『 ブルーフォレスト物語リプレイ 緑の遺跡1 』
プレイ日:2004年11月25日
GM+文章:水原渉
◆ キャラクターメイキング♪ ◆
由佳里「日常って、結構暇だよね」
ほずえ「そうだね。時としてそう思う」
水原「お前ら、それは高校2年生の女の子の会話じゃないぞ?」
由佳里「そうですか?」
水原「そうだな。見ろ。あのベッドに横たわって本を読んでいる、この世の怠惰を具現化したような女を! ああなるぞ?」
雪島「失礼な!」
由佳里「何読んでるんですか?」
雪島「『アドバンスト・ファイティングファンタジー』なるゲームのルールブック」
ほずえ「TRPG?」
雪島「どうやらそうらしい」
水原「自分で買ったんじゃないのか?」
雪島「違う。友達が買って、『琴美、今度これのGMやってね☆』って押し付けられた」
水原「お前ら、色んなルールやるんだな」
雪島「そんなことないよ? 全然そんなことなくて、なんでいきなりこういうことになったのか、私はそっちが疑問。いつもはソードかロードスくらいしかやらない」
由佳里「一つのルールじゃ、飽きませんか?」
雪島「飽きてる?」
由佳里「そう言われると、別に……」
雪島「でも、たまには変化も必要よね。と思って、必死に読んでる」
水原「そうか。じゃあ、俺らは奇跡的に再入手に成功した、ブルフォレでもやるか」
ほずえ「やる〜♪」
由佳里「やりたいです♪」
雪島「しようしよう☆」
水原「お前はルールを読んでるんじゃなかったのか?」
雪島「それはまた別の機会に」
ほずえ「わたし、ソードワールド以外のルール、やったことない」
由佳里「私も」
水原「うむ。ちなみに、俺もまるで覚えてないから、全員で手探りしながら……」
雪島「昔、サークルでキャンペーンのGMやってたんでしょ?」
水原「大昔な。手放してから長かったし、再入手してからまだ全部読んでないし、もう綺麗さっぱりだよ」
ということで、遥か昔に手放したブルフォレのルールを、2004年11月に再入手。
久しぶりにネットを徘徊してみたらBF=WEBは閉鎖してるし、発売元のサイトのエラッタページを見ても、何故かブルフォレはない状態。
ということで、このセッションは、追加ダメージが「体位-15」なのか「筋力-15」なのかも定かではない状況で行われています。
水原「これがキャラクターシートだな」
ほずえ「へぇー。ソードワールドと全然違うんだね」
水原「ほとんど同じじゃつまらんだろ。ダイスも10面体を使用する」
由佳里「振るの初めてです」
水原「好きなだけ振ってくれ」
雪島「職業は?」
水原「今回は、基本的にはここに書いてある通りに作ろうかと思っている」
プレイヤーがPCを演じるとき、最も初期の段階で二つの選択があると思います。
それは、やりたい職業をやるか、与えられた職業をやるかの二つです。
例えばソードワールドだと、「今回は魔法使いがやりたいなぁ」と思っていたとして、生まれは蛮族だわ、知力と精神点のボーナスは+1だわでは、やる気も削がれてしまいます。
そこで、キャンペーン『子供たちの冒険』は、生まれは貴族以外は自由、能力値も出た目を好きな場所に振り分けて良いというルールで行われました。
今回のキャンペーンは、キャラクター作成に関しては、なるべくルールに忠実に行う方針でやっています。
水原「最初の職業は、2D振って、この『最初の職業決定表』で決めるから」
ほずえ「緊張するなぁ」
雪島「希望は?」
ほずえ「どれがどれだかよくわかんないから、神官か行商」
由佳里「船乗りとかは惹かれないなぁ。遊牧辺りで」
雪島「じゃあ私は王族ね」
由佳里「王族!」
ほずえ「えいっ! (ころころ)9! あ、わたしが遊牧♪」
由佳里「(ころころ)13は……狩人。まあ、遊牧に近いかな」
ほずえ「え? そう?」
雪島「王族、王族、王族。(ころころ)うわっ!」
水原「労務か。所持金のない労務か」
雪島「他の人からもらおう」
水原「安心しろ。遊牧も狩人も、みんな貧乏だ」
ほずえ「ま、また貧乏プレイ?」
由佳里「『子供たちの冒険』に引き続き……」
水原「じゃあ、性別・年齢、関係・背景を決めてくれ」
雪島「今回私、あまり出しゃばらないようにやろうかなと」
由佳里「どうしてですか?」
雪島「ん? 二人の成長を見守る、優しい先輩役に……」
水原「まあ、労務だしな。せいぜい使役されるがよろしかろ」
由佳里「狩人じゃ、ちょっと使役は無理です」
ほずえ「もってのほか」
雪島「みなりんがGMやると、誰か男をやる必要が出てくるね。女ばっかってのもあれだし」
ほずえ「じゃあ、由佳里が男ね」
由佳里「そうなの!?」
ほずえ「こないだ、生理の時に言ってたじゃん。『あー、男の子はいいなぁ』って」
由佳里「そんな、一過性の話題を……」
雪島「じゃあ、私も男にしようかな。労務だし」
水原「女の子の労務ってのは萌えだな」
雪島「32歳くらいの女性をやろうかなぁ」
水原「心にもないことを」
ほずえ「遊牧ってどんな感じ?」
水原「それぞれ、ルールブックの説明書きを読んでくれ。今回、どう? ほずえと由佳里ちゃんで、夫婦とか演じてみたら」
ほずえ「うわ! また奇抜なことを言い出した!」
由佳里「面白そうですね。私はいいですけど」
ほずえ「じゃあ、それなりの年齢にしないと。18くらいがいいかな」
由佳里「じゃあ私は、21で」
雪島「みんなもう知り合ってるの? 出身地はどうする?」
水原「知り合ってる方向で。出身地は適当に決めていいよ」
BOOK4に出身地決定表というのがありますが、今回は出身地に関しては各自で好きに選んでもらうことにしました。
先程から「基本的に」とか「なるべく」と言っていたのは、このためです。
由佳里「どこがいいかなぁ。このアニタ王国辺りにしようかな」
ほずえ「どれどれ? あ、ちょうど風の平原とも親交があるって書いてあるね。じゃあ、わたしは風の平原生まれに」
由佳里「陸軍国家とか書いてあるけど、狩人とかいるのかなぁ」
水原「心配することもないだろ。近隣に森でもある設定で」
雪島「私は、モブス王国で使役されてたんだけど、逃げてきたことにしよう。一文無しになって行き倒れていたところを、由佳里ちゃんに拾われた」
由佳里「わ、私……」
水原「まだキャラの名前がないからな。じゃあ、次に能力値だ」
ほずえ「どうやるのー?」
水原「それぞれのキャラのところに、『基本能力値X/Y』ってあるだろ? 肉体的能力値は1D+X、精神的能力値は1D+Y」
ほずえ「わたしは7/5だから……。(ころころ)9、4、2、6、6、2、6、2は、16、11、9、13、11、7、11、7」
水原「期待値割ったな。可哀想に」
由佳里「私は7/4だから、この時点でほずえよりダイス目にして4損してます」
雪島「じゃあ、7/3の私は、ほずえちゃんより8も損してる計算に」
ほずえ「なんだか、ましに思えてきた」
由佳里「(ころころ)8、6、2、8、10、5、7、7は、15、13、9、15、14、9、11、11」
ほずえ「いい出目!」
水原「圧倒的にほずえを上回ったな。ほずえが85なのに対して、97もある」
