エリックとエルメス 番外編『下界』


◆ 由佳里ちゃん、初TRPG ◆

水原「……と、いうことで」
由佳里「はい、先輩」
琴美「どういうことだ?」
水原「今日、ついに由佳里ちゃんがTRPGに挑戦することになりました!」
琴美「マジっすか!?」
由佳里「はい」
琴美「なんでまた?」
由佳里「面白そうだったからです! あと、その、ほずえが……」
琴美「ほずえちゃんが?」
由佳里「その、私にリプレイ押し付けてきて、読め読めって……」
琴美「なるほど(汗)。あの子も頑張るなぁ。で、はまっちゃったわけね?」
由佳里「いえ、興味を持っただけで、やってみないことには、面白いかどうかはわからないです」
琴美「なるほどなるほど」
水原「そういうこと。だから、琴美ちゃんには……」
琴美「…………」
水原「何?」
琴美「その、“琴美ちゃん”っていうのはやめてくれぃ。気持ち悪い」
水原「いや、でも、“琴美”って呼び捨てにするのも気が引けるしねぇ」
琴美「“雪島”でいいじゃん」
水原「(苦笑)。ほずえを“ほずぴー”に仕立て上げたのは誰だっけ?」
琴美「水原君!(きっぱり)」
水原「君も呼んでたじゃん!」
琴美「過去の話よ……」
水原「っていうことで、君は“琴美ちゃん”ね」
琴美「うぅ……。ほずぴーの気持ちが少し……いや、かなりわかったよ」
由佳里「なんだか、二人とも楽しそうです」
琴美「楽しくなひ……」
水原「で、そういうことだから、琴美ちゃんは由佳里ちゃんがプレイを楽しめるよう、全面的にバックアップしてあげてね」
琴美「それはいいけど、ほずえちゃんは?」
水原「死んだ」
由佳里「生きてますって(汗)。今日はお休みだそうです」
琴美「お休み?」
由佳里「出番なし」
琴美「ってことは、これは『エリックとエルメス』に続けるわけだね?」
水原「そう。リウスとエルメスに合流するキャラの、番外的なシナリオを一本やるの」
琴美「了解。由佳里ちゃんは、『エリックとエルメス』は?」
由佳里「はい。第3話まで読みました」
琴美「3話ねぇ……」
水原「♪」
琴美「その、大丈夫だったの? 第3話を読んで……」
由佳里「あっ、はい。水原先輩って、Hなんですね」
琴美「Hっていうか、スケベっていうか、変態……」
水原「こらこら」
由佳里「あはは。大丈夫です。噂はほずえから……」
水原「ほずえぇぇ」
琴美「この人のGM、よく女の子がいじめられるけど、大丈夫? 抵抗を感じない?」
由佳里「大丈夫だと……思います(汗)」
水原「大丈夫。なるべく抑える」
琴美「わかった」

◆ 分身創り ◆

琴美「キャラの作り方はわかる?」
由佳里「ごめんなさい。教えてくださると嬉しいです」
琴美「あ〜〜っと、由佳里ちゃん」
由佳里「はい?」
琴美「あんまり堅苦しい敬語使わなくていいよ。私にも水原君にも」
水原「そうそう」
由佳里「どうしてですか?」
水原「そういう柄じゃないから」
琴美「それに、どうせプレイはそういうことを超越するから」
由佳里「なるほど。わかりました」
水原「うぃ。じゃあ琴美ちゃん、由佳里ちゃんにキャラの作り方教えてあげて」
琴美「何か要望はある? シナリオに関わることとか」
水原「大丈夫。シナリオ、まだな〜んも考えてないから!」
琴美「げふっ」
由佳里「だ、大丈夫なんですか? それで」
水原「いつものこと、いつものこと……」
由佳里「なるほど」

 ──種族──

琴美「じゃあ、まず種族を決めよう。どんなのがあるかは把握してる? リプレイは読んだって言ってたけど」
由佳里「はい。エルフがやりたいですけど、いいですか?」
琴美「エルフね。じゃあ次に能力値を決めよう」

 ──能力値──

由佳里「どうすればいいんですか?」
琴美「えっと、由佳里ちゃんはダイスは持ってる?」
由佳里「ああ、あります」
水原「ほぉ。マイ・ダイス有りか」
由佳里「ほずえに無理矢理買わされました(笑)。第3話で、ほずえがマイ・ダイスの話をしてましたけど、その時に私も買ったんです」
水原「なるほど。ついて行かされたわけね?」
由佳里「はい。まあ、その後私もほずえを買い物に引っ張り回したからいいんですけどね」
琴美「仲いいなぁ。じゃあエルフは、このAからHの欄までが、それぞれ、“1D+6”、“1D+6”、“1D+6”、“1D+6”、“1D”、“1/2D”、“1D+4”、“1D+6”だから、1Dを8回振ってね」
由佳里「はい! 初ロールです。(ころころころころ)2、2、5、2、5、1、5、2」
琴美「低い……。エリック並……」
由佳里「出目が良くなかったですね」
琴美「精神力が17ってのが痛いにゅ」
水原「期待値だよ、17」

 ちなみに、出目の合計も期待値です。

琴美「そうなの?」
水原「17じゃん」
琴美「(計算中)ああ、そうだね」
由佳里「私はいいですよ。よくわかりませんし」
琴美「ブラジャー」
由佳里「?? ブラジャー?」

 注:ラジャー(了解)の強化ヴァージョンです。

 ──技能──

琴美「エルフは、初めからシャーマン技能を1持ってる。水原っち、経験点は?」
水原「水原っち!?」
琴美「お返し」
由佳里「なんか可愛い〜♪」
水原「やめてくれ」
琴美「全然似合わないのがいいね」
水原「うぐぅだ。経験点は+10,000点。エルフは12,000点になる」
琴美「じゃあ、その12,000点を使って、技能を取得する。別に使い切らなくてもいいからね」
由佳里「はい。えっと、じゃあ……」
水原「…………」
琴美「…………」
由佳里「ソーサラー2、シャーマン3で、2,000点余らせます」
水原「回避なしね」
琴美「なるほど」
由佳里「ダメですか?」
水原「そういうことじゃないから安心して」
琴美「そうそう」
由佳里「ひたすら魔法の勉強をするエルフにします」
琴美「いい設定だよ」
水原「じゃあ、セージも1とっといて。ソーサラーにくっついてくるから」
由佳里「そうなんだ。わかりました」

 ──名前──

琴美「名前は?」
由佳里「そうですね……」
水原「ドザエモンとかはやめてね」
由佳里「初めから付けませんって!」
琴美「マルクス=アウレリウス=アントニヌスとかもパスね」
由佳里「付けない付けない(笑)」
水原「あと、“エ”で始まるのも今回はさけて。多いから(笑)」
由佳里「はい。じゃあ、ホルウェンにします!」
琴美「ホルウェンね」
水原「ラジャりました」
由佳里「い、今のは日本語?」
琴美「水原語」

 ──装備──

水原「例のごとく、お金はどうでもいいから」
琴美「また後で墓穴を掘るよ」
水原「さてね……」
由佳里「(武器表を持ちながら)ここから選べばいいんですね?」
水原「そうだけど、適当でいいよ。君は攻撃力がないから」
由佳里「承知してます。筋力が6だから、レイピアにします」
琴美「みなりん、銀はOK?」
水原「今度は“みなりん”かい。まあ、エルフだし構わないよ」
由佳里「じゃあ、銀のレイピア。鎧はソフト・レザーでいいです」
琴美「後はキャラ設定だね。ここが勝負」

 ──設定──

由佳里「(水原に)本当にどんなんでもいいんですか?」
水原「いいよ。こっちは気にせずに、君のしたいようにして。そっちに合わせる」
由佳里「わかりました。じゃあ……(琴美に)生意気なエルフでもいいですか?」
琴美「ん? なんで私に断るの?」
由佳里「だって、生意気になっちゃいますよ」
水原「ああ、なるほどね」
琴美「??」
水原「構わないよ、全然。プレイはプレイ」
由佳里「わかりました」
琴美「??」
水原「珍しく琴美ちゃんがにぶい……」
琴美「いかん。マジでわからんかった……」
由佳里「じゃあ、生意気なエルフの少女。魔法の勉強ばっかりしてて、他のことには目もくれない。エルフの村の村長さんの娘で……って、フレミンと一緒だけどいいかな?」
水原「いいよ。フレミンはもう過去のキャラ。絶対に出てこないし」
琴美「平気平気」
由佳里「じゃあ、村長さんの娘で、いつも仲間に囲まれてるから気付かないけど、本当は寂しがり屋さん」
琴美「いいねぇ」
由佳里「頑張って演じます」
琴美「そうしてくれぃ」

 それから、琴美ちゃんだけど……。

由佳里「じゃあ、次は琴美さんですね」
琴美「にゅ」
水原「ああ……」
琴美「私、すごいかも知んない」
水原「なんで?」
琴美「今、水原君が、絶対にすごいことを言うってわかっちゃった」
由佳里「それはきっと、今までの経験からでしょう……」
水原「うぃ。君のキャラは俺がシナリオに合わせて作るよ」
琴美「にゅ。了解」
水原「ふぅ。40歳くらいのおじさんがいいな……」
琴美「マジぃ!?」
由佳里「(苦笑)」
水原「んふふ。プロローグの小説を書くから、それまで二人とも、プレイは待っててね。ホルウェンの設定を元に、シナリオを作るから」
琴美「じゃあ、今日はここまで?」
水原「うんにゃ。プロローグ小説とシナリオを合わせて、1時間で終わらせる」
由佳里「おおっ!」
琴美「じゃあそれまで、由佳里ちゃんにルール教えてるよ。模擬戦でもやって」
由佳里「あっ、お願いします」

