エリックとエルメス 第7話『狂気』
◆ GMの独り言 ◆
前回の経験点は、二人とも600点の、いつものボーナスが50点(ロック・ウォームのレベルが5)、1ゾロ回数がそれぞれ1回ずつの、計660点です。
もちろん二人とも保留。
さて、今回はいつもの雑談はなしで、GMの独り言を書きたいと思います。
実は、かなり困っている。何が困っているって、エリックたちもエルメスたちも、普通の冒険者と違うってことだ。
第1話でエリックが、酒場で仕事があるか聞いていたけれど、これがあまり必要がない。現に第2話で、冒険者引退宣言をしている。
エルメスは元々冒険者になりたくてなったわけではないし、エリックも一度はやめようと思っていた身。二人ともそれなりにお金を持っている今、普通に冒険者の店で仕事があるか聞いたり、街で遭遇した事件に首を突っ込んだりする必要がまったくないわけだ。
エリックはひたすらクリーナの影を追いかけ、エルメスはリウスについていくだけ。二人とも、もはや今回の事件に関わること以外、まったく興味なし。
あっ、もちろんPCの話ね。
そこで、毎回物語の導入に困ってしまう。それに、シナリオも限られてくる。何故なら、彼ら(クリーナやメイムウェインたち)の目的も一つで、他のことを起こす必要がないから。
ということで、これを書いている今現在、第7話がまったく浮かんでこない。
とりあえず、彼らからお金を取り上げてしまうのが一番手っ取り早いと思うのだが……。
あと、最近、冒険を終えて、心から「良かった」と思えるシナリオをしていないので(正確には、このキャンペーンの初めから)、一度そういうごくごく普通のシナリオをしてみたいところである。
どうすっかなぁ……。
◆ 街にやってきた ◆
GM(水原)「眠い……」
エリック(雪島)「おやすみ」
ミーシュ(ほずぴー)「こらこら。まだ始まったばかりだにゅ」
GM「最近本当にダメなんだ。どんなに寝ても寝足りない。それほど遅くまで起きてないのに、朝起きられない」
エリック「病気だ」
GM「眠い……」
ミーシュ「寝ないで。話が進まない」
GM「今日は、GMは雪島に任せよう」
エリック「よしきた。じゃあ、今二人はレムリアに来た。どうする?」
ミーシュ「怯える。大丈夫かな? 自分がフェアリーだって気付かれないかな?」
エリック「そういう態度をとってると、逆に怪しまれるね。ジロジロ見られるよ。エリックが言おう。『ミーシュ。もっと普通にしろ』」
ミーシュ「は、はい……。頑張って普通にするけど、どこかぎこちない」
エリック「まあ、そうして二人が歩いていると、突然前方に見たことのある人影。エリックが叫ぶ。『あれは、エルメスか!?』」
ミーシュ「(笑)」
GM「出てこない、出てこない」
エリック「残念」
GM「じゃあ、始めましょう。極めて眠たいけど」
エリック「おう。頑張れ」
ミーシュ「にゅ」
GM「君たちはレムネア……」
エリック「レムネア!? 貴様など砕け散れ! ガーディアン!」
GM「ぐあああっ!」
ミーシュ「わかんない……わかんない……(涙)」
GM「間違い。君たちはレムリアの付近にある、ユールウィンという街にやってきた」
ミーシュ「…………」
エリック「ん? どうしたの? ほずぴー」
ミーシュ「また私、“ほずぴー”なの?」
エリック「諦めたまえ」
ミーシュ「まあ、それはそうと、さっきの先輩のもそうだったんだけど、今私たちがいるのって、エレミアじゃないの?」
GM「…………」
エリック「…………」
無言でワールドガイドを開く二人。
ミーシュ「レムリアって、ロマールとファンドリアの間にある都市だよね?」
GM「げふっ……」
エリック「なんだか前回、むっちゃ私たち、“レムリア”って言ってなかった?」
GM「俺も、そのままリプレイ起こした気がする」
ミーシュ「まあ、私も前回は気付かなかったけど……」
ってことで、前回の『PCたちの反省』で“レムリア”になっていたところは、すでに“エレミア”に直してあります(詫)。
GM「じゃあ、再度訂正。君たちは今、エレミアの付近にある、ユールウィンという街に来た」
エリック「どんな街?」
GM「エレミアの街、ルオニルの街に次ぐ、次ぐ、第四の都市で、人口は6,000人ほど。基本的にはエレミアの街の特徴をそのまま受け継いでいて、まあエレミアの小さいヴァージョンと考えてくれればいい」
エリック「了解。ミーシュはすんなり入れたんだね?」
GM「構わないよ。エルフということで」
ミーシュ「でも、やっぱり怖い。ビクビク」
GM「君がそういう態度をとっていると、逆にジロジロ見られるね」
エリック「さっき私が言ったまんまじゃん(苦笑)」
GM「心にやましいことがある人に限って、周りの目が気になるものさ」
ミーシュ「じゃあ、それで視線が集まると、さらにビクビクする。怖いよぉ、エリック……」
エリック「ほら、ミーシュ。もっと胸を張って」
ミーシュ「怯えてる」
エリック「ダメだこりゃ。とりあえず宿。定番だけど、宿をとってミーシュを休ませよう」
ミーシュ「ありがとう、エリック」
GM「宿だ!」
エリック「そんな気合い入れて言わんでも」
GM「表にでっかく、『宿』って書いてある。建物すべてから、『俺は宿だ。さあ泊まれ』って雰囲気が滲み出てるね」
エリック「ふぅ。またGMのノリが変だ」
ミーシュ「きっと眠いからだよ」
エリック「とにかく入ろう。ごめんくれ〜〜」
GM「『いらっしゃいませ』GM好みの可愛い娘さんが出てきたぞ。さあエリック。君はこの魅力に耐えられるかな? 精神抵抗だ!」
エリック「なんだそりゃーっ!? マジでノリが変だ」
ミーシュ「(呆れてる)」
GM「振れー、振れー」
エリック「ええいままよ!(エアーズの数秘術) 14!」
GM「じゃあ、大丈夫だった」
エリック「当たり前だ!」
ミーシュ「(笑)」
GM「『お二人様ですか?』」
エリック「そうです」
GM「『部屋は一部屋でよろしかったですか?』」
エリック「構わない」
GM「『それでは、一晩30ガメルになります。お部屋にご案内しますから、こちらへ……』そう言って、娘さんは歩き出す」
エリック「ついていこう」
ミーシュ「パタパタパタ……」
エリック「飛ぶな!」
GM「『ひっ! 今、と、飛んだ!!』」
ミーシュ「ビクビク」
エリック「い、いや、こいつ、たまに飛ぶくせがあるんだよ。まったく、ダメだって言ってるのに困ったヤツで、あはは」
GM「『なんだ、くせなんですか。びっくりしましたー』」
ミーシュ「なんて平和な……」
エリック「ちなみに、冗談だからね」
GM「わかってるよ。服着たまま飛べるわけないでしょう」
ミーシュ「ああ、そうか。むっちゃ本気だったのに(爆)」
エリック「こらこら」
注:ちなみに、イリュージョン・クロースは着たまま飛ぶことができます。ミーシュの初期装備。
GM「『こちらです』娘さんが案内した部屋は、ごく普通の部屋だ」
ミーシュ「なんか、建物が変だったから、部屋も期待したのに」
エリック「GM、眠いから、アドリブがきかないんだよ」
ミーシュ「つまんないの」
GM「くそぅ。日を改めた方がいいかなぁ」
エリック「構わない。続けよう」
GM「じゃあ、宿です。好きにして」
ミーシュ「荷物を下ろして、ベッドに座ろう」
エリック「そういえば、ミーシュはどうやって寝るの?」
ミーシュ「どうやってって?」
エリック「ほら、背中に羽根があるじゃん。だから、ベッドでは寝ないのかと思って。ギオラムは座ったまま寝るし」
GM「そうそう。エリはびっくりしていた」
ミーシュ「わかんない……わかんないよぉ……」
エリック「勉強不足だね」
GM「まあ、元々こっちの世界は苦手だったほずえ……ほずぴーが……」
ミーシュ「だから、言い直さないで!」
GM「こうしてTRPGやってるだけでもましだろう」
エリック「そっか」
ミーシュ「そうだね。仰向けに寝ると羽根を傷める。うつぶせで寝ると胸が苦しい」
GM「苦しいの?」
ミーシュ「いや、私は胸ちっちゃいから、別に……(プレイヤーのこと)」
エリック「苦しいよ(きっぱり)」
GM「りょ、了解……」
エリック「何赤くなってるの? 珍しい」
GM「いやいや。84cm、84cm……」
ミーシュ「でも、やっぱりベッドで寝よう。羽根は大丈夫ということで」
エリック「そうだね。ギオラムとは違うんだし」
GM「ギオラムとは違うんだよ! ギオラムとはぁぁ!」
ミーシュ「わかんない……」
GM「ふぅ……」
エリック「な、何!?」
GM「いや、ちょっと寝ていい?」
