『 To Heart Fantasy 』 第3巻

 春の詩  〜初代祭娘サラフィス・メイアの歌いたる〜

 木々は緑豊かに色付き 鮮やかに萌え
 大空に両手を広げて
 穏やかに降り注ぐ黄金の光を浴びて輝く

 鳥たちは枝葉の陰に翼を休め 唄を歌い
 時折おかしげに首を傾げては
 爽やかにそよぐ涼しい風を受けてさえずる

 草花は地中の闇より静かに芽生え 美しく咲き
 まるで緑の絨毯のように
 赤茶けた土の上に広がり 大地を彩る

 そして人々はにわかに活気付き 華やかに着飾り
 永き冬に別れを告げて
 今この大地のすべてとともに 歌い踊る

 太陽は天高くにありて 雄々しく
 我らに活力をお与えになる
 安らぎの時は終わったと 月は恥ずかしがって光を弱め
 夜の彼方にその身を隠す

 我らは今解き放たれた
 今宵は夜空に太陽を浮かべ
 朝が来るまで騒ぎ立てよう
 春が来るまで歌い踊ろう
 その踊りにて 我らの待つは春の訪れ
 我の歌うは春の歌
 その歌に乗せ 生命眩しき春今来たれ