◆ プロローグ ◆

 ユセリアス山脈は、今日も“泣き叫ぶ山々”の別名に恥じない、強い風を大地に吹き下ろしていた。その山々の麓、アナタシアという深い森の中に、小さなエルフの集落があった。
 人知れず、ひっそりと暮らしているエルフたちの村に名前などなく、そこに住まうエルフたちもまた、自分たちの村を特別な名で呼ぶことはなかった。森から出ることのない彼らにとって、そこはすならち、“世界”であったのだ。
 ところがその日、その村に見慣れぬ一つの人影があった。人影は村の始まりの木々の陰に隠れて、じっとただずんでいた。
 奇しくも……いや、それはその人影の為した必然であったのだが、集落の長の娘、ホルウェンは良からぬことを考えていた。
「村に伝わるっていう“魔鏡”、どんなのなんだろう……」
 “魔鏡”とは、代々村に受け継がれていた秘宝であった。それが一体どんなものなのか、そしてどのような力があるのか、それは定かでなかったが、その存在を知った瞬間、ホルウェンは居ても立ってもいられなかった。
 彼女の“魔法”に対する好奇心の旺盛さは村の中でも有名であった。“魔鏡”などという神秘的な存在を、放っておけるはずがない。
「きっとあそこに違いない」
 ホルウェンの家、すなわち村長の家には、昔から“開かずの間”と呼ばれる部屋が存在した。もっとも、“開かずの間”とは名ばかりで、ホルウェンは過去に一度だけその部屋に入ったことがあった。
 そこはただの荒れ果てた部屋だった。埃が積もり、いたるところに蜘蛛が巣を張っているその部屋が、何故存在するのかは考えたことがなかったけれど、ホルウェンはただその部屋に嫌悪感を覚え、それっきりそこに足を踏み入れたことはなかった。
 月が分厚い雲に隠れたとき、ホルウェンは再びその部屋に足を踏み入れた。
 そして、小一時間ほど探し回った末、彼女はついに“魔鏡”を探し当てた。
「これが……」
 依然雲に覆われた大地で、ホルウェンは興味津々にその鏡に見入っていた。辺りは闇に覆われていたが、彼女は夜目が利いたので、明かりの必要はなかった。
 それは何の変哲もない、ただの手鏡だった。確かにドワーフのものと思しき細工は素晴らしく、それを見ているだけでホルウェンは心が和むのを感じはしたが、生憎それは、魔法の研究に情熱を注ぐホルウェンのお眼鏡にかなう品物ではなかった。
「なんだ、つまんない。期待して損しちゃったわ」
 投げやりにそう呟きながら、ホルウェンがその鏡を部屋に返しに行こうとしたその時だった。
「何っ!?」
 反射的に彼女は精神を集中していた。刹那、彼女の身体に白く輝くエネルギーの矢が突き刺さった。
「うがぁ……あぁ……」
 彼女は膝をつき、鏡を取り落とした。
「今のは……エネルギー・ボルト?」
 小さな足音がした。
 未だに痺れている身体を両手で抱きしめながら空を仰ぐと、そこに一人の男が立っていた。見たことのない、人間の男だった。
 彼はホルウェンの方には目もくれず、無表情で鏡を取った。そしてそれを懐にしまうと、すぐさま踵を返して、森の方に消えようとした。
「ま、待て……」
 ホルウェンは立ち上がり、まだ震える両足でしっかりと大地を踏みしめると、キッと男を見据えた。男の足がピタリと止まる。
「鏡を返せ!」
 ホルウェンの右手から、真っ黒な闇の塊が男に飛んだ。闇の精霊シェイドである。こんな闇の濃い夜は強い力を持つ。
 手応えのある一撃だった。放った瞬間、勝ちを確信するほどの達成感があったが、しかし……。
「な、何……?」
 男が手をかざすと、シェイドの魔法はたちどころにかき消えた。男の手には、“魔鏡”が握られていた。
 男は不愉快そうにホルウェンを見下ろすと、
「鬱陶しい……」
 低い声でそう言って、両手を前にかざした。
 殺される……。
 ホルウェンは思った。
 辺りの温度が急速に下がっていった。そして、じわじわと男からの威圧感が増していく。
「ブリザード!?」
 古代語の高位の魔法である。
 彼女が目を見開いた瞬間、男の両手から、無数の氷の粒が飛んだ。彼の指に填っていた指輪がキラッと光るのが見えた。
「きゃっ!」
 彼女は固く目を閉じて、頭を抱え込んだ。
 こんなところで死ぬのだろうか……。
 何故? 何故?
 それはわからなかったけれど……少なくとも彼女には、それを考える時間が与えられた。
「ぐっ!」
 苦しげな男の声に、見上げると自分の目の前に、今度はよく知っている人間の男が立っていた。
「ドラフ!」
 自分の家の召使いのような男である。ある日、父親がいずこからともなく連れてきたのだが、その頃は自分よりもずっと幼かった彼も、今では齢40を越すおじさんである。
 いや、そんなことよりも……。
 彼女は、自分をかばって倒れたドラフに駆け寄った。
「大丈夫!? 怪我はない?」
 無茶苦茶だ。大丈夫わけがない。事実彼は全身血塗れになり、苦しそうに肩で息をしていた。
「い、今治してあげるから!」
 彼女はそっと目を閉じて、彼に治癒魔法を使った。女として生まれたことに感謝した。こうして、ヒーリングの魔法を使うことができるのだから。
「ありがとさんよ。もう大丈夫だ」
 ドラフがそう言って、ニヤッと笑って立ち上がったとき、男の姿はすでにそこにはなかった。ようやく、ホルウェンは恐怖を感じ始めた。
「わ、私、とんでもないことを……」
 ガクガクと震える彼女に、ドラフが優しく語りかけた。
「ホルウェン。お前、まさか“魔鏡”を?」
 ホルウェンは小さく頷いてから、ドラフを見上げた。
「ドラフ。あなたはあれの存在を知っていたの? 私ですら知らなかったのに」
 そう吐き捨ててから、違和感を覚えた。
 ……あれ?
 どうやって私は、あれの存在を知ったの?
 答えは出なかった。
 愕然とするホルウェンに、ドラフが笑った。
「まあ、存在だけな。それよりホルウェン。どうする気だ?」
 ホルウェンはドラフを見上げ、そして、理解した。
 そう。これは、村を出るチャンスだと。
 長年村を出るのが夢だったホルウェンに、皮肉にもチャンスが巡ってきたのだ。
 すなわち、奪われた魔鏡を取り返すという、大義名分、いや、汚名返上の……。
 ホルウェンはニッと笑って立ち上がった。
「ドラフ。私はこれから、“魔鏡”を取り返しに行く。あなたもついてきなさい」
 ドラフはやれやれと笑った。
「わかりました、お姫様」
 皮肉めいた口調に、二人は明るく笑った。
「行こう!」

◆ プレイ開始5秒前 ◆

由佳里「ほぇ〜〜。先輩って、実は結構すごい人ですか?」
水原「いや、別に。これくらいはスラスラ書けるけど、そんなヤツはごろごろいるよ」
琴美「いないいない」
水原「いるって」
由佳里「で、私はその鏡を取り戻すべく、ドラフと一緒に村を飛び出したんですね?」
水原「そうです」
琴美「で、私のキャラは?」
由佳里「えっ?」
水原「…………」
琴美「ねえ、水原君。私のキャラは?」
由佳里「…………」
琴美「ドラフはNPCだよね?」
水原「(無言でキャラシを渡す)」
琴美「…………」
由佳里「が、頑張って下さいね、琴美さん……」
琴美「ドラフ……人間・蛮族。出身地不明」
水原「能力値は自分で振っていいよ。例のごとく、8回振って、好きなところに振り分けてね」
琴美「にゅ。(ころころころころ)14、16、10、18、17、12かな?」
由佳里「ファイターですね?」
琴美「ホルウェンを守んないと」
水原「技能は? +10,000点で」
琴美「じゃあ……ファイター4、レンジャー3、セージ2」
由佳里「シーフがいませんね」
琴美「なるほど。エルメスと合流しても、やっぱりシーフがいない」
由佳里「エリック一人ですね」
琴美「すごいプレイだ」
水原「で、琴美ちゃん。武器は?」
琴美「銀はOK?」
水原「いいよ」
琴美「優しいねぇ。じゃあ、銀のバッソ(バスタード・ソード)とロングボウ。鎧はハードレ(ハード・レザーのこと)」
水原「うぃ。由佳里ちゃんは、シャーマンとソーサラーの魔法は大丈夫?」
由佳里「はい。大体は覚えました」
水原「じゃあ、質問などあったらどうぞ」
琴美「にゅ」
水原「いいよ」
琴美「私、誰?」
水原「雪島琴美、人間・女、21歳。名城大学4年生だけど、そろそろホームページ上で年齢を止めようかと考えている今日この頃のピチピチギャルだ」
由佳里「死語……」
琴美「いや、そうじゃなくて。ドラフって何者?」
水原「蛮族の子供だったんだけど、ホルウェンの父親がいずこからともなくつれてきた」
由佳里「そのとき、私は?」
水原「エルフだからね。当然いたよ」
琴美「なるほど。じゃあ、俺……また“俺”か。ドラフが20歳くらいのとき、ホルウェンはドラフに惚れて……。でも今ではすっかりおじさん!」
由佳里「寂し……」
水原「エルフの宿命だね。イルウィンとフレミンもいつかそうなる」
琴美「覚悟の上でしょう」
由佳里「ちなみに、私は本当に20年前にドラフに惚れてたんですか?」
琴美「まさか。君は魔法オンリー(笑)」
由佳里「そうですね(苦笑)」
水原「じゃあ、他に質問は?」
由佳里「はい」
水原「いいよん」
由佳里「結局、私はどこで“魔鏡”のことを知ったんですか?」
水原「さぁ……」
由佳里「さぁって……」
水原「ある日、気が付いてたら知っていた。何かこう、忘れていた記憶が戻った瞬間みたいな? 1+1は2だけど、なんかこう、『どうして2なんだろう?』とか急に思って、どうしても知りたくなったみたいな心境」
琴美「例の男の仕業?」
水原「定かでない」
琴美「にゃ〜るほどねん」
由佳里「ぷくっ!」
水原「ん?」
由佳里「い、いえ。今の琴美さんの返事が、妙に面白かったから」
水原「変な子だから」
琴美「あんたに言われたないよ」
水原「他には?」
琴美「ばーかばーか」
水原「いや……その“他には”じゃなくて、質問」
琴美「あっそ」
由佳里「う〜ん」
琴美「う〜ん」
水原「由佳里ちゃんは、何を考えてるの?」
由佳里「はい? 質問ですけど」
水原「琴美ちゃんは?」
琴美「如何に水原君をからかうか……」
由佳里「琴美さん……(汗)」
水原「じゃ、そろそろ始める?」
由佳里「特に問題なしです」
琴美「にゅ」
水原「じゃあ、始めましょう!」

