エリックとエルメス 第3話『計略』


◆ 座談 ◆

 前回の冒険で入った経験点は、1,330点。その内の30点は、前回説明した、倒した相手の中で、一番レベルの高い相手のレベル×10点のオリジナルボーナスです。
 前回の場合は、イェルザムがレベル3だったために、30点加わりました。
 プレイヤーたちは、それぞれ、エリックがシーフを3に、セージを2にして、エルメスがプリーストを3に。
 本当は二人とも、ソーサラーとファイターのために貯蓄したかったらしいのだが……。

水原(GM)「シーフとプリーストか」
雪島(エリック)「正直、厳しいっす」
水原「何が?」
雪島「二人パーティー」
ほずえ(エルメス)「シャーマンと、もう一人シーフを持った人が欲しい」
雪島「そうそう。シーフが欲しい」
水原「エルメスはとらないの?」
ほずえ「キャラクター的に、シーフを持つような子じゃないにゅ。貴族の生まれで、そういう環境で育ってきたってことを意識してます」
水原「なるほどね」
雪島「今回、かなりシャーマンとろうか迷ったけど、やめておいた」
水原「ふむ」
雪島「GMにかけ合おうと思って(爆)」
ほずえ「シャーマンの仲間を入れて欲しいにゅ」
水原「シャーマンねぇ。誰かプレイヤー連れてきてよ」
雪島「みゅ〜。いないよぉ」
ほずえ「由佳里ちゃん?(爆)」
雪島「(爆笑)」

 由佳里ちゃんとは、GMである水原渉が、6月1日の日記に登場させた女の子である。

水原「あんまりNPCはやりたくない。なんか、戦闘要員みたいでヤだ」
雪島「そうだねぇ」
ほずえ「由佳里ちゃん、実は私の高校の友達なんだよ!」
水原「(笑)」
雪島「いいね、それ(笑)」
水原「とりあえず、シャーマンとシーフか……」
雪島「シーフ必須。鍵開けとかで1ゾロったらおしまいだと思うと、怖くて」
ほずえ「アンロックがあったにしてもね」
水原「あとは、君たちの恋仲の邪魔にならない人がいいから……」
雪島「(微笑)」
水原「やっぱり、エルフだね」
ほずえ「うん」
雪島「無難だ」
水原「まあ、考えておくよ。とりあえず、今回は仲間は入らない。先に断言しよう」
雪島「そうなんだ」
水原「だって、もうシナリオ作ってあるもん♪」
雪島「早い!」
ほずえ「まだ、前のシナリオが終わってから、たったの1日だよ」
水原「やる気まんまん」
雪島「心強い」
ほずえ「とりあえずは、二人で乗り越えます」
水原「頑張ってね〜」

 ということで、今回も二人での冒険となります。
 しかし、確かに二人というのはちと、私も思うところがあるんですよ……。

◆ 道中〜いきなり金の話? ◆

GM「ロマールへの道中です。天気快晴。まだ昼間だが、ロマールに着く頃には日暮れぎりぎりくらいだろう」
エリック「うむ。急がないと、レイドのときの二の舞になる(笑)」
エルメス「そうですね。危うく街壁の外でテントを張るところでしたから」
エリック「ロマールか……懐かしいな……」
エルメス「エリックさんは、行ったことがあるのですか?」
エリック「ああ。小さい頃に二度、冒険者になってから一度かな?」
エルメス「どんなところなんですか? 私は闇市と、奴隷たちの闘技場しか知らなくて」
エリック「ひどく片寄った知識だ。それはどう見ても、プレイヤーの知識だな(笑)」
エルメス「そ、そうとも言います……」
エリック「ワールドガイドは読んだの?」
エルメス「はい」
エリック「じゃあもう、水原君(GM)を越えたかもね。知識量」
エルメス「それはないでしょう」
エリック「でもこの人、もうだいぶ忘れてるよ。西部諸国10ヶ国も言えなかったし」
GM「しくしく」
エルメス「そうですね」
GM「妹にまで納得されてしまった……」
エリック「可哀想に」
エルメス「ロマールへ行ったら、闇市を見てみたいです。別に危険はないんですよね?」
エリック「まあな。足下見られたり、つっけんどんにされたりはしても、基本的に全ギルドの管轄下だし、面倒は起きないだろう」
エルメス「エリックさんは、行ったことは?」
エリック「あるぞ。今俺の使っているこのメイジリングもそこで買ったものだ」
エルメス「へ〜。何か面白いもの、あるといいですね」
エリック「そうだな。GM、俺たち今、金はどれくらいあるんだ?」
GM「アレクラストの金の価値ってどんなもんだっけ? 1ガメルが何円くらい?」
エリック「ん〜〜? どうだっけ」
エルメス「ちょっと待っててね(リプレイを調べ出す)」
GM「どう?」
エルメス「これ(リプレイ集1巻)によると、『一人あたりの一日の生活費は、最低ランクの生活で10ガメル程度』って書いてある」
エリック「完全版で、羊皮紙の値段とかなくなっちゃったんだよね、確か」

 思わず納得しちゃったけど、嘘です。完全版にも、後ろの方の“チャート集”に載ってます。

GM「俺、基本ルールブック、どっかのコンベンションで紛失したきり、持ってない」
エリック「マスタースクリーンによると、羊皮紙10枚で10ガメル。袋が15ガメル。食料、1食分3ガメルから」
エルメス「スモールシールドが60ガメル」
GM「じゃあ、1ガメル100円か? やっぱり」
エリック「1,000円で生活できる?」
エルメス「1食300円で、まあなんとかなりそう」
GM「じゃあ、一つの冒険の報酬が、『冒険者レベルのそれぞれを掛け合わせたものの合計に、50〜200を掛けたぐらいが相場』らしいから、3×3×100で、君たちだと大体900ガメル。90,000円くらい?」
エルメス「そんなもんじゃない? 命かけてるんだし」
エリック「妥当妥当」
GM「初期値っていくらだっけ?」
エルメス「私、2D×500ガメル♪ 貴族〜」
エリック「普通は2D×200ガメル。期待値で1,400ガメル」
GM「140,000円?」
エルメス「それくらいじゃない?」
エリック「ガメルは、1ガメル硬貨しかなかったっけ? 確か銀貨だと思ったんだけど」
GM「銀貨だよ。結構重いね」
エルメス「宝石とかに変えないと」
エリック「ああ、なんか昔、コンベンションでやってたキャンペーンでもそういう話が出た記憶がある。懐かしい!」
GM「じゃあ、話を元に戻して、君ら、10,000ガメルくらい持ってることにしよう」
エリック「わかった。じゃあ、エルメスに、何か面白いもんあったら、買ってやるからな」
エルメス「わぁ。ありがとうございます、エリックさん!」
GM「……そんなけのために、金の計算したの?」
エリック「重要だよ、女の子に貢ぐのは」
GM「それは俺に言ってるのか?」
エリック「別に〜」
エルメス「(苦笑)」
GM「なんてこったい」

 今更だけど、エリックのプレイヤー、女の子ですから(笑)。しかもGMとは、限りなく彼女に近い友達という立場にある。

エリック「ロマールか。エルメスは、どんなものが欲しいんだ?」
エルメス「えっ? 欲しいものですか?」
エリック「そうだ」
エルメス「そうですね……。ちょっと照れた感じで、ガーネットの指輪なんか、いっかなぁ。誕生石なんです、私の……」

 注:“私”イコール、プレイヤー。ほずえの誕生日は1月30日です。

エリック「じゃあ、私はルビーだね。7月だから」
エルメス「買って欲しいね」
エリック「そうだね〜」
GM「お前ら、誰に言ってるの?」
エリック「別に。ちょっとプレイヤーとPCが混同しちゃって(爆)」
エルメス「そうそう。別にお兄ちゃんにおねだりしてるわけじゃないよ」
GM「お前ら、俺今、給料が40,000円ないんだけど」
エリック「社会人になってからでいいよ」
エルメス「婚約指輪?」
エリック「わくわく」
GM「鬼だ、お前ら」
エリック「だから別に、水原君(GM)に言ったわけじゃないって」
GM「じゃあ俺は2月だから……サファイア?」
エルメス「ブッブー。外れ〜」
エリック「2月は?」
GM「エメラルド?」
エルメス「それは5月」
GM「じゃあ、アメジスト?」
エリック「それそれ」
GM「買ってくれ〜」
エルメス「ええっ!? お兄ちゃんに指輪ーっ!?」
エリック「極めて似合わないよ。やめれ」
GM「しくしく」
エリック「水原君には、30,000円もあったら、同人誌でも作ってた方が……」
GM「だったら、お前らに指輪買ってる金はないって。本作る」
エルメス「残念」
エリック「はぁ……」
GM「くぅぅ。なんか、とてつもない罪悪感を感じるぞーっ!?」
エリック「まあいいや。俺はGMとは違うから、買ってやるぞ、エルメス」
エルメス「わぁ、ありがとう、エリックさん」
GM「くそぅ。お前ら、攻撃してやる。『がおー』森から熊が現れたーっ!?」
エリック「なんだそりゃ!?(笑)」
エルメス「無茶苦茶」
GM「『ひえーっ!』突然のことに逃げまどう旅人たち。『冒険者はいないのかーっ!?』」
エリック「あの、笑うしかないんだけど」
エルメス「あはははははっ」
GM「熊(ベア)の攻撃。エルメス、回避してね。3回」
エルメス「マジなんだ(笑)。じゃじゃーん。今日からほずえちゃん、マイ・ダイスだよ」