雪島「私は壮絶に下回りそうな予感。(ころころ)8、2、8、5、2、9、7、7。珍しくいいなぁ。15、9、15、12、5、12、10、10。88か」
ほずえ「うぅ。わたしだけ壮絶に弱い予感……」
水原「…………」
ほずえ「どうしたの?」
水原「いや、今雪島が『壮絶に』って言ったから、ほずえも日頃は使わない『壮絶に』って言葉を使ったのかなと。子供が言葉を覚える過程、あるいは周囲の言葉に影響される瞬間を目撃した」
由佳里「そ、そんな大袈裟なものでしたか? 今の……」
水原「今日一番の出来事だ」
雪島「つまんない一日だったんだね」
水原「そう来る!?」
ちなみに、3人の判定値はこんな感じ。
ほずえ:腕力27/運動20/作業18/知覚16/交渉24/祈念18
由佳里:腕力28/運動22/作業25/知覚18/交渉29/祈念20
雪 島:腕力24/運動24/作業15/知覚27/交渉17/祈念22
雪島「なんだか、みんな運動系だよね」
ほずえ「由佳里の交渉判定が高いね♪ 頼れる夫?」
由佳里「私の作業と琴美さんの知覚が飛び抜けてますね」
水原「ちなみに魔法の判定は祈念だ。みんな微妙に低いな」
由佳里「琴美さんが一番高いですね。魔法使いを目指します?」
雪島「『知恵』が5しかないから。しかもSCが5。SPが1の魔法を1つだけ取れる」
由佳里「私もSCが5です。『知恵』が14だから、SPが2まで?」
ほずえ「わたしはSCは4だけど、『知恵』が11しかないから、やっぱりSPが2まで」
水原「これはまあ、必殺技で楽しんでもらうかな。よく覚えてないが、ソードよりは魔法がなくてもなんとかなるゲームだった気がする」
由佳里「次は何ですか?」
水原「基本戦闘力と追加ダメージ、各HPを算出してくれ。ちなみに、追加ダメージは『筋力-15』だから」
BOOK1に「体位-15」とありますが、キャラクター記録用紙、並びにBOOK2のP30の記述を優先しました。
雪島「出せた。飛び抜けてHPが高い!」
水原「可愛くてか弱い女の子をやる予定なのにな」
雪島「やっぱり36歳、男かな」
水原「待て。高校生二人が夫婦やるから、もはや今回の萌えはお前に求めるしかない」
雪島「NPCで」
水原「有り得ん」
由佳里「せんぱ〜い、次はー?」
水原「うむ。次は寿命の決定だ」
由佳里「寿命!?」
ほずえ「死ぬ年がわかってるの?」
水原「おう」
ブルフォレには「寿命」というルールがあります。
普通に考えると、死ぬ年がわかっているというのは、とてもまともには生きられませんが、それは今この世界に住む我々の考え。
ここでは、それが当たり前に存在する世界を限界まで想像して、そこに住んでそれを受け入れているPCになりきってもらいます。
ほずえ「D100だね」
由佳里「この際、長生きとか早死により、私たちの寿命差が短い方がいいね」
雪島「いい着眼点だね」
ほずえ「それもそうか。えいっ! (ころころ)64歳」
水原「割と長く生きるな」
由佳里「(ころころ)77歳」
ほずえ「わたしが死んでから、13年も生きるんだね」
雪島「10年ね。私は……(ころころ)98!?」
水原「生きろよ?」
雪島「い、嫌だ……。いっそラキの29歳の方が美しく見える」
水原「寿命が決まったら、次は亜神属性だ」
由佳里「亜神って何ですか?」
水原「んー、明確な言葉で言い表せれるほど、俺もよくわかってないが、この世界には12人の神様がいて、誰もがそれらの神様とつながりを持ってるわけだ」
ほずえ「何かプレイに影響するの?」
水原「神呪という種類の呪文は、その亜神属性によって決定される」
ほずえ「なるほどね〜。よくわかんないから、この『神性なし』以外で! (ころころ)8は火王だね」
由佳里「(ころころ)10だから、月王」
水原「雪島はきっと降魔汚染だな」
雪島「うるさいなぁ。(ころころ)11……まだ不明」
水原「次回、降魔汚染発覚?」
雪島「うるさいなぁ!」
由佳里「有り得そうで怖い」
ほずえ「次は武器?」
水原「武器は、ほずえと由佳里ちゃんはWCがCだから小太刀を、雪島はDだから長杖を持ってる。ほずえと由佳里ちゃんも、長杖か短剣が良ければそれでもいいが」
ほずえ「わたしは小太刀でいいけど」
由佳里「弓はダメですか? 長弓なら、値が同じで値段が安いし」
水原「攻撃にマイナス修正が加わるぞ?」
由佳里「んー、狩人だから、弓の方がいいかなって思って」
雪島「それは大事な考えだね」
水原「うむ。じゃあ、長弓で。差分で手斧を進呈しよう」
石弓と長弓に関して、ルールブックの記載順や、値段、ダメージやクリティカルなどから判断して、以下のように置き換えています。
石弓 C、0、12/20、750銀貨
長弓 D、-5、10/20、100銀貨
由佳里「後は何を決めますか? 名前?」
水原「それは最後にしよう。所持金は、ほずえは30銀貨、由佳里ちゃんは50銀貨、雪島は貧乏金無し+『知恵』+『自制』ね」
ほずえ「えっと、48銀貨」
由佳里「25足して75銀貨」
雪島「『知恵』が低い……15銀貨しかない」
水原「その金で買い物だな。何か欲しいものはある? ああ、服は着てることにしていいぞ。雪島も裸じゃない」
雪島「よかったよ。肌着しか買えない」
ほずえ「わたしたち、家で暮らしてるんだよね?」
由佳里「夫婦の冒険者?」
水原「任せるけど。それに合わせてシナリオ作るから。まあ、逃げてきた労務絡みのシナリオになると思うが」
ほずえ「先輩、いくつですか?」
雪島「私は19」
ほずえ「それは知ってます」
雪島「キャラは16歳くらいにしようかな。『容姿』は低いけど可愛いの」
水原「果てしなく矛盾してるな」
雪島「きっと、髪がぼさぼさで、砂埃に顔も服も汚れてるからいけないのよ。みんなだまされてる!」
水原「可愛いらしいぞ?」
雪島「亜麻色の髪。他はほずえちゃんみたいな感じ」
ほずえ「ええっ!?」
水原「ロリっ娘だな」
雪島「やっぱりやめ。3年前の私みたいな感じ」
ほずえ「ええーっ!? ロリっ娘じゃないもん!」
由佳里「どう見ても……やっぱりいいや」
ほずえ「ぶぅ。わたしの容姿は……」
水原「人妻には興味ないよ」
ほずえ「ひ、ひどい……。若いのに、若いのに……」
由佳里「話が果てしなく逸れちゃったけど、森の近くの家で二人で暮らしてることにしよう」
水原「じゃあ、一通りの道具は揃ってることにしていいよ」
雪島「私は?」
水原「薄汚れた衣服と、もう何日も洗ってない肌着、穴の空いた手ぬぐい、破れたショルダーバッグ、紐の切れかけたサンダルと、中身の入ってない水筒、以上だな」
ほずえ「どこまでも悲惨ですね……」
由佳里「まだ若いのに、可哀想に……」
雪島「もうダメだ。きっとあと数日で死ぬ……。お父さん、お母さん、里のおじいちゃん、田舎のお姉さん、山のハイジとヤギのユキちゃん。私はもうダメです……」
水原「どうあっても、お前は出しゃばらないようにするのは無理だな。キャラが濃すぎる」
ほずえ「うんうん」
雪島「私がしたわけじゃないのに」