◆ 世間知らずたち ◆

GM(水原)「ええと、君たちに伝えなくてはならない、大切なことがあります!」
ドラフ(琴美)「またなんか、嬉しそうに……」
ホルウェン(由佳里)「なんですか?」
GM「ええ、君たちは今、所持金0です」
ドラフ「……何?」
GM「君たちは0ガメル持ってます。You have no ガメル」
ホルウェン「な、なるほど(汗)」
GM「君たちはあんまり宛てのない旅をしながら、ロマールとザインの間にある、プルーグの街にやってきました。ここはGMの作ったオリジナルの街で、中立的な立場を維持している街。そんなに大きくない」
ホルウェン「何か情報があるかも知れない。それにお腹も空いたし、行くよ、ドラフ」
ドラフ「やれやれ。ホルウェンは人間の街ってヤツが見てみたいだけだろ?」
ホルウェン「そ、そんなことはないわ。ちょっと焦りながら(汗)」
ドラフ「くくく……」
GM「今の『くくく……』はプレイヤー発言っぽいよね」
ホルウェン「琴美チック?」
ドラフ「くくく。とにかく入ろう」
GM「了解。ちなみに、ドラフ。君も人間の街の知識、0だから」
ドラフ「ぐっ……」
ホルウェン「でも、ドラフは人間だからと、ちょっと期待しよう。口にはしないけど。ドラフ、私、何か食べたい」
ドラフ「う〜む。どうすれば食事にありつけるか……。マジ困った(笑)」
ホルウェン「見て、ドラフ。あそこに果物があるわ! 市でもあることにして」
ドラフ「あるの?」
GM「全然構わないよ。二人で楽しんでくれぃ」
ドラフ「よしっ。じゃあ、あの人にもらえぬかどうか聞いてみよう」
ホルウェン「そうして」
ドラフ「そこに行って聞こう。おい」
GM「じゃあ、果物屋さんの気の強そうなおばちゃん。『らっしゃい!』」
ドラフ「これ……っていうのは、何でもいいんだけど、これをもらえぬか?」
GM「『4つで10ガメルだよ』」
ドラフ「ガメル?」
ホルウェン「ドラフを顔を見合わせる。ドラフ、ガメルって何?」
ドラフ「さぁ。金のことらしいが……。そうか……。なるほど……」
GM「どうしたの? 琴美ちゃん」
ドラフ「セージ技能で、多少の人間文化は知ってて可?」
GM「まあ、知識として持っててもいいよ」
ドラフ「じゃあ、ここは下がろう。いや、また今度にしよう。すまない」
ホルウェン「ドラフ?」
ドラフ「ホルウェン、良く聞け」
ホルウェン「何?」
ドラフ「俺たちは、金を持っていない。だから、飯も買えなければ、宿に泊まることもできない」
ホルウェン「う〜ん。なんとかならないの?」
ドラフ「なんとかならんもんかなぁ」
ホルウェン「…………」
ドラフ「しょうがない。どこかで働こう」
ホルウェン「働く? そんな時間はないわ。っていうか、めんどくさい……」
ドラフ「しかし、金が欲しいのだろ?」
ホルウェン「もっと効率よく手に入らないものなの?」
ドラフ「楽して飯は食えんよ」
ホルウェン「私はご飯を食べるために苦労したことはないわ」
ドラフ「やれやれと笑おう。実は、俺もない(爆)」
GM「全然ダメだね」
ホルウェン「う〜ん。ドラフ、働くっていうのは、どうすればいいの?」
ドラフ「(GMに)どうすればいいんだ?」
GM「さぁ。ホルウェンが身体を売って……いや、何でもない」
ホルウェン「か、身体……?」
ドラフ「ああ、早速水原君のスケベ攻撃が由佳里ちゃんに!!」
GM「いや、結構常套手段としてだなぁ、うんぬん」
ホルウェン「そういう知識はないから、それは思い付かないけど、きっと生理的に受け付けないと思う。生物学的な」
ドラフ「わかるわかる」
GM「だろうね」
ドラフ「冒険者のことは知ってていい?」
GM「知らないと話が進まないね。構わないよ」
ドラフ「じゃあ、ホルウェン引っ連れて、冒険者の店を探そう」
GM「そう簡単には見つからないよ」
ホルウェン「ドラフ。私、お腹が空いて……」
ドラフ「困ったなぁ。じゃあ、そこらへんの冒険者を捕まえて、教えてもらおう。おい!」
GM「えらく喧嘩腰だねぇ」
ドラフ「エルフは誇り高いから、俺もエルフに育てられてそうなった」
GM「モンスターの反応表でも振るか(笑)。(ころころ)3とか振った。逃亡だ」
ドラフ「はい?」
GM「『うわー、逃げろっ!』『きゃー、助けてっ!』」
ホルウェン「な、何?」
ドラフ「何だ何だ!?」
GM「とかだと、面白いよね〜♪ 普通に答えよう。『何の用だ?』」
ドラフ「最初っからそうしてくれぃ! この辺に、冒険者の店というものはないか?」
GM「『ん? 俺たち、今から宿に戻るところだったから、ついてきな』」
ドラフ「感謝する」
ホルウェン「ご飯〜、ご飯〜」
GM「じゃあ、着いた。彼らは『ここだ』と言って、さっさと入っていっちゃうね。看板を見ると……え〜っと、<あずまんが大王亭>っていう……」
ドラフ「もしも〜し」
GM「何かね? 琴美君」
ドラフ「宿の名前が思い付かんかったで、適当に辺りを見回したら、そこの本棚にたまたま『あずまんが大王』があったで、なんのひねりもなくそのまんま宿の名前にするのはどうかと思いま〜す!」
ホルウェン「(笑)」
GM「世の中には色々ある。まあいいじゃん。どうせ二度と出てこないんだし」
ホルウェン「だったら、初めから言わなければいいのに(苦笑)」
GM「そういう説もある」
ドラフ「とにかく入ろう。ごめんくれ〜」
ホルウェン「エリック……(汗)」
GM「『いらっしゃいませ!』少年が出てくる」
ドラフ「珍しい」
ホルウェン「ご飯が食べたい!」
GM「『……はい? お食事ですか?』」
ホルウェン「うん!」
ドラフ「ちゃうちゃう。ホルウェン!」
ホルウェン「わかってます!」
ドラフ「わかってねぇがや!(笑)」
ホルウェン「くすん」
ドラフ「仕事はないか? できれば、前払いの仕事を探してるんだが……」
GM「『仕事ですか? そうですねぇ〜』そう言って、彼は宿の掲示板を見に行く」
ドラフ「掲示板か……。そういえば最近見てないなぁ」
ホルウェン「??」
GM「俺も全然」
ドラフ「ダメだねぇ。こう、誰か見てくるだろう。見た人が教えてくれるだろうって思っちゃうのよね〜」
GM「俺は単に面倒なだけ。誰も教えてくれない……って、そういえば、集中講義っていつだっけ!?」
ドラフ「私は知らんよ」
GM「なんか、とても嫌な予感がする……」
ホルウェン「??(汗)」
ドラフ「で、仕事は?」
GM「少年が困ったように言う。『生憎前払いはないですね』」
ドラフ「困った。後払いだと?」
ホルウェン「そんなに待てないわ。お腹が鳴って恥ずかしそうに目を伏せる」
GM「少年がそれ聞いて赤くなりながら、慌てて掲示板に目を戻す。『えっと、依頼は5件です。配達の護衛が2件と、品物を取りに行く依頼が1件。あとはドブ掃除と迷子探し』」
ドラフ「いまいちだなぁ」
GM「『平和ですから』」
ドラフ「えらいことが起きようとしているのにね。メラクリウスめ……」
ホルウェン「(笑)。シルファって、どんな人なんでしょうね」
ドラフ「さっぱり」
GM「で、どうすんの? ドブ掃除する?」
ホルウェン「ドブ掃除をするくらいなら、飢え死にした方がましよ!」
ドラフ「じゃあ、餓えるか?」
ホルウェン「え、ええ!」
ドラフ「やれやれ。だが、ドブ掃除は俺もしたくない。しょうがない。一旦宿を出よう」
ホルウェン「はぁ……。お腹空いた……」