エリック「…………」
ミーシュ「…………」
GM「眠いの……」
エリック「…………」
ミーシュ「はぁ……」
ってことで、マジで眠いから、開始から十数分で一旦区切ろう……。
パタッ。
◆ 情報 ◆
GM「おはよう……」
エリック「うん」
ミーシュ「にゅ」
GM「どれくらい寝てた? 俺」
エリック「1時間半」
GM「二人とも、何してたの」
ミーシュ「ギオラムが気になったから、ざっと『日帰りクエスト』読んでた」
エリック「『この空』の宣伝ページ作ってた」
注:『この空』……『この想い、空までとどけ』という、水原と雪島の二人サークル『One of the Stars』初のオフセット本。2000年7月からの通販に向けて、雪島はその宣伝ページを任されている。っていうか、俺が任せた。
GM「ご苦労様」
ミーシュ「体調は?」
GM「良好。ちと眠い」
エリック「まあ、寝起きだし」
GM「じゃあ、話を進めよう」
エリック「ああ、うん。今もうオランにいるから」
ミーシュ「うん」
GM「……はい?」
エリック「水原君が寝てる間に、二人でオランまで来て、今<ブラックゲマゲマ亭>っていう酒場で、ご飯食べてるとこ」
ミーシュ「エリック、美味しいね、これ」
エリック「そうだな。お代わりも……」
GM「こらこら」
エリック「むぅ」
ミーシュ「残念」
GM「お前ら……(汗)。じゃあ、どうする?」
エリック「ミーシュと街に出る。ミーシュが大丈夫なら」
ミーシュ「大丈夫。いくら宿でも、一人でいるよりは、外でもエリックといた方がいい」
エリック「じゃあ、一緒に行こう」
GM「どこへ行くの?」
エリック「とりあえずシーフギルドに行きたい。行って、クリーナのことを調べる」
ミーシュ「シーフギルドで調べるの?」
エリック「プリーストギルド? そんなのあるのか?」
GM「知らない。あっても、横の繋がりがあるかは不明」
エリック「じゃあ、シーフギルド」
GM「ミーシュは?」
ミーシュ「ついてく」
GM「中には入れないよ」
エリック「外で待たせよう」
ミーシュ「怖いよぅ。絶対にGM、なにか企むに決まってる」
GM「ニヤソ。じゃあ、ギルドだ」
エリック「ミーシュ。君はここで待ってるんだぞ」
ミーシュ「怖いよ、エリック。私もついていきたい」
エリック「ダメなの。すぐに戻るよ」
ミーシュ「ホント?」
エリック「……の予定」
ミーシュ「エリックぅぅ」
エリック「わかったわかった。善処する」
ミーシュ「むっちゃ不安」
エリック「二、三回頭を撫でてやってから、ギルドに入ろう」
GM「じゃあ、入った。『おう。何だ? お前は』」
エリック「どんなところ? どんなやつ?」
GM「ハナっからギルド。表向きなし。入り口が裏向きだったから、もう入ってる時点でシーフだ」
エリック「じゃあ、いきなり話を切り出していいね。レイドのギルドの、エリックってもんだが、情報が欲しい」
GM「『どんなだ?』」
エリック「アノスの修道院のことだ」
GM「『アノスの修道院?』男はしばらく考えてから、思い出したような顔をする。『フィレニアム修道院のことだな?』」
エリック「う〜ん。名前までは知らないから、こう言おう。生憎修道院の名前は知らないが、クリーナという女の足跡を辿っている。クリーナのいた修道院がフィレニアム修道院というのなら、そこに間違いない」
GM「『そうか……』そう言ってから、『200ガメルだな』」
エリック「わかった」
GM「じゃあ、君が金を渡すと話し始める。『フィレニアム修道院は、今から3ヶ月前に、何者かによって焼き払われている』」
エリック「焼き払われた?」
GM「『そうだ。生き残りも何人かいるらしいが、かなりの死者が出た』」
エリック「なんでまた」
GM「『噂だと、犯人がクリーナだっていうから、恐らく怨恨だろうな』」
エリック「う〜ん。クリーナってのは、“アノスの女神”と呼ばれていた娘だろう。それが何故。彼女は1年前に失踪しているはずだが、そのこともわかるなら教えてくれ」
GM「『いいだろう。まず、クリーナについて話そう。彼女が“アノスの女神”と呼ばれていたのは、その行いからだ。クリーナは悪に厳しく、弱い者に対しては実に優しかったと聞く』」
エリック「悪に厳しくねぇ」
GM「『彼女は高位のプリーストだ。まだ20歳前にして、他者に対してクエストの魔法を行使できたと聞く』」
エリック「げふぅ。レベル5か」
ミーシュ「最低でもね」
GM「『その技能を持ってして、悪に対して容赦がなかった。だから、彼女はたくさんの者に慕われていた分、同じくらいたくさんの者に恨まれていた』」
エリック「それで……って、なんとなくわかったけど(汗)」
GM「『今から1年と少し前、彼女は十数人のちんぴらに襲われている』」
エリック「十数人!? また、膨大な数……」
GM「『まあ、クリーナは強いからな。相当の数で挑まない限り、一般人では勝てやしないよ』」
エリック「なるほど。それで、犯されたことによって、貞潔が破られたと」
GM「『そういうことだ。ヤツらはクリーナと同じくらい高レベルのシャーマンを雇い、ミュートの魔法を使った。クリーナはこれに抵抗できなかった』」
エリック「えらく気合いの入った強姦だ。じゃあ、そんな人数いらないだろうに」
GM「『知らんよ、俺は。とにかくそうして、彼女は貞潔を破られた。修道院には、清貧・貞潔・服従の3つの掟がある。その内の一つを破られて、クリーナは修道院の中での立場を失った』」
エリック「可哀想に。GMに犯された少女が、ここにもまた一人……」
GM「こらこら。『だが、問題はそこからだ』」
エリック「ん?」
GM「『それだけならば、犯されたクリーナには悪いが、まだ問題はなかった。彼女にとって不幸だったのは、そのすぐ後にちんぴらどもが、日頃からクリーナによって助けられていた者達に殺されたことだ』」
エリック「早まったな」
GM「『クリーナは自らその全責任を被った。もっとも、彼女は彼らに犯されていたから、その罪は驚くほど軽いものだったが、それでも彼女が罪人になることで困る者達がいた』」
エリック「フィレニアム修道院だな?」
GM「『そうだ。修道院のヤツらは、クリーナによってその信頼を失った。彼女が犯されたことは公にならなかったからだ。そこで院の上層部が、事故死に見せかけてクリーナを消そうとした』」
エリック「つくづく可哀想な女の子だ。何歳なの?」
GM「当時17歳。今は18歳だね」
エリック「若い。エルメスと同じか。しかし、17歳でプリーストレベル5ねぇ」
GM「話を続けるよ。『ヤツらの手によって、クリーナは家も家族も、ことごとく失うことになった。しかし、運が良かったのか悪かったのか、彼女は生き延びてしまった。これが1年前に起きた事件で、それ以降、クリーナの消息はわかっていない』」
エリック「なるほどな。じゃあ、3ヶ月前の事件について教えて欲しい」
GM「『構わない。だが、これはそれほど情報がない。3ヶ月前、フィレニアム修道院が突然炎上した。あからさまに魔法によるもので、クリーナ自身はそういう技能のない娘だったが、その時の生き残りの一人が、クリーナらしき人影を見たと言っている。現在アノスの者達がクリーナの行方を追っているが、今のところはまだ見つかってないようだ』」
エリック「そうか……。ありがとう。助かった」
GM「『なに、仕事だ』」
エリック「ふぅ。かなりの情報が入った。とりあえず外に出よう。ミーシュは?」
GM「もちろん今から、君がギルドにいた時間のミーシュの方をやるよ」
エリック「げふっ!」
ミーシュ「ドキドキ」
◆ その頃のミーシュ ◆
GM「君はどうしてる?」
ミーシュ「えっと、壁にもたれてドキドキしてる。気付かれないかな? 大丈夫かな? 不安で胸いっぱい」
GM「じゃあ、結構不審だね?」
ミーシュ「比較的」
GM「じゃあ、そんな君を心配して、とっても優しい青年が2人、君に声をかけてくれるよ。『君、こんなところでどうしたんだい?』」
ミーシュ「怖々に見上げよう」
GM「あからさまにちんぴら臭い青年が二人、とても穏やかな微笑みを浮かべて君を見下ろしてるよ。騙されるかチェックしよっか?(笑)」
ミーシュ「面白いね。何で振る?」
GM「冒険者+知力」
ミーシュ「基本で7もある。(ころころ)15」
GM「じゃあ、あからさまに怪しい男たち」
ミーシュ「怖いよ……。震えていよう」
GM「『具合でも悪いのかな? 病院に行かないと』そう言って、一人が君の手を持つ」
ミーシュ「ひっ。慌てて振りほどこう。共通語で、やめてくださいって言う」