水原「じゃあ、いよいよ最後は特技です。みんなこの表の中から2つずつ選んでね」
由佳里「なるべく生まれや今の生活に合ったものがいいですね。『尋問』とかは合いませんね」
ほずえ「うちの亭主は、昔どこで何してたんだろ……。特技が『捕縛』と『尋問』だなんて……」
水原「きっと裏の世界を渡り歩いてきた狩人なんだな」
雪島「捕まえたシカとかを縛って尋問してるのよ。『吐け、さあ吐け』」
水原「一人で森の奥で?」
雪島「由佳里ちゃん、暗いキャラを作ったね……」
由佳里「そんなこと言ってません! でも、なんとなく濃いキャラの作り方がわかった気がしました、今ので」
ほずえ「それはきっと間違った知識だよ」
由佳里「『狩猟』と『ワナ作り』にします」
雪島「きっと私、そのワナにかかったんだよ。痛い、痛いよぅ……しくしく」
由佳里「うわぁ! 人間がかかってるぞ!」
ほずえ「今夜は鍋ね♪」
由佳里「食べるの!?」
雪島「末路が見えた」
水原「お前ら、キャラ作りの段階から面白いな」
ほずえ「わたしは、『遠視』と『風読み』にしようかな」
水原「果てしなく地味だな。いかにもほずえだ」
ほずえ「遊牧なんだからいいじゃん!」
水原「いかにも役に立たなさそうだ」
ほずえ「頑張って使うもん!」
雪島「私はどれにしようかな」
水原「『美容』と『健康』がいいんじゃないか? 雪島っぽく」
雪島「そんなんないじゃん!」
由佳里「じゃあ、『演技』と『魅了』ですね」
雪島「どんどんイメージが……。由佳里ちゃんを誘惑しよう」
ほずえ「やっぱり鍋にして食べよう」
雪島「じゃあ、『演技』と『魅了』で」
ほずえ「ほんとに!?」
水原「すごいキャラになりそうだな。この時点で、お前のキャラが一番インパクトが強い」
由佳里「やっぱり森でシカを尋問した方がいいかなぁ……」
ほずえ「あ、あなた、無理しないで」
由佳里「あなたって……」
雪島「変な感じー」
ほずえ「わたしも、由佳里に『あなた』とか言う自分にゾクゾクするよ」
水原「果てしなく似合わないな。でも『あなた』だな」
ほずえ「ねえ、あなた」
由佳里「わ、笑っていい?」
ほずえ「ダメ」
由佳里「あはははっ!」
ほずえ「ひどっ!」
水原「じゃあ、最後に名前だ。ああ、生年月日も適当に埋めておいて。BOOK3に月の名前が載ってる」
ほずえ「風の月1日にしよう」
由佳里「じゃあ、月王に合わせて、陽の月の15日にしよっ。祭りの日に生まれました」
水原「降魔汚染はいつにする?」
雪島「まだ不明! 闇の月の10日くらいで」
水原「自ら黒い方に黒い方に行くな。イメージ的に」
ほずえ「名前はエルにしよう」
由佳里「それ、前と同じじゃん」
ほずえ「毎回違うエルを演じようかと」
由佳里「じゃあ、シャダル・コンドルパサーに……」
ほずえ「ええーっ!? 後ろは余計!」
水原「旧姓はやっぱりジェラートなのか?」
ほずえ「姓は毎回変えようかと。エル・チャーキだったことにしておこう」
水原「今は、エル・コンドルパサー?」
ほずえ「夫婦別姓が流行ってるみたいだよ、シュリーウェバは」
水原「有り得ん」
雪島「ナルキにしよう」
水原「地味だな。クワンティランチワンカルドナーテとかにせんでいい?」
雪島「せんでいい。萌えないでしょ、それじゃ」
由佳里「シャダル・アディでいいや」
水原「コンドルパサーはやめね」
由佳里「元々冗談ですよ」
水原「じゃあ、とうとうキャラが完成したな! いよいよ冒険……の前に、ちょっとナルキと内緒話をしようかな。エルとシャダルは外に出てて」
ほずえ「エッチなことするんだね?」
雪島「しないしない」
由佳里「じゃあ、お邪魔虫は外に〜♪」
◆ 内緒話 ◆
GM「さてと、それじゃあ、エッチしようか」
ナルキ「ええっ!? それじゃあ、そのまんまじゃん!」
GM「困ったもんだな。今回、あの二人が特に冒険者でもない、一介の夫婦という設定だから、なんとかナルキがその平和を乱さないといけない」
ナルキ「シャダルを誘惑して、浮気、破局?」
GM「果てしなく誤った乱し方だな。ナルキはモブス王国で、誰の下で何をやってて、どうして逃げ出してきたんだ?」
ナルキ「私は船の工場で働いていました。ええ、賃金は普通にもらっていました。あ、これはプライバシー保護のために、音声を変えて」
GM「どこの報道番組だ、それは」
ナルキ「その夜、私は見たんです。ランカル島からと思われる小船から、鎖につながれた四本足の大きな獣が下ろされるのを!」
GM「それで、その獣は一体何を?」
ナルキ「はい。鎧を着た人たちが10人くらいいて、向こうから小太りの男の人が部下を連れてやってきました。部下はまだ年端もいかない少年を縛って、引きずってきました」
GM「少年? それは少女ではなかったのかい?」
ナルキ「少年でした」
GM「少女にせん?」
ナルキ「少年! その少年はひどく怯えていましたが、口を塞がれていて、くぐもった声で呻くだけでした。少年は獣の前に投げ出されて……そして……ああっ! 思い出すのも恐ろしい!」
GM「少年が獣を食ったか?」
ナルキ「果てしなく逆。思わずよろめいた私は、樽を蹴飛ばしてしまって……それで逃げてきたんです! でも、恐らくもう、見たのが労務の一人であるナルキだとバレているでしょう。ああ、いつ追っ手が来るか……ぶるぶる」
GM「なるほどな。で、なんとか逃げ延びて、アニタ王国に入ったところの森の中で、ワナにかかったと」
ナルキ「足が……足から血が……。痛いよぅ、ハイジ……ペーター……」
GM「それは、お友達?」
ナルキ「昔の」
GM「ちなみに、その状況で、ナルキはあの夫婦のもとに厄介になるのか? 果てしなく迷惑なヤツだよな」
ナルキ「普通に考えたらならないだろうね。その辺はみなりんが上手にやってよ」
GM「ふむ。ところで、『演技』と『魅了』を持っているわけだが、何かどす黒い裏設定は要らない? っていうか、むしろ要るだろ?」
ナルキ「純白ガールの方が萌えるでしょ?」
GM「いや、案外徹底的に黒いのもまたいいって場合もあるかもよ。別に自分の彼女にするわけじゃないし」
ナルキ「じゃあ、父親が借金作って、10歳から娼館で……。13歳の時にロリコンの金持ちに買われて……両親は家を売って、私が働いて稼いだお金も持って国外逃亡」
GM「素敵な女の子になってきたな」
ナルキ「1年くらいその金持ちの相手をしてたんだけど、奥さんに妬まれて包丁で刺されるの。右足の太股にその傷跡が白く残ってる。血まみれで逃げ出した私は、持ち出したお金で怪我を治して、海に近い場所にお引っ越し。それから2年間、造船の仕事に携わって今に至る」
GM「どす黒くなったな。そのロリコンの金持ちの方は、もうなんの繋がりもないのか? 俺的にはドロドロの展開も好きだが」
ナルキ「激しく18禁になりそうな予感が……。風の噂だと、奥さんは人を刺した罪で投獄されて、ロリコンの旦那は信頼を失って失墜、すっかり貧乏になっちゃったんだって。ザマーミロ」
GM「ナルキを恨んでるかなぁ」
ナルキ「どうだろう」
GM「しかし、シャダルと絡ませるわけにはいかないから、NPCで純真な少年でも出すかなぁ」
