明るい笑顔を絶やさない元気な少女、ジュディに訪れた運命の瞬間──。 匿名の親切な紳士ジョン・スミス氏こと、あしながおじさんに導かれた彼女は、 小さな孤児院から、広い世界へと飛び出していきます。 すばらしい学園、友達との出会い。そして輝くように貴重な日々の出来事。 ジュディの新しい人生が、大きく動きだしたのです。 DVD解説書より |
2003/09/23 第1話『運命を変えた月曜日』 期待していたより遥かに面白かった、というのが、期待度Cだったこの作品に対する誉め言葉になるかはわからないが、とにかくジュディが面白い。面白いだけでなく、女の子らしい可愛らしさもある。ドジを続けて、一人で泣いていた姿には、絵柄を超越した萌えがあった。実はこの絵柄は好きではないのだが、早くも明るい性格とストーリーがカバーしてくれそうな予感がする。 2003/09/23 第2話『ひとりぼっちの旅立ち』 な、なんだこの重い話は! 前回のギャグ調から一変、シリアスな展開。俺はこの第1話と第2話だけで、十分一つの物語になっている気さえする。最後に子供たちが来てくれて良かった。あのまま誰も来なかったら、あまりにも深すぎて、第2話にして早くも見ている子供たちがついて来れない不安に駆られた。幸先は良い。このままの緩急巧みなストーリーなら名作の予感。 2003/09/25 第3話『憧れのリンカーン記念女子学園』 怒濤のような話だった。喋り続けるジュディ。見ている方が疲れちまったよ。ふぅ。ひたすらどたばたしていたが、なかなか面白い。部屋割りは原作と違うのかな? 原作では一人部屋だった気がするが、301という部屋は相部屋で、寝室が一人部屋だから、同じという認識でいいのかな? まあ、原作との差で言うなら、根本的にジュディの歳が違うっぽいが。 2003/09/27 第4話『てんやわんやの入学式』 何というか、見ていて不憫に思えてしょうがない。別の意味でハラハラする。もっとも、この超前向き娘は、視聴者より現実にへこたれてないから大丈夫なのだが。ただ、今回ちらりと見せた寂しそうな顔を見ると、根っから前向きというより、前向きになろうと努力しているようにも見える。まあ仲良しさんも出来たし、頑張れ、ジュディ! 2003/10/02 第5話『お部屋の素敵な飾り方』 このアニメ、面白いな。スローンさんもなかなかいい味出てた。もっとも、ジュディが面白いからこの人もユーモラスに思えるのだが。サリーがいい子だ。この子もかなりのお嬢様のはずなのに、ジュディの机運びを手伝ったり、荷物の釣り上げに手を貸したり。単に付き合いがいい子なのか、それとも見た目よりも好奇心が旺盛なのか。 2003/10/07 第6話『嘘つきは嫌いですか?』 なんつー、まあ重たい話なんだ! しかし、ジュディの書いた作文はあながちすべてが嘘とも言えないな。あらゆる事実を曲解しているだけで、解釈によってはそうも取れる、という解釈もできる。まあ何にしろ、あの拍手喝采の場面で、「ジュディ・アボットはこのように実に嘘つきな娘なのです」というつなげ方は、はっと息を飲んで考えさせられる終わり方だった。 2003/10/15 第7話『金貨の上手な使いみち』 おもれー。相変わらず内容の濃い、いいアニメだ。今回、聖書の言葉を引き合いに出して、ジュディがそれに激怒していたが、確かに書いてある内容がジュリアの言ったものだけだとしたら、ジュディの解釈に激しく同意である。それにしても、ラストはまたまたはしゃいでるジュディと対照的に、しんみりとしたジュディのナレーション。この緩急がたまらない! 2003/10/31 第8話『屑籠に捨てられた手紙』 半月ぶりになってしまった。改めて見てみて、この設定はすごいと思う。「あの方はお返事を出さないし、一切あんたの手紙には反応を示さない」(小説より)。これはジュディもたまったもんじゃないわな。不安にならずにいろというのが無理な話だ。でも今回はちゃんと返事が来たな、本人から。その辺りは小説より随分ジュディ寄りな感じ。 2003/11/07 第9話『ジュリアの叔父様は変り者?』 あしながじじぃキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! なかなか変なヤツだが、いい人っぽ。ジュリアとは、なるほど確かに合わなさそうだ。そういえば、結局彼は何故遅れてきたのかと、それについてジュディが言及しなかったのは不思議だ。まあ、本人の目の前で悪口並べてびっくりしていたというのもあるかもな。 