GM「『でも君は具合が悪そうだ。とても放ってはおけないよ』白々しい台詞」
ミーシュ「よく意味がわからない。フェアリー語で喋ってくれないかなぁ(笑)」
GM「無理無理。『さあ、行こう』今度は強く手を取られる」
ミーシュ「頑張って振りほどく。やめてください! やめてください!」
GM「向こうもだんだんムキになってくる。『こいつ、大人しくしないか!』二人がかりでつかみかかってくるぞ」
ミーシュ「周りに人は?」
GM「ここはシーフギルドの前だ。いないよ」
ミーシュ「じゃあ、こっちから魔法を使おうかな」
エリック「一応、街中で人間に対して魔法を使ってはいけないと言ってある」
ミーシュ「じゃあ、思いとどまろう。うぅ、エリック……」
GM「冒険者+筋力で抵抗して」
ミーシュ「筋力ボーナス0だにゅ。(ころころ)11」
GM「じゃあ、ダメ。君はズリズリとひきづられていく」
ミーシュ「まずい。困ったよう。大声を出す。やめてやめて!」
GM「じゃあ、口を押さえられて、腹を殴られる。『こいつ、静かにしないか!』」
ミーシュ「うぅ……。泣く。なんか、エルメスやってたときも、こんなことが……」
エリック「GMの趣味でしょう」
GM「(無視)。魔法を使わないのなら、ただでさえ人影がなかったのに、ますます人影のない狭い路地に引きずりこまれる。二人は話している。『こいつ、エルフだぜ。魔法を使えないようにしよう』『手を縛ればいいんだな?』『確かそのはずだ』」
ミーシュ「何を話してるかわかんない。怯えてる」
GM「じゃあ、手を縛ろうとする。ちなみに、がっちり押さえられてるから、抵抗不可ね。さっきのダイス目維持」
ミーシュ「もうダメ、エリック。ごめんなさい。魔法使います」
GM「何使う?」
ミーシュ「×2ホールド。(ころころ)4とか振っちゃった。11と13」
GM「じゃあ、一人は無事だ。怒る。『この娘!』回避して」
ミーシュ「(ころころ)17(笑)」
GM「そんなの、絶対に当たらない(笑)」
ミーシュ「いいな、この服♪」
注:ミーシュは、回避力+3のイリュージョン・クロースというものを着ている。
GM「じゃあ、どうする?」
ミーシュ「もう一回ホールド。(ころころ)出目10は17」
GM「だから、動けんって!」
ミーシュ「逃げる。でも、さっきのところだと怖いから、どこかで隠れてて、エリックが出てくるのを待つ」
GM「エリックが出てくるより先にホールドが切れるけど、やつらは追ってこない。やがてエリックが出てくるよ」
ミーシュ「駆け寄る」
GM「じゃあ、エリックは回避して」
エリック「ヤだ」
GM「さらっと流された」
ミーシュ「(笑)。抱き付こう。エリックぅぅ」
エリック「よしよし。何かあったんだな?」
ミーシュ「泣いてる。わーんわーん。フェアリー語で色々言う」
エリック「わかんないから、とりあえず落ち着くまで抱きしめていよう」
ミーシュ「わーんわーん」
GM「じゃあ、5年くらい経って、ようやくミーシュは落ち着いた」
エリック「ふぅ。俺ももう29歳か……」
ミーシュ「こらこら」
GM「いいよ。好きにして」
エリック「街を見て歩こうかな? それとも、もう宿に戻った方がいいかな? 頑張ってミーシュに聞いてみよう」
ミーシュ「帰りたそうにする」
エリック「じゃあ、帰ろう」
GM「なら帰宅途中だ。二人が街の中央通りを歩いていると……」
エリック「と?」
GM「冒険者+知力」
エリック「(ころころ)3とか振った。9ちかない」
ミーシュ「(ころころ)同じく、4とか振った。11だにゅ」
GM「(ダメだこいつら)じゃあ、何もなかったよ。残念だったね」
エリック「ふぅ。ミーシュ、今何もなかったな」
ミーシュ「うん。何もなかったね」
GM「変な会話。じゃあ、ミーシュは違う判定をするから、シャーマン+知力で振って」
ミーシュ「シャーマンなら14」
エリック「俺も技能なしで振っていい?」
GM「いや、ミーシュが気が付いた。何やら狂気の匂い」
ミーシュ「……何それ?」
GM「レプラコーンだね。妙にそんな気配がした」
ミーシュ「う〜ん。混乱の精霊。エリックの袖を引こう」
エリック「どうした?」
ミーシュ「混乱混乱」
エリック「わかんねーよ」
ミーシュ「しくしく」
エリック「じゃあ、帰ろっか」
ミーシュ「うん」
ま、待ってくれ……。
GM「ミーシュは狂気の出所に気が付いた。ふと振り向くと、ローブを纏った男……かどうかはわかんないけど、人の形をしたヤツが、背の小さいのと一緒に、歩いていく」
ミーシュ「エリックの袖を引き直そう」
エリック「どうした?」
ミーシュ「あいつあいつ。あいつ、混乱」
エリック「見る」
GM「じゃあ、君はその小さい方に見覚えがある」
エリック「斬りかかるか(笑)」
ミーシュ「勝てないからやめた方がいいよ。強いって」
エリック「くそぅ」
第3話に出てきたメイムウェインのことです。ミーシュは知らないが、ミーシュのプレイヤーは知っている。
GM「どうする? 斬りかかる?」
エリック「やめとく。隣のヤツは?」
GM「ローブの後ろ姿しか見えない」
ミーシュ「でも、たぶん精霊使いだね」
エリック「ダークエルフかな? ミーシュの村を潰した」
GM「どうかな? 彼らは奥に消えて行くけど、どうする?」
ミーシュ「追いかける?」
エリック「向こう、レンジャー7だからなぁ。気付かれそうな気がする。ゲマを飛ばそう」
GM「じゃあ、ゲマね」
ミーシュ「アレクラストの街の中で、こんなん(ぬいぐるみを持っている)がふわふら飛んでたら、よっぽど怪しいんだけど」
エリック「気にしない、気にしない」
GM「じゃあ、君たち自身は?」
エリック「一旦宿に戻る」
GM「了解」
◆ 教会にて ◆
GM「ゲマが追跡してると、突然メイムウェインが立ち止まる。『何かがついてくるよ』男が言う。『何だと?』『あれあれ』ふわふわふわ〜。『死ねぃ』そして、ゲマは死んだ」
エリック「うぅ。可哀想なゲマ」
ミーシュ「くすん」
GM「追跡失敗。さて、どうする?」
エリック「そうだねぇ」
ミーシュ「泣いてる。くすんくすん」
GM「…………」
エリック「…………」
ミーシュ「…………」
エリック「だから、私んたぁ、誰も突っ込まんから、そういうことしちゃダメだってば」
GM「困ったもんだ」
ミーシュ「にゅ」
GM「ゲマが気付かれないように追跡していくと、少し町外れにある、教会付近で彼らを見失う」
エリック「教会?」
GM「そう。別に変わったところはない、普通の教会だよ」
エリック「こっからの距離は?」
GM「宿からなら、30分くらいかな?」
エリック「ふむ。とりあえず行ってみたいけど、一人で行くのは危険すぎるなぁ。まずは街の警備にでも行ってから」
GM「じゃあ、エリックは行くんだね?」
エリック「メイムウェインは絶対に殺すべき敵だ」
ミーシュ「私はエリックについていくよ」
エリック「そうだな。シャーマンの力は絶対に欲しい。じゃあ、とりあえず二人で街のお巡りさんのところへ行こう」
GM「じゃあ来た。『冒険者が何かね?』不安そう。冒険者が来る、イコール、事件が起こる、オァ、事件が起こった」
エリック「なるほどね。残念ながら事件の匂い。ちょっと聞きたいんですが、町外れの教会、あれはどういうところですか?」
GM「『教会? 別に普通の教会だが』」
エリック「できるだけ詳しく教えて欲しい。ちょっとロマールで事件を起こした連中らしき姿を、その教会付近で見かけたもんだから」
GM「『ロマールの事件とは?』」
エリック「誘拐事件だよ。数人の若い女性が誘拐されて、内一人死者が出た。俺たちはその事件の解決の依頼を受けた者だから、よく知っている。首謀者はメイムウェインという、性悪グラスランナー。そいつが全身ローブのヤツと教会付近にいたのを見た。最悪の場合、ローブの男はダークエルフの可能性もある。だから、協力して欲しい」
ミーシュ「ほえ〜。何言ってるのか全然わかんなかったけど、何となく雰囲気ですごそうなのはわかったよ」
GM「こっちも関心した様子。『なるほど』じゃあ話そう。彼によると、教会は無名の神を崇めているが、特別悪い噂は立っていない。教義もよくわからないが、別に問題は起きていない。教会にいる人数は、大体いつも10人くらい。神父はクランケンという50歳くらいの男だそうだ」
エリック「そうか。調べに行きたいけれど、協力を要請できないかな?」
GM「渋い顔をするね。『事件の匂いがするならば、こっちも協力したいが、如何せん証拠が不十分すぎる。街の警備が踏み込んだとあっては、何もなかったときに問題になろう』」