ナルキ「基本的にはあの二人を立てたいけどね」
GM「お前は後ろめたさの塊だもんな。まあ、細かい話はいずれ考えることにしよう。それじゃあ、即興でシナリオ作るから、あの二人を呼んできてくれ」
ナルキ「了解♪」
すっかり忘れていたので、二人が戻ってきてから、防具を購入してもらっています。
装備は以下の通り。
シャダル:革手袋/革ひざ当て/残り25銀貨
エル:革ひざ当て/残り28銀貨
ナルキ:なし/残り15銀貨
完成したキャラクターシートはこちら♪
◆ 森に現れた怪物 ◆
GM「じゃあ始めるとしよう。シャダルたちとナルキは、まだ出会ってないから。ナルキはワナにかかる前」
エル「やっぱりワナにかかるの!?」
GM「そうらしい。アニタ王国とモブス王国と風の平原の交わるこの辺りに、“宝石の森”という森があって、シャダルとエルはその森の入り口付近で暮らしている」
シャダル「エル、今日も宝石がいっぱい取れたよ」
エル「わぁ、ご苦労様、あなた。まあ、1,000銀貨くらいの価値がありそうね♪」
シャダル「今日はここ数ヶ月で一番調子が良かったんだ!」
GM「待て。“宝石の森”は、別に宝石が取れるわけじゃない」
エル「ちぇっ」
GM「森の奥深く、風の平原に近い方に、10年前に遺跡が見つかったんだ。小さな遺跡で、集落というよりは、神殿の跡みたいな感じ。そこで、“森の涙”と呼ばれる宝石……名前は出てきてから付けられたんだが、それが見つかった」
シャダル「エル。今日は久しぶりに“森の涙”を見てみようかな」
エル「ええ、ちょっと待っててね。今持ってくるから」
GM「持ってねーよ。“森の涙”は今モブス王国の大金持ち、トルバが持っている。トルバは王様ともつながりがあって、私兵もいっぱい。元々人々が好き勝手な名前で呼んでいたその森を“宝石の森”と呼んで定着させたのもトルバ」
シャダル「その後、その遺跡はどうなったんですか?」
GM「さんざん掘り返されたけど、大したものは出てこなかったようだね。ちなみに、君たちはこの森で暮らしてるわけだから、もちろんそこに行けるし、行ったこともある」
シャダル「じゃあ、今日は兎が獲れただけだよ」
エル「鍋にして食べましょう」
GM「鍋好きやな」
エル「今度は人間が獲れるといいね♪」
シャダル「エル……」
GM「お前、やっぱり食われるぞ?」
ナルキ「哀れ少女は哀れのまま散る」
GM「それはある日のことだった……」
エル「ナレーションっぽい」
GM「シャダルの家のドアがドンドンドンと叩かれる。まだ朝で、シャダルとエルはささやかな朝食の最中」
エル「はい、あーん」
ナルキ「それがほずえちゃんのお嫁さん像なの!?」
エル「演じてるだけだよ! シャダルにらぶらぶなの」
シャダル「じゃあ、あーん。ぱくっ」
エル「美味しい?」
シャダル「普通だよ」
エル「ちぇっ」
GM「ドンドンドン!」
エル「あー、忘れてた。どちら様ですか?」
GM「『俺だよ、俺』」
エル「おれおれ詐欺だ……」
GM「ちゃう。知り合いの声だ。少し離れたところに住んでて、牧場も持ってるジャウシャーさん。人間、男、35歳。既婚、子供が3人」
エル「開けよう。まあ、ジャウシャーさん! 血だらけじゃないですか! どうしたんですか!?」
シャダル「話は後だ。すぐに手当てを!」
GM「勝手に話を作るな。ジャウシャーさんは元気だよ。『やあ、エルちゃん。シャダル、聞いてくれ。昨夜、森で変な生き物が出たらしい』」
シャダル「変な生き物?」
エル「ナルキだね」
ナルキ「私だね」
GM「ちゃうだろ、それは。『そいつはなんでも、朝は8本足、昼は10本足、夜は23本……』」
シャダル「それはそれは変な生き物ですね」
GM「なんだよ、その冷たい言い方は!(笑) 『そいつはひどく凶暴で、身体は牛の2倍くらい、鋭い角と牙があって、狼のように速く動くらしい!』」
エル「目撃証言? 誰か見たの? 見た人は無事?」
GM「『ランクットさんとこのチビだ。ランクットさんの家の羊が食われたらしいから、本当だろうよ。もちろん、チビの話だから、多少の誇張もあるかもしれんが、見たこともない生き物だったのは間違いないらしい』」
エル「怖いね、ぶるぶる」
シャダル「そいつは森に行ったのか?」
GM「『ああ。お前は森に行くのが商売だからな。何かあってからじゃ遅いと思って言いに来たんだ。くれぐれも気を付けてくれよ。それから、何かわかったら俺のところに言いに来てくれ。皆を集めて話し合わなくては』」
シャダル「了解した。わざわざすまなかったな」
GM「『いや、気にするな』ジャウシャーさんは帰っていく。ちなみに、ランクットさんは、やっぱりこの界隈に畑を持っている人ね。もちろん知り合い」
エル「ねえ、シャダル。大丈夫かしら」
シャダル「う〜ん。わかんないけど、仕事をしないわけにはいかないし。今日は騎兵拳銃を持って行くよ」
エル「ええ、そうして」
GM「変なアイテムを持って行くな。じゃあ、森に行くんだな? 一人だな?」
エル「普通に考えたら、ついて行かないんじゃ。私にはきっと私の仕事があるだろうし」
GM「じゃあ、シャダルが森に行くと、遠くから女性の悲鳴がする。はい、悲鳴」
ナルキ「きゃー!」
GM「いまいち伝わってこんなぁ。もっとこう、悲痛な」
ナルキ「どういう状況なの? 痛いだけ? 危機的状況?」
GM「危機的状況。もうじき殺される。でもワナにかかってるから動けない」
ナルキ「最悪じゃん! いやぁぁっ! 誰かっ! 誰か来て! 助けてぇぇっ!」
GM「ちょっと萌え」
シャダル「萌え」
エル「うわっ! 由佳里まで!」
シャダル「違う。シャダルが萌えたの」
GM「しばらくすると、『ぎゃあっ!』っていう断末魔の叫びがして、静かに……」
シャダル「こ、殺されちゃった……」
GM「ちょっと来るのが遅かったみたいだね。ナルキは新しいキャラを作って」
ナルキ「しくしく」
シャダル「とりあえず声のした方に急ぎます」
GM「さらっと流したな。そうすると、シャダルがかけたワナに、みすぼらしい少女がかかってて、何やら見覚えのない大きな怪物が、鼻息を立てて少女を威嚇してる」
ナルキ「ちなみにその怪物は、私も見覚えない?」
GM「ないね」
シャダル「助けないと。そのワナは簡単に外せるんですか?」
GM「構造を知っている人間になら、簡単に。ナルキも時間があれば外せるけど、それは冷静に落ち着いて、の話。今は無理」
ナルキ「長杖で攻撃は?」
GM「可能だべ。その代わり、戦闘結果表を1列左にシフトね。逆にこっちの攻撃は1列右にシフト」
エル「えっと、左にシフトすると……」
シャダル「当たりにくくなるんだよ」
エル「なるほど!」
シャダル「とにかく助けないと。弓撃てます? 距離はどれくらい?」
GM「20メートルくらいかな。じゃあ戦いね?」
敵は角ゴブリンではないけれど、角ゴブリンのデータを使います。
もちろん、シャダルには勝ち目がないので、シャダルが適当にダメージを与えたら逃げる予定。