2003/11/18 第10話『裏切ってごめんなさい』 なんかいつの間にかジュディがめっちゃ人気者になっている。まあ、あの存在感なら、入学から2、3日で有名になってもおかしくはない。しかも根はいい子だから、有名になれば人気にもなろう。今回も、リペット院長先生から手紙が来て落ち込むなど、緩急のある話で面白かった。次回から農園。だいぶ原作を忘れ始めたので、さてどんなだったか。 2003/11/26 第11話『おもいがけない人の名』 おお、思いがけない人の名だ。相変わらず、なかなか面白いが、なかなか面白いだけだな。偏屈じじいの登場に一時はどうなるかと思ったが、ジュディの根性で笑わせることに成功、結局なかなかいい人物に落ち着く。農園の話は次回で終わりか。テンポがいいな。 2003/11/30 第12話『奇妙な偶然』 まったりしたお話だった( ̄▽ ̄) 鶏に追いかけられていたジュディの、「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!」が良かったな。あしながおじさんの正体は、ジュディの中で「お年寄り」というイメージがあるから、最後まで決して気付かないのだろう。そこを理解していないと、なんでジュディがこうも気付かないのか、逆に不自然に感じてしまう。 2003/11/30 第13話『サリーの勇気ある挑戦』 サリー、頑張った! 偉いねぇ。すごいねぇ。あんなふうに、何かに一生懸命になれるのは素晴らしいことだ。今回はジュリアがちょっと可愛かったな。演説の後、拍手したり、胴上げに加わったり。あまりジュリアのイメージではなかった。自らに迫った危機を回避するためにサリーを売りはしたが、基本的には良い友達なのだろう。 2003/11/30 第14話『初めての小説が盗作?』 今回はジュディの書く小説のお話。ジュディが小説を書く話ではない(笑)。俺的には一つ目は面白くもなんともなかったのだが、二つ目は先生と同じ感想。あれはなかなか良かった。そういえば、原作では元々ジュディは作家になるよう言われていたが、アニメではどうだったろうか。はやり継続的に見ないと忘れてくる。 2003/12/04 第15話『ホットドッグと壁の花』 この話、面白かった。ジュリアとジュディが二人で飯を食っているというだけですごいことだ。仲悪そうで、実のところはすごく仲がよいのだな。今回はジュリアが萌えな回。恥じらいながらホットドッグにかぶりつくジュリアも、パーティーでしゅんとなっているジュリアも萌えだ。 2003/12/06 第16話『クォーターバックからの贈り物』 これは、Jean Websterのアイデア勝ちだろう。今回も面白かったが、『あしながおじさん』の元々の話の面白さだろう。しかし、相変わらずジュリアは可愛らしくて良かった。この調子でツンと澄ました萌えキャラに育って欲しい。ジュディは今回みたいに、明るい悩める嘘つき娘であり続けてくれるのが良いな。 2003/12/06 第17話『打ちあけられない心』 ジャーヴィスさん、来たー。ジュディの悩みも解決して行ったし、いい人だ。まあ、ジュディの悩みを知っているから、直接的に解決できたのだろうけれども。ジュリアがどんどん変わっている。ついに自らトランプに誘うとは。もうただの傲慢で我が儘なお嬢様ではなくなってきたな。 2003/12/07 第18話『感謝祭への招待状』 めちゃめちゃ面白い! 『セーラ』も『ペリーヌ』も『アンネット』も、物語の面白さはもちろんあったが、『萌え』が少なからず評価を支えていた。が、これはキャラに別にそれほど萌えない分、ひたすらストーリーの面白さが際立っている。今回は特に良い。ジュリアとジュディのケンカは見応えたっぷり。この立場と気持ちと考え方の相違と、そこから生じるすれ違いは必見! 2003/12/07 第19話『友よ、ともに歌わん』 なるほど〜。孤児たちにも色々な顔があるようだ。しかし、思うにジュディは孤児の中でもまた別の考え方を持っていたのではなかろうか。「孤児でない人」にも色々あるように、「孤児」にも色々な性格や個性があって然るべき。しかし、最後の子供たちはなかなか可愛かったな。ジュリアがびっくりするのも頷ける。 2003/12/09 第20話『年上の同級生』 味のあるキャラクター、登場。いきなり辛辣なこと言うし、吐血するし、すげぇ。「もうすべては書き尽くされたって感じるときがある」ってのはいい台詞だ。才能がなくて、書きたいという欲求だけというのも頷ける。自分も、自分の頭に思い浮かぶようなストーリーは陳腐で、有り触れたものばかりだけれど、ただ書きたいから書いてるって感じだよな。 