エリック「まったくだ。じゃあ、援護を頼みたい。聞き込みはこちらでするから、何かあったら、俺たちが外に連絡をする。そっちは外で待機していて欲しい。どうだ?」
GM「『それならいいだろう。では、人数を集めるから、3時間ほど待ってはもらえぬか? 色々と手続きがある』」
エリック「わかった。俺も死に急ぐ気はないからな」
GM「じゃあ3時間、どこで時間潰す?」
ミーシュ「お散歩しよう」
エリック「なんて緊張感のない子だ」
ミーシュ「お散歩お散歩」
エリック「なだめる。今はダメだ、ミーシュ」
ミーシュ「がっかり〜」
エリック「ミーシュに銀のダガーか何か買ってあげたいなぁ。ある?」
GM「必筋1のが150ガメル。必筋2が200ガメル。以下略」
ミーシュ「エリック。刃物怖いよ」
エリック「う〜む。格好いいのを買ってやろう。なんか、装飾品としても綺麗なのが欲しい」
GM「じゃあ、必筋1で300ガメル。必筋2で400ガメル。以下略」
エリック「必筋4で600ガメルか。レーティング表の1と4の差はそれなりにあるけど、まあ所詮は飾りだし、1でいいや。買ってあげよう」
ミーシュ「素直に喜ぶよ。わーい。エリック、ありがとう。綺麗綺麗〜♪」
エリック「微笑む」
ミーシュ「わーいわーい。早速人殺しに行ってくるね!(笑)」
エリック「こらこら」
GM「じゃあ、3時間経った」
エリック「ああ、その間、教会の動きは? ゲマに張らせておいたことにしたいけど」
GM「特になかったね」
エリック「じゃあ、行こう。警備の連中は何人?」
GM「さっきの人、頑張ってくれたよ。12人いる」
エリック「感謝感謝。さっきの人、名前は?」
GM「ドルバさん」
エリック「じゃあ行こうか、ドルバさん」
GM「『あ、ああ』緊張してるらしい」
エリック「いいことだ。じゃあ、教会の前でゲマと合流して……」
GM「『エリック、遅いゲマ』」
エリック「わかったわかった(笑)。とりあえずドアを聞き耳。(ころころ)11」
GM「何も聞こえない」
エリック「正面からしか入れない?」
GM「裏口がある」
ミーシュ「正面から入らないと、こっちが怪しいよ」
エリック「そうだな。罠感知……11」
GM「ないと思った」
エリック「開けよう」
GM「ギギギギギ」
エリック「ごめんください」
ミーシュ「ごめん、くださひ(真似してるらしい)」
GM「中はでっかい礼拝堂……っていうのか? よく結婚式とかで見るヤツ。真ん中が通路になってて、両側に長椅子がズラっと並んでる」
エリック「誰かいませんかーっ?」
GM「君が大声で言うと、例のクランケンらしき男が出てくるよ。『これはこれは。わたくし共の教会に、どのようなご用件でしょうか』」
エリック「そうだなぁ……」
ミーシュ「…………」
エリック「う〜ん……」
ミーシュ「考えてなかったね」
エリック「むぅ。GM、こいつから何か感じない?」
GM「別に。じゃあ、一応冒険者+知力」
エリック「16」
ミーシュ「それよりは低い」
GM「じゃあ、エリックは彼の目つきや目配りが、素人のものじゃないことに気が付く」
エリック「どんな感じ?」
GM「穏やかに微笑んでいるが、油断なく君たちを観察しているよ」
エリック「なるほど。本物には違いないの?」
GM「さぁ」
エリック「とりあえずはったりかますか。OK?」
ミーシュ「いいよ」
エリック「じゃあ、実は悪い連中が、この教会の周りをウロウロしているのを見かけまして」
GM「『ほぅ。どんなヤツらでしたか?』」
エリック「メイムウェインの名前を言うのは危険かな? 目つきの悪いグラスランナーと、見るからに怪しそうなローブのヤツです」
GM「『それで?』」
エリック「はい。それがヤツらにとってどんな利になるかは想像つきませんが、ひょっとするとヤツらが、この教会を狙っている可能性があります。それで注意をうながしに来たのと、何か変わったことや身に覚えはないかと思いまして」
GM「男は考える素振りを見せてから、『生憎、ここには大したものはありません。ビューマスという無名の神を信仰してますが、それによって他教義の者から恨みを買うようなこともありません。まったくわかりませんが』」
エリック「そうか……。ここには他に何人か人がいると聞いているが、その人たちは? ひょっとすると、個人的な怨恨の可能性もあるから、聞いてみたいのだが」
GM「そうすると、一瞬目を細めてから、『それはこちらで調べましょう。あなた方にそこまでしていただくことはできません』」
エリック「そうか……。こっちは全然構わないのだが、まあそう言われちゃねぇ。ここは素直に引き下がろう。GM、パッと見た目、何か怪しいところはない?」
GM「具体的には?」
エリック「う〜ん……」
ミーシュ「精霊力は? さっきのレプラコーン」
GM「じゃあ、シャーマン+知力」
ミーシュ「高いよ。17」
GM「じゃあ、奥の方からひしひしと感じるね」
ミーシュ「どうしよっかなぁ。エリックに言おうかなぁ……。言おう!」
エリック「(笑)」
ミーシュ「ねぇエリック。奥に混乱混乱。怖いよぉ」
エリック「奥? 何がある?」
GM「カーテンみたいなの? なんて言うの? 垂れ幕? 舞台とかで下りる幕みたいな感じのやつ」
エリック「なるほどね」
GM「じゃあ男は、ミーシュの発言に顔を歪めよう。『混乱、と申されると?』」
ミーシュ「えっ? えっと、奥の方から、その、なんだか怖い感じがするの」
GM「『ほぉ。では、調べてみますか? わたくしは構いませんが』」
エリック「いや、やめておきます。この子の言うことはあまり気にしないでください」
ミーシュ「エリック、ひどい!」
エリック「ほら、ミーシュ。行くぞ」
ミーシュ「うぅ……」
エリック「失礼しました」
GM「ん。男は何もしないよ」
エリック「じゃあ、外に出よう」
ミーシュ「エリックに怒る。エリック、ひどいよ!」
エリック「ああ、すまんすまん。ああでもしないと、印象悪いだろ?」
ミーシュ「うぅ。でも、奥から嫌な感じがしたんだよ」
エリック「それは恐らく正しいだろうけど、俺たち二人じゃ、メイムウェイン一人にすら勝てない。ましてや敵の数もわからない。無駄に命を落とすこともないだろう」
ミーシュ「難しそうな顔をしよう。納得いってないけど、とりあえず黙る」
エリック「よし、いい子だ。なでなで」
ミーシュ「うぅ……」
GM「じゃあ、君らが教会を離れると、ドルバがやってくる。『どうだったんだ?』」
エリック「あったことをすべて話してから、彼が遠回しに他の面々を見られるのを嫌がったことと、奥にレプラコーンという、混乱の精霊の気配を強く感じたということを伝えて、なるべく今後も警戒するよう訴えよう」
GM「『承知した』そう言って、ドルバたちは引き上げていく」
エリック「俺たちも宿に帰ろう」
ミーシュ「うん」
◆ エリック悩む ◆
GM「これからどうする?」
エリック「エルメスのことを考えながら、ベッドでH」
ミーシュ「変態!!」
エリック「いや、言ってみただけ」
GM「変態!」
ミーシュ「変態!」
エリック「うぐぅ。言わなきゃよかった」
GM「当たり前だ」
ミーシュ「困った人」
エリック「今頃エルメスはどうしてるのかなぁ」
ミーシュ「リウスと仲良くしてるんじゃない?」
GM「リウスと仲良くH」
エリック「リウス、許すまじ!」
ミーシュ「でもエリックは、リウスの存在を知らない」
エリック「はぁ……」
GM「で、どうするの? これから」
エリック「う〜ん。メイムウェインが気になる。絶対にまた、“心”を狙って何かしでかすはずだ。さっさとシルファの病気が治ればいいのに」
ミーシュ「そしたら、ミンフは助からないかも知れないよ」
エリック「それは困るな。やっぱり阻止しないと」
ミーシュ「どうするの?」
エリック「まともに戦ったら絶対に勝てないから、さっきのドルバさんたちと協力して捕縛する。とにかくゲマに見張らせよう」
GM「『ゲマァァァ。重労働ゲマ』」
エリック「文句を言うな、使い魔」
GM「『ゲーマーズに帰りたい』」
エリック「また今度な(笑)」
GM「じゃあ、時間を夕方まで進めよう。日暮れ近く、教会の裏口から、三つの人影が外に出る。ゲマは気付いていいよ」
エリック「どんなヤツら?」
GM「ローブが3人。メイムウェインはいない」
ミーシュ「3人もいたのか。突っ込まなくてよかったね」
エリック「どうしようかなぁ。ドルバさんたちは?」