 前回調子が良かったからか、緑色のダイスを東急ハンズで買ってきたらしい。

エルメス「(ころころ)14、11、15」
GM「牙、爪、爪は全部外れ〜」
エルメス「じゃあ、こっち。『皆さん、ご安心下さい。今から私たちが森に追い返します』(ころころ)15」
GM「出目がいいね。どうぞ」
エルメス「9発」
GM「2点受けて、あと20」
エリック「動物系は、生命力が高くて、精神力が極端に低いっていう特徴があるから、シェイドが欲しいところだ。ファイア・ウェポン、エルメス……あっ、1ゾロった。10点♪」
エルメス「嬉しそうですね(苦笑)」
GM「ちなみに、実はそっちの方が速い。2ラウンド目はエルメス」
エルメス「うりゃ、14は通って……11はクリッと」
エリック「おっ、回った」

 素早く注釈(笑):エルメスの「14は通って」は、モンスターは回避点が固定されているからです。リプレイには起こさなかったけれど、ほずえ(エルメス)にはベア(熊)の回避点を言ってある。
 ちなみに回避点は10。別に固定点を使わなくても構わないが、大抵のGMはこういうどうでもいい戦闘は手を抜く。ダイスを振るときは、3+2D。

エルメス「(ころころ)18点」
GM「11点もらって、残り9か。そろそろ逃げよう」
エリック「何もしないよ」
GM「『ぎゃーっ』人間の雄叫びのような声をあげて逃げていった。『ああ、助かったよ』と、旅人たち。やったね。英雄だよ、君たち」
エリック「…………」
エルメス「……どうしたの? お兄ちゃん(GM)。なんか、ノリが変……」
GM「気にするな」
エリック「(笑)」

◆ 罠 ◆

GM「ロマールが近付いてきました。もう辺りは薄暗く、このまま行くとピンチです」
エリック「はぁ。今夜は街壁の外で野宿か(笑)」
エルメス「野宿は嫌です。急ぎましょう」
GM「生まれ育ちがいいねぇ」
エルメス「育ちが良くなくても野宿は嫌です」
GM「なるほど」
エリック「じゃあ、街まで行っても可?」
GM「うんにゃ。一つ小さなイベント起こさせて欲しいにゅ」
エルメス「いいよ。ちゃっちゃと終わらせてね」
GM「ラジャー」

 実は、全然小さくないです。
 でも、前々回のことで、二人が少し人を信じられなくなっているから、敢えてどうでもいいように言ってみました。

GM「遠くに街壁が見えてきた。君たちが歩いていると、慌てたような様子でグラスランナーの男の子が呼びかけてくる」
エルメス「おっ、グラスランナー、初登場」
エリック「そういえば、まだドワーフとか出てきてないね」
GM「『ねえねえ、兄ちゃんたち。冒険者だろ!?』」
エリック「見たまんまです」
エルメス「そうですけど、どうしたんですか?」
GM「男の子は、ぐいぐいとエリックの服の袖を引っ張る。『よくわかんないんだけど、向こうに女の人が倒れてるんだ! 暑さで疲れちゃったのかも知れないけど、今木陰で休んでる』」
エリック「休んでるならいいんじゃない?」
GM「ごめん。GMの言葉の選択ミス。休んでるというよりは、意識がなさそうな感じらしいよ」
エルメス「それでは、放っておけませんね。行きましょう、エリックさん」
エリック「そうだな」
GM「グラスランナーの男の子は、街道を逸れて、北にある森の方に走っていく。慌てている感じだ。足が速い」
エリック「追いかける」
エルメス「頑張る」
エリック「その子、敏捷度いくつなの?」
GM「ん? 24だよ」
エルメス「ふ〜ん」
エリック「そげか……。敏捷度までちゃんと決めてあるキャラなのね(笑)」
エルメス「なるほど」
GM「雪ちゃん(エリック)、意地悪〜」
エリック「冗談冗談」
GM「森まで来ると、もう街道が見えません。森の入り口のところで、確かに人間の女性が倒れているのを遠目に確認しました」
エリック「駆け寄る」
エルメス「同じく」
エリック「大丈夫か!?」
GM「じゃあ、君たちが駆け寄ろうとすると、先に辿り着いたグラスランナーの男の子が、女性を抱き起こす。『ほら、ひどいだろ?』」
エリック「ひどいの?」
GM「状態を説明しよう。まず、女性は裸だ」
エルメス「GMの趣味が入ってる」
エリック「スケベ」
GM「しくしく。さらに、乱暴された跡がある」
エリック「可哀想に。GMに犯されたも同然」
GM「あんたらなぁ(笑)。目が虚ろ。とりあえず、一目で『暑さに疲れちゃった』んじゃないことがわかる」
エリック「グラスランナーの様子は?」
GM「君たちを見て、ニッと笑う」
エルメス「来た来た」
エリック「どういうつもりだ!? 足を止めて言おう」
GM「『別に〜♪』グラスランナーは何事もなかったかのように言うよ」
エリック「お前がやったのか?」
GM「『バカか? お前。僕がこんな人間の女に興味があるとでも思ってんの?』」
エルメス「豹変した……」
エリック「むかついた。魔法使う」
GM「女性も巻き込むよ?」
エリック「くそぅ。じゃあ、スタスタと近付く」
GM「そうすると、グラスランナーの少年が、ダガー……といっても、ナイフに近いんだけど、それを取り出して、女性の首筋にあてる。女性は虚ろながら、『あぁ……』と恐怖に震える」
エリック「お前、どうする気だ? すごみをきかせて言う」
GM「のうのうとして返す。『別に〜〜。ひひひひひ』」
エルメス「マジむかつく」
エリック「構わない。近付く。お前、もしもその女性に手を出したら、その時はお前の最期だと思え」
GM「すると、グラスランナーは心底驚いたように言う。『えっ? 何なに? 兄ちゃんごときに、僕を殺せると思ってんの? マジで? 人間って、ひょっとして、阿呆ばっか?』」
エルメス「プチン」
エリック「はぁ……はぁ……。落ち着け、落ち着け〜〜!!」
GM「『きひひひひ。じゃあ、殺してみせてよ』そう言って、グラスランナーは、笑いながらそのナイフを、女性の首に埋めます」
エルメス「……えっ?」
エリック「…………」
GM「グサッ。『うっ……』女性は目をかっと見開いて、そのまま地面に崩れ落ちる。口元から血が溢れ出す」
エルメス「即死……?」
GM「完全に。『あははははははっ!』グラスランナーは愉快そうだ。笑いながらナイフを抜くと、エリックに投げつけてくる」
エリック「(怒った感じで)……いくつ?」
GM「(ころころ)12」
エリック「怒りの避け! (ころころ)5は12で回避!」
GM「じゃあ、ダガーは君の後ろの地面にぐさっと刺さって、グラランは驚いた顔をする。『わぁっ! 避けた避けた』」
エルメス「攻撃できる? っていうか、させて」
GM「別にいいよ」
エルメス「うりゃぁぁぁあああぁぁ! 出目10は16!」
GM「うぃ。17で回避ね」
エルメス「……マジ?」
GM「『だから、あんたらに僕は殺せないってば。くははははははははははっ。ざーこ、雑魚雑魚雑魚!』」
エリック「ライトニング……」
GM「エルメスも巻き込むよ」
エリック「じゃあ、エネルギー・ボルト。13」
GM「もちろん、抵抗ね」
エルメス「強い……」
GM「グラランは精神力が高い」
エリック「かなり腹立つ。出目7は8点」
GM「『うあぁぁっ!』グラランは、大声を上げて倒れる。『痛い、痛いよっ!』」
エリック「嘘付け!」
エルメス「完全にナめられてる」
エリック「ほれ、そっちの番だぞ!」
GM「じゃあ、グラランは『うわあぁぁぁっ! 助けて、助けてよ!』と叫び続ける」
エリック「何なんだ!? こいつは!」
エルメス「むっちゃ嫌な予感」
GM「そうだねぇ。グラランの声を聞きつけたのか否か、向こうから『お前たち! 何をしている!』と声がする」
エリック「振り向く」
エルメス「誰? 何人?」
GM「ロマールの警備隊らしき男が3人。君たちのところまで来て言う。『お前ら、何をしてるんだ!?』警備隊の一人が女性とグラランに駆け寄る。『これはひどい。おい、お前。大丈夫か?』『う、うん……。助けて……』」
エリック「…………」
エルメス「…………」
GM「男の一人が言う。『おい! この娘、捜索届けの出されてる、チューフじゃないのか?』誰かが答える。『何? そう言われればそうかもしれない!』」
エリック「白々しい」
GM「『あん? 貴様、今何か言ったか?』」
エリック「いや、プレイヤー発言。俺たちは何もしていない。そのグラスランナーがやったことだ」
GM「『こいつがやっただと?』男がギロッとグラランを睨むと、グラランは怯えたように首を振る。『僕じゃない……。あ、あの人たち、僕に……僕に罪を着せようとしてるんだ……』名演技(笑)」
エリック「どこが!?」
エルメス「嘘かどうかは、街に連れて帰って、センス・ライでも使ってもらえばわかることでしょう」
GM「男たちは判断に困っているようだ。『とにかく、両者とも街まで来い!』そう言って、男の一人がグラランを縄で縛る。後の二人が君たちのところに来るけど」
エリック「どうする気だ?」
GM「『決まっているだろう。逃げられんように縛るんだ』」
エルメス「私たちは何もしていない!」
GM「『両者がそう言っていては埒があかん。犯人じゃないというなら、逆に構わないだろう。それとも何か? 何かまずいことでもあるのか?』」
エリック「ねぇよ」
エルメス「納得いかない……」
GM「じゃあ、縛るね」
エリック「あいよ」
エルメス「うぅ……」
GM「向こうではグラランが持っていたもう一本のダガーを取り上げられて、担ぎ上げられる。『うわーっ! 乱暴にしないでくれよ!』」
エリック「なんか妙だなぁ」
GM「君たちも、それぞれ、メイジ・リングとダガー、+1のブロード・ソードを取られる」
エルメス「エルメス・ソード!」
GM「ださいって、その名前」
エリック「GM、そいつら、本当に警備隊?」
GM「服はね」
エリック「くそっ。偽物だ」
GM「まあ、服がそうなら、疑う術はなかったよ。君たちを完全に縛り上げると、向こうでグラランが紐をほどかれます」
エルメス「一応、演技しよう(笑)。ちょっと! どうしてその子の縄をほどくの!?」
GM「男が笑う。『釈放だ』」
エリック「ああ、そりゃ確かに面白い冗談だ!」
GM「君たちは森の中に連れていかれる。どうする?」
エリック「どうするも何も、抵抗する術がないでしょう」
エルメス「すごく怖い……。女に生まれた不幸を呪わないでも済みますように……(笑)」