2003/12/09 第21話『美しさとかなしみと』 うおー、しびれる! 詩を読み終わった後、突然レオノラの一言。「ジュディ、ご両親がいないのね」しびれる! しかし、ジュディの詩って、どんなんだっけかな。何話だったかしゃん、また見返してみるか。パパは来てくれない。何やら裏がありそうだ。秘密を知っている人はすぐに退場するのが掟。レオノラとも、次がラストかな。 2003/12/11 第22話『窓に降る雪』 えー、レオノラが悪いのか? レオノラなのか? 俺的には、なんだこの父親はって感じなのだが、社長ともなるとあの事態では現場を離れることもできないのか。う〜む。ああそういえば、今回は絵が普通だった。確か前回か前々回に突然絵柄が変わって、なんだこりゃと衝撃を受けたのだが。この作品の後半の絵柄は、とあるサイトでも批判されていたから、ちょっと不安だ。 2003/12/11 第23話『それぞれのクリスマス』 足の長い影、キタ───(゚∀゚)───ッ!! まあそれはいいが、この回は秀逸。ジュリアの毒は相変わらずだが、二人の受け止め方が如何にも友達って感じでGood。もちろん、言っている方もジュディと出会ったばかりの頃に比べたら、随分友情がこもっているが。しかし今回のジュリアは可哀想だった。マフラー、頑張って作っていたのになぁ。 2003/12/15 第24話『お気に召すまま』 なんだこりゃー! 面白い劇だった。なんていうか、結局『お気に召すまま』というのは、どういう作品なのかさっぱりだったが……。しかし、ジュディとジュリアは、本当に仲良しになったなぁ。この二人は見ていて微笑ましい。ああ、そういえば、一人で芝居の練習していたジュディが、四姉妹の次女のようだった。見ていて面白い。 2003/12/15 第25話『ふるさと・ニューヨーク』 なんか構成が変だ。いきなりジュディがスラムを歩くシーンから始まる。まあ、24話で予告を見てすぐだったから別にいいが、実際に1週間空けていきなりあれだと、ちょっと説明が欲しい感じ。今回の話は微妙。まあ、アニメっぽい内容だった、ということで。一番最後の、返金メールをポストに投函しに行くジュディが溌剌としていて可愛い。 2003/12/16 第26話『明日に架ける橋』 胸くそ悪いガキどもキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! 逝ってよし。遠慮せずに逝ってよいぞ? いやまあ、言うほどあれだが。というか、ジュディなら太刀打ちできるだろう。要はデーヴィッドみたいじゃなければよいわけだ。今回も絵が著しく変だった。っていうか、下手。なんだこりゃー。しかし、「みんな、一生懸命生きてる」の辺りの演出は良かった☆ 2003/12/16 第27話『家庭教師は楽じゃない』 ええ話や。まあ、当たり前だが、二人もとってもいい子になったし(笑)。しかし、あしながおじさんとジャーヴィスさんが同じ意見とはっ! まあそれはともかく、一本のねじが外れて壊れてしまったものは、一本のねじを付けるだけでまた正常に動くということだな。ジュディが家庭教師をやめたのは残念だが、あの家族がまた昔のように笑顔のある家族になれたのは良かった。 2003/12/20 第28話『無慈悲な命令』 おお、無慈悲な命令だ。これはあしながじじいの「嫉妬」という解釈でいいのだろうか。なるほど、こういう展開で「自立」につなげるわけか。今年のジュディは冬のジュリア。それにしても今回のジュリアははしゃいでいたなぁ。自分が空回りしているということに気付かないというのは、本人はなかなか幸せだろう。 2003/12/20 第29話『思い出がいっぱい』 おお、思い出イパーイ。セル描く量が少なくて済んだろうな。前半は思い出ばかりでいまいちだったが、スローンさんが面白かった。初めて見たときからいいキャラだとは思っていたが。後半の孤児院の話は、なんだか悲しい感じ。自分のいたところから、知っている人が誰もいなくなる。母校に、当時の先生がいなくなる感じに近いかも知れない。 2003/12/20 第30話『夏の日の恋』 おお、恋愛だ! なるほど、確かに他の名劇とは一線を画しているな。しかし、なんだかこの話は特に、あるいはこの話から急に恋愛中心になった感じ。なかなか面白い。それにしても、ジュディは高いところから落ちた割に平気だったな。ダニーは歩けなくなるし、ペリーヌもかなりの怪我をしたが。つーか、よく落ちる人々。 2003/12/21 第31話『花ざかりの娘たち』 いい話だ。