GM「2人ほど残っていて、表を見張っている。だから、裏には気付かなかったようだ」
エリック「じゃあ、ゲマを使って、それをこっそり伝えよう」
GM「『むっ!? お前は?』」
エリック「『ゲマでゲマ。さっきドルバさんとこ行った魔法使いのエリックの使い魔ゲマ。裏口から怪しいローブが3人外に出たゲマ。早く行くゲマ』」
GM「『わかった』2人は慌ててそっちへいく」
エリック「ゲマもついていこう。バレないように」
GM「けれど、3人はすでにいなくなっていて、警備の2人の内の1人がゲマに言う。『情報は間違いないんだな?』」
エリック「『もちろんゲマ。デジコに誓って嘘はないゲマ』」
GM「『そうか……』呟いて、一人が街の方へ走っていく。一人は引き続き見張りに当たる。どうやら人数を確保に行った模様」
エリック「そうか。じゃあ、ゲマはそのままその人と一緒にいよう」
GM「君たちは?」
エリック「ご飯にしよう」
ミーシュ「わーい」
GM「気楽なヤツら」
エリック「焦ってもしょうがない」
ミーシュ「でも、何か起きてからじゃ遅いけどね。起きてから動くの?」
エリック「そうだなぁ。現状で、教会にメイムウェインがいるのは間違いないけど、相手の数がわからんから怖くて行けないし、まだ問題を起こしたわけじゃないから、ドルバさんたちも手出しができない。結局、ヤツらが動くまでこっちも動けないってのが現状かな」
ミーシュ「なんか悔しいね」
エリック「しょうがないさ。飯にしよう」
ミーシュ「わーい」
GM「『こんばんわ。夕食ですか?』さっきの娘さんだ」
エリック「可愛いんだよね?」
GM「可愛いよ。君がいらないなら、俺が欲しいよ」
エリック「なんだそりゃー? とりあえず夕食だ。席はある?」
GM「『はい。こちらへ』」
エリック「うむ」
ミーシュ「うむ!(真似してるらしい)」
GM「『ご注文は?』」
エリック「事件の気配があるから、酒はやめておこう」
ミーシュ「私はお肉は食べられない。サラダが欲しいにゅ」
エリック「適当に……ステーキでも」
GM「『かしこまりました』」
エリック「しかし、なんだ……」
ミーシュ「にゅ?」
エリック「ミーシュって、どんどん幼児退行してないか?」
ミーシュ「そんなことないよ。だんだん流暢な標準語を喋れるようになってる!」
エリック「いや、性格的に」
GM「GMのNPCと、ほずぴーのPCの差でしょう」
エリック「なるほどね」
ミーシュ「ほずぴー(泣)」
GM「じゃあ、夕食も終えて、時間を夜まで飛ばそう」
エリック「教会の様子は?」
GM「ドルバさんがいる。警備が7人になったけど、教会自体に動きはない。逆に、静かすぎるくらい」
エリック「不気味だなぁ」
GM「どうする? 寝る?」
エリック「う〜む。迷いどころだ」
ミーシュ「私、寝る。先に寝るね、エリック。すやすや」
エリック「困った娘だ(汗)」
GM「一人で動くかい?」
エリック「俺の中で、見回りに出て何か情報をつかむんだっていう心と、俺一人が街に出て何になるんだっていう二つの心が対峙している」
GM「どっちが勝ちそう?」
エリック「ミーシュは?」
ミーシュ「すやすや」
エリック「はぁ……。寝よう」
GM「寝るんだね?」
エリック「うぅ……。でもさ。寝ちゃうと、何かあったときにかなり困るんだけど。朝起きたら、街がすごいことになってたとか……」
GM「寝たまま殺されるとかね」
エリック「やっぱり起きてるか……」
GM「起きてるだけ?」
エリック「困ったぞ、困ったぞ」
ミーシュ「すやすや」
エリック「まあいいや。ミーシュを起こして、街に出よう」
ミーシュ「えー」
エリック「やっぱり何かあってからじゃ遅い」
ミーシュ「でも、何もないかも知れないし、すごい真夜中に起こるかもしれないんだよ」
エリック「それはそうだが……」
ミーシュ「眠くてヘトヘトになってるところで何か起きても、どうにもならないよ」
エリック「う〜ん」
ミーシュ「寝よう、エリック」
エリック「むぅぅ。やっぱり寝るか……」
GM「結局寝るのね?」
エリック「神経を張り詰めて寝ます」
GM「うぃ。お休み〜」
◆ そして事件は起きる ◆
GM「夜中です。二人とも冒険者+知力で振ってね。やる気のない人は、自主的にマイナス修正して」
ミーシュ「やる気ないからマイナス2で、出目7は13」
エリック「やる気まんまんだからプラス2で、出目6は14」
GM「じゃあ、エリックは気が付いた」
ミーシュ「い、いいの? それで……」
エリック「むっ。気が付いたぞ!」
GM「外が騒がしい。外っていうのは、廊下じゃなくて、窓の外。がやがや。『きゃーーーっ!』『なんだなんだ?』」
エリック「どりゃどりゃ。とりあえず見てみよう」
GM「大変だ。数人人が倒れている。ナイフを振り回している人が一人。よく見ると、ずっと遠くの方で火の手が二つほど上がっている」
エリック「た、大変だー。ミーシュを起こさなくては(何故か棒読み)」
ミーシュ「すやすや」
エリック「(魔法表を取り出して)起こすにはどうすればいいのかな?」
GM「…………」
エリック「バードのアーリーバードとかあればいいのにね。魔法魔法っと」
ミーシュ「…………」
GM「あのさ……」
エリック「何?」
GM「普通に起こせば」
エリック「な、なるほどーっ! その手があったか」
ミーシュ「本気なのか冗談なのか……」
エリック「いつも水原君(GM)を起こす手を使えば起きるな!」
GM「いや、だから普通に……」
エリック「キスしよう。耳元で、起きて……とか言いながら、チュッと」
ミーシュ「うぅ。プレイヤーが女でも、PCは男だから、気持ち悪いだけ」
GM「実行したの?」
エリック「その方が面白いでしょう。ああ、エルメスにもこうして……こうしてこうして! ああ、エルメス!!」
GM「雪島、いきなりどうしたの?」
ミーシュ「ノリが変」
エリック「まあ、いろいろあるのよ。ふっ……」
ミーシュ「と、とにかく起きるよ。むにゃむにゃ。フェアリー語でおはようと言おう」
エリック「おはよう、ミーシュ。外が大変なことになってるから、すぐに出るぞ」
ミーシュ「にゅ」
エリック「教会の方は? ゲマは?」
GM「残念。ゲマは睡眠中だ!」
エリック「ええい、起きろ! ふわふわボール!」
ミーシュ「ふわふわボール……なんか可愛い……」
GM「じゃあ、起きた」
エリック「ホントに寝てたの?(泣)」
GM「いや、そんなことはないけど、教会の方は異常なし。裏口から数人人が出ていったけど、普通の人だったらしい。メイムウェインが出ていったのは、少なくともゲマは見ていない」
ミーシュ「引っかかる言い方だね」
GM「今教会にいるドルバさんたちのお仲間は2人。大半は街に繰り出している」
エリック「やれやれ。外に出よう」
ミーシュ「了解だよ」
GM「外に出た」
エリック「様子は?」
GM「街は騒然となっている。でも、まだ序の口だろう。小火騒ぎと通り魔騒ぎが相次いでいるらしい」
エリック「人の数は? 夜だけど……」
GM「多いよ。序の口っても、それなりの騒ぎだからね。あと、ドアや窓を壊される被害も出ている模様」
ミーシュ「精霊は?」
GM「さっきのがひしひしと」
ミーシュ「うぅ。エリック、混乱混乱」
エリック「見ればわかる(笑)」
ミーシュ「しくしく」
エリック「教会に走ろう」
ミーシュ「ついていく」
GM「教会までは行かせないよ。しばらく走ると、前方にローブの一人を見かける」
エリック「止まる。隠れる。何してる?」
GM「何やら怪しげな魔法使ってる」
エリック「インサニティ?」
ミーシュ「ん? 何? その魔法」
エリック「ダークプリースト」
ミーシュ「ああ、見たことないからわかんないや」
GM「それじゃないらしい。精霊系の、レプラコーンを使ったやつ。ちなみに、あんまり意識してないオリジナル魔法ね」
エリック「まあ、いいんじゃない。そこはこう、ノリってやつで」
ミーシュ「レプラコーンが操られてるんだよ、きっと」
GM「それでいこう」
エリック「敵だな。距離は?」
GM「40m」
エリック「数は?」
GM「一人だ。ちなみに、剣を持ってるよ」
エリック「ファイターかシーフもあるのね。どうしよっかなぁ」
ミーシュ「敵の実力がわかんないから、危険だよ」
エリック「魔法戦だと、負けるかもね。しかも、ミーシュは生命点が8点しかない」
ミーシュ「じゃあ、何か作戦を立てよう」
エリック「格好いいな、それ」
ミーシュ「エリックが突っ込んで、私が後方支援」
エリック「まだ怒ってるのか? エルメス」
ミーシュ「(笑)」
第4話参照。
