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■ 食べそびれた昼ご飯
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昼食はホールズギャップで摂ることになっていたのだが、そこまでは長い長いバスの旅。まずは実にのんびりとした車窓風景をお見せしよう。
広大な大地に、放牧された羊。他にも、牛や馬などもよく見かけた。こういう長閑な光景が延々と続く。
低く立ちこめる雲。こんなふうに晴れてみたかと思えば、次の瞬間には、
こんなふうに曇ってみたり。天気は一喜一憂。フェイリンが圧したり圧されたり。
初めは天気を気にしていたが、あまりにもコロコロ変わる天気に、最後にはもうフェイリンを信じることにして考えるのをやめた。
そんなこんなでホールズギャップに到着。今度は少し長めに時間が取られて、集合時間は確か30〜40分後の13時半。
バララットに引き続き、集合時間は正しく聞き取れていたのだが、この先我々は不覚にも、時間をほとんど気にせずに行動してしまったのだ。
これが飯を食ったところの一角。これをのんびり歩き、一番突き当たりの店に着いたときに、雨がザーッと降ってきた。
仕方なく突き当たりにあったその店で食事をすることにする。
ところが、ここがそこそこのレストランだったのだ。要するに、ファーストフードと違って、出てくるのが遅い。
しかも我々は3人とも違うものを頼み、こういうところではすべての料理をほぼ同時に出すから、ちっとも来ない。
ふと時計を見たら、もう残り15分を切っており、とうとう小生、店員さんを捕まえて、時間がない旨を伝える。
"Excuse me. We have no time. We have to be back at one thirty."
店員のおじさんは、これに「バスに戻らなくちゃ行けないんだね? ツアー?」みたいなことを言っていた。大きく頷いたが、果たしてこれによって早くなったかは微妙。
やがてギリギリになって奥から食事が現れた。「ようやく!」と思ったら、なんとそれは店員のおじさんの昼飯。彼は夫人と一緒に、優雅にランチを始めたのだ!
もうダメ。限界。ついに我々は席を立ち、会計をお願いする。
すると慌てたおじさん。ちょうど奥から料理が出てきたが、我々に残された時間は後2分。おじさんは指を1本立てて、「とにかく一口でもいいから、1分でかき込んでくれ!」みたいに訴えてきた。さすがに一口も食っていないもので金を取るのに気が引けたのだろう。
我々は鞄を肩からかけたまま席に戻り、かき込んだ。ここの飯は美味かった。
"Oh! This is very nice! Oh!"
みたいに、小生はこれをほとんど残していかなければならない無念を伝え、4、5口詰め込んだ状態で席を立って会計を済ませた。
雨の中ダッシュで戻ると、点呼が始まる直前。それでも、結果として間に合ったのだし、これもまた一つのいい思い出となった。