◆ 飯をくれ…… ◆

ドラフ「俺も腹減ってきた」
ホルウェン「GM、今何時?」
GM「夕方くらいにしよう」
ドラフ「昨日の夜から何も食ってねぇ」
ホルウェン「ドラフ……。何か食べたい……」
ドラフ「じゃあ、そこら辺で物乞いするか?」
ホルウェン「物乞いをするくらいなら、まだ盗みに入った方がましよ!」
ドラフ「普通逆だろうに……」
ホルウェン「エルフのプライド♪」
GM「ああ、そこに、美味しそうにフランスパンをかじった少年が!」
ホルウェン「!!」
ドラフ「わ、罠だ! 逃げろ、ホルウェン! これはGMの罠だ!」
ホルウェン「だ、ダメなのよ、ドラフ。手が、手が勝手にフランスパンに……」
GM「くくく……。由佳里ちゃんにダイス振らせてあげる。精神力抵抗してみ」
ドラフ「ほずえちゃんクラスになると、勝手に振り出す」
ホルウェン「どれどれ。9振って14かな?」
GM「じゃあ、なんとか踏みとどまった」
ホルウェン「自分から取りたい場合は?」
GM「取っていいよ」
ドラフ「こらこら」
ホルウェン「やめておきます」
GM「そしてフランスパンは、何事もなく遠くへ歩いていった。完」
ホルウェン「ドラフ!」
ドラフ「わぁ! な、何?」
ホルウェン「お腹空いた! 空いた空いた空いた空いたーっ!」
ドラフ「ホルウェン(困)。じゃあ、俺がなんとか調達してくるから、ホルウェンはここで待ってろ」
ホルウェン「う〜ん。一人になるのは怖いけど、もう歩きたくないなぁ。わかったわ。早くしてね」
ドラフ「はいはい。お姫様」
GM「ドラフはどうすんの?」
ドラフ「考えてない」
ホルウェン「ダメじゃん」
ドラフ「金がないと、こんなにも飯にありつくのが大変だとは思わなかった」
GM「なるほど。じゃあ、今から考えて」
ドラフ「うぅ〜〜」
ホルウェン「…………」
GM「…………」
ドラフ「うぐぅ……」
ホルウェン「……(汗)」
GM「…………」
ドラフ「ダメだ。しばらくウロウロしたら帰ろう」
ホルウェン「ダメじゃないですか(笑)」
GM「今日はどうしたの? 調子悪そうだね」
ドラフ「月初めはダメなの」
GM「今日はダメな日?」
ドラフ「そうそう」
ホルウェン「何のことですか?」
ドラフ「生理」
ホルウェン「……はい?」
ドラフ「月の初めは月初め。ぷくく……」
GM「…………」
ホルウェン「つまんないです……」
ドラフ「ギャグもダメらしい。はぁ。お腹が痛い」
ホルウェン「空いた!(笑)」
GM「痛いんは、プレイヤーだろうが!」
ドラフ「ダメだ、全然……」
ホルウェン「じゃあ、何事もなくドラフと合流か」
ドラフ「まさか、ねぇ……」
GM「まさか(笑)」
ホルウェン「…………」
GM「さて、君は道端に座り込んで、お腹を空かせてくーくー腹を鳴らしてると……」
ホルウェン「何かな?」
GM「にやついた若い男たちが……」
ドラフ「あんたの頭ん中はそれしかないんかい? ワンパターンなGMは嫌われるよ」
GM「にやついてるだけで、心は綺麗かも知れんじゃん! 現に優しげに話しかけてくる(笑)。『ねえ、君』」
ホルウェン「何?」
GM「『お腹が空いてるみたいだね。これから俺たち食事するけど、良かったら一緒にどうかい?』」
ホルウェン「食事!? あっ、でも私、お金がない……」
GM「『いいのいいの。俺たちが誘ってるんだから』」
ホルウェン「ああ、じゃあ、もう少し待って。今、つれが戻ってくるから」
GM「君がそう言うと、若者たち……3人いるんだけど、顔を見合わせてから、困ったように言う。『実は俺たちもあんまり金がないから、君一人で来ない?』」
ホルウェン「う〜ん。いい人そう?」
GM「(大きく頷く)」
ドラフ「うっわー。GMが嘘吐いてる!」
ホルウェン「(笑)。じゃあ、ついてこう」
GM「料理屋に案内される。酒場系。男たちは適当に注文して、君にお酒をよこすよ」
ホルウェン「これは?」
GM「『うまいぞ。飲め飲め』」
ホルウェン「まあ、お店で出るものだから、毒じゃないでしょう。ごくごく」
GM「ホルウェンは、お酒は?」
ホルウェン「飲んだことないから、弱いと思います」
GM「じゃあ、酔ってくれ(笑)」
ドラフ「エルメスの二の舞か……」

 第1話『二人』参照。

GM「いや、事態はもっと悪いでしょう。エリック代わりのドラフがいない」
ドラフ「じゃあ俺は、戻ってホルウェンがいなくて慌てよう。どこだ!?」
GM「レンジャーで振る?」
ドラフ「人に聞くよ(笑)。手当たり次第、ホルウェンのようなエルフを見なかったか聞いて回ろう」
GM「そうすると、結構早くわかるよ。料理屋が特定できた」
ドラフ「行く。すぐに行く」
GM「じゃあ、入ってね。ホルウェンは?」
ホルウェン「酔ってます。はれ? ドラフじゃない? おほかったね?」
GM「3人が顔を見合わせてる」
ドラフ「つかつかと歩み寄ろう。お前ら、ホルウェンに何をした」
GM「『何って、腹減ってたみたいだから、飯を食わせてやっただけだ』」
ホルウェン「じゃあ、どうして酒まで飲ませたんだ!」
GM「『酒飲まんと、飯が美味しくねぇだろうがよぉ』」
ドラフ「くっ! 連れて帰る」
ホルウェン「ああ、ドラフぅぅ?」
ドラフ「邪魔したな」
GM「『いやいや、本当に邪魔だよ!』一人がホルウェンの腕を取る」
ホルウェン「わわわ」
ドラフ「お前、その手を離さんと、痛い目を見るぞ」
GM「『ほぉん? やってみなよ』」
ドラフ「表に出ろ」
GM「『けっ』3人が表に出る」
ホルウェン「止めよう。やめなさい、ドラフ。こんな人間を相手にするなんて! あなたらしくないわ!」
ドラフ「腹が痛いから無視」
GM「だから、腹が痛いのはプレイヤーだろぅが!」
ドラフ「殴る。5は11」
GM「避けれねぇよ。酔ってるし。『うごぁっ!』」
ドラフ「素手の11は回って、8は6+7の13点」
ホルウェン「手加減なし!?」
ドラフ「腹が……減って(笑)」
GM「じゃあ、死んだ」
ホルウェン「……はい?」
ドラフ「ふぅ……」
ホルウェン「えっと……何?」
GM「説明してあげて」
ドラフ「にゅ。モンスター、“一般人”の生命力は10しかなくて、ダメージ減少が2点。だから、私の攻撃で生命力が-1。生命力抵抗値の1足す2Dの値引く1が7以上。だから、2Dで7以上」
GM「(マスタースクリーンを上げながら)で、4とか振ったわけだ」
ホルウェン「酔いが一気に冷める。あ……ああ……」
ドラフ「ふぅ……」
ホルウェン「ふぅ、じゃないわ! ドラフ! 一体どうするつもりなの!?」
GM「彼らは真っ青になって倒れた奴に駆け寄る。『だ、大丈夫か、おい!』『しっかりしてくれ!』」
ホルウェン「あぁ……」
GM「店から出てきた客とか、どんどん人が集まってくる」
ドラフ「さて……逃げるか、ホルウェン」
ホルウェン「うっ……。ドラフ……」
ドラフ「逃げる」
GM「じゃあ、人垣は君らを避けていく。君たちは逃げた」
ドラフ「やれやれ。今日は出目がいいらしい(苦笑)」
ホルウェン「回すから! 回すから!」

◆ 逮捕 ◆

GM「どこまで逃げる?」
ドラフ「遠く」
ホルウェン「ついていくしか……」
ドラフ「ごめんね」
ホルウェン「えっ?」
ドラフ「いや、由佳里ちゃんに。初めてのプレイで、えらいことになっちゃって」
ホルウェン「いえ。楽しんでますから!」
ドラフ「ならOK! とことんやろう」
ホルウェン「お、お手柔らかに……」
ドラフ「くくく……。お腹が痛いから、もう怖いものはないぞ!」
ホルウェン「そんなに痛いんですか?」
ドラフ「くくく……」
GM「この子(琴美のこと)、生理痛がひどい子だから」
ホルウェン「へぇ……」
ドラフ「くくくくく……」
ホルウェン「琴美さん、怖い……」
ドラフ「街の外まで逃げる」
GM「じゃあ、外に出た辺りで警備の連中に囲まれる。相手は7人」
ドラフ「7か……。騎士クラスのヤツがいないことを祈ろう」
ホルウェン「騎士?」
ドラフ「敵の名称。兵士には、一般兵と兵士長、騎士、団長っていう4つのクラスがあって、レベルが1、3、5、7」
ホルウェン「じゃあ、全部兵士長クラスでも、御陀仏ですね」
ドラフ「御陀仏……。由佳里ちゃんの口から出る言葉には思えんかった」
GM「右に同じ(笑)」
ホルウェン「そうですか?」
ドラフ「結構ね。どっちみち言い逃れはできないから、逃げる方向で行こう。完全に囲まれてる?」
GM「うん」
ドラフ「じゃあ、ホルウェンを守りながら戦えんね?」
ホルウェン「回避がない」
ドラフ「無抵抗な振りして、殺戮……」
ホルウェン「これ以上罪を重ねない方が……」
ドラフ「こうなった悪に走って……くくく……」
GM「こらこら。で、戦うの? 捕まるの?」
ドラフ「ホルウェン。念のために聞くが、どうしたい? ああ、この辺全部エルフ語ね」
GM「40過ぎのおっさんがエルフ語……。なんか似合わん」
ドラフ「ほっとけ。捕まったら最後、鏡どころの騒ぎじゃなくなるぞ」
ホルウェン「戦いましょう(きっぱり)。すべては正義のためです」
ドラフ「そう来なくっちゃね♪」
GM「過激派だ!」