エリック「あんまり精神点使いたくないなぁ」
ミーシュ「私が服を脱いで、透明になって飛ぶ」
エリック「……で?」
ミーシュ「…………」
エリック「それから?」
ミーシュ「そ、そのまま逃げる(汗)」
エリック「はぁ。エルメスはいい子だったなぁ」
ミーシュ「しくしく」
エリック「じりじり近付いて、最初の2発で決めよう!」
ミーシュ「結局そうなるんだね」
GM「じゃあ、じりじり近付くね?」
エリック「じりじり……ふぅ。近付いたぞ!」
GM「レンジャー+敏捷度」
エリック「しくしく。9とかいってるよ」
GM「じゃあ、気付く。『むっ? 貴様ら、冒険者か』正面から見てわかった。ダークエルフだ」
エリック「ミーシュに聞く。あいつか?」
ミーシュ「何が?」
エリック「いや、何がって。村を滅ぼしたヤツ」
ミーシュ「ああ、うん。あいつだ! 間違いないよ!」
GM「違う違う(泣)。お前ら、勝手に話を進めないでくれ!」
ミーシュ「(苦笑)」
エリック「言う。お前たちか? 街をこんなふうにしたのは!?」
GM「ふっと笑う」
エリック「メイムウェインの手の者か!?」
GM「睨もう。『あのチビを知っているのか。だが、生憎あんなチビなどに遣えるほど、私は落ちてはいない。私はカナルファス様の配下のケーラ。お前たちもここで狂うがいい!』」
エリック「そうはいくか」
◆ 助っ人 ◆
<第1ラウンド>
GM「敏捷度、19だよ」
エリック「全然ダメ」
ミーシュ「私が負けるか……」
GM「じゃあこっち。『狂え狂え!』コンフュージョン、エリック。抵抗して」
エリック「7は12」
GM「おめでとう。君は狂った」
エリック「あはは……あははははっ!」
ミーシュ「エリック! ストーン・ブラスト……7は14!」
GM「…………」
エリック「??」
ミーシュ「(GMに)抵抗したの?」
GM「は? エリックにストーン・ブラストを使ったんじゃないの?」
ミーシュ「なんで味方にストーン・ブラストを撃つの!?」
GM「ああ。じゃあ、抵抗ね」
ミーシュ「うっ! ファイターがいないと、勝てないかも。3とか振っちゃった。8点」
GM「痛くもかゆくもないね。いや、かゆいか。ぼりぼり。『かゆい、かゆいぞぉぉ!』」
エリック「ノリがJOJO……」
ミーシュ「うっ……。変だ、この人」
エリック「ディスペル……達成値いるの?」
GM「どうも、完全版を読む限り、1ゾロじゃない限り成功っぽいんだけど……」
ミーシュ「敵の達成値との振り合いじゃないのかなぁ。そうじゃないと、ディスペル・マジック、強すぎない?」
GM「う〜ん」
エリック「種別が“儀式”になってるね。なんだろ……」
ミーシュ「達成値って書いてあるから、やっぱり振り合いだよ」
GM「らしい。振ってくれ」
エリック「わかった。(ころころ)10とか振って16」
GM「じゃあ、解除ね」
<第2ラウンド>
GM「フェアリーにストブラ」
ミーシュ「名前で呼んでくれ! PCなんだから」
GM「むっ。生意気だ。フェアリーにシュートアロー」
エリック「マジ!?」
ミーシュ「レベル5!?」
エリック「死ぬなよ、ミーシュ」
GM「13点」
ミーシュ「うっ……。8点受けて、生命力0っす……。生死判定は……(ころころ)大丈夫だけど」
エリック「ミーシュ!!」
GM「(敵、強すぎた……)」
エリック「くそっ! あんまり怒らせるとジャベリンが来る。ここは逃げるしかないでしょう。スリ・クラ……12」
GM「全然平気」
エリック「ここまでか……。すまん、エルメス……」
<第3ラウンド>
GM「『弱いくせにでしゃばった罰だ!』次のラウンド、ケーラが魔法を放とうとした瞬間、彼に矢が飛ぶ」
エリック「味方?」
GM「(ころころ)ぐさっと刺さる。かなり深いらしい。13レートの出目が9だ! 『うっ……。何者だ!?』ケーラが振り返ると、そこに二人の女戦士が立っている」
エリック「エルメス?」
GM「残念。テティスとエイル」
エリック「うわ〜、嬉しい子たち(笑)」
ミーシュ「お兄ちゃんのキャラだね」
そうです。GMが遥か昔に使っていたキャラとその義姉です。
GM「実はエリックよりエイルの方が速かったりするけど、そこはまあ、行動順を遅らせたとして、テティスの攻撃っす」
エリック「頑張れ、ファイター5!」
GM「(ころころ)ういっす。さすがは23レートで、轟沈です」
エリック「むぅ。礼を言ってから、ミーシュの元へ」
GM「二人も来るよ。『その子は?』」
エリック「ああ。さっきのヤツにやられてしまったんだ」
ミーシュ「みゅう」
GM「『困ったわね』はテティスね。『生憎、ちょうど今私たち、二人しかいなくて、回復魔法がない。あんたは?』」
エリック「いや、俺も使えない」
ミーシュ「ダメじゃん」
GM「『じゃあ、あたしがやるよ』そう言って、もう一人の女の子……って、エイルだけど、ミーシュの“応急手当て”をしてくれる」
エリック「助かる。ありがとう」
GM「じゃあ、こっちは二人とも名乗ってから、話を切り出そう。『あんたたちは、この騒ぎのことを知っているのか?』」
エリック「ああ、多少は」
GM「『乗りかかった船だ。良ければ教えて欲しい』テティスが言うと、エイルが隣でやれやれって顔してる。テティスには絶対服従だけど、結構冷めた性格をしているから、無償で人助けなんてしたくないってのが本音」
エリック「なるほどね。じゃあ、メイムウェインのことと、カナルファスだっけ? さっきケーラの言っていた男の名前を話して、ロマールであった事件のことも言おう」
GM「『なるほど。じゃあ、その教会に行って、メイムウェインとかいうガキをぶっ殺せば、少しは事態が好転しそうだな』」
エリック「きっついお言葉で……」
GM「そういうキャラ」
エリック「手伝ってくれるのか?」
GM「『手伝うったって、元々あんたらが依頼を受けたわけでもないだろう』」
エリック「それはそうだが……」
GM「そのとき、不意にエイルが、『あれ? この子、羽根が生えてる』」
エリック「ギクッ。い、いや、実はフェアリーなんだけど……」
GM「面白そうな様子でテティス。『フェアリーつれてるとは、あんたもかなり複雑な状況にあるみたいだな』」
エリック「あんたもってことは、そっちは?」
GM「『まあ、色々と』色々とね(笑)」
エリック「なるほどね」
GM「やがて、エイルの応急手当てが終わる。ミーシュは起きていいよ」
ミーシュ「目を開けて、見慣れない人がいるからびっくりする。怖いよ……」
エリック「大丈夫だぞ、ミーシュ。お前を助けてくれたんだ」
ミーシュ「みゅ〜〜」
エリック「ほら、礼を言え」
ミーシュ「あ、ありがとう」
GM「エイルが微笑む。子供好き〜♪ 『いえいえ。共通語が話せるんだね〜』」
ミーシュ「あ、はい。少しなら」
GM「テティスがそっけなく言う。『ヒーリング使え』そっけないのは、言葉が通じないといけないから、なるべく簡単な言葉で伝えようとしたんだぞ」
ミーシュ「でも慌てる。う、うん。答えてから、ヒーリング」
GM「じゃあ、全快ね」
エリック「しかし、生命点8はあまりにも痛すぎるな」
ミーシュ「他の出目が異様にいいから(能力値のこと)、戦闘以外はいい感じ」
GM「じゃあ、君たちが仲良くなったところで、テティスが言う。『そろそろ、その教会に行くか』」
エリック「そうだな」
ミーシュ「にゅ」
エリック「この二人がいれば、ここでメイムウェインが倒せるかも」
GM「すべては出目次第だよ」
エリック「そうだね。今日は出目があんまり良くないから、ちょっと不安」
GM「うぃ。じゃあ、君たちが歩き始めると、後ろから低い男の声がする。『お前たち。ケーラを殺しておいて、逃げるつもりか?』」
エリック「構えながら振り返ろう。誰だっ!」
◆ “人差し指”カナルファス ◆
GM「振り向いたそこに、一人のダークエルフが立っている。間違いなく、あの時メイムウェインといた奴だ」
エリック「何者だ!」
GM「君がそう言うと、男が言う。『私はメラクリウス様の“人差し指”、カナルファス。ケーラの仇をとらせてもらおう』」
ミーシュ「出た出た、メラクリウス! ハーフエルフのニィルスレイトが、“様”付けで呼んでいた人だったよね?」
GM「そうそう」
エリック「叫ぶ。お前たちの目的は、女性の心なのだろう。何故こんなふうに、街を無茶苦茶にするんだ! ちょっと言葉が情けなかったかな?」
GM「『心? 私はそんなものは頼りにしていない。私は私のやり方でする。それだけだ!』ちなみに、テティスとエイルは、君たちのやり取りを聞いている。部外者だからね」
