-
■ 深夜のコモハウス行軍
-
メルボルンセントラルを出たのは、20時半くらいだったろうか。それとも21時くらいだったろうか。とにかく、随分遅い時間だった。
けれど、今からホテルに帰っては少々早い。そこで小生、結局行くことが出来なかったコモハウスに、今から行ってみようと提案する。
Michaelは疲れてはいたが、こういうバカなことが大好きな男なので、もちろん反対しなかった。
この時間、トラムは20分に1本くらいしかなかったが、運良く目的のトラムはすぐにやってきた。フェイリンの導きだろうか。
『地球の歩き方』を見ながら、今どこを走っているかを指でなぞり、コモセンターを過ぎたところまでは完璧に把握した。
けれど、そこから先はよくわからず、停留所の番号もさっぱり見えないので、適当に降りて歩くことに。
物語はここから発生する。
実は、トラムに乗っている時は、街は明るかったのである。店々は明るく、人々は往来し、小生はMichaelと二人で、「これなら安心」と話していた。
ところが、降りた停留所付近から、さっぱり店も人気もなくなる。はっきり言って、怖い。
そしていよいよコモハウスへ行くために北に折れる道まで来た時、我々の眼前に広がった景色はこれだ!
怖ぇ! マジで怖ぇ!
海外は危険なところだと言い、危険な目に遭う旅行客も多々あるが、それはある程度自分たちがそういう危険なところに飛び込んで行くからではないだろうか。例えば、今からこの誰もいない夜に、この真っ暗な道を歩いて行くというような。
「おい、これは下手なお化け屋敷より怖ぇぞ」
「って言うか、マジで怖ぇ!」
そんな話をしながら、マジで怯えつつ北上。途中で突然民家の犬に吠えられて、心臓が破裂してそのまま昇天するかと思った。
そしてようやく辿り着いたコモハウス。
ち、違うんだ! 小生が見たかったのは、こんなものではないんだ!
もちろん、時間的に入るのが無理なのはわかっていたが、せめてあの白い美しい外観くらいは見れないだろうかと思っていたのだが、甘かった。
考えてみれば、リッポンリーだって、メインの建物はずっと奥だったではないか。どこの金持ちが、自分の住む屋敷を、わざわざ道路に面したところに建てるというのだ。
結局、小生とMichaelは、この白い門だけ見て再びあの暗い暗い道を戻ることになった。
ちなみに、帰りもトラムはすぐにやってきた。Good Luck!