<第1ラウンド>

ホルウェン「先制でスリープ・クラウドかな?」
ドラフ「何人にかけられる?」
GM「3人。内1人兵士長」
ドラフ「うちわけは? ああ、先に聞けば良かったんだ。知名度チェックで」
GM「そうだね(笑)。一般×4、兵士長×2、神官×1」
ドラフ「新刊×1! 500円です」
GM「読んだらまた、感想送りますね」
ドラフ「はい。お願いします」
ホルウェン「何だ何だ?」
GM「とある売り子とお客さん」
ドラフ「気にせず、かけるべし」
ホルウェン「はい。振って、魔力を足すんですね?」
ドラフ「そうそう」
ホルウェン「(ころころ)期待値7は13です」
GM「こっち固定値だから、みんな寝た。固定値だから、起きない(笑)」
ホルウェン「マジですか?」
GM「物音とかすれば別」
ドラフ「配置は?」
GM「適当(笑)」
ドラフ「俺が斬りかかると、ホルウェンは?」
GM「攻撃される」
ドラフ「遅らせると?」
GM「全部君が受ける。通常攻撃はね」
ドラフ「じゃあ、遅らせる」
GM「3人やってくる。回避して」
ドラフ「出目悪いなぁ。7、4、4は13、10、10」
GM「当たんない」
ドラフ「あれ? そんなに弱かったっけ? そっち」
GM「君が強いの」
ドラフ「あっそ」
GM「じゃあ、神官はホルウェンにフォース」
ドラフ「あっ! “しんかん”って、“神官”のことだったの!」
ホルウェン「な、何だと思ったんですか?」
ドラフ「いや、冗談のことで頭がいっぱいで、本質を考えてなかった(笑)」
ホルウェン「琴美さん……(汗)」
GM「ホルウェン、抵抗して」
ホルウェン「はい。(ころころ)あっ、3とか振って8しかない」
GM「じゃあ、抵抗失敗。ダメージは……ごめん。1回クリって9発」
ホルウェン「どうするんでしたっけ?」
ドラフ「冒険者レベルでのみ軽減可能。3点引いて6点もらって」
ホルウェン「あと4点しかないです」
ドラフ「次のラウンドで神官潰そう」
GM「届かないよ(笑)」
ドラフ「ちっ!」

<第2ラウンド>

ホルウェン「どうしよう。ヒーリングか、攻撃か……」
GM「どうする?」
ホルウェン「う〜ん。やっぱり難しいです。こんなときはどうするのがいいんでしょう」
ドラフ「GM、3人は俺だけで止められる?」
GM「可能」
ドラフ「じゃあ、スリープ・クラウドを神官」
ホルウェン「わかりました。7は13です」
GM「13は抵抗ね」
ホルウェン「はうぅ」
ドラフ「ちっ。強いヤツを攻撃。12」
GM「どうぞ」
ドラフ「12点」
GM「5点受けて、まだ8あるよ」
ドラフ「さすがに強いなぁ」
GM「じゃあ、雑魚の攻撃を回避して」
ドラフ「16、9、15」
GM「高い! じゃあ全部回避ね。神官はフォースをホルウェン」
ドラフ「容赦ないっ!」
GM「当然。抵抗して」
ホルウェン「死ぬぅ! 7は12です」
GM「じゃあ、抵抗成功で、7点ね」
ホルウェン「4点受けて、パタッ。ちょうど0になってしまった」
ドラフ「初心者、ファーストプレイで生死判定か。GM、容赦ないね」
ホルウェン「とりあえず振ろう。(ころころ)4……?」
GM「4っ!?」
ドラフ「マジっすか?」
ホルウェン「…………」
ドラフ「えっと、生命力抵抗値の4足す2Dの値引く0が7以上」
ホルウェン「……大丈夫……」
ドラフ「だね……」
GM「ふぅ……」
ドラフ「ふぅ、じゃねぇ!」
GM「いや、ごめんごめん」
ホルウェン「ドキドキドキドキ」
ドラフ「降参降参。次のラウンドで剣を放り投げて、降参する」
GM「じゃあ、君は10発くらい殴られてから捕まる」
ドラフ「なんかもう、むっちゃくちゃ」
ホルウェン「死んでる」
GM「縛られてから、さっきの神官が怪我は治してくれるよ」
ホルウェン「ほっ」

 しかし……。
 ごめんなさい(ぺこっ)。ノンプロットが裏目に出ました。
 このプレイ、一体どこへ向かっているのか……。

◆ 使命が与えられる ◆

GM「君たちは牢屋に投げ込まれました。あははははははっ!」
ホルウェン「せ、先輩?」
ドラフ「狂ったの? 水原君」
GM「いやいや。もうなんか、どうするんだよ、おい! って感じ」
ドラフ「知らんよ」
ホルウェン「先輩、ひょっとして……」
ドラフ「ああ。この人、プロットなんて立ててないよ、絶対。断言する」
GM「ごめんなさい」
ホルウェン「はぅ」
GM「さてと……」
ドラフ「…………」
ホルウェン「…………」
GM「あ……あはははははははははっ!」
ドラフ「ダメだこりゃ……」
ホルウェン「先輩……」
GM「うわ〜。ホントにごめんね、由佳里ちゃん。別に相手が雪島だけだったらどうってことはないんだけど」
ホルウェン「気にしなくても大丈夫です。楽しんでますから」
GM「ホント?」
ホルウェン「はい。少なくとも、先輩と琴美さんのやりとりは面白いです。その、変で……」
ドラフ「最高の褒め言葉だよ」
GM「じゃあ、なんとかしよう。エルメスと合流できやんかもね」
ドラフ「それもまた、TRPGの醍醐味の一つ。突っ走れ、水原渉!」
ホルウェン「突っ走れ、先輩!」
GM「ラジャー。もう無茶苦茶やるぞ」
ドラフ「いや、無茶苦茶はしてほしくないかな」
ホルウェン「…………」
GM「…………」
ドラフ「じょ、冗談だよ……あはは」
GM「なんか、ぐわわって盛り上がったところを、冷凍庫に放り込まれた感じ」
ホルウェン「琴美さん……」
ドラフ「なんだ、ほら? その……お腹が痛いから!」
ホルウェン「言い訳になってないです!」
GM「琴美チック」
ドラフ「しくしく」
GM「じゃあ、君たちが牢屋でカツ丼食ってると」
ホルウェン「がつがつ」
ドラフ「がつがつ」
GM「お前ら、同時に同じこと言うなよ。気持ち悪い」
ホルウェン「あはは。お腹空いてたから」
ドラフ「がつがつ」
GM「牢が開かれて、中年のおっさんが立ってる。高そうな服を着てるね」
ドラフ「とりあえず全状況を説明して」
ホルウェン「私たちは今、どこにいて、どんな状態なんですか?」
GM「ああ、動揺しすぎて、な〜んも話してなかったね。あれから一晩経って、君たちはこの街の牢屋にいる。ここは王制はとってないから、議会の牢っていうのか、そんな感じんとこ。ニュアンスだけでOK?」
ドラフ「構わないよ」
GM「で、ドラフは別に普通の感じ。悪いけどホルウェンは手錠されてる。魔法を使えないように」
ホルウェン「仕方ないけど、なんか悔しい」
ドラフ「ホルウェン……」
ホルウェン「ドラフより下に扱われてるみたいで!」
ドラフ「……同情して損したよ」
GM「で、昼頃、君たちのところにおっさんがやってきたわけだ。彼はいきなり話し始める。『わたしは、ここプルーグの街で一番偉い男、モンテローザである!』」
ホルウェン「すごい台詞」
ドラフ「私はそれよりも、この人の名前が気になるんだけど(笑)」
GM「それは気にしてはいけない!」
ホルウェン「??」
GM「『それで、お前たち! 冒険者だな!?』」
ドラフ「違う」
ホルウェン「ただの旅人です」
GM「じゃあ、モンテローザはものすごく残念そうにするね。っていうか、両手を掲げて、やれやれって感じ? 『そうか。じゃあここで死ね。ああ、こいつら死刑ね』兵士にそう言って帰っていく」
ドラフ「待ってくれ! 冒険者だ、冒険者!」
ホルウェン「冒険者です! 実は冒険者なんです!」
GM「お前ら、面白すぎ。じゃあ、モンテローザは戻ってきて言うよ。『冒険者よ!』」
ドラフ「声でけぇ」
ホルウェン「っていうか、一語一語に、妙に気合いが入ってて怖い……」
GM「『汝らに、使命を与える!』」
ドラフ「はぁ?」
ホルウェン「使命?」
GM「『断れば命はない。っていうか、やっぱり殺そうかなぁ』」
ドラフ「わーーっ! 使命くれ、使命。是非やらせてください!」
ホルウェン「お願いします、モンテローザ様!」
GM「エルフの誇りはどこへ行ったんだ?(笑) 『使命とは! 私の可愛い一人娘、アンナ・ミラーズを探し出し、連れ戻すことだ!』」
ホルウェン「アンナさん……」
ドラフ「アンミラさん……」
ホルウェン「琴美さん、略し方が変ですよ」
ドラフ「いやいや(苦笑)。で、そのアンナさんがどうしたって?」
GM「『貴様! 誰の断りを得て喋った!? もういい。貴様は死刑だ!』」
ドラフ「うわ〜っ! 悪かった悪かった。もう喋りません!」
ホルウェン「嫌な人……。モンテローザ」
GM「『可愛いアンナは19歳。花も恥じらう乙女だ!』」
ドラフ「…………」
ホルウェン「…………」
GM「『そのアンナが、変な宗教にはまってしまった。ムオーという教団で、教祖はブロンズという男だ!』」
ホルウェン「オ○ム?」
ドラフ「ムオー……。Ωのひっくり返った記号で表されるやつだね?」
GM「それそれ。抵抗の逆数」
ホルウェン「で……って、喋ってもいいのかな?(笑)」
GM「彼は続ける。『にっくきブロンズ・パ=ロット!』」
ドラフ「……もう、笑うしかない……。なんて安易なネーミング」
GM「『宗教にはまるだけならまだしも、アンナはブロンズにさらわれてしまったのだ!』」
ホルウェン「私は、単にこの人から逃げ出しただけのような気がする」
ドラフ「左に同じ」
GM「『汝ら二名! これより見事ブロンズを倒し、無事にアンナを連れ戻すのだ! その時、お前たちの罪は晴れよう!』」
ドラフ「いいのか? 水原君。本当に無茶苦茶だなぁ」
ホルウェン「先輩……」
GM「知らん。なんとかする」
ドラフ「なるほど。じゃあ、受けた振りして逃げよう。わかったわかった。好きにしてくれ!」
GM「じゃあ、君たちはクエストをかけられる」
ドラフ「ぐはっ!」
ホルウェン「クエストって何ですか?」
ドラフ「プリーストのレベル5の魔法。使命を強制する魔法で、使命を放棄したり、積極的にその行動をとらないと、全身に苦痛を受ける魔法。使命を果たすまで効果が切れない!」
ホルウェン「うっわー」
GM「『さあ行け! 勇者たちよ! 行って見事アンナを助けるのだ!』」
ドラフ「なんか、囚人から勇者になってるし(笑)」
ホルウェン「どこが勇者だ! クエストかけて、ただの奴隷戦士じゃないか!」
ドラフ「やれやれ」
GM「ってことで、君らは外に放り出される。金も適当に渡されるよ。どうせ逃げられないんだから」
ドラフ「はぁ。ちょっと話をまとめよう。あのおっさんの話、わけわからんかった」
ホルウェン「自称、プルーグの街で一番偉い人モンテローザの娘、アンナがムオー真理教……」
GM「俺はそんなことは言ってない(笑)」
ホルウェン「(苦笑)。ムオー教にのめり込んじゃった」
ドラフ「ムオー教のグルは……」
ホルウェン「グル!(爆笑)」
ドラフ「ブロパってやつで、こいつがアンナをさらった……ってことになってる」
ホルウェン「単にモンテローザが嫌で逃げ出しただけって感じがする」
ドラフ「真相は……。ちょっと兵士に聞いていい?」
GM「じゃあ、サクッと教えるよ。面倒だから」
ホルウェン「了解(苦笑)」
GM「モンテローザはこの街で一番偉い人は間違いない。ただ、同じ位の人が他に3人いる。で、彼の一人娘アンナは、可愛い女の子で兵士たちからも人気があった」
ドラフ「なるほどね」
ホルウェン「また犯されてるのかな?」
ドラフ「水原君だし……」
GM「こらこら。そのアンナがムオー教団に入団して、父親に愛想を尽かしたアンナは、ある日家を飛び出す。ちなみに、ブロパとの関係は不明」
ホルウェン「ブロパ?」
GM「ああ、ごめんごめん。ブロンズ(笑)」
ドラフ「ブロパ……じゃなくて、ブロンズはどんなやつ?」
GM「まだ25歳くらいらしいね。若い。教団もそんなに大きな教団じゃなくて、まだ入信者が100人くらいの小さな教団だ。何をしてるかは謎だけど、とりあえず居を転々と構えて、この街に来たときにアンナを引き込んだ模様。そのままアンナを連れてまた違う街に流れていった」
ドラフ「まあ、さらったと言えばさらったか」
ホルウェン「なるほど」
GM「まあ、そういうことだから、頑張ってね」
ホルウェン「ふぁ〜い」