エリック「うぅ。全然わからんぞ。ちょっとまとめよう」
ミーシュ「クリーナ、メイムウェイン、ニィルスレイト、カナルファス。みんなメラクリウスの配下で、シルファを助けるために動いてる」
エリック「クリーナとメイムウェインは、メラクリウスの命令で“心”を集めていて、ニィルスレイトはそのやり方に反対。カナルファスはもっと別の方法でシルファを助けようとしている」
ミーシュ「その方法が、街の混乱? 街が混乱してる間に、メイムウェインが何かしてるんじゃないのかな?」
エリック「う〜ん。シルファが例の『彼は石にあらず〜』の“彼”だとしたら、“失われし物”ってのに色んな説があって、カナルファスは“心”じゃないものを探している? カナルファスに聞いてみよう(笑)。メイムウェインはどこにいる!?」
GM「『“薬指”? ヤツなら、もうこの街にいないだろう。適当に人殺しをしたら、街を出るように言ってあるからな』」
ミーシュ「あれれ? 無差別殺人が目的??」
エリック「もうわけがわからんぞ(笑)。ああそうだ、GM。カナルファスは、ミーシュの村を襲ったダークエルフ」
GM「ちゃう」
ミーシュ「違うよ、エリック」
エリック「ひとことで言って、うぐぅだ。ふたことだと、ちょーうぐぅだ」
ミーシュ「カナルファスの他にダークエルフがいて、そいつが私の村を襲った」
エリック「ああっ! 忘れてた! 結局、ミーシュの村にあったものって、何?」
GM「ああ、フェアリー・ストーン」
ミーシュ「フェアリー・ストーンだよ、エリック」
エリック「な〜んだ。フェアリー・ストーンか!」
ミーシュ「…………」
エリック「…………」
GM「…………」
エリック「うわああぁぁあああぁぁぁぁっ。 なんだそれえええぇぇぇえええっ!」
ミーシュ「せ、先輩、落ち着いて!」
GM「落ち着け雪島! 冷静になるんだ!」
エリック「はぁ……はぁ……」
ミーシュ「…………」
エリック「……ふぅ」
GM「変な娘」
エリック「とにかくカナルファスに聞くしかないだろう。言う。メイムウェインに人殺しを指示しただと? それがシルファって人を助けることに、どう繋がると言うんだ!?」
GM「『お前たちの“生”そのものが、シルファ様を苦しめているのだ。お前たちが死ねば、シルファ様はきっと救われる』」
エリック「なんだなんだぁ? 頭が痛くなってきたぞ!」
GM「じゃあ、そろそろ戦おう。『話はこれまでだ。フラスコ、ヴェッテル。こいつらを片付けるぞ!』」
ミーシュ「誰?」
GM「カナルファスがそう言うと、君たちを挟む形で、一人のダークエルフと、人間の男が現れる。男は戦士系。前者がフラスコで、後者がヴェッテルね」
エリック「了解」
GM「あと、テティスとエイルは君たちでやって。発言は適当でいいけど、大切にしてね。はっきり言って、俺にとってはエリックやエルメスよりも、遥かに大事なキャラだから」
エリック「わかってるよ」
ミーシュ「頑張るにゅ」
エリック「じゃあ、私がテティスやる」
ミーシュ「じゃあ、エイル。そうだ、お兄ちゃん。今度この子たちの出てるリプレイ、読ませてね」
GM「にゅ。いいよ」
注:このリプレイ、遥か昔の文豪MINI5のデータでしか残っていないので、掲載できません。実質、紙に印刷したものしかないとお考え下さい。
<第1ラウンド>
GM「行動順、カナルファス、フラスコ、ミーシュ、エイル、エリック、ヴェッテル、テティスね。はっきり言って、相当頑張らんと、全滅するから」
ミーシュ「それはさっきのケーラ戦で思い知りました。頑張ります」
GM「じゃあ、カナルファス。バルキリー・ジャベリンをテティスに」
エリック「6は14」
GM「運がいいね。抵抗は失敗だけど、3とか振った。11点」
エリック「にゅ。魔力9ね」
GM「雪島って、すぐに計算してくるから怖い」
エリック「くくく……」
GM「フラスコはミーシュにストブラ」
ミーシュ「大丈夫かな? (ころころ)全然ダメ。ちょうだい」
GM「10点」
ミーシュ「6点受けて、残り2か。どのみちあと1発くらったら死ぬのね、私……」
GM「じゃあ、ミーシュは?」
ミーシュ「今更回復してもねぇ(泣)。ヴェッテルにスリープ。期待値出とけ……ふぅ……」
GM「君の魔力が7だから、期待値出てないなら抵抗ね」
ミーシュ「帰ろう……」
GM「逃がさんって(笑)」
ミーシュ「にゅ。エイルはフラスコに攻撃。1撃で決めます。8は14」
GM「いいよ」
ミーシュ「今日、マジで出目が悪い。10点」
GM「ん。どうぞ」
エリック「状況は?(位置のこと)」
GM「エリックとテティスがカナルファスで、後の二人がフラスコとヴェッテルに当たってる」
エリック「テティスにファイア・ウェポン。(ころころ)成功ね」
GM「じゃあ、ヴェッテルはエイルに攻撃。回避して」
ミーシュ「マジで目出が悪いよ、今日。4とか振って、10」
GM「じゃあ、10点受けて」
ミーシュ「3点受けたかな?」
GM「残り13点ね」
エリック「じゃあ、テティスは攻撃、カナルファス。うりゃあぁぁぁ! ふっ……」
GM「にゅ。出目は3ね!」
エリック「帰るか……」
GM「だから、逃がさんって!」
<第2ラウンド>
GM「カナルファス、エリックにシュートアロー。(ころころ)低い! 12点もらって」
エリック「6点減の6点もらい。残り8か……」
GM「フラスコはストーン・ブラスト、エイル」
ミーシュ「12」
GM「15点もらって」
ミーシュ「げふっ。あと2しかない!」
エリック「GM、いつも敵強すぎ!」
GM「っていうか、あんたらが3とか4とかしか振らんでいかんのでしょう」
ミーシュ「うぅ……。さっきから8回くらい振って、期待値以上が1回しかない……」
エリック「ダイスを変えよう。戦闘始まったから、6、6、4、8、3。その内死ぬ……」
ミーシュ「フラスコにシェイド。7は14」
GM「いいよ」
ミーシュ「(ころころ)来た来た来た来た来たーっ!」
エリック「……潰せ……」
ミーシュ「(ころころ)1回クリって17発」
GM「みゅ。ストーン・ブラスト2発放った後だから、ちょっときついね。倒れるよ」
ミーシュ「うしっ! じゃあ、エイルは……カナルファスには無理?」
GM「無理」
ミーシュ「じゃあ、しょうがない。ヴェッテルに攻撃。出目が良くなってきた! 10は16」
GM「どうぞ」
ミーシュ「(ころころ)ふっ……」
エリック「いや、TRPGってそんなもんだよ、ほずえちゃん」
ミーシュ「出目3は8点かな?」
GM「カンッ!(攻撃を鎧で完全防御するお決まりの効果音)」
エリック「懐かしい音だ。振り向いて、ヴェッテルにライトニングは?」
GM「構わないけど、エイルを巻き込む」
エリック「じゃあ、カナルファスに……は無駄だろうから、ヴェッテルにエネルギー・ボルト。(ころころ)まだ4とか振ってる! 10」
GM「当然抵抗」
エリック「ああ、10振った! 回ってた! 9発」
GM「初めてダメージ受けたかな? ヴェッテルはエイルに攻撃」
ミーシュ「回避は14」
GM「ちっ」
エリック「テティス、攻撃はカナルファス。もらってくれ、16!」
GM「ちょうだいします」
エリック「回れーーーーっ! (ころころ)出たぁぁぁっ!」
ミーシュ「33レートのクリっと!」
GM「やばいっ! ここでこいつに死なれると、物語が狂う!!」
エリック「知るかあぁぁぁっ! いけえぇぇ! 2発目! (ころころ)出目は9だぞっ!」
ミーシュ「すごいっ!」
エリック「28発!!(笑)」
GM「マジでシャレにならん!! マジでスケープドールとか欲しい! カナルファスはテティスにザクッと斬られる。『ぐふっ!』口から大量の血を吐いて崩れ落ちる。『シルファ……様……。どうか……どうか……ごぶ……』そこで息絶える」
エリック「やったぞ!」
ミーシュ「エイルの発言。『すごいです、お義姉さま!』」
エリック「『ふん。エイルもさっさとそいつを片付けろ』」
ミーシュ「『はい』」
GM「あうぅ……」
エリック「ん? どうしたの?」
GM「い、いや、マジでシャレにならん(苦笑)」
ミーシュ「TRPGって楽しいね♪」
GM「そだね……。あはは……」
ちなみにこの次のラウンドで、ヴェッテルもサクッと殺られました。
っていうか、これから活躍するキャラがここで逝って……いや、それはそれで面白いかも……。
くくく……。
ちょっと無理した笑い(汗)。
◆ 祝杯 ◆