◆ 囚われの身〜エリック1〜 ◆

 ここでGMは、雪島(エリック)とほずえ(エルメス)を別々にプレイさせることにしました。開始時間はゲーム時間の17の時(夕方の5時)。1時間ごとにやります。
 まずGMは部屋に雪島だけを呼んで、地図(fig.1)を見せます。

エリック「うぃ〜〜っす」
GM「状況説明するよ」
エリック「どうぞ」
GM「君は今、Aの家に捕まっている。うん。Aの小屋には男が3人いる」
エリック「どんな感じ?」
GM「かったるそうだけど、下品な笑みを浮かべている。『おい、なんでも新しい女が来たってよ』『そりゃ今夜が楽しみだなぁ』」
エリック「エルメスには絶対に手は出させない」
GM「出してやる。日頃の恨み」
エリック「ほずえちゃん、大丈夫かなぁ」
GM「さぁね。あと、君はここに来るまでに、Bの小屋とCの小屋の位置は確認した」
エリック「エルメスは?」
GM「どこに行ったかわからない」
エリック「グラランは?」
GM「不明。すでに君を連行する時点でいなかった」
エリック「なるほどね。今俺はどんなふうになってるの?」
GM「今の台詞、雪島が男言葉で“俺”って言ってるみたいで、なんか良かった。『I''s』7巻63Pの伊織ちゃんみたい」
エリック「いや、それはいいから(呆)」
GM「後ろ手に縛られて、柱にくくりつけられてる。武器はない。メイジリングもない」
エリック「この小屋にないんだね?」
GM「そうそう」
エリック「どこ行ったかわかる?」
GM「君たちの武器を持ったヤツらは、Cの小屋に入っていった。そこから先は不明」
エリック「じゃあ、一番肝心なヤツはどうしてる?」

 ゲマのこと。

GM「ふわふわ浮かんでる(笑)」
エリック「どこで!?(爆笑)」
GM「君の目の前。『エリック、大丈夫ゲマか〜?』盗賊たちが、『なんだこいつは?』」
エリック「マジ?」
GM「冗談。君の好きにしていいよ」
エリック「じゃあ、外で隠れてる。(魔法表を見ながら)ちっ」
GM「どうしたの?」
エリック「ゲマ、ディスガイズ使ったら、気絶する」
GM「貧弱。貧弱貧弱貧弱貧弱!」
エリック「しょうがない。そのままの形で、上手に状況確認をしよう」
GM「ふわふわふわふわ〜〜」
エリック「ふわふわふわふわ〜〜」
GM「ふわふわふわふわ〜〜」
エリック「ふわふわふわふわ〜〜」
GM「はい、じゃあ1時間終わり。向こうからほずえを呼んできて」
エリック「ちょっと待って! まだ何もしてない!」
GM「はいはい」
エリック「まず一番近いBの小屋から」
GM「小屋の大きさは全部同じね。入り口のところに見張りが一人いて、欠伸をしている」
エリック「侵入できそうな場所は、そこだけ?」
GM「探してみて」
エリック「気付かれないように裏に回る。ふわふわ〜」
GM「北側に窓がある」
エリック「気付かれないように覗く」
GM「にゅ。ちなみに、『気付かれないように』はつけなくていいよ。当たり前だから。それでも気付かれるときは気付かれる」
エリック「了解」
GM「中にエルメスがいる」
エリック「呆気ない。どんな様子?」
GM「どんな様子だろうね(笑)。後からほずえとロールプレイしてみんことには、なんともわからん」
エリック「なるほど(笑)。ニュータイプ技能で、何か伝えられない?」
GM「残念。君はオールドタイプらしい」
エリック「そっか……。他には?」
GM「男が2人。こいつらがどうするかも、後から。後は娘が5人」
エリック「多いなぁ。どんな様子?」
GM「みんな服を着てない」
エリック「げふっ。女の子のプレイヤーの前で、すごいGMだ」
GM「3人が全裸、2人が下着だけ」
エリック「みんな生気なし?」
GM「うんにゃ。全裸の内の、2人が生気なし」
エリック「……??」
GM「どうしたの?」
エリック「いや、生気なしって、ひょっとして、ミンフと同じ感じ?」
GM「ピンポンポンポーン! さっきの娘もだけど、別に犯され姦されたから虚ろなんじゃなくて、まさに“心”の抜けた状態」
エリック「なるほどね。あのグラランか……。あいつ、レベルどれくらいなの?」
GM「ん〜〜〜。累積経験点が30,000点とだけ言っておこう。これは当然、プレイヤーにね」
エリック「30,000っすか? シーフ7かな……? あはは……」
GM「さぁね」

 答え:シーフ5、レンジャー7、バード3です。

エリック「どっちみち、悔しいけど勝てないのはさっきの戦闘でわかった。戦う気はないよ」
GM「いいよ」
エリック「男たち、まだエルメスには手を出してないね?」
GM「今のところね。GMが俺だから、絶対に手を出すよ(爆)」
エリック「阻止する」
GM「読者サービス♪」
エリック「誰も強姦シーンなんて、見たくないって」
GM「そうか……。俺だけか……」
エリック「変態」
GM「次は? ずっとここにいる?」
エリック「まさか。まず、ここに男3人で、Aに3人ね。真っ直ぐ南下すると怖いから、東の方の、少し広くなってる方から、Dの小屋に行く」
GM「うぃ。ああ、ちなみに、これ1マス10mね」
エリック「はいよ」
GM「ゲマがふわふわ飛んでいくと、広くなったところに、見覚えのある魔法陣が描いてあって、中央にゲルググ……じゃなくて!」
エリック「今、マジで間違えたでしょ?(笑)」
GM「中央にグラランがいる。全然ちゃうやん!」
エリック「知らないよ(爆笑)」
GM「どうする? 突撃?」
エリック「絶対にしない。グララン、何してる?」
GM「無表情で空を見上げてる。無表情だけど、敢えて言うなら、穏やかな感じ」
エリック「どんな顔しようが、そいつだけは絶対に殺す!」
GM「はいはい」
エリック「怖いから、Bに戻って、真っ直ぐ南下。Cに行く」
GM「了解」

 こっからちょっと端折ります。
 Cの小屋の前に見張りが1人、中に2人。彼の武具もここで発見。
 Dの小屋には見張りはいないけれど、中に5人。
 そして、森の入り口のところに見張りが1人いて、いつでもCとDの小屋に合図できるようになっていることを知る(fig.1参照)。
 そこまで調べたところで1時間くらい経ったので、雪島(エリック)はほずえ(エルメス)と交替します。

fig.1 盗賊のアジト


◆ 囚われの身〜エルメス1〜 ◆

GM「先に言うぞ、ほずえ」
エルメス「何? お兄ちゃん」
GM「俺は読者サービスする気、まんまんだから」
エルメス「貞操は死守します」
GM「その意気だ。それでこそ犯し甲斐がある!」
エルメス「変態め!」

 すごい兄妹……。

GM「今君はBの小屋にいる。エリックがどこの小屋に行ったのかはわからないけど、武具はCの小屋にあることはわかっている」
エルメス「私の状況は?」
GM「縛られてる。柱にはくくりつけられてないけど、完全に後ろ手を固定されていて、右脚におもりがつけられている」
エルメス「小屋の中は?」
GM「男が二人いる。まだ何もしないけど、君の方を見て、にやにや笑っている」
エルメス「むぅっ!」
GM「ちなみに、外に見張りが一人いるのも、君は知っている。あと、君と同じくらいの若い娘が5人」
エルメス「どんな感じ?」
GM「3人全裸、2人が半裸」
エルメス「お兄ちゃんの趣味だね」
GM「何で雪島と揃って同じこと言うのかなぁ(笑)」
エルメス「胸に手を当てればわかるよ、きっと」
GM「そげか。全裸の内の2人は、目が虚ろです」
エルメス「可哀想に。当然、みんな犯された跡とかあるんだよね?」
GM「まあね♪」
エルメス「嬉しそう……」
GM「…………」
エルメス「さてと……。どうしようかな……」

