……。

■第2部 “エフネ編”第1回 1997/11/06
 オーファンの騎士ヴァイスはその日、上官からローンダミスが私室で待っていると告げられ、彼の許へ赴く。私室に入ったヴァイスを待っていたのは、騎士ローンダミスと、その妻ラヴェルナだった。「唐突だが、ヴァイス。3ヶ月前にオランで起きた謎の光が山を貫き、大穴を開けたという事件は知っているか?」そう切り出したローンダミスに、首を振るヴァイスローンダミスはそれを見て続ける。
「うむ。知らぬのなら一から話そう。事件の概要は今言った通りだ。それでその事件に各国から調査団が派遣された。もちろん我らがオーファンからも出したのだが、彼らが持ち帰った情報では、どうやらこの一件、裏でキュールらが関わっているらしい。ああそうだ。キュールとはレイドで、ここ1年ほどで急激に力を付けた男でな。人さらい等をしているらしいのだが、なかなかしっぽを出さない狐で、レイドでも手を焼いているらしい。それでだ、私からお前に頼みというのは、お前にこれからレイドに行って、キュールについて調べてきてほしいのだ」
 快く頷くヴァイス。「すまない。それからついでと言っては何だが、先にラムリアースへ行き、国王にこの書状を届けてほしい」そう言って、ローンダミスヴァイスに書状を手渡し、「旅の途中、仲間は冒険者を集めるがいい。必要な金は国から出る。ただし、冒険者として行くのではないことを決して忘れるな。もちろんこれは、困っている人を放っておけと言う意味ではない。わかるな? そして最後に、旅の途中、あらゆることに関して、最終的な判断は、ヴァイス、お前に任す。自分のよかれと思うことを為すがいい」
 ローンダミスが言い終えた後、ラヴェルナが言った。「ヴァイス、この子を連れていってくれ」ラヴェルナが呼んで現れたのは、14、5歳の少年だった。「この子は故あってギアスにより言葉を喋ることができない。他は特に言うこともないが、ただ今回の一件に深く関わる人物であるとだけ言っておこう」少年の名はアルフ・ヴァリアナート。「ヴァイス。これで本当に最後だ。もし旅の途中、イリスユリアエフネという三人の若い娘に会っても、決して戦うな。これは忠告ではない。お前の身を案じた命令だと取っておけ」
 王城を出たヴァイスは、街でメーアクーアという冒険者を仲間にし、東はラムリアースに向けて旅立つ。
 グラードのとあるドワーフの鉱山村。そこで彼らは人がいなくなるという事件に巻き込まれる。旅から戻ったばかりだというその村の女魔術師ピクティーを伴って、一行は鉱山の中へ。そしてそこで彼らは、巨大な水晶の中に閉じこめられた村の人々を発見し、苦心の末これを助け出すのだが、その際、それをした自称張本人の少年のような少女と出会う。「作ったのは良かったんだけど、自分まで閉じこめられちゃって。ボクってドジだね」少女の名はフリュック・ノート・ゼイカランサ。古代ラムリアースの住人。一行は「自分の生きていた時代から500年経った現在の世界を見てみたい」というフリュックを伴って、再びラムリアースに向けて旅立った。

■第2部 “エフネ編”第2回 1997/11/12
 ラムリアースに無事密書を届けた一行は、その帰り道、“一角獣の森”の森林衛士ジュディスから頼み事をされる。曰く、「一角獣の様子がおかしい。何やら精神に乱れがあるのだ。私たちで調べようとしたのだが、森の奥の方に、何やら私たちを寄せ付けぬための結界が張ってあって、先に進むことが出来ない。どうか力を貸してほしい」彼らはもちろん良い返事をする。
 森で彼らを待っていたのは、凶暴化した一角獣と、ペガサスを駆る一人の少女だった。名をユリア・ウェインという。「薬の実験はもう終わったから、もう帰るよ。はい、これ解毒剤」一角獣を治せという彼らの発言をあっさりとそう返し、ユリアはペガサスに跨った。「あっ、ちなみに結界はあたしの力では何ともならないから。イリスの張ったものを解除するほどの力は、あたしにはないからね」そう言って、ユリアは大空高く舞い上がった。
 その時、彼女を一人のフェザーフォルクの女性が襲いかかった。ラーナル。ユリアに滅ぼされた村の生き残り。
 彼女の不意をついた一撃は、しかしあっさりとユリアに躱され、逆に返り討ちに遭う。その後一行は、ラーナルから村を滅ぼされたという話を聞き、少なからずユリアと接点を持った自分たちと一緒に行こうと誘う。ラーナルは初め迷ったが、最終的には彼らとともに行くことにした。
 注)森林衛士など、あまり詳しい知識を持ってやってませんので、突っ込み不可。

