■ 胡同を駆け抜ける爆走三輪車

 今まで度々名前だけ出てきた胡同(フートン)とは、記憶が確かなら中国、もしくは北京の古い街並みのことで、灰色の壁と瓦で建てられた家が特徴的だ。


 この胡同を三輪車に乗って走り、実際に人が住んでいる家を訪問するツアーが人気らしい。今回、Ryan氏の取り計らいで、我々もこのツアーに参加することになった。
 ちなみに、欧米人の観光客には、天壇公園や故宮よりも、こちらの方が人気が高いらしい。何故かというと、胡同は年々確実に減っており、いつかなくなるものだからである。
 中国では土地はすべて国有であり、国がなんらかの政策で土地を必要とする場合、もちろん補償金は出るものの、その土地の住民は家を出て行かなければならないらしい。そういう事情なので、個人が胡同を残そうと思っていても、国が思わない限り、なくなってしまうのだ。
 ちなみに、三輪車はこういう感じ。ちょうど向かいから別の団体がやってきたところを激写した。


 この三輪車で、小生はMr.Rと一緒になり、ここで初めて話をした。あっという間に打ち解け、「この三輪車が初日だったらよかったのに」と互いに話していた。まったくである。
 この後ずっとMr.Rと話をしていたことを考えると、初日から知り合っていれば、今回の旅ももっと楽しめたのではなかろうか。
 ところで、我々の乗った三輪車、あからさまに他とは違った。他の三輪車は真っ直ぐ走っているのに、この三輪車は右へ左へ揺れるわ、前の三輪車を煽るわ。しかも止まっているときなどは、前から来た別の三輪車に煽られるわ、とにかく、若者向けの仕様になっていたのだ。
 この日の夜、ホテルのロビーで掛け軸の夫婦の旦那に聞いてみたら、彼らの三輪車はそうではなかったというから、やはり三輪車を走らせていたにーちゃんが、小生とMr.Rを見て、若者向けの運転にしてくれたのだろう。当たりを引いた模様。
 さて、下はとある家の門を入ったところの写真。


 ここは、明の十三陵の地下宮殿同様、他のツアー客が写っていない写真がほとんどないので、ちょっと枚数は少なめに。
 見てのとおり、ボロい。けれど、これは古いからボロいだけで、家の中はパソコンもあったり、めっちゃデカいテレビもあったし、隣の部屋にはプレステもあった。
 もっとも、トイレはないし風呂はないし、決して住みたいとは思わないが。
 ここでも押し売りがすごかった。幸いにも若者二人だった小生らの三輪車には誰も来なかったが、他の三輪車には、いかにも中国っぽい巾着を売りつけようとする人が群がり、Ryan氏が説明しているときでも構わず声をかけていた。
 一度三輪車が場所を変え、それであきらめるかと思ったら、自転車で追いかけてきた。彼ら、彼女らの執念はすさまじい。ビデオの夫婦がうんざり具合を吐露していたのもわかる気がする。