 おや? エルメスは気付かないか……。

GM「エルメス。ん〜〜〜〜っと、冒険者+知力で振って」
エルメス「ん? (ころころ)やっぱり出目がいいなぁ。15」
GM「じゃあ、その虚ろな2人に見覚えがある?」
エルメス「誰?」
GM「そういうことじゃなくて……。虚ろな感じに」
エルメス「……?? あ、ああ。例のミンフさんな感じなのね?」
GM「そうそう」
エルメス「ということは、あのグラスランナーは、そういうことか」
GM「どうする?」
エルメス「ん〜〜。ゲマは?」
GM「さぁ。そこらへんでふわふわ浮かんでるか、ベアかタイガーにでも取って喰われちまったんじゃない?」
エルメス「可哀想……」
GM「どうすんだい? 自ら操を捧げる?」
エルメス「ヤだ。今のところは動かない。情報収集。女の子たちに声をかけよう。大丈夫?」
GM「女の子たちは、ちらりと君を見上げるけれど、何も言わない。ただ憐れみと期待に満ちた眼差しだ」
エルメス「期待? やっぱり助けてもらえる見込みがあるから?」
GM「絶対に違う。君が来たことで、自分たちが嬲られなくて済みそうだから」
エルメス「な、なるほど〜〜(汗)」
GM「男がニヤニヤしながら君の方に近付いてきて、くいっと顎をあげさせる」
エルメス「触らないで!」
GM「『きひひ。気の強い嬢ちゃんだ。そういう娘が、最後には自分から腰を振るようになるんだから、女ってのは面白ぇ、生きモンだよな!』」
エルメス「…………」
GM「どうしたの?」
エルメス「いや、あまりにも品のない発言に、プレイヤーが困惑しちゃったよ」
GM「なるほど」
エルメス「絶対にあなたたちなんかには、指一本触れさせないんだから!」
GM「じゃあ、顎をスベスベしながら、『もう触れてるじゃん。ぎゃははははっ!』と笑おう」
エルメス「悔しいよぉ」
GM「『まあ、もう1時間くらい待て。そしたらみんなで犯してやるからな。初めはガヤックさんと決まってるんだ』」
エルメス「ガヤック? さっきのグラスランナーのこと!?」
GM「『はん。あいつは関係ねぇよ』」
エルメス「あの子は何なの? 何であんたたちと一緒にいるのよ!?」
GM「『利害が一致したからだ。あいつは、よくわからんが、娘の心を欲しがっている。だから、俺たちと協力して娘をさらい、もう飽きた女をあいつに渡してるんだよ』」
エルメス「ひどい……」
GM「『お前はどれくらいもつかな? そこの女は、1日でダメだったぜ。何せ、一晩で30回だからな!』」
エルメス「さ、30回!? あなたたち、30人がかりで!」
GM「『生憎、15人だ』」
エルメス「15人ね。メモメモ。大の男が、15人がかりでたった一人の女の子を……。あなたたち……ぎりぎり……」
GM「『一人たったの2回だぞ。それだけでも光栄に思え!』」
エルメス「むかつくーっ!」
GM「『ところで、お前は処女だろう?』」
エルメス「答えないよ、そんな質問」
GM「『処女かと聞いているんだ!』鎧の紐を解いて、ちょこっとだけ胸を触ろう」
エルメス「くそっ! まだ抵抗する段階じゃない。諦めよう」
GM「答えないのね?」
エルメス「答えない。屈しない」
GM「じゃあしばらく触ってから、『ちっ、つまらん』と諦めよう」
エルメス「生まれてきてから、こんなに悔しい日は初めてよ。絶対に3倍返しにしてやる」
GM「頑張ってね。じゃあ、雪島(エリック)呼んできて」
エルメス「うぃ」
GM「雪島には何も言っちゃダメだけど、次に君が呼ばれたときが、エルメスの貞操が破られるときだからね」
エルメス「絶対に犯(ヤ)らせない!」

◆ 囚われの身〜エリック2〜 ◆

エリック「ほずえちゃん、なんか怖かったよ。何したの?」
GM「さぁね〜♪」
エリック「早急に助けに行こう。6時だね? 外は暗い?」
GM「暗いよ」
エリック「しかし……2か……」
GM「何が?」
エリック「ゲマの精神力。何使っても倒れる(笑)」
GM「君がそうしたんじゃん」
エリック「CからAまで180mね。とりあえずCの小屋に行く。状況は?」
GM「変わってない」
エリック「ドアの鍵は?」
GM「開いてるよ。ドア自体は閉まってる」
エリック「ゲマに開けれそう?」
GM「開けることは可能」
エリック「なるほどね。とりあえず、チャンスは1回。しかも、使えそうで且つ、使える魔法が、ティンダーとライトしかない」
GM「ティンダーか。先に行っておくけど、これで火事を起こすのはほぼ不可能だからね。完全版参照」
エリック「わかってる。こっちの状況は?」
GM「ん?」
エリック「状況!」
GM「ああ、ごめんごめん。あのさ、ふと思ったんだけど、ゲマって魔法使えるの?」
エリック「使い魔だから使えるよ」
GM「いや、でも、君自身が発動体を持ってない」
エリック「ああ、使えないのか……」
GM「だよね……」

 ちと困る(笑)。大丈夫か? 雪島琴美……。

エリック「まあ、しょうがない。なんとかする」
GM「ん。状況ね? 男3人が君を見張っている。見張ってるって言っても、君のことはそれほど気にしてないよ。欠伸してる」
エリック「シーフ3で勝てるかなぁ。相手、武器は?」
GM「みんなダガー持ってるよ」
エリック「ねぇ。縄抜けってどうやるんだっけ? シーフ技能にないんだけど」
GM「忘れた。適当に決めようか」
エリック「お願い」
GM「じゃあ、1回10分。再試行あり」
エリック「目標値は?」
GM「難易度13の、『ちょっとかじった程度の人間にはできれば幸運。プロでもちょっとした不運で失敗しうる』にしよう」
エリック「わかった。シーフ+知力だね?」
GM「えっ? 違う違う。器用度」
エリック「ちっ、ばれたか」

 エリック、器用度ボーナスが1しかない。

エリック「最初の10分。8以上……(ころころ)7か……」
GM「6時10分」
エリック「2回目。ういっす。8です」
GM「じゃあ、手は自由になった。6時20分」
エリック「筋力ボーナスが1で戦いを挑むのは難しいなぁ」
GM「どうする?」
エリック「話しかける。『おい、お前ら』」
GM「『ああん?』」
エリック「トイレに行きたい。行かせろ」
GM「『やなこった』」
エリック「じゃあ、ここでするぞ」
GM「『どっちだ?』」
エリック「ど、どっちって?」
GM「いや、どっち?」
エリック「GM〜〜(泣)」
GM「わかったわかった」
エリック「くすん。セクハラだー。すでにかなり恥ずかしいのにぃ!」
GM「『しゃーねーなぁ。ほれ、立て』」
エリック「あいよ。しかし、常套手段だ(笑)」
GM「一人が君を外に連れていく。君はひ弱そうだし、実際にひ弱だし、メイジ・リングを奪われたソーサラーということで、あんまり感心はなさそう。一人が君をトイレに連れていくよ」
エリック「トイレって、どんなところ?」
GM「いや、Aの小屋にはトイレとかなさそう。そこら辺ですれば?」
エリック「う〜ん。おい、お前」
GM「『なんだ? てめぇ、さっきから生意気だぞ、こら!』」
エリック「ズボンを下ろさせろ。手が不自由で、しょん………………」
GM「ああ、わかったよ!」
エリック「しくしく……」
GM「だから、女の子は男をやっちゃダメなんだって!」
エリック「セクハラだ。絶対にセクハラだ!」
GM「わかったわかった。伏せ字にしておくから、思い切り言っていいよ」
エリック「ヤだ!」
GM「そうか……。まあしょうがない。男は、いやいや後ろから脱がそうとする」
エリック「思いっっっっっ切り、蹴り飛ばすっ! 期待値、7は11」
GM「不意打ち扱いだから、回避できないね」
エリック「0レートは……6ゾロって(笑)」
GM「玉金にでも……」
エリック「もうっ!」
GM「ごめんごめん!」
エリック「もう1回が……11で回って(爆)」
GM「絶対に玉に……」
エリック「(無視)最後が7。13点(爆笑)」
GM「8発受けて、男は股間を押さえてその場にしゃがみ込む……。『っていうか……マ……マジでやべぇ……』」
エリック「…………」
GM「汗だくだくだ。『つ、潰れた、か……? お……おぉ……』」
エリック「…………」
GM「『あ゛……あ゛ぁ……』」
エリック「あの、演技が怖いんだけど……」
GM「迫真?(笑)」
エリック「いや、ものすごく怖い」
GM「『こ、子供ができない……身体に……』」
エリック「冷ややかに見下ろそう」
GM「『玉が……玉が……』」
エリック「……そんなに痛いの?」
GM「かなりね」
エリック「どんな感じ?」
GM「今演技した感じ」
エリック「大変だね」
GM「まあね」
エリック「じゃあ、とどめを刺そう。もう1回、これでもかってくらい思い切り、そこを蹴り潰す」
GM「雪ちゃん、怖い!」
エリック「ちなみに、その人、回避可能?」
GM「もういいよ。好きにして(笑)。しばらく動けない(爆)。俺にはわかる」
エリック「じゃあ、気絶させる」
GM「君が思いきり蹴り飛ばすと、君の足にぐちゅっと何かの潰れる感触が……」
エリック「PCは平気だけど、プレイヤーがかなり恥ずかしいです」
GM「大変だね」
エリック「そう思うなら、やめてくれ!」
GM「はいはい」
エリック「じきに仲間の二人も気付いてくるなぁ。どうしようかなぁ」
GM「どうする?」
エリック「とりあえずこいつのダガーを奪う。打撃力5でいい?」
GM「もちろん」
エリック「じゃあ、隠れてて、出てきたところを討つ。その前に、ダガーで男を殺す」
GM「……マジ?」
エリック「当然。エルメスもいないし、俺は全然構わないよ」
GM「結構冷酷だねぇ」
エリック「悪人に人権はないと、リナ=インバースも言っている」
GM「じゃあ、静かに殺した。残り14人」
エリック「で、出てくるまで待つ」
GM「6時45分頃、二人が出てくる。『お〜い? 遅ぇな〜? 糞か?』」
エリック「水原君……」
GM「はい」
エリック「これ(シナリオ)が終わったら、覚悟しておいてね」
GM「は、はい……」
エリック「男が二人ともこっちに背を向けたところで、部位狙いは頭」
GM「1ゾロ以外は成功、即死でいいよ」
エリック「7。じゃあ、一人殺した」
GM「『貴様!』もう一人がダガーを抜く」
エリック「攻撃。(ころころ)ごめん、10点頂戴。エルメスに追いついた」