■第2部 “エフネ編”第3回 1997/11/19
 ルーナムの街の手前で、突然、アルフがハーフエルフの少女に襲われる。どうやら刺客らしい。一行はこれを何とかしのぐが、少女には逃げられてしまう。
 途中、右手の森から不思議な、そして強大な魔力を感じるが、彼らはこれを無視してルーナムに入る。ルーナムで彼らはメアルス・トイレレンという、ラムリアースのとある小さな魔術師学院の者に話しかけられる。曰く、「この先の森にゲートがあり、私は学院の方でそのゲートのつながっている地下都市オイヤーの調査を命じられたのだが、ここに来て、予想だにしなかったことが起こった。ゲートから凄まじい魔力が溢れ出しているのだ。このままではいずれあの魔力が暴走し、大爆発を起こすだろう。私はそうなる前に、早急にゲートに入り、原因を究明したいのだが、一人ではあまりにも心許ない。そこでどうだろう。一緒に来てはもらえないか?」彼らは、この事件はすでにメアルス一人の問題ではないと判断し、これを引き受ける。
 地下世界に下りた彼らは、そこで地上に戻れなくなるという事態と遭遇する。そして彼らはオイヤーで、若い女村長スーファスの力添えのもと、とある村人の失態により生じた怨念の塊を撃破する。その際、彼らは森の中で血で書かれた謎の十二芒星を見つける。しかし彼らにはそれが何かわからず、地上に帰る術も結局見つけられなかった。

■第2部 “エフネ編”第4回 1997/12/03
 この想い……あなたに伝えたい……ぷっ。

俺「えっ? 今日、TRPGするの!?」
みんな「うん」
 しょ、しょんなぁ〜、シナリオないよぉ……ということで、第4回は始まった(ただし、rot grad ψは恒等的に0になるので、序文は気にしないことにする)。
GM「えっと、眼前に街が見えてきました。メーア君、どんな街に見えますか?」
メーア「う〜ん。寂れた街」
 じゃあ、そうしよう。もっと極端にして……。
GM「すると廃墟が広がってます。ここがスーファスの言っていたウンザーのようです」
クーア「魔力は感じますか?」
GM「うん」
 しまった!!
クーア「じゃあ、その魔力の感じた方に行く」
GM「そ、そうすると、そそ、そこには……『や、やあ、ボク魔力くん』」
全員「…………」
GM「『ボク魔力くん。ねえ、ボク彼女がほしい。魔力子ちゃん造って』」
ヴァイス「どうやって?」
GM「『まず埋まっちゃった魔法陣を掘り返して、中央の家から封印の指輪を持ってきて。ボク、ここから動けないんだ』」
ヴァイス「タダはヤだな。ここから出られる方法を教えてくれたら」
GM「『教える教える』さてと、みんな家捜ししてほしいもの紙に好きなだけ書いて」
 さあ、この間に敵のデータを……。
 やがて一行は指輪を持ってきて。
GM「『うんとね、この先にフクソカっていう街があって、そこにエフネっていうすごい魔術師の女の子がいるから、その娘に頼めばきっと教えてくれるよ。さあ、指輪を』」
ヴァイス「ありがとう。じゃあ」
GM「『そ、そんなぁ〜』ということで、経験点は……」
全員「おいっ! ホントに終わっていいんかい!?」
GM「(晴れ晴れと)うん!」

 ちなみに、彼らが掘り返した魔法陣と、持っていった指輪によって封じられていたのが魔力くんで、彼は身体を二つに分けられた。その片割れが魔力子ちゃん。GMがとっさに考えた設定です。『魔法陣』『封印の指輪』『動けない』という言葉から判断したのか、彼らの行動はまず正しいと言えるでしょう。