その後、彼らは教会に行きますが、そこにメイムウェインの姿はなく、あったのは10近くの死体だけでした。すでに踏み込んでいたドルバたちから、彼らがこの教会の者であったことを教えられます。
街は一時騒然としましたが、カナルファス、ケーラ、フラスコという、3人のダークエルフの死によって、狂気はなくなり、また元通りになります。もっとも、燃やされた家々や、メイムウェインや狂気に駆られた人たちに殺された人々は戻らないけれど。
エリックたちは宿に戻り、一度ぐっすりと眠ってから、昼頃、“宿”の1階の酒場でテティスたちと祝杯をあげます。
エリック「とにかく乾杯!」
GM「『乾杯!』テティスは嬉しそうだが、エイルは憮然としている。あんまりテティスが酒を飲むのを好いていないよう。ちなみに、エイル自身は酒は飲まない」
ミーシュ「私も飲まないから、美味しい果物ジュースでも」
エリック「しかし、今回はテティスたちのおかげで助かったよ」
GM「『いや、それほどでもあるけど、あんたたちの力もなければ勝てなかった。実際、フラスコとかいうダークエルフを倒したのも、私の剣に魔法をかけてくれたのもあんたたちだろう』」
エリック「まったくだ」
GM「『でも、ここはあんたら持ちだぞ』」
エリック「わかってるよ(苦笑)」
GM「ちなみに、テティスたちにはすることがあるから、特に首は突っ込まないよ」
エリック「いいよ。でも、一応聞こう。これからそっちはどこへ行くんだ?」
GM「『ああ。オランに行く。そこで仲間と合流することになってるんだ』」
ミーシュ「仲間?」
GM「そう。ちょっと今、『テティスとエイルの冒険譚』のプロットがないから、どこでどんな仲間がいたかわかんないけど、まあ、誰か仲間。何らかの事情で今は別行動してるってことで」
注:『テティスとエイルの冒険譚』とは、GMが考えていた全10作くらいの巨大な小説群です。ただ、現在そのプロットが行方不明。もっとも、それ以前に、とても完成させる時間がないので、恐らく設定止まりでしょうけど。
エリック「オランなら、俺たちの次の目的地でもある。一緒にどうだ?」
GM「ほぅ。そう来たか、雪島琴美」
エリック「いやいや。今回の戦闘で、ファイターの必要性を強く感じた。っていうか、エルメスがいないと、戦力的にもお話になってない」
ミーシュ「この子(ミーシュ)、戦闘ではまったく役に立たない」
エリック「まったくってことはないけど、基本的にああいう戦闘は苦手だね。頭使う戦闘は強そうだけど」
GM「なるほど。それでこの二人ねぇ」
エリック「返事は?」
GM「少し考えてから、『やめておこう』と言う」
エリック「何故?」
GM「『私たちにはすることがあるから、今は他の事件に巻き込まれるわけにはいかない。あんたたちも、相当でかい事件に絡んでるんだろ?』」
エリック「そ、そうっぽい……」
ミーシュ「思いの他、大きそう……」
GM「『だから、やめておこう』まあ、ファイターのことはまた“反省”で」
エリック「了解。じゃあ、諦めるよ。またの再会を誓って、今日はとにかく飲もう!」
GM「『そうこなくっちゃね!』」
ミーシュ「私もお酒飲んでみようかなぁ」
エリック「やめとけやめとけ。誰かさんの二の舞になるに決まっている」
ミーシュ「うじゅ〜。同じプレイヤーがね」
エリック「えっ? 君はほずぴーだろ?」
ミーシュ「しくしく」
GM「まあ、そうして君たちは、その日は夜まで一緒に友好を深めていましたとさ」
エリック「完」
ミーシュ「にゅ」
◆ 反省 ◆
水原(GM)「経験点は、両者とも1,200点ね」
雪島(エリック)「了解」
ほずぴー(ミーシュ)「ふぅ」
雪島「さてと、今回はかなり話が進行したね。一つずつお話ししよう」
水原「どうぞ」
ほずぴー「まず、クリーナかな?」
雪島「(自分に)落ち着けよ……。クリーナはアノスのフィレニアム修道院にいた少女。今18歳」
ほずぴー「まあ、歳はどうでもいいけどね(笑)」
雪島「GMに犯されて……」
水原「違う違う」
雪島「……で、修道院の連中に家族を殺されて、家も失って、それっきり行方知れず。そいつが、3ヶ月前に修道院を破壊して、今イェルザムっていう配下を使って、シルファを助けるために女性の“心”を集めている」
ほずぴー「シルファを助けたがっている筆頭はメラクリウスで、その下にクリーナ、メイムウェイン……“薬指”だっけ?」
雪島「そうそう」
ほずぴー「どうも5人いそうだね。あと、カナルファス、ニィルスレイト」
雪島「ちなみに、個人的には、リウスを入れた5人で終わりだと思うな(笑)」
ほずぴー「なるほどね(笑)」
水原「なるほどね。くくく……(含笑)」
雪島「うわー。なんか嫌な笑い方だった」
水原「いやいや」
ほずぴー「シルファを助けるためには色んな方法があって、メラクリウスは女性の“心”を集めることで助けようとしている。クリーナとメイムウェインはそれに賛成」
雪島「ニィルスレイトは反対で、カナルファスは、都市を混乱させることでシルファを助けようとしていた」
ほずぴー「『お前たちの“生”そのものが、シルファ様を苦しめているのだ。お前たちが死ねば、シルファ様はきっと救われる』とか言ってた」
雪島「例の『彼は石にあらず。かの者に失われし物を与え、武器を取らせよ。さすれば闇は切り裂かれ、必ずや新しき時代は訪れん』は何だろうね」
ほずぴー「後は、フェアリー・ストーンか……」
雪島「一体それ、何なの?」
水原「さぁ。少なくともミーシュは知らない。ただの綺麗な石」
雪島「なるほどね。で、そのダークエルフはカナルファスじゃなかった」
ほずぴー「フェアリー・ストーンもシルファを助けるための方法の一つなのかな?」
雪島「う〜ん」
ほずぴー「あっ、ひょっとして、別の団体とか」
雪島「う〜む。水原君がそんな複雑なことをする頭を持ってるとは、とても思えないんだけどなぁ」
水原「失礼な」
雪島「そうなるともう、わけわからんね。実はリウスはそっちの団体とかさ」
ほずぴー「まあ、今はこれくらいでいいんじゃない?」
雪島「そうだね」
水原「にゅ。次はカナルファスだ。よくも殺してくれた。ありがとう」
雪島「28発〜♪」
ほずぴー「テティス、美味しいところを持っていく」
雪島「かっこいい」
水原「マジで殺して欲しくないキャラだったけど、しょうがないね。これがTRPGの醍醐味でしょう。これで、『人々を殺すことでシルファを助けよう』としている立場の者がいなくなってしまった」
雪島「これからどうするの?」
水原「カナルファスの穴は埋まらないから、その分、彼が死んだことによるイベントを追加していくよ」
雪島「それは楽しみだ」
ほずぴー「あとは、最後に言ってたファイターの問題。やっぱり由佳里をTRPGに引き込んで、なんとかしようよ」
水原「由佳里ちゃんを引き込むのは構わないんだけど……」
雪島「か、構わないのか?」
水原「問題は、どうやって君たちの仲間にするかと、エルメスと合流したときのそのPCの扱いだな」
雪島「エルメスとは絶対に合流してみせる!」
ほずぴー「ドワーフなんてどう? 今回まだ、出てきてないし」
水原「ドワーフなら、結構簡単に演じられるかな? ドワーフらしいドワーフなら」
雪島「そうだね。ドワーフで、さらにキャラの個性も出そうと思うと難しいけど、とりあえずドワーフっていうだけなら、楽でしょう」
水原「考えておくよ」
ほずぴー「じゃあ、だいぶまとまったし、今日はこれくらいにする?」
水原「そうだね」
雪島「よしっ。んじゃ、お疲れさま」
ほずぴー「お疲れ〜〜っす」
水原「お疲れさまです」
* * *
雪島「恒例にする予定のエリックのダイス目。今回は平均6.47。全然ダメだね」
セッション | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 合計 | 平均 | 期待値との差 |
第6回『水檻』 | 1回 | 0回 | 2回 | 2回 | 5回 | 2回 | 3回 | 2回 | 6回 | 2回 | 3回 | 28回 | 8 | +1.00 |
第7回『狂気』 | 0回 | 2回 | 2回 | 2回 | 4回 | 1回 | 2回 | 1回 | 3回 | 0回 | 0回 | 17回 | 6.47 | -0.53 |
合計 | 1回 | 2回 | 4回 | 4回 | 9回 | 3回 | 5回 | 3回 | 9回 | 2回 | 3回 | 43回 | 7.77 | +0.77 |
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