◆ 教団を追え ◆

ドラフ「ちなみに確認したいけど、これからどうする予定なの?」
GM「とりあえず、君たちをエルメスと合流されるようになんとかする」
ドラフ「できるの?」
GM「わからん」
ホルウェン「まだまだプレイ、続けていいんですか?」
ドラフ「はっきり言って、今終わられるとすごく中途半端なんだけど」
GM「そう?」
ドラフ「この街ですることが、まだたくさんある」
GM「まあ、続けても構わないよ。ただし、全部アドリブだから。っていうか、ムオー教団って何?(爆)」
ホルウェン「知りませんよ」
GM「じゃあ、適当にどうぞ」
ホルウェン「ドラフ。これからどうするの?」
ドラフ「どうするも何も、使命に向けて動くしかないだろう」
ホルウェン「うぅ……。めんどくさい……」
GM「君がそう心の底から思うと、身体にズキッとした痛みが走る」
ホルウェン「うっ……。くそっ!」
ドラフ「ホルウェン。汚い言葉を使うな」
ホルウェン「……するしかないのね?」
ドラフ「だな」
ホルウェン「なんで私が! 私はアナタシアのエルフよ! うぅ……」
ドラフ「おかげで飯にありつけた。感謝感謝」
ホルウェン「ドラフ!」
ドラフ「怒っていてもしょうがねぇぞ、お姫様。こうなれば、一刻も早くブロンズをひっつかまえて……いや、別にひっつかまえんでもいいから、アンナを取り戻してだなぁ」
GM「ああ、ダメ」
ドラフ「何が?」
GM「『これより見事ブロンズを倒し、無事にアンナを連れ戻すのだ!』」
ドラフ「かはっ(血)」
ホルウェン「倒さないとダメなのね?」
GM「頑張ってね」
ドラフ「とりあえず、この街で情報を集めて、ムオー教団の教義と、次にどの街へ行ったかを知ろう」
ホルウェン「したくないけど……しないとダメなのね。悔しい。屈辱よ!」
ドラフ「諦めろ。全部俺が悪い(笑)」
ホルウェン「そうです! 元はといえば、あなたがあの男を殺したりするから!」
ドラフ「ホルウェン!」
ホルウェン「いいえ、言わせてもらいます。あなたは大体、常識知らずなんです。こんなところで人を殺せば、私たちは殺されても文句は言えないでしょう!」
ドラフ「ふぅ。これがエリックだったら喧嘩になるところだが、幸いにもこっちは中年おやじだ。やれやれと受け流そう」
ホルウェン「その態度は腹が立つ」
ドラフ「歩き出す」
ホルウェン「行かない」
ドラフ「やれやれ。ほっといて行く。とにかく、兵士たちにどこでどんなことをしていたのか。布教活動その他を聞きあさる」
GM「ホルウェンはついてかないんだね?」
ホルウェン「うぅ……。一人じゃ心細いから、10m後ろを、ドラフの背中を睨み付けながら歩こう」
ドラフ「可愛い♪」
GM「なんかいい感じのエルフだ。味が出てきた」
ホルウェン「ありがとうございます!」
GM「じゃあ、兵士たちに聞くと、よくブロンズが集会を開いていた広場のことを教えてもらえる。教義についてはわからなかった。ただ、やがて復活するなんとかって神様を信仰しているらしい。ブロンズはその神が自分を復活させるために世に遣わした天使なんだってさ。笑いながら教えてくれる」
ドラフ「そりゃ、確かに笑い話だ。じゃあ、その広場に行こう。方向的に、後ろにいるホルウェンの方向?」
GM「そうそう」
ホルウェン「なにーっ!?」
ドラフ「じゃあ、無言でホルウェンの横を通り過ぎよう」
ホルウェン「あっ……。なんだかむしゃくしゃするけど、また10m後ろをついていく」
GM「じゃあ、広場だ。小さな広場だけど、人がたくさんいる」
ドラフ「聞きあさる。特に、教義内容と次にどこへ行くと言っていたか。或いは、集団のこの街での拠点だった場所など」
GM「じゃあ、マルショシアスっていう神を信仰していることを知る」
ホルウェン「なんか格好いい名前ですね」
GM「第七座天使の公爵らしい(笑)。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人」
ドラフ「なんじゃそりゃ?(爆)」
GM「グリフィンの翼と蛇の尾を持った、血に飢えた狼の姿をしていて、口から炎を吐く。人間の姿をとる時は、黒いあごひげをはやして、真夏の太陽のような輝きの王冠をかぶった貴公子になるんだってさ」
ホルウェン「もうわけわからん……」

 ちなみに、マルショシアス。後日infoseekで検索をかけたら5件ヒットした(笑)。内数件は、出元が同じ模様。

ドラフ「他には? 一番気になってるのは、どうしてアンナがその教団に惹かれたかってことなんだよ。アンナがどういう性格の女の子だったかってのも関係してくるとは思うんだけど、一体何にそんなに惹かれたのか、それが気になる」
GM「琴美……」
ドラフ「ああ、もちろん、考えてないのはわかってるんだけどね」
ホルウェン「(笑)」
ドラフ「アドリブでなんとかしてくれ」
GM「アンナが何に惹かれたのかは秘密。教義は……う〜ん」
ドラフ「わくわく」
GM「今は封印されているマルショシアスが復活するとき、彼が……え〜と」
ホルウェン「先輩(苦笑)」
GM「とにかく、幸せにしてくれるらしいよ!」
ドラフ「ダメだこりゃー」
ホルウェン「悲しいです」
GM「ごめんごめん。次までには考えておくよ」
ドラフ「はぁ」
GM「とりあえず、アンナはモンテローザの下で、現状に不満足だった。だから、宗教に頼ったというのが有力。ただ、ブロンズを個人的に好きになったとか、ブロンズにさらわれた、ブロンズが何らかの魔法をかけた、薬を使ったうんぬん。アンナが人気だった分、色んな噂が飛び交っているのは事実」
ホルウェン「真実は、本人に直接聞くしかないわね」
ドラフ「ところで、ホルウェンはいつの間にかいるの?」
ホルウェン「えっと……さりげなく横にいる」
ドラフ「じゃあ、心の中で苦笑しながら、何事もなかったように一緒に回ろう」
ホルウェン「礼もお詫びも言わないよ」
ドラフ「ホルウェンの性格は十分わかってる」
GM「じゃあ、広場で入った情報は以上ね」
ドラフ「あっ、次の行き先は?」
GM「行き先は不明だけど、彼らが西の方から来たという情報は得られた」
ホルウェン「西っていうと?」
ドラフ「ロマールの方。次はザイン近郊だな。ちょうどエリックたちはザインには入らなかったから、次はザインを舞台にして一シナリオか?」
GM「不明。これからどうする?」
ドラフ「適当に聞き回ってから、宿をとる」
GM「じゃあ、リプレイ起こすときに、ここら辺に君たちが得られた情報をまとめておくから、また読んでおいて。その内容が、君たちが聞いたすべてだから。ただし、すべてが真実かどうかは別問題ね」
ホルウェン「わかりました」
ドラフ「にゅ」