 注:1ゾロ回数です。

GM「『殺す!』……と言いながら、こっちは固定。9だよ」
エリック「そんなの回避に決まってんじゃん。攻撃。8は外れか」
GM「うん」

 ちなみに、結構長引いた結果、エリックが無傷で男を倒しました。
 ここで、エルメスと交替です。

エリック「1時間だけもたせてくれよ、エルメス……」

◆ 囚われの身〜エルメス2〜 ◆

エルメス「あのさぁ」
GM「何?」
エルメス「さっき、先輩(エリック)の叫び声が聞こえたんだけど」
GM「ああ、ちょっと『熱血専用!』だったんだよ」
エルメス「??」

 『熱血専用!』……ホビー・ジャパンの叫ぶTRPG。ルールよりも演技が命。確かズェイムという名前だったと思ったが、昔スケベだけど渋いおっさんを演じて、忘れられないキャラの一人となった。

GM「じゃあ、犯すね」
エルメス「頑張って逃げます。エリックは?」
GM「さぁ。もう殺されちゃったかもね。必要ないし」
エルメス「そうだね」
GM「えらくまた、淡々と」
エルメス「だって、殺すわけないじゃん。GMが」

 ふむ。まだ甘いな、ほずえは。
 下手なプレイをすれば、当然それなりの結果が返ってくるということを、この子はまだ知らないようだ。
 ちなみに、GMは二度ほど自分のPCが死んだ経験がある。

GM「『時間だ』そう言って、男が二人立ち上がった」
エルメス「死んでも行きません」
GM「『じゃあ死ぬか?』そう言って、ダガーをピトッと君の頬に当てる」
エルメス「屈しない。行きません」
GM「『いい度胸だなぁ、おい!』すぱっと君の頬を切る。思ったより深く刃が入ったみたいで、ドクドクと血が流れ出す」
エルメス「……マジ?」
GM「君がいいって言ったんだよ」
エルメス「……そ、そうだけど……」

 繰り返すけど、結果というのは、PCのプレイに対して常に変わるものなんだよ。

エルメス「い、行かない……」
GM「『声が震えてるぞ』ちなみに、他の女の子たちは顔を背けている」
エルメス「イ、イヤだ……」
GM「じゃあ、もう片方の頬にダガーを当てよう。『もう一度聞く。素直に来るか?』」
エルメス「もう泣きそう。わ、わかりました……」
GM「『くくく。さっきの勢いはどうしたんだ? 嬢ちゃんよぉ』」
エルメス「うっ……」

 注:ちなみに、実はこれ、当分後(と言ってもプレイ中)になってエリック(雪島)に教えてもらったんだけれど、GMもほずえ(エルメス)も、プリースト技能のことを完全に失念しています。
 あったら何ってわけじゃないけど、フォースとか使えば、うまく出来たかもしれませんね。

GM「Dの小屋に行く途中で、例のグラスランナーを見かける。グラスランナーは君の方をちらっと見るが、特に関心はなさそう。男たちもまた、グラスランナーには声をかけない」
エルメス「うん……」
GM「元気ないね」
エルメス「なんか、本気で犯されそうな気がしてきた」
GM「犯すよ。君がちゃんとプレイしないと」
エルメス「うん……」

 ダメだこりゃ〜。
 まだTRPG始めてから3回目のほずえには、ちと精神的に苦しかったかも。しかも、いつも傍らにいるエリックがいないし。
 このままではまずいと思い、やむを得ずGM、エリックのことを話す。

GM「今、エルメスは、キャラクターよりもむしろ、プレイヤーがまいってる気がするから、とりあえずプレイヤーにいいことを教えよう」
エルメス「お兄ちゃん?」
GM「エリックだが、すでに小屋を抜け出している」
エルメス「本当!?」
GM「エルメスは知らないぞ。知ったのはほずえが、だ」
エルメス「う、うん……」
GM「どうやって抜け出したと思う?」
エルメス「さぁ……」
GM「トイレに行くと言って、男一人と一緒に外に出た」
エルメス「うん」
GM「それから、思いっっっ切り股間を蹴り飛ばす。これが2回回って、11点。男は悶絶して、倒れ込む」
エルメス「マジ……?」
GM「さらにとどめの蹴りをかます雪島琴美」

 何故かプレイヤー(笑)。

GM「男は死亡(本当はダガーで殺されたんだけど)。残りの二人も、あんまり帰りが遅いからと出てきたところを雪島に襲われて殺された」
エルメス「先輩(笑)」
GM「ってことで、臨機応変にやれば、なんとかなるもんだよ。ただし、さっきもやったとおり、君の行動次第では、最悪の結果になるから。GMは常に公平に行くからね」
エルメス「わ、わかった。頑張る!」

 よしよし。
 しかし、エリックの部分を雪島に変えても、まったく違和感を感じない辺りが、あの子のキャラクター(個性)なのかも(笑)。
 彼女がリプレイを読んだら、きっと俺は殺されるだろう(恐)。

GM「Cの小屋の裏の辺りに来た。どうする?」
エルメス「ここで動くか……。このままだと、もっと男が増えそうだし」
GM「声を出せばまだグラスランナーには声がとどく区域」
エルメス「あいつは来ない。……いや、来るかな……。あいつの目的は女の子の“心”だから、私が逃げ出せば来る」
GM「賢明だね」

 聡明な妹らしくなってきた。
 ……兄バカ?(笑)

エルメス「足についてたおもりは?」
GM「ああ、外されてる。だけど、代わりに首輪されてる」
エルメス「屈辱だ」
GM「つまり、男が二人いて、両手を縛った縄から伸びてるのと、首輪から伸びてる縄の二本で君は囚われてることになる。ちなみに、鎧はないから」
エルメス「さっき取られたんだね?」
GM「そうそう」
エルメス「お兄ちゃん、もしも女の子を犯すなら、両手は縛ったまま犯す?」
GM「…………」
エルメス「…………」
GM「もちろん(爆)」
エルメス「だろうね(汗)。じゃあ、結局ここが少なくとも一番いい機会か……」
GM「…………」
エルメス「相手に腕狙いで攻撃しても、もし当たったところで、もう一人がまだ縄を持っている」
GM「そうだよ」
エルメス「でもまっ、いくしかないでしょう。首の縄持ってる方に、回し蹴り。どうすればいい?」
GM「部位の腕狙い扱いで、攻撃力修正-2だけど、こっちも不意打ち扱いで、回避点が-4。君が攻撃力修正+2で9以上出せばよいよ」
エルメス「つまり、1ゾロか3以外は大丈夫。余裕のはず。(ころころ)にゅ」
GM「『うぉっ!』首の縄を持っていた男は、思わず手を離してしまう。『き、貴様!』」
エルメス「2ラウンド目。こっちだね?」
GM「そうだよ。同じことするなら、今度はそっちが部位の-2に、縄の束縛でさらに-2。攻撃力修正-4で9以上ね」
エルメス「出目8以上か。やるしかないでしょう! (ころころ)ダメかーっ!?」
GM「じゃあ、こっちはグイッと縄を引っ張る。筋力で勝負しよう。2D+筋力ボーナスの振り合い。つまりまあ、純粋に2Dの振り合いしましょう」
エルメス「了解。(ころころ)9!」
GM「11♪」
エルメス「うっ……」
GM「じゃあ、『こいつっ!』と、男が縄を引いて、君はずさっと地面に倒れる」
エルメス「あうっ……」
GM「顔を踏まれる。『貴様は、“大人しく”という言葉がわからんのか!? あぁん?』」
エルメス「うぅ……」
GM「さらに二発くらい蹴られて、そのままズルズルとDの小屋に引きずられていく」
エルメス「うぅ、不幸だ。助けて、エリックさん……」
GM「小屋には男が5人」
エルメス「ご、5人も……」
GM「つまり、合計7人だね。前にガヤックと呼ばれていた、頭領らしきヤツが出てきて、君の顎をあげる。『可愛い顔に、傷がついてるなぁ』誰かが答える。『いえ、あまりにも反抗的だったものですから』」
エルメス「お前たち……。絶対に……絶対に許さないから!」
GM「『ほう。威勢が戻ったようじゃねぇか』」

