『虹色の未来』
 
作詞・作曲:緒方理奈



ふと目が覚めた寒い夜 わずかに開いたカーテンの向こう
窓越しに広がる夜空に一つの青い星が輝いていた

小さなテーブルの上のリモコンを取って
まだ自分の温もり残るベッドの上に腰かける
こんな 月しか起きてない深夜のテレビには
名もない音楽番組が流れていた

豆電球の淡いオレンジ色の光の中に
見たこともないそのプログラムから 不意に私の歌が聴こえてきた

(※)
大観衆のステージの上で 私は光の粉を身体(からだ)に浴びて
妖精のように輝いていた
スポットライトに照らされた 私の下には影がない
今にも自分がいなくなりそうな
そんな不安を笑顔の仮面で覆い隠して
私は歌い続けている(※)

やがて曲が終わって 拍手の渦が私を呑み込む
でも客席は闇の中
見えない姿 聞こえない声
私は何に向かって歌っているの?
誰に対して笑っているの?
叫びはいつでも控え室のバッグの中で
誰かに開けてもらえる日を待っている

次の曲が始まって 会場内は静まり返る
光の中には私だけ
私は静かにテレビを消した

わずかに開いたカーテンの向こう
いつの間にか 青い星は雲に隠れて
外には雪がちらついていた



ふと立ち止まって振り返った時 今まで歩いてきた道が
意外と細くて霞んで見えるのに気が付いた

もう一度目を開いて前を向くと
鮮やかに彩られていた私の未来がなくなっていた
見えない道の一歩手前で
私はうろたえ佇んでいた

そんな怯えるだけの私の背中から 一人の少女が
しっかりとした足取りで 私をぬかして歩いていった

大観衆のステージの上で 彼女は光の衣に包まれて
天使のように微笑んでいた
スポットライトに照らし出された 彼女の前には明るい未来
立ち止まった弱い私に
気付かず 振り返らない強さを持って
彼女は歌い続けている
  やがて曲が終わって 彼女の名前が私を呑み込む
でもその時私は思った
彼女は誰? 私は誰?
彼女は私とどこが違うの?
真実(ほんとう)の自分を偽り続けて
嘆きはそれでも舞台の袖の陰の中に
誰にも伝わることなく埋(うず)まっている

会場内が静まって 再び彼女は歌い始めた
光の中には彼女だけ
私は静かに背中を向けた

輝き続けた眩しい青空
いつの間にか 私の未来は霧にぼやけて
涙が溢れて止まらなかった



ギターの弦が切れてしまって もう私のために音は鳴らない
壊れたマイクは押し入れの奥 私の言葉を伝えない

でも……それでも

(※〜※のメロディーで)
誰の胸にも虹色の夢 クリアブルーの空の下
風は心を吹き抜ける
太陽の下の私の影は くっきりとした私の形
輝く舞台も 綺麗な服も
みんな道の途中に置き去りにして
そうして私は歌い続ける

誰の夢にも虹色の未来 小さく儚く
それでも眩しく輝き続ける
私は何も持たないけれど みんなのために歌いたい
私のままの笑顔と声で このメロディーを贈りたい

誰の夢にも虹色の未来 小さく儚く
それでも眩しく輝き続ける
私は何も持たないけれど みんなのために歌いたい
私のままの私の心で この気持ちを伝えたい
溢れる想いを歌に乗せて この気持ちを伝えたい

誰の胸にも虹色の夢
誰の夢にも虹色の未来