シャダルがダメージを与えられなかったら、3ラウンド目辺りでランクットさんが現れるシナリオ。
GM「こっちの『反射』は15だから、こっちの方が速いけど、1ラウンド目は気付いてないから、シャダルから。当たっても当たらなくても、怪物は君に気が付くと思ってね」
シャダル「戦闘力はいくつですか?」
GM「40」
シャダル「強っ! 戦闘力差が-18!」
ナルキ「適当に矢を撃って、後は逃げることを考えた方がいいかも」
エル「戦闘力修正が-5だから、-23じゃない?」
シャダル「さらに下がった。-25の欄だね? BRがBだから、これが部位。(ころころ)8、1、6。16は当たって、左腕に10発」
この攻撃で、怪物は左腕に5点受けます。まだ35も残っているし、23の戦闘力差はあまりにも大きいので、さっさと撤退させることに。
GM「じゃあ、左腕……まあ、左の前脚かな? そこにぶすっと矢が刺さると、怪物は雄たけびを上げて森の奥に逃げていくね」
シャダル「あ、あれ? 戦闘力は高かったけど、案外弱かったのかな?」
ナルキ「痛いよぅ、痛いよぅ」
シャダル「ああ、大丈夫? ワナを外してあげよう」
GM「右足が血だらけだね。ナルキは右足に20点のダメージを受けたことで」
ナルキ「うぅ……」
シャダル「えっと、大丈夫?」
ナルキ「あんまり。軽く魅了しようかな。上目遣いに、手当てをしてもらえませんか?」
シャダル「ドキッ! も、もちろんさっ! おぶっていってあげよう」
ナルキ「いいんですか? ありがとう♪」
GM「じゃあ、シャダルの背中に、ナルキの胸の感触が……」
シャダル「ああ、背中に……」
エル「鍋決定ね!」
◆ モブス王国から逃げてきた少女 ◆
シャダル「ただいま、エル」
エル「あれ? 今日は早かったのね」
シャダル「実は……」
エル「まあ、今日は大物が獲れたのね! なんて美味しそうなこと!」
シャダル「ワナにかかって怪我をしたみたい。それに、例の怪物も見たよ。この子が襲われそうになってたんだ」
エル「獲物を横取りされるところだったのね?」
シャダル「早速手当てをしてやってくれ。女の子だから、俺がやるわけにもいかないだろう」
エル「ええ。塩胡椒をたっぷりかけてステーキにするわ」
シャダル「治りました?」
GM「い、今のは会話が成立していたのか?」
エル「うん」
GM「そ、そうだったのか……。もちろん、手当てしても治らないよ」
エル「シャダル、この傷を治すにはハナモゲラの根が必要だわ!」
GM「いや、そうじゃなくて」
エル「わかってるよ」
GM「ルール的には8時間ぐっすり寝れば治るよ」
ナルキ「じゃあ、寝るのは後にして、まずはお礼と自己紹介をしないと。あの、ありがとうございました」
シャダル「いやいや」
エル「どこの誰?」
ナルキ「私はナルキと言って、モブス王国から来ました」
エル「モブス王国から逃げてきたのね?」
シャダル「どうして逃げてきたんだい? 何か悪いことをしたのかい?」
ナルキ「に、逃げてきたなんて、一言も言ってないのに……」
エル「ひどい身なりだし」
ナルキ「ひどいみなりん?」
GM「いや、俺は常に優しいぞ? 常優」
エル「じょーゆー?」
シャダル「キムなんとかさんじゃない?」
エル「旅をする格好には見えないんだけど、モブス王国からどこに行く予定だったの?」
ナルキ「どこって言われると困るなぁ。えっと、とにかくモブス王国じゃない場所に……」
シャダル「それはつまり、モブス王国から逃れるため? 何かしたんだね?」
ナルキ「いいえ、私は何もしてません!」
エル「じゃあ、誰が何をしたの?」
ナルキ「あの、えっと……きっと知らない方がいいです。傷が治ったら出て行きますから。とにかく、私は何もしてません。信じてください」
エル「そのみなりんでそんなこと言われても……」
GM「お前までみなりんとか言うな! 同じ水原姓だろ!」
ナルキ「これは交渉判定で……」
GM「じゃあ、君は演技とか持ってるし、×3判定で」
エル「それは?」
ナルキ「3回振って、1回でもこの交渉の値以下の目が出れば成功。17しかないから、厳しそう……」
シャダル「って言うか、無理なんじゃ……」
ナルキ「36、89、71って言って失敗」
シャダル「じゃあ、一応頷いてはおくけど、内心では怪しんでおこうかな」
エル「露骨に怪しんでおこうかな。早く出て行ってくれないかなぁ、ぷんすか」
ナルキ「しくしく。エルの見てないときに、シャダルさんは信じてくれますよね? 魅了で……」
エル「うわっ!」
シャダル「ドキッ! も、もちろんだよ、ナルキ! エルだって、口ではああ言ってるけど、ちゃんと信じてるよ!」
ナルキ「本当? 良かった♪」
GM「なんだかどんどん悪女に……」
エル「ナルキのいないときにシャダルに言おう。ねえ、あなた。あの子、やっぱり怪しいわ」
シャダル「何を言ってるんだ、エル。人を見かけで判断しちゃいけない。あんなみなりんだけど、根は真面目でいい子に決まっている!」
エル「うわっ!」
GM「由佳里ちゃんにまでみなりんとか言われた!」
エル「わ、私の『うわっ!』はそのことにじゃないからね?」
GM「いや、わかってるけど」
エル「シャダル、どうしたの? あんなひどいみなりんで逃げてきたのよ? きっと人を殺して鍋にして食べたのよ!」
シャダル「エル、人を疑うのはよくないぞ?」
エル「だってぇ」
シャダル「さては、妬いてるんだな? バカだなぁ、ははは」
ナルキ「なんかもう、穏やかな会話(笑)」
GM「異色のプレイになりそうだ」
◆ 怪物討伐隊とナルキの追っ手 ◆
エル「翌日? ナルキは出て行った?」
ナルキ「ひどい……くすん」
GM「まだその日の午後だね。ナルキは傷の影響で熱が出て、うんうん唸ってる」
ナルキ「うんうん」
シャダル「可哀想に。エル、ちゃんと看病してあげるんだぞ?」
エル「してるよぅ」
GM「そうこうしていると、ドアがドンドンドンと叩かれる。『俺だよ、俺』
シャダル「ジャウシャーさんだね。ああ、そういえば、報告しに行くの忘れてたや」
GM「ひどい話だ。『おお、聞いてくれ、シャダル。実は、例の怪物を退治することになった』」
シャダル「おお、それはよかった!」
GM「『他人事みたいに言わないでくれ。もちろん、村の人間総出さ。シャダルにもエルにも来てもらうぞ?』」
シャダル「俺はともかく、妻は……」
ナルキ「妻だって……」
GM「新鮮な響きだ」
エル「あなた、私も戦えるわ!」
シャダル「しかしだなぁ……」
GM「『シャダル、うちの女房も出るんだよ。みんなだ、みんな。武器を持てる者はみんな!』」
シャダル「わかったわかった。そういえば、怪物って言うと、かくかくしかじかだ」
GM「『おおっ! それは、お前もその子も無事でよかったな』ジャウシャーはナルキの様子を見に、家に上がってくるよ」
ナルキ「微笑みながら魅了……。こんにちは、ナルキです……」
GM「あくまで魅了か! 『お、おお。ジャウシャーです』何故か丁寧語」
エル「男って……男って……」
GM「『あれだ、シャダル。なかなか可愛い子じゃないか、うん』」
