■ 力尽きるまで歩け(フィレンツェ版)

 フィレンツェに戻る。自分以外のツアー客14人は、確かそのほとんどが、この夜はイエローというレストランに行った。事前にコンダクターのIsabellaさんがアンケートを取った後で予約していたのだが、もちろん自分は不参加。食事も魅力的ではあるが、町の風景写真一枚の方が大事だ。
 午前中に地図を無くしてしまった関係で、ホテルの人に「Do you have a map for sightseeing?」だかなんとか聞いたら、「観光用は無いが、バスのならある」という内容のことを言われ(たぶん)、それでOKよと答えて地図をゲットした。Florence OPEN TOURというもののパンフレットである。
 特に目的地はないので、地図の上の方(つまり北)にFortezza da Bassoという、広大な五角形の場所があったのでそこに行ってみる。ちなみにfortezzaは要塞のことだが、それは今辞書で調べたのであって、この時点では何か知らなかった。もちろん、結果として要塞だったらとても良かったのだが、城壁のようなものをくぐったら、眼前にいきなりアウトレットのようなマーケットが出てきて愕然。


 結構長い距離を歩いただけにかなりのショックを受けたが、気を取り直して、今度は逆に遥か遥か南のPalazzo Pittiという場所を目的地に定める。Palazzoはたぶん英語のPalaceのことだから、綺麗な宮殿が出てくるかもしれない。
 そう思って気が遠くなるほど歩いたのだが、出てきたのがこれ。


 何かイメージと違う上、もちろん中には入れない。こんなことなら、前の日のページに載せたこの写真の、


 中央付近に見える大聖堂(Basilica di Santa Croce)にでも行けば良かったと激しく溜め息をついたが、もうどうにもならない。やはり観光地というのは観光に適したものであって、観光地に挙がっていない建物はそれほどでもないのかもしれない。
 ただ、このPalazzo Pittiだが、裏にGiardino di Boboliという、恐ろしく広大な敷地があり(Giardinoは庭園)、今Google先生に聞いたらこの庭園、結構綺麗である。つまり、ちゃんと昼に来たならここも十分楽しめたよ、ということだろう。(もう少し調べたら、PalazzoとGiardinoは別物で、別に行こうと思えば庭園だけに行けた模様。ただ、すでに足は限界の上、Palazzoの写真を見ての通りすでに日暮れ近い時間(=20時過ぎ)。庭園はホテルと逆方向だったし、行くという選択肢は存在しなかった。綺麗と知っていれば行ったと思うが……)
 とぼとぼとホテルの方に戻る。ここでヴェッキオ橋の一本西の橋を渡ったのだが、そこから見たヴェッキオ橋の夜景が綺麗だった。この一枚により、この行程は価値を得た。


 欲を言えば、もう後10分から20分、ここで待つべきだった。もう少し空が群青色だと、この写真はさらに良くなっただろう。翌日ベニスで撮影する、リアルト橋からの夜景のように。


■ Webチェックインを試みる

 実はこの日、夜遅くまでふらふらしていたのには理由があって、ちょうどこの日の夜が出国の72時間前となり、飛行機のWebチェックインが始まるのだった。飛行機の座席はとても重要で、12時間近く乗るのだから、どうしても通路側をゲットしたい。そこで、この日の21時半に、町のInternet PointからWebチェックインに挑戦するつもりだった。
 まずは腹ごしらえ。皆はイエローで美味しいものを食べているだろうが、自分は写真のような場末の店でパニーノを1つ3ユーロで食した。


 ちなみにパニーノの写真は省略するが、レタスとトマトとモッツェレラチーズの、なかなか美味しいパニーノだった。イタリアではほとんど野菜が出て来ないので(特に生野菜)、レタスやトマトがいつも以上に美味しく感じられた。
 で、地下のInternet Pointへ。フィレンツェ初日に撮影した写真に偶然写っていたので掲載する。


 ぶっちゃけ、苦戦した。観光地やレストランは、外国人観光客が来ることを想定しているが、恐らくここは想定していない。「Do you have Japanese OS?」の質問の答えが、YesなのかNoなのかすら聞き取れない。しばらく話して、挫けて一度足を出口に向けたが、心を奮い立たせて頑張った結果、「See Only, Write No」というのがわかり、それなら全然問題ないと、1ユーロ15分間お願いした。
 ちなみにこれが21時35分くらい。Isabellaさんが21時30分からと言っていたので大丈夫だろうと思ったら、実は出国時間は21時45分で、10分早かった。正直、焦る。延長するお金はいいが、それを上手く伝える自信がない。もう少し自分でしっかり確認しておけばよかったと激しく後悔したが、正確に21時45分からWebチェックインは開始し、残り2分で手続きを終えることができた。
 フィレンツェ最後の大冒険であった。