『 若草物語 』 あらすじ



■書名 : 若草物語(上) / 若草物語(下)
■著者 : オルコット / オルコット
■訳者 : 吉田勝江 / 吉田勝江
■定価 : 380円 / 380円
■出版社 : 角川書店 / 角川書店
■ISBN : 4-04-214111-0 / 4-04-214112-9
■初版発行日 : S61.11.25 / S61.11.25
■購入版発行 : H07.05.15 ( 12刷 ) / H07.05.15 ( 12刷 )
 
■購入日 : 2003/08/23 / 2003/08/23






−上巻・裏表紙より−


アメリカ南北戦争のころ、ニューイングランドに住むマーチ家の四姉妹たち。

信仰深くおだやかな長女メグ、活発で作家志望の次女ジョー、

はにかみやで音楽ずきな三女ベス、おしゃまで絵が上手なエーミー。

従軍牧師として戦場に出かけた父の留守中、それぞれ性格の異なる姉妹たちが、

やさしい母を中心に、喜びも悲しみも共にわかち合い

"Little Women"(小さいながらもりっぱな婦人たち)として成長していく。

オルコット女史の生い立ちそのままをテーマに描かれたこの物語は

一世紀を経た今でも世界中で読みつがれている。

一八六八年作。




第一章 巡礼ごっこ
物語は、仲の良い四姉妹が、クリスマスを間近に控えたある夕方、暖炉の火が暖かく燃える部屋で編み物をしながら、今年のクリスマスの話をしているところから始まる。今年のクリスマスはそれぞれが贈り物をやめることにしようと母親が言い、三女のベスを除く三人がそれを不満がっているのだった。もっとも、どうして母親がそう言い出したのかはわかっていたし、それには納得していたので、心底から文句を言っているわけではなかったが。

彼女たちの父親は戦役に出て不在だった。マーチ夫人は、そんな夫や、他の大勢の兵隊たちが戦争で大変な思いをしている時に、自分たちが楽しみのためにお金を使うのは良くないと言ったのだ。姉妹はそれならばせめて、持っているわずかなお金で、自分にプレゼントをしようと考える。ところが、ふと母親のスリッパを見て、それがあまりにもひどかったので、ベスが自分のお金で母親のためにスリッパを新調してあげたいと言い出した。それから姉妹が口々に、それは自分が買うのだと言い出し、ついには全員が自分のためのものをあきらめ、母親に一つずつプレゼントすることにした。

四人は毎年クリスマスに、次女のジョーが作ったお芝居をするのが恒例になっている。プレゼントの話が終わり、四人が今年のお芝居の練習をしていると、マーチ夫人が帰ってきた。この人はいかにも母親らしい人で、穏和で優しく、常に誰かのために働きたいと思っていた。姉妹は母親が大好きで、母親も娘たちを深く愛していた。

さて、マーチ夫人は戦地から送られてきた夫の手紙を携えていた。夫人がそれを読むと、姉妹は感動し、それぞれが涙しながら自らの欠点を挙げて、それを直し、少しでも良い婦人になることを決意する。マーチ夫人は子供たちに、昔よく『天路歴程』(これについての解説は略)をして遊んだことを挙げ、こう言ったのだった。

「みんなの重荷はすぐそばにあるし、道は私たちの前にあるのです、そしてね、いいことをしたいとかしあわせになりたいとかいう気持ちは私たちの道案内で、それが私たちを導いてさまざまな苦しみや間違いを通り抜けて平和なところへつれていってくれるのです、それがほんとうの天国なのよ。それじゃね、巡礼さんたち、こんどはお遊びじゃなくて、まじめになってもういっぺんやってみましょうか、お父さまのお帰りまでにどのあたりまでいけますかねぇ」

2003/10/05

第二章 楽しいクリスマス
クリスマスの日、4人は母親からそれぞれ本を贈られた。4人がしばらくそれを読んでから階下へ行くと、使用人にして、もはや家族の一員となっているハンナが母親の不在を告げる。それによると、近所の貧しい一家の子供が物を乞いに来たらしく、マーチ夫人はその家に行ったという。しばらくしてから戻ってきた母親は、子供たちにこう言ったのだった。

「ご近所にね、病気で寝ている貧乏なお母さんがいるんですよ、生まれたばかりの赤ちゃんもあるのよ、子供が六人、一つのベッドに丸くなっているの、火の気がないからそうしないとこごえ死んでしまうんです。そこのお家には食べる物が何もないの、それでね、一番上の男の子が、おなかがすいて、寒くて困ってるってお母さまのところに言いにきたんですよ。どう、みんな、あなたたちの朝ご飯をクリスマス・プレゼントに上げることにしたら?」