シャダル「だろ。エルの次に可愛いな。エルの次!」
エル「言い訳っぽい」
GM「『ところで、この子も戦えるかな? 討伐隊は明日結成されるが……この様態じゃ、無理か?』」
シャダル「どうだろう」
ナルキ「大丈夫です。戦わせてください。助けていただきましたし……」
GM「『そ、そうか……いや、無理はよくないぞ? 今日はゆっくり休んでな。エルは戦うんだぞ?』」
エル「それは何!? 戦うよ、もう!」
GM「『いやいや、冗談冗談』ジャウシャーは出て行くね」
エル「もう、みんな失礼なんだから! 私もシャダルを魅了してみよう」
シャダル「もう魅了されてるから」
エル「まあ、あなたったら♪ ちゅっ☆」
シャダル「ちゅっ♪」
ナルキ「なんなの、この生ぬるい空気は!」
GM「なかなか面白いことになってきた」
翌日、小さな子供以外の村の人間20人ほどが集まり、作戦会議をしている。
シャダル夫妻とナルキも参加。
GM「ジャウシャーさんの話だと、まず森にワナを張りまくって、かかったところをがんがん攻撃する算段だそうだ」
ナルキ「ワナ、怖い。ぶるぶる」
シャダル「大丈夫だよ」
ナルキ「はい、ありがとうございます」
エル「うわ! いい雰囲気! うわ!」
シャダル「エル……大丈夫だからさぁ」
エル「ぷんぷん」
GM「それぞれ持ち場があって、ワナを張る場所や種類、担当も細かく決められてる。森の二人はそれを見れば間違ってもワナにかかることはないよ。ナルキも、二人について行けば平気」
シャダル「俺とエルもワナを張るのか?」
GM「シャダル夫妻の持ち場もあるよ。もっとも、エルにはワナは張れないが」
エル「精神的に手伝うよ!」
ナルキ「私も♪」
エル「ワナも張れないの? 役立たず!」
ナルキ「うぅ……シャダルさん、エルさんがいじめる……しくしく」
シャダル「い、板ばさみ……。琴美さんとほずえに挟まれた先輩みたい」
GM「いや、俺は基本的には雪島優先だから」
シャダル「私も、基本的にはエル優先なのに、エルが信じてくれない!」
ナルキ「愛が足りないんだよ」
エル「ナルキが他人だからだよ」
GM「今のはあまりにも明快すぎて、何も言うことができない」
シャダル「じゃあ、適当になだめながら、森に行きます」
GM「具体的な言動を言わずに流したな。じゃあ、君たちが適当に森にワナを張っていると、危険関知は知覚判定かな?」
エル「こっちが10の位。(ころころ)103」
ナルキ「今のは面白かった。(ころころ)85」
シャダル「36で失敗です」
GM「じゃあ、エルだけ気が付いた。何か囲まれているような予感。殺気をひしひしと感じる」
エル「囲まれてる? 怪物は1体だよね?」
GM「さあ。2体一緒にいるところは報告されてないね」
エル「それとなく二人に言おう。なんだか、囲まれてる雰囲気。敵意を感じる」
シャダル「犬ゴブリンかな?」
ナルキ「若干身に覚えが……」
エル「何? ナルキの追っ手? やっぱり悪いことしてたのね!? 嘘つき!」
ナルキ「追っ手っていうのは、悪いことをしてなくても差し向けられることもあるのよ」
GM「じゃあ、君たちに気付かれた気配を察知して、4人の男が武器を持って現れる。覆面してるけど、別に刃賊とか間者ってわけでもないよ。見た目あんまり強そうじゃないけど、でも4人いるからね」
エル「わ、私たちレベル1だから……」
シャダル「何だ、お前たちは! 俺たちは何もしてないぞ!」
GM「男の一人が言う。『お前たちは何もしてないだろうが、そこの娘がしたんだよ』」
ナルキ「私も何もしてないわ! 何も見てない!」
エル「み、見たんだ……」
ナルキ「本当よ! 私は何も見てないし、あの夜港にはいなかった!」
GM「男たちは互いに顔を見合わせると、頷き合って剣を抜く。みんな小太刀だよ」
ナルキ「どうして!」
GM「『悪いが、3人揃って死んでもらう』」
エル「ちょ、ちょっと待って。私たちは何も知らないし……」
ナルキ「ちょっと待ってね。エルがそれを言うと、その後ぎくしゃくするから、私が言うよ。待って。この人たちは関係ないわ。殺すなら私だけにして!」
エル「あー、なるほど」
シャダル「そうだね。私たちは関係ないなんて言ったら、完全にナルキを突き放すみたいで、嫌な感じがするね」
エル「リアルプレイをするなら、それは自然なんだけど、リアルプレイするだけが正しいわけじゃないもんね」
GM「ほずえもわかってきたかな? 今回は、申し訳ないが、エルがいかにも有り得そうな言動に始終すると、プレイが破綻する。まあ、そういう設定にした雪島も悪いが……」
ナルキ「私!?」
GM「その内、ナルキの相手をするNPC出すから、まあそれまで辛抱してくれ。いや、この戦いで死んだら知らないが……」
ナルキ「私は死ぬかも」
GM「いや、3人ともだな。『お前が話してないという保証がない。まとめて死んでもらう』」
シャダル「ひえー。相手の強さはわかります?」
GM「んー、うん。このゲーム、基本的には固定値だから、まあ全部教えるよ。戦闘力20、BRはC、反射は12、ダメージは12の20。頭が40、胴が50、他が25」
ナルキ「極めて接戦」
シャダル「大声を出しながら戦えば、ジャウシャーさんたちが加勢に来てくれるかな?」
ナルキ「私は、これ以上多くの人を巻き込みたくないけど」
シャダル「ああ、それもそうか」
1ラウンド目。
ナルキ「圧倒的に私からだね」
シャダル「この夫婦、『反射』が少ない……」
ナルキ「脱兎のごとく逃走」
エル「えっ!?」
ナルキ「に見せかけて、Aに攻撃。戦闘力差は+9だから……(ころころ)あ、クリチ。胴に15発」
GM「防御点は胴が5、頭が3だ」
ナルキ「まだ40もあるのか……」
GM「Aはナルキに。そっちが+9なら、こっちは-9だな。(ころころ)でも当たり。右腕に12発」
ナルキ「ぼ、防御がないから、早くもピンチなんだけど……」
GM「Bはエルに。当たって、右足に12発」
エル「辛うじて、そこには防具が……」
GM「一番強そうなシャダルに二人ね」
シャダル「つ、強くないよ〜? みんな、だまされてる!」
GM「手斧だよね? -2だから、相打ちした。まずシャダルの頭に12発。それから部位ロールして」
シャダル「痛い。(ころころ)3は胴か……残念」
GM「じゃあ、Cが胴に5点ね。Dは胴に普通の命中。12発」
シャダル「ひえー。Cに攻撃。+2だから……(ころころ)うわっ! 98とか振った!」
ナルキ「それは89になるから、相打ちだね」
シャダル「ああ、そっか。じゃあ、右足に10発」
GM「お返しは、左足に12発もらってくれ」
エル「も、もうダメだ……。Bに攻撃。(ころころ)49はハプニング?」
GM「ハプニング表で振ってくれ。くだらんのは無視の方向で。そのハプニング表、その内作り直したいと考えてる」
エル「(ころころ)3だって。髪がなくなった?」
GM「くだらんから放っておいていいよ。これで1順目終了か」
ナルキ「微妙に負けそう。単純攻撃しかないから、何の戦略も立てられない」
各人のダメージを受けた個所。
◎シャダル