 ということで、ムオー教団について。
 教祖はブロンズ・パ=ロット、25歳。魔法の時代、剣を嫌う魔法使いたちによって封印された武力の神マルショシアスを復活させるためにこの世に使わされた者。もちろん、自称。
 ムオー教団の現在の信者は80人から100人。街から街へ移動しながら、広場などでブロンズが直々に説法する。
 教義の趣旨は、魔法使いを嫌い、魔法使いたちによって不幸な目に遭っている者達を集め、マルショシアスを復活させることによって、魔法の力のより弱体化を目指すもの。詳細はわからない。
 信者たちの活動は、マルショシアスを復活させるためにブロンズの指示に従う。決して無理なことは言われないらしい。
 教義の内容から魔法使いギルドに疎ましがられているが、問題は起きていない。
 ロマールの方から流れてきたのと、その教義から、次の目的地はザインであると思われる。そして、魔法嫌いの地、ザインが最終的に拠点を構える場所だとも推測される。
 アンナについては、本編中で言ったとおり。特記することはない。ムオー教団とは関係ないが、相当モンテローザの歪んだ愛情に悩まされ、この街を出たがっていたという情報がある。アンナ自身は人気があった。

◆ 夜這い(笑) ◆

GM「適当にどうぞ」
ホルウェン「……って言われても(汗)」
ドラフ「にゅ。ホルウェン、次の目的地はザインという国だ」
ホルウェン「どんな国なの? 私は知らないわ」
ドラフ「魔法嫌いで有名な国らしい。エルフのお前は珍しいかもな。いきなり捕まったりして」
ホルウェン「つ、捕まるのはもう嫌よ!」
ドラフ「何事も経験」
ホルウェン「死にかけたし……。少し、怖い……」
ドラフ「安心しろ。俺が生きてる間は、俺が守ってやる。あっ、今俺、ちょっとかっこよかったぞ(笑)」
GM「かっこいいのはわかるから、自分で言わなきゃねぇ(爆)」
ホルウェン「(笑)。生憎おじさんには興味がないから、サラッと流そう。だから、さっき私死にかけたってば! 守ってくれなかったじゃないの!」
ドラフ「ふぅ……。過去の話だ」
ホルウェン「むっちゃくちゃ」
ドラフ「どのみち、行かないことにはなぁ。行って、なんとしてもブロンズを倒して、アンナを連れて帰る。首輪つけてもな」
ホルウェン「はぁ。あんなヤツ(モンテローザのこと)の下に連れていかなくちゃいけないなんて、どっちかと言うと、私たちが悪って感じね」
ドラフ「せいぜい、ムオー教団が悪の教団であることを祈ろう。まあ、どうみても悪だけど。もしも善行を行う教団だとしたら、このクエストの魔法は痛すぎる」
ホルウェン「そうね。まったくよ。癪に障るわ!」
ドラフ「さわさわ」
ホルウェン「……琴美さん?」
GM「雪島……っていうか、琴美ちゃん?」
ドラフ「いや、癪に触ってんの」
GM「わ、わけわかんねぇよ!」
ホルウェン「琴美さん……」
ドラフ「うぐぅ。今日はやっぱりダメな日だ」
ホルウェン「それじゃあ、寝ましょう」
ドラフ「寝よう。ぐー」
GM「君ら、どこにいるの?」
ドラフ「<あずまんが大王亭>の二階。時間は夜」
ホルウェン「わわっ!」
GM「すげぇ。よくもまあ、そんなゲーム序盤に出てきた宿の名前なんか覚えてんね?」
ドラフ「ちゃんとメモってあるから」
ホルウェン「はぇ〜。感心します!」
ドラフ「いやいや」
GM「じゃあ、夜中……」
ホルウェン「すやすや」
ドラフ「ぐー」
GM「シーフがないのね(泣)。素で振って」
ホルウェン「(ころころ)4です」
ドラフ「ぐー」
GM「振れよ、お前!」
ホルウェン「(笑)」
ドラフ「WRYYYYYY! 7!」
GM「いや、期待値でそんなに力強く言わんでも」
ドラフ「気が付いたね!?」
GM「無理無理。君たちはいきなり殺される。グサッ!」
ドラフ「げふっ! お、俺もこれまでか……」
ホルウェン「こらこら(汗)」
ドラフ「はぁ……」
GM「ふぅ……」
ホルウェン「ん?」
ドラフ「いや……。ちゃんと突っ込んでくれる人がいるって、いいなって思って」
GM「由佳里ちゃん。君は実に重要な地位にいるよ」
ホルウェン「は、はぁ(困)。ありがとうございます……」
ドラフ「さてと。じゃあ、どうするの?」
GM「不意打ちくらう。防具はなし。ドラフは10点受けて」
ドラフ「結構でかいなぁ。鎧軽減は?」
GM「0レート」
ドラフ「うぃ。(ころころ)出目6。0レートの6っていくつ? みなりん」
GM「自分で調べろ!」
ドラフ「だって、0レートなんて書いてないもん」
ホルウェン「1です、琴美さん」
ドラフ「じゃあ、5点受けて、残り12。起きる」
ホルウェン「起きる。な、何!?」
ドラフ「夜這いだ」
GM「『ち、違う!』思わず叫んでしまった声は、男のものだ」
ドラフ「聞いたことは?」
GM「ないね。次のラウンドは、ホルウェンから」
ホルウェン「マニアックに、コンフュージョンとかかけてみよう。かかったら逃げよう」
ドラフ「出たな、コンフュージョン!」
ホルウェン「えっ?」
GM「いやいや。第7話が激しくレプラコーンだったんだよ」
ホルウェン「なるほど。7は13」
GM「13か。ぎりぎり食らった」
ドラフ「今のうちに逃げよう」
ホルウェン「こいつらの正体を知るのが先。縛り上げて吐かせなくちゃ!」
ドラフ「一人という保障がない。逃げた方がいい」
ホルウェン「敵の正体がわからないんじゃ、怖くて夜も寝られなくなっちゃうわ! ここは、吐かせるべきよ!」
ドラフ「吐かせるのは、そんなに容易いことじゃない。しかも、恐らく宗教関係だろう。難しい」
ホルウェン「宗教関係とは限らないわ。“魔鏡”の方かも知れないし!」
ドラフ「そんなの、このGMが覚えてるわけがない!」
ホルウェン「……まったくだわ(笑)」
GM「お〜い(汗)。まあ、確かにすっっっっっかり忘れてたけどね」
ドラフ「逃げよう」
ホルウェン「ええ」
GM「しくしく(泣)」
ドラフ「荷物持って逃げる。鎧着る」
GM「本当は鎧って、そんなに簡単に着れるものじゃないけど、まあいいでしょう」
ホルウェン「もう絶対に許さないんだから!」
ドラフ「誰が?」
ホルウェン「誰か」
ドラフ「ダメじゃん。外に出るけど、どう?」
GM「今のところは静かだよ」
ドラフ「辺りを警戒しながら……ちょっと待てよ」
ホルウェン「どうしたの?」
ドラフ「いや、下手に人気のないところに逃げると、逆に不利かと思って」
ホルウェン「それはそうね」
ドラフ「どうしようかなぁ。敵、いないの?」

 いないと、さっきのヤツのところに戻るよな……。
 と、ここでGMは考えた。

GM「じゃあ、冒険者+知力」
ドラフ「11」
ホルウェン「14」
GM「じゃあ、ホルウェンは向かいの屋根の上から、強力な視線を感じた」
ホルウェン「見る」
GM「君が見ると、相手も見られたことに気が付く。口笛の音がして、周りに人がゾロゾロと現れる」
ドラフ「ひゃー。何人くらい?」
GM「5人くらい」
ホルウェン「何なの!? あなたたちは!」
GM「誰かが言う。『ブロンズ様のことを聞き回っていたエルフがいると聞いた。魔法使いが、ムオー教団を逆恨みしてのことだろう』」
ドラフ「けっ。聞いていただけだ。それだけで暗殺かい? ムオー教団、その実力を見た!」
GM「『黙れ!』襲いかかってくる」
ホルウェン「生きて帰れますよーに!」

◆ そして二人と ◆

<1ラウンド目>

GM「敵は兵士長×2と、司祭×3ね」
ホルウェン「司祭×3?」
ドラフ「終わった……」
GM「宗教団体だからね、一応。そっちからどうぞ」
ホルウェン「サイレンス、司祭2人くらいにかかりませんか?」
GM「なんとかなる」
ホルウェン「じゃあ、使います。7は13」
GM「ダームの塔が沈黙しました」
ドラフ「じゃあ、残った司祭に斬りかかる」
GM「そうすると、兵士長がホルウェンに斬りかかるよ」
ドラフ「兵士長Aに斬りかかる。7は13」
GM「避けられないねぇ」
ドラフ「7は13点」
GM「じゃあ、ドラフは2回回避、ホルウェンは1回抵抗して」
ドラフ「回避は14、16」
ホルウェン「抵抗は13です」
GM「ホルウェン8点もらって」
ホルウェン「早くもやばいです」
ドラフ「エルフか……。ミーシュも弱かったよ……」