しかし、ボブの情けないことと言ったら。俺はサリーはヤツが嫌いなのかとさえ思ってしまった。ちゃんと好きなのね(笑)。ジミーはちょっと悲惨だったが、あそこまでジュリアをないがしろにしなくてもいいのに。相手がジュリアでなければちょっと傷付くぞ? ボブは論外として、俺の中ではそろそろサリーとジミーは物語的にコースアウトかなって感じだが。 2003/12/21 第32話『黄昏の駅にて』 面白くなってきたなぁ。サリーはともかく、ジミーはまだストーリー的に重要な位置にいるか。完全にフラれたのに、まさか積極的に誘いに出るとは思ってなかった。「ペンデルトンさんもおじさまと同じ」って、それじゃあ身も蓋もないじゃないか、ジュディ(藁)。でも今のところは奨学金とか自立の話より、恋愛の話の方がちょっと面白い。まあ、どっちも面白いんだがね。 2003/12/21 第33話『すれちがう思い』 ジュリアの名言。「会えなければ、理解し合うことも、私の気持ちを伝えることもできないわ」これ、重要。テストに出る。理解し合おうと思ったらちゃんと会って話をしなければいけない。いや、今ちょうどリアルワールドでそういう話に首を突っ込んでいて(^^ゞ 今回はジュリアが主役だな。最後のジュディへの友情、見ていて実に微笑ましい。 2003/12/21 第34話『この胸のときめきを』 恋愛CHU!来たっ! ちょっと違うか。今回は中盤のジュディの心中。「また独りぼっちになったのよ、元通り。昔に戻っただけじゃない、ジュディ! 何も悲しむことなんかない」またまたタイムリーにリアルワールドでこういう会話をしていて、過去、つまり記憶や思い出ができたという時点で、「戻っただけ」では決してないのだよ。人は、どんな形であれ、通り過ぎた点には戻れない。 2003/12/22 第35話『孤独な青春』 ジュリアの章(前)。なんとも可哀想な子だ。思えば、全巻を通して、ジュリアが一番不幸な気がする。まあそれも金持ちの宿命か。しかし、孤児院で子供たちの面倒を見ていたジュディが、浮かれていてジュリアの気持ちに気付かないなんて、大チョンボだな。それにしてもジュリアの母親は冷徹な女だ。この時代は本当にこうだったのか……? 2003/12/22 第36話『今を生きるために』 ジュリアの章(後)。俺はアホか? すげぇ。まったくこういう展開になるとは思ってなかった! DVDのパッケージの裏の文章を読んで、俺はジュリアが政略結婚を渋々呑んで、ジュディが自分で自分の幸せをつかむことが出来ることの大切さを知るのだと思っていた。全然ちゃうやん! いやはや、素晴らしい話だった(^^) 2003/12/22 第37話『聖夜のさようなら』 もう止まらん。続きが気になってしょうがない。いよいよクライマックスに近付いてきた。今回のジュディは悲惨だったな。ジュリアの母親、卑劣なり! ジュリアも罪な人だが、まあジュディにはれっきとした家柄があると思っているのだからしょうがなかろう。サリーも同様。言いたくても言えずに、こうなるしか他に手がなかったジュディに同情する。 2003/12/23 第38話『悲しいプロポーズ』 うおー! ジャーヴィス、悲惨! 可哀想に。。。指輪が落ちて踏みつけられて膝をついて、もう悲しみの演出バリバリだな。素敵だ。今回のジュディは頑張った。身分が違うというのはつらいですなぁ。そういえば今回のジュリアは良かったなぁ。とても性格が丸くなった。ジュディと出会って一番変わったのは彼女かも知れない。 2003/12/23 第39話『過去からの卒業』 すげぇ、いい! もう、感動的なスピーチだった。アニメくささもないし、むずがゆくもならないし、ただただ感想しきりなスピーチだった。良く言った、ジュディ。偉い! あー、もうビールだ。こういう時は呑むしかない! しかし、ジュリアがジュディを孤児だと知っていたのは不思議だ。じゃあ第37話が非常に納得いかないが、まあこの回が素晴らしかったしどうでもいいや。 2003/12/23 第40話『はじめましておじさま』