胴 48→36
左足 24→15
頭 37→25
◎エル
右足 25→16
◎ナルキ
右腕 30→18
◎A
胴 50→40
◎C
胴 50→45
右足 25→15
2ラウンド目。
ナルキ「戦況はよくないねぇ。Aに攻撃。(ころころ)またクリチ。右腕に15発」
エル「シャダル、あの人結構強いね」
シャダル「少なくとも俺よりは……」
エル「あ、あなた……」
GM「『子供たちの冒険』のときの悲惨なダイス目はどうしたんだ?」
ナルキ「出てる目は低いから、低い方がいいゲームと、高い方がいいゲームの差じゃない?」
エル「なるほど!」
ナルキ「そ、そんな本気で感心しなくても……。冗談だよ」
GM「Aはナルキに。(ころころ)あ、すまん。胴に20発もらって」
ナルキ「きゃうっ! ひどいGMだ」
GM「Bはエル。(ころころ)あ、出目がいい。ごめんな。右足に12発」
エル「また右足!? 死ぬ……」
GM「Cから。(ころころ)なんで当たるんだろ。左腕に12発」
ナルキ「このGM、全部当ててるよ」
エル「いじめだよね、これは」
ナルキ「いじめいじめ」
GM「Dは……ああ、でも96とか振った」
シャダル「やった☆ 他力本願。右腕に22発もらってください」
GM「一撃で0になるところだった」
シャダル「Dに攻撃。右腕、右腕! (ころころ)残念! でもクリティカル。胴に22発」
ナルキ「胴って、全然減っていかないから、さりげなく虚しいよね」
エル「Bに〜。(ころころ)噂の減っていかない胴に12発」
各人のダメージを受けた個所。
エルが危機的状況。
◎シャダル
左腕 24→15
◎エル
右足 16→7
◎ナルキ
胴 60→40
◎A
右腕 25→10
◎B
胴 50→43
◎D
胴 50→33
右腕 25→3
3ラウンド目。
ナルキ「明るい未来が見えないなぁ。(ころころ)あ、3連続♪ 左腕に15発」
シャダル「あの人、すごいな」
エル「ええ、やっぱり何かやらかしたんだよ。強いし」
ナルキ「やってない、やってない」
GM「毎回別個所ってのが痛いな。反撃。(ころころ)おっ、初めてスカった」
ナルキ「ひらり」
GM「エルに捧げる歌」
エル「な、何それ!?」
GM「(ころころ)マジすまん。右腕に20発」
エル「うぅ……。お兄ちゃん、私のこと、嫌いでしょ?」
GM「いや、愛してるぞ? Cはシャダルに……75? 相打ちか。頭に12発」
シャダル「もう1回受けても大丈夫。反撃は胴に」
GM「胴は平気だねぇ。Dは……(ころころ)あ、すまん!」
シャダル「え? え?」
GM「頭に20発」
エル「もう1回、堪えられなかったね……」
シャダル「クリティカルは想定外。さよなら、エル……」
GM「頭は即気絶ね。次のラウンドで殺されるから」
シャダル「た、助けて……」
エル「助けれる? とにかく楯になって、誰か来てくれるのを……」
GM「じゃあ、エルはシャダルのところに行って終わりね」
と言いつつも、シャダルが気絶したので、戦いはこのラウンドで終了。
一応、ここまでの全ダメージの推移を。
◎シャダル
胴 48→36
左足 24→15
左腕 24→15
頭 37→25→13→0
◎エル
右足 25→16→7
右腕 25→5
◎ナルキ
胴 60→40
右腕 30→18
◎A
胴 50→40
左腕 25→10
右腕 25→10
◎B
胴 50→43
◎C
胴 50→45→40
右足 25→15
◎D
胴 50→33
右腕 25→3
◆ そして旅に出る ◆
GM「4ラウンド目の頭で、森の方から……っても、どこもかしこも森だが、唸り声がする」
エル「誰? ジャウシャーさん?」
ナルキ「そ、それはギャグなの?」
GM「ジャウシャーさんだね。『がるるるるぁーっ!』」
ナルキ「それはギャグでしょう」
GM「例の怪物だよ。覆面はみんなたじろぐね。突然襲いかかってきて、隊列が乱れる」
エル「い、今の内に逃げよう」
ナルキ「シャダルを背負って……んしょっと」
GM「背負って走れるかな? 覆面の内の二人は怪物と切り結んでて、一人は殺される。一人が君たちの方に来て、一人は反対側に走り出す」
エル「逃げたの?」
ナルキ「報告しに行ったのかもね。来たのはA?」
GM「Aだね(一番ダメージを受けているのでAにした)」
ナルキ「怪物の危険がないところまで逃げられない? そこでシャダルを下ろして戦いたい」
GM「んー、いいよ」
4ラウンド目。
ナルキ「攻撃♪ (ころころ)あ、4連続! 胴に15発」
GM「胴は結構平気。反撃は……(ころころ)がふっ。クリティカルでくれ」
ナルキ「じゃあ、左腕に」
GM「お、終わった。ばったり倒れる」
ナルキ「さあ、今の内に!」
エル「ナ、ナルキって、強いのね。何者なの?」
ナルキ「ただの労務よ。ほんとよ? これはほんと」
エル「これは?」
ナルキ「あ〜ん、全部ほんとなの! しくしく」
エル「だいぶ逃げてこられたら、シャダルを回復させたいんだけど」
GM「応急手当は作業判定らしい」
エル「(ころころ)11!」
ナルキ「愛だね」
エル「あなた!」
シャダル「おお、エル。ひしっ」
エル「ひしっ!」
ナルキ「愛だね」
シャダル「さてと、こうなった今、もう他人事では済まされないみたいだ。君のことを話してくれるかい?」
ナルキ「ええ……。身長は157センチです。バストは……」
エル「そんなこと聞いてないし……」
ナルキ「私はモブス王国の造船工場で働いていたの」
エル「船を作ってたのね?」
ナルキ「ううん、物を運んだりしてただけ。その夜、私は見たんです。ランカル島からと思われる小船から、鎖につながれた四本足の大きな獣が下ろされるのを!」
GM「それ、俺と二人で内緒話してたときとまったく同じじゃん」
エル「ランカル島?」
GM「魔族の島だな。でも、完全に悪ってわけじゃなくて、最近では人間とも交易がある」
シャダル「それで、その獣は?」
ナルキ「はい。鎧を着た人たちが10人くらいいて、向こうから小太りの男の人が部下を連れてやってきました。部下はまだ年端もいかない少年を縛って、引きずってきました」
GM「まったく同じだ……」
エル「私たちは初めて聞くんだから」
GM「なんか、午前と午後の2回に分けて行われる、雪島劇場の午後の部みたい」
ナルキ「雪島劇場……」
シャダル「なんだか、楽しそうな響きですね」
エル「それで、その少年が、獣に殺されちゃったの?」
ナルキ「え? あ、うん、そう」
エル「な、何ですか? なんで急に淡々と」
GM「話のつなげ方が、俺とお前で違ったからだな」
ナルキ「思わずよろめいた私は、樽を蹴飛ばしてしまって……それで逃げてきたんです!」
エル「それは、ナルキが悪いね」
ナルキ「ウソっ!?」
シャダル「それで、これからどうしようか」
ナルキ「あの、巻き込んでしまってすいません。しょんぼり」
シャダル「い、いや、こうして会ったのも何かの縁」
エル「えーっ! 同意しかねるー」
ナルキ「一緒に逃げましょうか?」
エル「でも、それだといつまでも追われる身だし……何かいい手はない?」