4人は母親の帰りを待っていてとてもお腹が空いていたが、この考えに賛同して、彼らの家に食事を運び、もてなしをするのだった。姉妹は貧しい子供たちに大層感謝され、自分たちはパンとミルクという質素な食事で済ませたが、実に満足したのだった。それから姉妹は母親にそれぞれが用意したプレゼントを贈り、楽しい一時を過ごす。

晩は10人ほどの女の子が集まって、いよいよジョー原作の芝居が行われた。それは『悲歌劇、魔女の呪い』というタイトルで、ザラと恋仲であるが彼女の父親に認めてもらえないロデリゴと、父親に反対しても彼と一緒になりたいザラ、そしてザラが好きでロデリゴを殺そうとするユーゴーと、彼にそのための薬を作りながら本当はユーゴーを亡き者にしようとしている魔女のハガーの物語である。舞台は演出、内容ともに素晴らしく、拍手喝采の内に幕を閉じた。

感動冷めやらぬ内に母親が彼女たちを呼びに来る。待っていたのは、マーチ家では出てくるはずのない豪勢な食事の数々だった。これは、今朝の彼女たちの善行を耳にしたお隣のローレンス氏が、彼女たちに与えたプレゼントだった。姉妹はすっかり感激し、それからお隣の家に住むローレンス氏の孫息子の話になる。彼女たちはローレンス家とはそれほど親しい付き合いをしていなかったが、彼女たちはこの出来事があってから、彼らに興味を抱いたのだった。

2003/10/06

第三章 ローレンス少年
日当たりの良い窓際の古い三本脚のソファの上が、ジョーのお気に入りの「隠れ家」だった。ジョーはここでリンゴをかじりながら本を読むのが大好きなのだ。長女のメグがビッグニュースを抱えてジョーを探していたときも、彼女はそこにいた。メグの持ってきた知らせとは、メグとジョーがガーディナー家の小舞踏会に招待されたというものだった。

ジョーは持っていたドレスは背中に焦げがある、手袋は汚れているという有様で、あまり気乗りしなかったが、メグがどうしてもというので行くことにした。二人は母親と妹たちに手伝ってもらって精一杯着飾ると、ガーディナー家を伺う。メグはすぐに相手を見つけて踊り出したが、ジョーはドレスの焦げを見せないためにじっと椅子に座ったまま、そんな姉を眺めていた。

その内、あまりの居心地の悪さに、隠れるようにカーテンの裏に回ると、そこには先客がいて彼女を驚かせた。それは隣家に住むローリーだった。ジョーとローリーはそこで挨拶を交わし、ローリーはジョーにせがまれるまま海外での生活を話して、二人はすっかり打ち解ける。そして人のいない細長いホールでともにポルカを踊るのだった。

さて、二人が話に夢中になっていると、メグがジョーを呼んだ。聞くと、メグは踊りの最中に足をくじいて歩けないらしい。馬車は高いし、ガーディナー家に泊まっていくわけにはいかないしと、二人は頭を悩ませる。とにかく、ハンナが迎えに来てから考えようと言うことになり、ジョーは姉のためにコーヒーを取りに行った。けれどあっという間に零してしまい、それを見たローリーが代わりにメグにコーヒーとアイスクリームを運ぶ。その時のローリーの紳士ぶりは、気むずかしいメグにさえ好感を抱かせるものだった。

ハンナが迎えに来ても結局どうしていいのか答えが出ず、マーチ家の三人は頭をひねらせていた。すると、話を聞きつけたローリーが祖父の馬車を提供すると持ちかける。三人はわずかに逡巡したが、ついには家まで送ってもらうことにした。帰りの馬車の中で、メグはアニー・モファットに気に入られて、今度泊まりに来るよう言われたことなどをジョーに話して聞かせる。ジョーもローリーとのことを話して、二人は談笑しながら家に帰った。

2003/10/09

第四章 重荷
今回は教訓的なお話である。姉妹はそれぞれ、たくさんの不平を抱えていた。メグとジョーは家を助けるために働いていたのだが、メグは元々贅沢が好きで、せこせこ働くのは嫌いだった。キング家で家庭教師をしているのだが、正月の長い休暇明けに、また仕事に行かなくてはいけないのが苦痛でたまらなかった。ジョーは足が不自由なマーチ伯母さんの世話をしていたのだが、短気で気むずかしいこの人の相手は大変だった。