Everyone seems very happy. 大団円。素晴らしきエンディング。感無量。ラストは色んな人が出てきたな。特に孤児院組が良い! 最後の最後だし、大満足なアニメだったから最後くらいちょっと画像を載せよう。サディやリペット院長もいいが、それよりも大きくなったエミリーが一番いい。しかも可愛いし♪ 最後バタバタして、ちょっとジュディが衝撃的な事実を知るシーンが短かった気もするが、まああしながじじいは病気だったし、あれが限界かな。のんびり話せるような容態ではなかった。とにかく素晴らしい終わり方だった。終わりよければすべてよし。大満足な回。 2003/12/24 ■『私のあしながおじさん』の全体を通しての感想 まず、第1話の感想で書いた通り、この作品には元々まったく期待していなかった。「そこそこ」の作品があったとして、それを期待度Aで触れるのと、期待度Cで触れるのとでは印象がまったく異なる。そういう意味で、「この作品には、あらかじめ内容が良く思える要素が存在した」という状況下での評価であるということを念頭に置いていただきたい。
■物語性
第16話の感想で触れたが、この作品はとにかく原作のアイデアが良い。その原作のアイデア、設定、雰囲気を壊すことなく、正確に、時にはそれ以上に面白くして作られたのがこのアニメである。前半は幼い孤児の少女の、憧れのハイスクールへ行ける喜びと、その反面他の人との差を感じ、孤児であることを隠さなければならない苦しさとの葛藤が描かれている。
中盤はジュディの悩みが「生きる」ということに移っていく。あしながおじさんに援助してもらってるという状況の後ろめたさや、その束縛感、逆にありがたさを感じる反面、本当の自由を手に入れるために自立を考え、どうすれば良いかを考え、行動する。
そして後半は、身分の違う人に恋をし、本当の幸せを手に入れるためには自分が孤児であることを受け入れ、その事実から逃げるのではなく、正面から向き合っていかなければならないのだと考え、そのようにするよう決意する。そして卒業式に自分が孤児であることを告白し、意中の人と結ばれる。第39話の卒業式のジュディのスピーチは必見だ。
どちらかというと、『小公女セーラ』などはテーマが1つで、物語的な要素が強かったのに対して、この作品は一見切れ目のない連続したアニメに見えて、その実様々なテーマを掲げている。また、人間的要素が強く、一つのただ見て楽しむだけの物語というよりは、ある種哲学的な、視聴者に考えさせる要素が強い。もちろん、それだけしかない重たい作品ではなく、コミカルとシリアスが程好く混ざった緩急豊かな作品に仕上がっている。
■キャラクターの成長
もう一つこの作品の特徴として、キャラクターが成長するということだ。成長するというのは、歳をとるという意味ではなく、考え方や価値観、言動が変わるということである。例えばセーラなどは、言動が始終一貫しており、成長はあまり見られなかった。もっともそれは、セーラは初めから完成しており、状況が変わっても自分は変わらないというのがテーマだったからそうなのだが、セーラにしろペリーヌにしろ、あまり物語内での成長というのは見られなかった。
その点ジュディは、個性が強く、生い立ちも特徴的で、長所と同様に短所も多かった。アンネットなどは物語内で成長したが、それはある一つの劇的な事柄がそうさせたという意味で、ジュディとは異なる。ジュディは日々の生活の中で様々なことを見聞し、ゆっくりと大人になっていく。視聴者は作品を見ていて、ある時ふと、「そういえばこの子、成長したな」と思う。第40話を見てから、わざわざ第1話を見てみたのだが、そう思った。
さらにもう一人。ルームメイトのジュリアも、ジュディと出会って少しずつ変わっていく。それはここの感想を第1話からずっと見てもらえればわかるだろう。サリーも変わるが、やはりジュリアの変化は大きい。先に「人間的要素が強く」と書いたが、こういう人間的な成長がしっかりと描かれているのもこの作品の特徴だと考える。
■キャラクター
注釈的に。下で、ストーリーには星が5つ付いているが、キャラクターには3つしか付いていない。が、これはあくまで「萌え度」であって、本当の意味でのキャラクターは、この作品は『小公女セーラ』よりも良いというのは上で書いたとおりだ。つまり、別に「萌え」とか、そういうのはどうでもよくて、絵柄も嫌いでなければ、この作品は物語、キャラクターともに楽しめるのは間違いない。
もっとも、この作品が子供向けかどうかは別問題である。子供には人間的要素よりも物語性の強い作品の方が受けるだろうし、またこの作品は恋愛要素が多い。自分が見る作品や子供に見せる作品は、単に星の数で決定するのではなく、そう言った対象年齢や目的を考えて取捨するべきだろう。一アニメとしてはオススメだが、子供に見せるなら『ペリーヌ物語』の方が良い。まあ、あれも後半はちょっと難しいが……。
ストーリー ( 内容やテンポ、感動したかなど ) : ★★★★★ キャラクター萌え度 ( 絵や声、性格、言動など ) : ★★★☆☆