シャダル「変装して、モブス王国に潜伏して……」
エル「して?」
シャダル「ひっそりと暮らす」
エル「だ、だめじゃん! 全然だめじゃん!」
ナルキ「ひっそりと暮らすなら、やっぱり別の場所に」
シャダル「えっと、何かこう、解決の手段とかはないの?」
ナルキ「(GMに)ないの?」
GM「んー、じゃあ、ナルキが見た鎧を着けた人たちは、モブス王国の正規兵ではなくて、エシュの私兵だったことにしよう。エシュってのは、金持ちの内の一人で、トルバとはあまり仲が良くない。トルバより金があるけど、国王との繋がりはない」
エル「トルバ! “森の涙”の人だね」
シャダル「一応、森の中にある遺跡とかも絡んで来そうな流れになってきたね」
ナルキ「さあ、他の国へ逃げましょう!」
GM「こらこら。モブス王国に行ってくれ」
ナルキ「ヤだよぅ」
シャダル「じゃあ、モブス王国に潜入して、そのエシュって人を……どうすればいいんだ?」
ナルキ「殺る……」
エル「か、過激! そんな恐ろしいこと……」
ナルキ「弱みを握って……とにかく何かその類かな」
シャダル「微妙に弱いけど、じっとしててもしょうがないし、それしかないならそうしよう」
GM「おう、じゃあ、第1回はこんな感じだな」
エル「なんだか短いね」
GM「今回はキャラクター作成と、簡単な戦闘体験、それからレベルアップがメイン。ブルフォレのルールに慣れてもらうセッションだ」
シャダル「りょーかいです」
◆ レベルアップと反省会 ◆
水原「う〜む。雪島の『子供たちの冒険』の後だと、シナリオのヘボさが目立ってしょうがない」
雪島「あれはあれ、これはこれ」
由佳里「楽しかったですよ?」
水原「戦闘は他力本願で勝ち目はないし、ストーリーにはPCに選択の余地がないし、結構どうにもならん話だったと思うが」
由佳里「そう言われるとそうですね」
ほずえ「敵が強かったー」
水原「俺もちょっと量りかねてた。まあ、元々誰かが倒れたら怪物は出す予定で、万が一全滅させることができたら、何か戦利品でもあげようかなぁと」
雪島「システム的には、レーティング表とかない分、ソードより簡単だけど、ダメージが固定ってのは味気ないね」
ほずえ「回避がないっていうのが、すごく違和感を覚える」
水原「戦闘力差って形で、相手の攻撃に反映されてるわけだ。それにしても、今回の戦闘、30から70くらいの目がまったく出てないな」
雪島「クリティカルの多い戦いだった予感。相打ちも多かったし」
由佳里「防具の重要性がわかった感じ。20点まともに受けたりすると、絶望的な心境になります」
雪島「私なんて、全部素通り」
水原「シナリオと戦闘はともかくとして、PC同士の会話は弾けてたな。由佳里ちゃんとほずえの夫婦は傑作かも」
雪島「初めて由佳里ちゃんがリーダーやるね」
由佳里「自然にそうなってた」
ほずえ「エルのナルキに対する態度は難しい」
水原「上手にやってくれ。とうとうお前も、そういう難しい役を演じるレベルに達したってことだな」
ほずえ「頑張るよ」
雪島「私も微妙だなぁ。明らかに浮いちゃってるし……」
水原「シャダルの兄弟とか出すかな。うむ、その辺で由佳里ちゃんと相談しながら次のシナリオを考えるか」
由佳里「いいですよ〜」
水原「じゃあ、いよいよレベルアップだな。ルールブックによると、まずクラスチェンジするかを決めるらしい」
由佳里「どうやるんですか?」
水原「君らは今、ピープルスクラスだ。次はアドベンチャラークラスに転職できる。ここに書いてある、それぞれの能力値が、全部15以上で転職可能」
ほずえ「どれも無理じゃん」
水原「まあ、闘士にだけなれるが、あまりなる意味がないな。じゃあ次は成長パターンの選択。能力値+6か、能力値+4と特技1つ、あるいは能力値+2と呪文1つから選択できる。必殺技はアドベンチャラークラスにならないと使えない」
雪島「能力値を上げるときは、なるべく次の転職を考えて上げた方がいいよ。『気圧』を上げると武人になれるけど、あんまりそういう柄でもないし、キャラとの兼ね合いは難しいところだね」
ほずえ「能力値があまりにも絶望的だから、俗呪でも取って、夫の戦いの手助けをしようかな」
水原「なんか、ほずえが『夫』とか『あなた』とか言うと、すごい違和感を覚えるな」
雪島「うん。『お兄ちゃん』はデフォルトとして、むしろ『パパ』とか『お父さん』の方が似合う」
ほずえ「そんなことないよ。ねえ、あなた」
由佳里「そんなことあると思うぞ、お前」
ほずえ「ぐすっ……」
雪島「よし、決めた。『魅了』とか『演技』とかあるし、『容姿』と『感応』上げて、舞姫になろう。3ずつ上げて、次回転職」
水原「ああ、次回で思い出した。お前、亜神属性振って、早く降魔汚染になってくれ」
雪島「ならないって!」
ほずえ「降魔汚染が発覚したら、さすがにこの人と一緒にいたくないんだけど……」
雪島「言わないもん。(ころころ)11だから……まだ不明……」
水原「ねばるなぁ。もう絶対降魔汚染の流れだ」
由佳里「琴美さん……」
雪島「な、何今の、同情する眼差しは!」
由佳里「いえ、別に。猟兵とかがよかったけど、絶望的な様相。とにかく今回は『反射』に6全部継ぎ込んで、何にでも対応できるようにしておきます」
ほずえ「わたしは『護身の祈り』か『苦痛の抑止』を覚えようと思うんだけど、どっちがいい?」
雪島「実際のところ、それは使って成功するの? 38%っていう数値が、なんとも微妙に思えるんだけど」
ほずえ「う〜ん。じゃあ、今回は能力値を上げておきます?」
雪島「その方が良いかも。しっかし、その精神的能力値は上げる気にならないね」
由佳里「『知恵』を12にするのには意味があるね」
ほずえ「『感応』と『自制』は絶望的だけど、後ろの方に載ってる、なりたいクラスは、ほとんど『感応』か『自制』が要る」
雪島「全部『筋力』に継ぎ込んで、傭兵にでもなったら? 呪文より、必殺技の方がいいよ、きっと」
ほずえ「由佳里が剣士に行きそうな気がするから、武僧にしようかな。どうせWCがAのクラスになっても、武器を買うお金がないし」
由佳里「そういえば、追っ手の持ってた小太刀が欲しかったかも」
雪島「せっかく気絶させたのにね。そういう発想には至らなかった」
ほずえ「あー、やっぱり旅芸人になりたいなぁ。果てしなく遠いけど、どうせ2回かかるなら同じかなって気もするし」
水原「じゃあ、シャダルと同じく、『反射』をがつんと上げるか? 行動順が早くなるから、幸せ気分になれるぞ?」
ほずえ「なんだか味気ないけど、そうしよう」
水原「じゃあ、レベルアップは終わりだな。今回、金は増えなかったが、家中のものを集めた結果、当面行程の食事には困らないことにしていいから。もっとも、モブス王国に着いたら……次回着くけど、エシュがどうの以前に、金を稼ぐ必要が出てくると思うが」
ほずえ「やっぱり貧乏なプレイに……」
水原「まあやむを得まい。じゃあまあ、第1回ブルフォレキャンペーンはこんなもんで」
雪島「お疲れ〜っす♪」
由佳里「お疲れ様〜」
ほずえ「お疲れさん☆」
▲ Back