ベスはピアノを弾くのが大好きだったが、家にあるピアノは古く、調子の外れた音を聞いていると悲しくなるのだった。それに、家庭的ではあったが、家でご飯の支度を手伝ったりするのも好きではなかった。末っ子のエーミーは、趣味の合わないいとこのお下がりを着せられるのが嫌でしょうがなかった。エーミーは虚栄心が強かったし、芸術的なセンスを持ち合わせていたので、品の良くない服を着せられるのは我慢ならなかったのだ。

けれどある時、それぞれが様々な体験をして自分がいかに幸せであるかに気が付く。メグはキング家の長男が悪さをし、家中が悲しみに暮れているのを見て、たとえ貧乏でも、自分がいかに恵まれた温かい家庭にいるかを実感した。ジョーはお金と暇がないために自分のしたいことができずにいたが、マーチ伯母さんを見ていたら、たとえお金があったとしても健康でなければしたいこともできないのだとわかり、自分の健康に感謝した。

ベスは買い物の最中に、とても貧しくて物を乞う女性の姿を見て、確かに食事の支度は嫌だが、あのように食べる物もなくて人に乞いすがるようなことをせずに済んでいる幸せを思った。エーミーは学校で、ある金持ちの娘が行儀の悪さに罰を受け、泣きながら教室で立たされているのを見て、たとえ装飾品で飾ったとしても、行儀が良いことの方が大切だと理解した。エーミーは数学ができなかったが、行儀の良さでは学校の模範的な生徒であり、少し気取った態度が子供たちに賞賛されていたのだ。

家族が揃っている晩に、それぞれが今日体験してきた話をした後、マーチ夫人は彼女たちの話を一つ一つ引き合いに出し、そのように自分たちの幸せを語って聞かせた。四人は母親の話に耳を傾け、そして自分たちがいかに恵まれているか、幸せであるかをしみじみと感じたのだった。

2003/10/11

第五章 お隣同士
ある冬の日、ジョーは隣家のローリー少年が、二階の窓から寂しそうにベスとエーミーの雪投げを眺めているのを目撃した。ジョーはパーティーで知り合って以来、ずっとローリーとお近づきになりたいと思っていた。それに、ローリーはいつも家に閉じ込められていて、きっとお友達を欲しがっているだろうと考えていたジョーは、この日思い切ってローリーに声をかけてみることにした。ローリーは風邪を引いて、一週間ほど寝込んだ後の病み上がりだった。ローリーは声をかけてくれたジョーに来て欲しいと思い、そう頼んだ。

ローレンス氏は馬車で出かけており、ジョーはそれを知っていたので、母親の許可を取ってから嬉々としてローリーの見舞いに行った。ローリーは身だしなみを整え、部屋を整理して紳士らしくジョーの訪問を待った。ジョーはベスから預かった子猫や、メグが作ったブラマンジュを持っており、それがローリーを喜ばせる。ローリーはジョーの姉妹のことを良く知っていた。それはいつも窓から見ているからで、ジョーはローリーの寂しさを知り、今度からは家に遊びに来てはどうかと誘った。

ジョーは自分が働きに行っているマーチ伯母さんのことや、自分たちの芝居のこと、姉妹のことを話し、ローリーは大いに喜んだ。それから本の話になると、ローリーは自分の家の様々な部屋を案内した後、図書室に連れて行った。ジョーは感動し、ローリーが医者に呼ばれて退室してからも、しばらく一人で部屋を眺めていた。すると、いつの間にかローレンス氏が帰ってきて、ジョーに声をかけた。ジョーはすぐにこの厳格な老紳士の気に入られ、ジョーもまたローレンス氏を好きになった。

帰り際、ローリーは花を切って、ジョーに「どうぞこれをお母さまに、そして、お届けくだすったお薬はたいへんけっこうでした、とお伝えください」と言った。ジョーはこれを、このときはブラマンジェのことだと思い、後からメグに、ジョー自身のことだと教えられた。ジョーは客間にグランドピアノを見つけ、それをローリーに弾いて欲しいとせがんだ。ローリーは遠慮がちにピアノを弾き、ジョーは彼をますます尊敬したが、ローレンス氏はあまり愉快でない素振りを見せた。

ジョーが姉妹にローレンス家で起きたことを話すと、姉妹は行きたくてたまらなくなった。メグは温室に、ベスはグランドピアノに、エーミーは絵画や彫刻に興味を抱いた。また、ジョーがローレンス氏が孫のピアノを嫌う理由を尋ねると、マーチ夫人は自分の考える理由を話した。ローレンス氏の息子は、イタリアで音楽をする女性と結婚したのだが、氏はそれが気に入らなく、結婚後も一度として息子の嫁に会わなかった。二人はローリーが小さい時に亡くなり、ローレンス氏がローリーを引き取ったのだが、ローリーは生まれつき音楽が好きだった。そして、彼がピアノを弾くと、氏は自分の嫌いだった女性を思い出すからではないかと、マーチ夫人は語った。