<2ラウンド目>

ホルウェン「とりあえず残ってる司祭にミュート。6は12」
GM「じゃあ、Cは沈黙」
ドラフ「攻撃。6は12」
GM「どうぞ」
ドラフ「7は13点」
GM「A残り1か。ドラフは2回回避。次のラウンドで、司祭A、Bが出てくるから」
ドラフ「回避は11と……10点もらい」
GM「献上。8点ね」
ドラフ「2点もらって、残り10か」

<3ラウンド目>

ホルウェン「司祭Bにミュート。14」
GM「沈黙ね」
ドラフ「兵士長Aにとどめ。6は12はさっき当たったから……打撃が(ころころ)げふっ!」
GM「ゾロった?」
ドラフ「逆。もったいない。1クリは24点(笑)」
GM「死んだ」
ドラフ「また殺しちまったぜ」
ホルウェン「ドラフ……」
GM「ドラフは1回回避、ホルウェンは1回抵抗して」
ドラフ「回避は10、低っ!」
ホルウェン「抵抗は13です」
GM「ホルウェン、7点あげる」
ホルウェン「ありがとう。ギリギリあと1です」

<4ラウンド目>

ホルウェン「ミュート、司祭A。OK! 出目9です」
GM「これで全滅だね」
ドラフ「兵士長Bに攻撃は8の14は、6の5の7の12点」
GM「わけわかんねぇよ」
ホルウェン「数字ばっかり」
GM「ドラフは回避1回、ホルウェンは回避3回ね」
ホルウェン「えっ?」
GM「司祭が全員、素手で殴りかかってくる」
ホルウェン「うわっ! 宗教は怖い!」
ドラフ「8は14で回避」
ホルウェン「(ころころころころ)出目がすごい。10、6ゾロ、7」
GM「じゃあ、数値通り行こう。実は司祭、攻撃力がある」
ドラフ「うっわ〜」
GM「8点ね」
ホルウェン「やばいっしょ。-1ですよ」
ドラフ「GM、初心者にひどいひどい!」
GM「試練じゃよ(嘘)」
ドラフ「一番怖がっているのは、間違いなくGMのはず」
ホルウェン「生死判定! うりゃっ! げげっ! 5とかいってます」
GM「だいぶ計算慣れしてきたぞ。4+5-2は7だから、辛うじて生きてるね」
ホルウェン「ふぅ〜〜〜〜。マジでギリギリ」
ドラフ「みなりん、それはあんまり上手なマスタリングじゃない!」
GM「くくく……(汗)」
ホルウェン「GMが冷や汗かいてます(笑)」
ドラフ「無っ茶苦茶!」

<5ラウンド目>

ドラフ「攻撃、兵士長。9は15で、7は13点」
GM「残り2。じゃあ、司祭の一人が、恐らく攻撃点があるってことは、ダガーか何か持ってるんでしょう。それを倒れてるホルウェンの首に当てて言う。『動くな!』」
ドラフ「何だ!?」
GM「『武器を捨てろ。さもないと、こいつを殺す』」
ドラフ「ふざけるな! どうせ二人とも殺すつもりだろうに。お前がホルウェンを殺したときが、お前たちの最期だと思え! って言いたいけど、相手は宗教団体だし、とりあえず武器を捨てよう。チャンスはあるはずだ」
GM「じゃあ、君は武器を投げ捨てた。カランカラン」
ドラフ「さあ、ホルウェンをこっちに渡せ」
GM「『ほざけ!』兵士長が剣を突き立てるが、回避したければして。したら、ホルウェンの命はもらうけど(笑)」
ホルウェン「鬼だ。ドラフ! 私のことを気にして、避けないで!」
ドラフ「美しくない……。何点?」
GM「っていうか、死んで」
ドラフ「げふっ! さらば……」
GM「ということで、ドラフも倒れて、もう虫の息。司祭がホルウェンの首にあるナイフを掲げたとき……」
ホルウェン「とき?」
ドラフ「ゲマ?」
GM「ゲマじゃねぇだろ! 笛の音がする」
ホルウェン「誰?」
ドラフ「キザ人。第5話に出てくるから、これが終わったら読んどこうね、由佳里ちゃん」
ホルウェン「はい」
GM「笛の音がしなくなると、声がする。『こんな美しい月の晩に、剣の音は似合いません。さぁ、そんな刃は鞘に収めて、もう帰るべきところへ帰りなさい』」
ドラフ「相変わらず変だーっ!」
ホルウェン「な、何だなんだ?」
GM「かなり高位のバードだ。言葉に魔力がこもっている。本当は楽の音がしなくなると魔力が切れるんだけど、笛を選んじゃったし、オリジナルルールでいこう」
ドラフ「どうぞ♪」
GM「彼らは悔しそうに死体をだかえて逃げていく。まあ、リウスの威圧感だろうね」
ドラフ「宗教団体をも撤退させるとは!」
ホルウェン「リウスさんっていうんだ」
GM「弱冠16歳。少女が一人、駆け寄ってくる。『大丈夫ですか?』」
ドラフ「エルメスだー。大丈夫じゃないけど、答える元気もない」
ホルウェン「っていうか、気絶中」
GM「回復がない。エルメスが応急処置をしてから、ホルウェンを背中に背負う。その間、リウスはヒーリングの呪歌を歌い続ける」
ドラフ「男として、フラフラとついて行こう。今は二人に従う」
GM「じゃあ、そうして二人は、リウスたちの泊まっている宿……目の前のだけど」
ドラフ「(笑)」
GM「に担ぎこまれる」
ホルウェン「気付いていい?」
GM「いいよ。気が付いて、自分とドラフにヒーリングかけて」
ホルウェン「わかりました」
GM「エルメスが言う。『さっきの人たちは何者ですか?』」
ドラフ「答えよう。ムオー教団という、宗教団体の者達だ。少しわけありで、昼間に聞き込みをしていたら、やつらの恨みをかったらしい」
GM「『そうですか……』というエルメスの隣で、リウスが呟く。『ブロンズ・パ=ロットですね?』」
ホルウェン「知っているの?」
GM「『ええ』エルメスが興味深そうに見ている。『マルショシアスを復活させようとしている男です。その目的はわかりませんが……』」
ドラフ「マルショシアスというのは実在するものなのか?」
GM「『間違いなく』」
ホルウェン「ひえー」
ドラフ「そげか」
GM「エルメスが言う。『貴方たちは、これからどうされるんですか?』」
ドラフ「言っちゃおう。実は情けない話だが、そのブロンズを倒すことを使命とされている」
GM「『クエストですか?』は、リウス」
ドラフ「そうだ。お前たちはこれから?」
GM「エルメスがちらっとリウスを見る。リウスが答える。『そのブロンズを倒す手伝いをさせてはもらえませんか?』」
ドラフ「いいだろう。いや、こちらから頼みたいところだ。助かる」
ホルウェン「ドラフがそう言ったから、私も慌てて言おう。あ、ありがとう」
GM「リウスはにっこり微笑むよ。年相応の顔だ。『仲間とは何よりもかけがえのない存在です。ともに力を合わせれば、どんな困難をも打ち砕くでしょう』握手を求める」
ドラフ「握ろう」
ホルウェン「むっ。私も私も」
GM「じゃあ、エルメスも手を重ねよう」
ドラフ「おおっ、美しい!」
ホルウェン「はい。なんかかっこいいです」
GM「よぅし。なんとかまとまったところで、番外編1はこれくらいで終わりにしよう!」
ドラフ「結局上手にまとめたね」
GM「いやいや。また反省で」

◆ 反省 ◆

水原(GM)「経験点は、ホルウェンは1,000点の、ドラフが900点ね」
琴美(ドラフ)「げふっ!」
由佳里(ホルウェン)「いきなりですね」
水原「いきなり一般市民を殴り殺すやつがあるか!」
琴美「しくしく」
水原「でも、おかげで、むしろ面白いプレイになった気もする。どうだった?」
由佳里「はい。面白かったです」
琴美「けど、今日始めたばっかの子に、生死判定を2回も振らせるのはどうかと思うよ」
水原「そうだね〜。どうもダイス目を誤魔化すのが苦手で」
由佳里「ところで……」
琴美「ん?」
由佳里「あの、なんでエルメスがエリックと一緒にいないんですか? いや、実は一番初めから疑問なんですが」
琴美「なるほど(汗)」
水原「また第5話を読んでおいて。すべてはその話で」
由佳里「わかりました」
水原「ラストについてだけど、結局また“危機を救う”パターンになっちゃった。しかも、圧倒的な力を持って。本当はこれはいまいち」
琴美「そうだねぇ」
水原「もっと頑張らないと。自分がいかにアドリブが利かないかも、今回でよくわかった」
琴美「何がしたかったの?」
水原「いや、特に何も……」
由佳里「ダメじゃん……」
琴美「やれやれ」
水原「にゅ〜〜。とりあえず疲れた」
琴美「平気」
由佳里「平気」
水原「元気じゃのう」
由佳里「早く次がやりたいです」
水原「ああ、当分待ってて。う〜ん。どうしようかなぁ。まだエリックとミーシュ編が終わってないし」
琴美「終わるの? あれ」
水原「5話ずつ進めようかと思ってた」
琴美「まだあと3本もあるね」
水原「しかも、シナリオは1本も考えてないし」
琴美「ダメダメじゃん」
水原「まあ、なんとかしよう。とりあえず今日はお疲れさま。また次もよろしくね」
由佳里「はい。お疲れさまです。ありがとうございました」
琴美「お疲れさ〜ん」


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