 プレイヤーに(笑)。

◆ 続・囚われの身〜エルメス2〜 ◆

エルメス「どうなるの? 私」
GM「さぁ。犯されるんじゃない?」
エルメス「最後まで希望は捨ていないよ」
GM「無駄じゃない?」
エルメス「ヤだ」
GM「諦めが悪いよ(笑)」
エルメス「この人(GM)、さっきと言ってることが違う(笑)」
GM「今、6時30分。まあ、エリックが来ると信じて、必死に抵抗して下さい」
エルメス「エリックさんの力は借りない。自力で脱出する!」
GM「ほぅ。えらい強気になったじゃん」
エルメス「まあね。エルメスは知らないけど、プレイヤーはやる気まんまんだよ!」
GM「よしよし。それでこそ犯し甲斐がある。ひひひ……」
エルメス「絶対に倒す!」

 すごい兄妹だ(笑)。

エルメス「さてと。完全版の289ページ固定(笑)」

 注:“押さえ込み”とか“締め”とか“脱出”とか“組み合い”と呼ばれる特殊戦闘の項目のページです。

GM「じゃあ、入り口の方にガヤックを含めて3人。ニヤニヤと君を見てる。4人の内2人が君の足を片方ずつ押さえて、1人が両腕。ただし、これは縛られたまま。首輪についてる縄は誰も持ってない。残りの1人が、ナイフで君の服を切る。『ほぅら。じっとしないと、肌まで切れちゃうぞーっ?』先生、辛いけどナイフ投げるぞー」
エルメス「じゃあ、“脱出”を試みよう」
GM「現実的に考えて不可能だけど、まあ、せっかくだから振らせよう。押さえ込んでる3人分を全部一気に振りほどかないと、自由にならないからね」
エルメス「ラ、ラジャー」
GM「君の場合は、冒険者レベル+筋力ボーナス。こっちもまあ、ボーナスは3として、つまり3回連続で俺との振り合いに勝てばいい。失敗する度に、着ているものが1枚ずつ、じわじわとなくなっていくから」
エルメス「が、頑張る」
GM「じゃあ、(ころころ)11……」
エルメス「ちょっと待て!」
GM「出たもんはしょうがないじゃん。あと、7と10ね」
エルメス「うぅ……。(ころころ)無理だよ、そんなの」
GM「じゃあ1枚。『ほらほら。暴れんなって言ってんだろ?』ビリィィィ。一番上の服が破り取られる」
エルメス「う、うるさい。うるさいうるさいうるさいっ!」
GM「『きひひひひ』」
エルメス「ちなみに、ここまでで何分?」
GM「1枚5分にしよっか? わざと君をいたぶるように、じわじわと、じわじわと……くくく……」
エルメス「怖い……」
GM「あと何枚着てる?」
エルメス「70枚くらい」
GM「下手な野球拳じゃないんだからさぁ」
エルメス「靴下は1枚?」
GM「入らない入らない」
エルメス「ブラジャーは?」
GM「入れようか。でも、ブラジャー1枚に5分?(笑)」
エルメス「素敵じゃん。じゃあ、あとブラジャー入れて上が3枚、パンツ入れて下が2枚ね」
GM「了解♪」

 この世界の人たちが、ブラジャーとかしてるのかは、とりあえず別問題にしておこう。

エルメス「じゃあ、2回目」
GM「全部脱がせ終わると、ちょうど交替か……。行くにゅ。7、10、7」
エルメス「さりげに全部期待値以上か。(ころころ)10、5、3」
GM「『ほぅら、また1枚。けひゃひゃひゃひゃひゃっ』」
エルメス「悔しいよぉ……」
GM「3枚目。8、5、11」
エルメス「最後の11っていうのが凶悪すぎる。(ころころ)いきなり3とか振っちゃったにゅ〜」
GM「じゃあ、上は下着だけ。ブラジャーより、ボディスーツっていうの? そっちの方が合ってる感じがするね」
エルメス「じゃあ、それ着てる。次は下?」
GM「当然、それ(ボディスーツ)を取る。8、8、7」
エルメス「う〜む。さりげにダイス目がいいことに気がついてる? さっきからずっと」
GM「こないだの恨みじゃない?」

 前回の戦闘参照(爆)。

エルメス「(ころころ)いきなり7か……」
GM「『おおっ。綺麗な胸だなぁ』」
エルメス「見ないでっ!」
GM「『ヤだ。ほれほれ、気持ちいいか?』」
エルメス「汚い手で触れるな!」
GM「『くくく』じゃあ、しばらく触ってから下をまくろう」
エルメス「マジでやばい」
GM「ん? 9、4、4」
エルメス「!? 最初さえしのげばいける。うりゃぁぁぁ! 9!」
GM「やばいっ!」
エルメス「5、5!」
GM「本当に抜けやがった!」
エルメス「ど、どうだ!?」
GM「じゃあ、吹っ飛ぼう。『うぉっ!』『こいつっ! さすがに冒険者だけはある』」
エルメス「絶対絶命には変わりないか」
GM「ここで、6時50分くらいね。ちょっと長めにとろう」
エルメス「(戦闘ターンは)こっちでいい?」
GM「命は大事にね」
エルメス「もう行くしかないでしょう。ガヤックに跳び蹴り」

 元気な娘だ(笑)。

GM「攻撃力-2で、11以上出して」
エルメス「8か。うりぃぃぃ! かはっ……」
GM「出目は5ですかい? じゃあ、ガヤックに避けられて……。冒険者+敏捷度+2Dで目標値12で振って」
エルメス「辛うじて13」
GM「じゃあ、一応まともに着地した。すぐにガヤックの隣にいた2人が君につかみかかる。回避修正-2で9以上ね」
エルメス「6以上。げふっ! 5とか振っちゃったよ! もうっ、信じらんない!」
GM「じゃあ、一人の男に押さえ付けられて、君は男と一緒に床の上。もう一度部屋の奥に投げ込まれる」
エルメス「たかが6以上という、最大のチャンスを逃した。もうダメか……」
GM「『ちょっと貸せ』と、ガヤックが隣の男のダガーを引き抜いて、君のところへくる」
エルメス「や、やめて……」
GM「『俺に蹴りを入れた悪い足はどっちだ?』」
エルメス「いや……」
GM「『どっちだって聞いてんだよ! おい!』」
エルメス「ごめんなさいっ!」
GM「『たわけが!』グサッ!」
エルメス「うわああぁぁぁぁぁぁっ!」
GM「右脚太股にまともに食らって、10点素通しで引いておいて」
エルメス「シャレになってない。GM、今何時?」
GM「7時ちょい過ぎ」
エルメス「エリック……さん……。泣く……もう泣くしかない……」
GM「『やっと大人しくなったか』」
エルメス「うぅ……エリック……助けて……助けて……」
GM「ズボンも引き裂く。抵抗する?」
エルメス「身をよじるだけ。抵抗できる状態じゃないらしい」
GM「プレイヤーは?」
エルメス「ああ、大丈夫だよ。元気元気。お兄ちゃんのわずかな隙を狙ってるよ」
GM「ほぅ。じゃあ、パンツ1枚にされた」
エルメス「……とは言ったものの、もう本格的にエリック待ちかな? せめて濡れる前には入れて欲しくないにゅ。感じなければ、それで時間が稼げる」
GM「なんて卑猥な(笑)」
エルメス「あんたほどじゃないよ(苦笑)」
GM「じゃあ、7時10分。いよいよ君は最後の1枚を剥がされそうになる。君は足を怪我したまま、泣き続けている」
エルメス「痛い……痛いよ、エリック……」
GM「その時、ガチャッとドアが開く」
エルメス「エリック!?」
GM「残念。違うようだ」
エルメス「誰? グラスランナー?」
GM「見たこともないハーフエルフ。ガヤックたちも知らないらしく、唖然としている。誰かが言う。『貴様、何者だ!?』」
エルメス「様子をうかがう。ハーフエルフをじっと見つめる」
GM「彼は……ああ、男なんだけど。君の方に歩いてくる。『止まれ!』男がつかみかかるが、ひらりと躱す。身のこなしがただ者じゃない。ちなみに、手にエルメス・ソードを持っている」
エルメス「私の……剣?」
GM「静かにハーフエルフが口を開く。『私は、メラクリウス様のやり方に賛成ではない』」
エルメス「メラクリウス? それは誰? あのグラスランナーのこと!?」
GM「答えない。『この野郎!』男が一人斬りかかると、ハーフエルフはスッと手を掲げる。そして『下等生物は下がっていろ!』そう叫ぶと、光の矢が飛ぶ」
エルメス「何?」
GM「どっかの長が使ってたやつ」
エルメス「バルキリー・ジャベリン!? レベル5か!?」