■第2部 “エフネ編”第5回 1997/12/13
 フクソカの手前で、彼らは空に浮かぶ光の球を見た。それは大地から立つ細い四本の光の柱に支えられるような格好でそこにあり、真ん中から強い光を放つ一本の細い光の筋が大地に伸びていた。
 先に進むにつれ、彼らはその細い光が四つの塔の頂上から伸びていることを知る。塔はそれぞれ、土、氷、樹、鉄でできていた。
 さらに進んだ彼らがそこで見たものは、もはや廃墟となったフクソカの街だった。
 フクソカ遺跡(決して“複素解析”ではない。断じて違う)。
 荒れ果てたその場所に、まだ立派に残っている一軒の家があった。先程の細い光の筋はその家を天井から貫いている。
 彼らは塔をあらかた調べた後、その家に入る。
 家の中には、一人の女性がいた。エリーナという名のその女性は、十二芒星の魔法陣の描かれた部屋の真ん中に、光の縄によって全裸で縛られていた。そのエリーナの腹を光の筋は貫いており、そこから流れる血が魔法陣を築いていた。
「何をしてるんです?」
 聞くと、エリーナはどうやら生け贄的存在らしい。フクソカの街を維持する魔力が衰えてきたのを知った魔道士エフネが、自らすすんでその役を買って出た彼女の苦しみを魔力に変えてこの街を維持しようとしているらしい。それがかれこれ500年あまり続いているとのこと。
「でも、もうここには街はありません」
 彼らの口からそう事実を知らされたエリーナは、今まで自分のしてきたことと尊敬するエフネに疑問を抱く。
 とにかくエフネに会って真相を聞き、出来ることならばこんなことはやめさせよう。
 彼らは勇んで土の塔に向かう。
 そこで“塔の鍵”を手に入れ、彼らは最上階へ。
 最上階で彼らと対峙したのはエフネの弟子という二人の人間だった。
エフネはどこにいる?」
エフネ様に会ってどうする気だ?」
「もちろん、こんなことはやめるよう言うつもりだ」
エフネ様の邪魔をさせるわけにはいかない」
 そう言って、二人は身構える。
 彼らは襲いかかってきた二人の弟子を苦戦の末撃破して、光の出元である魔法陣と祭壇を壊す。
 そして再びエフネを見つけるべく塔を出る。
 土の塔から立っていた光の柱はなくなっていた。

■おわりに
 7年ぶりにこれを読み返してみると、少々風呂敷を広げすぎたようにも思えるが、やはり傑作だ。変な個所も多々あるが、内輪の暇潰しで、ノリと勢いだけで突っ走ったキャンペーンにしては上出来だと思う。
 エフネ編は今となっては記憶も薄く、開始の段階ですでに熱意が冷めかけていたように思える。PCと思われるメーアとクーアが一体どんなキャラだったのかすら、この文章からでは読み取れない。
 だがギガンゲン編は、多彩なイベントと、PC、NPCともに特徴的なキャラクター構成で楽しめた。これだけ続いたということが、初めてだったMU、もりくんにTRPGの面白さを伝えられた何よりの証ではないかと思う。
 それにしても、この物語は一体どこへ向かっていたのだろうか。今となってはわからないが、イリス、ユリア、エフネの3人娘と、キャンペーンの第1回に名前が登場したキュール、そして突然両親と弟を殺したエルゼの妹のサリス。この辺りが、PCに立ちはだかる主要な敵となったのだろう。
 NPCとしては、フェアリーとアルフ。アルフはエフネ編第2回でハーフエルフの少女に襲われているが、この辺りも物語に深く関わってきそうだ。フェアリーはツァオンとどうなるか不明だが、ツァオンのプレイヤーの性格から考えると、何事もなく妖精界へ帰っていきそうである。PCの設定で、ツァオンは姉を殺されたと書いてあるので、こういうPCに依存する回も盛り込まれたかもしれない。
 このキャンペーンが途中で終了してしまったのは残念だが、する時間があり、仲間がいたときに「(確かに)やった」ということが何より嬉しい。社会人になり時間もなくなり、仲間も散り散りになってしまった今、もうこんなキャンペーンはやりたくても出来ない。


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