2004/06/11

第六章 ベス「美の宮殿」を見いだす
初め、マーチ家の娘たちはローレンス氏を恐れていたが、ローレンス氏がたびたびマーチ家を訪れては、面白い話をしたり、マーチ夫人と昔の話をする内に、すっかりその恐怖は取り払われた。メグは温室を訪れるようになり、ジョーは図書室で本を読み、エーミーは様々な絵の模写をして楽しんだ。ローリーも彼女たちとの付き合いに心からの楽しみを見出し、時々家を抜け出しては家庭教師のブルック先生を困らせた。

ところが、内気で臆病なベスだけは、グランドピアノに惹かれながらも、どうしても怖くてローレンス家を訪ねることができなかった。一度勇気を出して、ジョーと二人で行ってみたが、ベスが怖がりだと知らないローレンス氏が、大きな声で「やあ!」と挨拶し、ベスはすっかり怯えてしまって、たとえ大好きなピアノがあったとしても、決して行かないと言い切った。

その話を人伝に聞いたローレンス氏が、なんとかベスにピアノを弾かせてやろうと、ある日マーチ家を訪れ、こう提案する。というのは、ローリーはもうほとんどピアノは弾かないし、と言って弾かずに置いておくと悪くなるから、マーチ家の娘たちに、時々ピアノを弾きに来て欲しいと言ったのだ。その間、ローレンス氏は離れた書斎にいるし、召使いにも客間には近寄らせないようにすると約束した。ベスは初めてローレンス氏に挨拶し、自分が弾きに行くと言った。

それからベスは毎日のようにローレンス家を訪れるようになった。ローレンス氏は時々書斎の扉を開けたままにして耳を傾けたり、ローリーが廊下に立って召使いたちを近付けないようにしたりしていたが、ベスはそんなことはまったく知らずに、心からピアノを楽しんでいた。ある時ベスは、そのお礼がしたいと言って、ローレンス氏に上靴を作ろうと考える。そして、姉妹の力を借りてそれを作り上げると、ローリーの手を借りてそっとローレンス氏に届けたのだった。

上靴の反応はしばらくなく、ベスはいけないことをしたのではないかとだんだん心配になってきたが、ある日突然、マーチ家に立派なピアノが届けられた。それはローレンス氏の死んだ孫娘のもので、ローレンス氏が上靴のお礼にとプレゼントしたのである。ジョーが氏の古風で紳士的な手紙を読み終えると、ベスは歓喜のあまり、家を飛び出してローレンス氏に礼を言いに行き、皆を驚かせた。ベスはローレンス氏の前に出ると言葉をなくしてしまい、代わりに氏にキスをして、氏も大変喜んで、二人は仲良くなったのだった。

2004/06/14

第七章 エーミーの屈辱の谷
制作中

第八章 ジョー、魔王に会う
制作中

第九章 メグ、虚栄の市に行く
制作中

第十章 P・C・とP・O・
制作中

第十一章 こころみ
制作中






−下巻・裏表紙より−


貧しいながらもマーチ家の四姉妹たちは、

父の留守中それぞれに家事を手伝い、

隣家の気むずかしい老紳士とその孫息子ローリーとも仲よしになり

楽しい日々を送っていた。

ある日、父が戦場で病気という知らせが入り、母は病院へと出発。

一週間後、悪いことが重なりベスが重症の猩紅熱にかかる。

いつも静かで自分のことは後まわしで他人を気づかうベス。

三人の姉妹たちは、

彼女の存在が自分たちにとってどれほど大きいものであったかを知る。

やがて母も帰り、ベスも危機を脱し、

父も快方に向かいマーチ家には再び春が訪れる。

メグの婚約というすばらしいロマンスと共に。




第十二章 ローレンス・キャンプ
制作中

第十三章 空中楼閣
制作中

第十四章 秘密
制作中

第十五章 電報
制作中

第十六章 手紙
制作中

第十七章 小さきまごころ
制作中

第十八章 暗い日
制作中

第十九章 エーミーの遺言書
制作中

第二十章 打ち明け話
制作中

第二十一章 ローリーの悪戯とジョーの仲裁
制作中

第二十二章 楽しき野辺
制作中

第二十三章 マーチ伯母さん問題を解決す
制作中



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