 注:どっかの長……第1話参照。

GM「男は即死する。ハーフエルフは君の剣で君の腕の縄を切ると、君に剣を渡す」
エルメス「聞けるだけ聞く。シルファって誰? シルファは今、どうしてるの!?」
GM「ハーフエルフは驚いた眼差しを君に向ける。『お前はシルファ様を知っているのか? メイムウェインが喋ったのか?』」
エルメス「メイムウェイン? あのグラスランナーのこと?」
GM「『そうだ』」
エルメス「あいつは何も言ってない。私はイェルザムから聞いた」
GM「『イェルザム。知らない名だ……』ハーフエルフは首を傾げる。盗賊たちはじっと見守っている。圧倒的な相手を前にして、ひるんでいるらしい」
エルメス「イェルザムを知らない? どういうことだろう……」
GM「もういい?」
エルメス「絶対にダメ。じゃあ、こう言う。イェルザムはレイドで女性を誘拐していた男。クリーナの配下よ!」
GM「するとハーフエルフは納得した模様。『クリーナ殿の配下か……』」
エルメス「“殿”付け。立場関係がわからない。とにかく、何か言わないと(笑)。メイムウェインやイェルザムのせいで、私の仲間の友人が、心を奪われてしまったの! “心”を返して!」
GM「すると、ハーフエルフは冷ややかに君を見下ろして言う。『誤解してもらっては困るが……。私にとって、お前も周りにいる豚どもも、所詮は薄汚い人間にすぎない。私がお前を助ける理由もなければ、お前に話すこともない』」
エルメス「じゃあ、どうして助けてくれたの?」
GM「『別に助けたつもりはない。私は、メイムウェインのやり方が気に入らないだけだ』そう言って、ハーフエルフの男は小屋を出ていきます」
エルメス「とにかく、まずはここを出ないと……。GM、状況は?」
GM「小屋には大きな穴が開いている。男×6だよ」
エルメス「こっちは(生命力が)10点マイナスか……」
GM「じゃあ、戦闘始める前に、雪島(エリック)呼んできて」
エルメス「交替?」
GM「いや、恐らくすぐに合流するから、そのままで構わない」
エルメス「わかった」

◆ メイムウェインとニィルスレイト ◆

エリック「長かったね」
GM「お待たせ」
エリック「ほずえちゃんいるけど、良かったの?」
GM「一応ね。でも、しばらくは君のプレイ」
エリック「こっからは、情報を共有してもいいんだね?」
GM「ちょっとニュアンスが違うかな? 正確には、まあどうせリプレイなりでほずえにもすぐにわかるようなことだから、つまり君がすぐにほずえに教えることだから、ここで知ってもいいかなと」
エリック「わかった」
GM「じゃあ、状況的には、7時くらいに君は館Aを出た」
エリック「ゲマにBの様子を見に行かせる」
GM「見張りが一人欠伸をしている」
エリック「裏の窓から中を覗く」
GM「そうすると、エルメスと男2人の姿が見当たらない」
エリック「急ごう。Cに行く。走る」
GM「じゃあ、小屋Cに着いた」
エリック「見張りが一人、外にいなかったっけ?」
GM「そこで君は異変を知る。小屋Cだが、ドアが開けっ放しになっていて、中と外に、合計3人の男が倒れている」
エリック「死んでる?」
GM「うん」
エリック「死因は?」
GM「斬り殺されてる」
エリック「エルメスか? 中に入る。武器とかは?」
GM「前に調べたときと同じ場所に、メイジリングとかはある。だけど、エルメスの剣だけなくなっている」
エリック「そっか……。エルメスはうまく抜け出したんだ。すごいぞ、ほずえちゃん!」
エルメス「…………」
GM「(苦笑)」
エリック「じゃあ、装備を元に戻して、外に出る」
GM「そこで、Dの小屋から、ものすごい音がする。ドガーーーンって感じ」
エリック「なんか、えらい状況になってるなぁ(笑)。急いで見に行く」
GM「じゃあ、大体CとDの中程まで来ると、左手から声がする」
エリック「一応足を止めて見てみる。誰?」
GM「ハーフエルフとグラスランナーだ」
エリック「ハーフエルフ?」
GM「君は初顔合わせ。向こうは君に気がついていない」
エリック「エルメスが気になるけど、剣がないところを見ると、きっと彼女は大丈夫だろう。彼女のことは信じて、ウィンド・ボイス」
GM「じゃあ、こんな会話。グラスランナーから交互に行くね。『どうして邪魔をするんだ、ニィルスレイト!』『私はお前たちのやり方が気に入らないだけだ』『けど、じゃあどうやってシルファさんを助ける!? シルファさんの回復を一番願うのは、あんただろ!?』『私は他に何かあるはずだと言っているだけだ。どうも解せん。私は、どうしてもメラクリウス様のご判断が尋常だとは思えない』『そんなことは関係ない! どうせ人間なんて屁みたいな存在だ。どうにでもなればいい!』『そうではない! まあいい。とにかくここは退け、メイムウェイン』『退かなければ?』『力ずくでも……』そこまで言って、二人は睨み合う。でも、睨み合ってるかは、君はわからない(笑)」
エリック「一気に情報が詰め込まれ過ぎた。後でまとめよう(笑)」
GM「やがて、『わかったよ』グラスランナー、メイムウェインが折れる。『僕じゃ、あんたには勝てない。ここは大人しく退くよ』『賢明だ』それっきり、声は聞こえなくなる」
エリック「了解。じゃあ、Dの小屋に行く」
GM「うぃ。2ラウンド目から入って。1ラウンド目、エルメス準備OK?」
エルメス「にゅ」
エリック「戦闘中かい(汗)」

 戦闘開始です。

GM「4人がいく。回避修正-2で全部9ね。固定値」
エルメス「うん」
エリック「回避修正? 何それ?」
エルメス「ああ。足を怪我してるから」
エリック「そんなにひどい怪我なの?」
エルメス「かなり」
エリック「じゃあ、先に治せば?」
エルメス「えっ?」
GM「治す?」
エリック「えっ? なんで? 喋れるんでしょ?」
エルメス「もちろん」
GM「……あっ! ああ、完っっっっっ全に忘れてた!!」
エルメス「えっ? えっ? 何を、何を?」
エリック「だから、キュアー・ウーンズ……」
エルメス「あっ……」

 そうです……。
 だいぶ前に書いたプリースト技能の件、今の今まで完全に忘れてました。
 やっぱり、この子(雪島)がいないとダメか〜〜?

エリック「『あっ』て、ほずえちゃ〜〜〜ん(笑)」
エルメス「うぅ……ううぅ……」
GM「なるほどね。とりあえずエルメス、4回振って」
エルメス「1発食らった」
GM「固定値、6点」
エルメス「それくらいなら平気でしょう。あっ、でも6とか出て、2点受けた」
エリック「エルメス、13レートの6は3だから、3+3で0点だよ」
エルメス「ああ、今鎧がないから」
エリック「……ひょっとして、裸?」
エルメス「一応、パンツは穿いてる」
エリック「(無言でGMを睨む)」
GM「誤解だーっ! 俺は何度もチャンスをあげたんだけど……」
エリック「スケベ」
GM「うっ……」
エリック「女の子裸にして、怪我させて、最悪〜〜」
GM「しくしく」
エルメス「じゃあ、私は怪我を治そう……7点回復」
GM「『おおっ! この娘、プリーストだったのか!?』」
エルメス「(笑)」
GM「貴族の生まれでプリースト。『高潔なる処女の血が!!』」
エリック「変態」

<2ラウンド目>

 このラウンドで、エリックが踏み込む。

エリック「エルメス、大丈夫か!?」
エルメス「あっ、エリックさん! わ、私、私……。エルメス、裸だから、困る(笑)」
エリック「エルメス。まずはここを切り抜けよう。こいつら、生かして帰さんぞ」
エルメス「はい。今回ばかりは、私も許しません!」

 ……ちなみに、戦闘ですが、省略します(笑)。
 敵はすべて[山賊]の“幹部”、ガヤックだけ“首領”だったのですが、この二人の敵ではありません。
 ライトニング他で、あっけなく壊滅させられました。

エルメス「必ず最後に愛は勝つ!」
エリック「愛って……(苦笑)」
エルメス「にゅ? 今の、元ネタわからなかったの?」
エリック「えっ……?」

 ダメだ、この人(笑)。

◆ 後日談 ◆

 盗賊を壊滅させた二人は、女の子たちを解放します。そして、エリックはエルメスをおぶってロマールへ。
 これは、本当は怪我はすぐ治るのですが、まあリアリティをもたせて、しばらく街で休養をとろうという、エリックのアイデアです。

GM「ロマールのとある宿屋の二階の一室。君たちはいる」
エルメス「ベッドに座ってる」
エリック「大丈夫か? エルメス」
エルメス「はい。心も体も、もう元気です」
エリック「本当に何もされてないんだな?」
エルメス「はい。あんなヤツらに汚されるくらいなら、死んだ方がましです」
エリック「う〜ん」
エルメス「どうしたんですか? エリックさん」
エリック「俺は女の子が犯される気持ちはわからないから……いや、プレイヤーはわかるけど(汗)、とりあえずエリックにはわからないから、どんな状況でもエルメスには生きていて欲しいと思う。死んでしまったら、それまでだろ?」
エルメス「エリックさん」
エリック「死ぬなんて言って欲しくない」
エルメス「はい」
エリック「じゃあ、エルメス。情報交換をしよう」
エルメス「わかりました。と言って、あったことをすべて話そう」
エリック「こらこら」
エルメス「にゅ?」
GM「雪島、いなかったから、それじゃあ、わかんないって(笑)」
エルメス「ああ、そうか(笑)」

 それから二人、色々と情報を交わす。
 さすがにエリックもエルメスも、恥ずかしい部分は省略してたけど(笑)。

エリック「つまり、あのグラスランナー、メイムウェインだっけ? そいつも、クリーナってヤツも、さっきのハーフエルフも、みんなシルファってヤツのために動いてるんだな?」
エルメス「ニィルスレイトですね? そうみたいですね。で、メイムウェインとクリーナに指示を与えたのが、メラクリウス。こいつとシルファの関係とかはわかんないけど、少なくとも3人よりは上だと」
エリック「ニィルスレイトはそのやり方が気に入らない。でも、人間は敵」
エルメス「GM、イェルザムって、人間だったよね?」
GM「そうだよ」
エルメス「う〜ん。人間全部が敵ってわけでもなさそう」
エリック「とりあえずまだ情報が少なすぎるな。ただ、気を付けるべきは、恐らくメイムウェインはシーフ7、ニィルスレイトは最低でもシャーマン5、しかもCの小屋のヤツらが、斬り殺されていたから、ある程度剣も使える」
エルメス「メイムウェインがニィルスレイトには勝てないって言ってたんだから、相当強いんだよね? きっと」
エリック「まだまだこれからだな。強くなろう、エルメス」
エルメス「そうですね。あんな盗賊ごときに、貞操を危機にさらすような真似だけは、もうごめんです」
エリック「そうだな。でも、何事もなくて良かった」
エルメス「はい……」
GM「そいじゃ、そんなところで、今回は終わりにしようか?」
エルメス「了解」
エリック「じゃあ、反省ね(笑)」
GM「ビクビク(恐)」

◆ 反省 ◆

雪島(エリック)「変態! 変態! スケベ! セクハラ! 強姦魔!」
ほずえ(エルメス)「痴漢! 変質者! 女の子いじめて喜ぶなんて、最低っ!」
水原(GM)「しくしく」
雪島「はぁ、すっきりした〜♪ で、経験点は?」
水原「にゅ。エリックが1,300点、エルメスが1,200点」
雪島「ん? 私の方が多いの? ボーナス?」
水原「逆。エルメスの減点」
ほずえ「にゅ〜〜」
雪島「何したの?」
ほずえ「途中で投げやりになった」
雪島「なるほど。まあ、変態プレイだったからしょうがないよ」
水原「しくしく」
雪島「GMの変態加減はしょうがないとして、シナリオ自体は良かったよ」
ほずえ「うん。それは思う」
水原「そう?」
雪島「前回のプレイが14日で、今日まだ16日だよ?」
ほずえ「面白かったよ。女としては辛いプレイだったけど」
雪島「そうそう」
水原「エリックはそうでもないっしょ?」
雪島「かなり恥ずかしい言葉をいっぱい吐かされた。こうやって、男としてプレイしてみて、日頃どれだけ女の子には言いにくい言葉を、男の子が平気で口にしてるかわかったよ」
ほずえ「でも、女の子同士だったら、結構平気で言う気もするけどね」
雪島「そっか……。私は言わないけど、そう言われると、みんなそうかもね」
水原「ほずえがさ、プレイ序盤で俺に、エリックのことを『だって、殺すわけないじゃん。GMが』って言ったんだけど、雪島はどう思う?」
雪島「ああ、それで水原君が冷たく当たって、やる気がなくなったんだね? ほずえちゃん」
ほずえ「う、うん……まあ……」
雪島「なるほど。私は過去に、自分のプレイヤー、3人ほど亡くしてるよ」
水原「俺、2人。PCの妹を殺されたりもした。これは泣いた」
ほずえ「そうだよね。よく考えれば、当たり前だよね……」
雪島「ましてやこの人、初回、オープンダイスだったし(笑)」
水原「ほずえも、一回GMやってみるといいかも知れないな」
ほずえ「うん。やってみたい。あと、先輩のGMも体験したい」
水原「その内、このキャンペーンで代われるといいね」
雪島「うん」
水原「話が脱線した。で、エルメスには恥ずかしいプレイだったと?」
ほずえ「エルメスはPCがね。私は別に、それほどでもないけど」
雪島「私は恥ずかしかった。リプレイ、絶対に読みたくない」
水原「いや、だって、ただの蹴りで11発も君が通すから(笑)」
雪島「あれ、もしも1ゾロってたら、また話は変わってただろうね」
水原「そこがTRPGの醍醐味だな。しかし、まさか2回も回るとはなぁ」
ほずえ「話が変わるって言うと、エルメスがあの小屋から抜け出してたら、どうしたの? ニィルスレイト、出番なかったんじゃ……」
水原「ああ、それは大丈夫」
ほずえ「そうなの?」
水原「まず、あそこからは絶対に出られなかった。それから、万が一出ても、追いかけるだけ。君は手が不自由だったから、どうにでもなる。時間だって、こっちが適当に決めてたんだし」
雪島「自由度があるように見せかけて、ちゃんと行動を封じるべきところは封じるのも、GMの力量だよ、ほずえちゃん」
水原「単に『できない』って言うんじゃなくて、どうやっても、結果的にできなかっただけの方が、プレイヤーはだいぶ納得できるし、気付かないこともある」
ほずえ「なるほど」
雪島「しかし、たったの一日で、よくここまでシナリオ考えたね。えらいえらい」
水原「うん。こんなにスケベになる予定じゃなかったんだよ。これがシナリオ」

 メイムウェイン登場。グラランです。
 ロマールの街の付近で、グラスランナーの少年が駆け寄ってくる。
 行くと、裸の女性が倒れている。少年が目の前でその女性を殺す。
 二人に罪を着せる。
 警備隊がくる。偽物。
 二人を連れていく。
 縛ったら勝ち。牢屋に放り込む。別々。
 あとは、上手に逃げおおせる。

 エルメスの方は、女性牢で、他に4人の女性がいる。みんなボロボロ。
 エルメスは脱出の機会をうかがう。

 ここで、謎のハーフエルフ、ニィルスレイトが現れる。
 強い。エルメスの危機を救う。
 ×××××××。××××××××××××。
 ×××××××。

 二人が女の子たちを無事に助けられたらミッションコンプリート。

水原「×の部分は伏せ字ね」
雪島「なるほど」
水原「ちなみに、本当にこれだけだから、あとは全部アドリブ」
ほずえ「どうすると、これがあんなにスケベなプレイに……」
水原「雪島への愛だよ」
雪島「絶対に違うと思うな、私は」
ほずえ「どうでもいいけど、先輩、KANの『愛は勝つ』も知らないんですか?」
水原「し〜んぱ〜いないからね〜?」
雪島「咄嗟に出てこなかっただけだよ」
ほずえ「そっか……」
水原「まあ、元ネタがわかんないのはしょうがないな。それもまた、TRPGの醍醐味。『先生、辛いけどナイフ投げるぞー』も、ほずえ、わかんなかっただろ?」
ほずえ「あ、うん。元ネタあったんだ?」
雪島「(苦笑)。とても残念(笑)」
水原「当然、公式リプレイに出てきたと思った、『ヘビメタコ』もわかんなかったと」
ほずえ「そういえば、そんなのもあった気が……」
水原「今、何気なくリプレイ読んでたら、2巻の94ページで、アリシアンが全裸で戦っててさぁ」
ほずえ「ああ、あのシーンね」
水原「GMが、『素手による攻撃やから、打撃力ゼロで、クリティカル値は12』だと言っている(笑)」
雪島「そんなルールもあったっけ?(笑)」
水原「でも、もっと驚いたのは、その後だ。『……シーフ技能で攻撃してるから11やね』」
雪島「(爆笑)」
水原「これまで3回分、全部クリ値10でやってたな(笑)」
雪島「そうだよ! シーフは1引かないと!」
ほずえ「ダメだ〜〜!(笑)」

 やっぱり久しぶりにやるといかんのぉ。
 一度リプレイを読み直した方がいいかもしれない。

水原「とりあえず今回はこんなもんで終わり」
雪島「うん。面白かったよ」
ほずえ「面白かった」
水原「後は、読者の反応だね」
雪島「にゅ」
ほずえ「次回は?」
水原「いつにするかは不明だけど、シナリオの構想は大体できてる」
雪島「やる気まんまんだね」
水原「ロマールで軽いシナリオ1本やりたい。経験点1,000点くらいの」
ほずえ「闇市〜〜♪」
水原「当然、それを絡めてね」
雪島「了解。楽しみにしてるよ」
ほずえ「うん」
水原「じゃ、今日のところはお疲れさん」
ほずえ「お疲れ様です」
雪島「にゅ。お疲れ〜〜」


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