■ 黄色に輝く広大な故宮

 門をくぐってまず我々の眼前に現れたのがこれだ!


 おいおい、工事中かよ。裏側。


 そして、左側。


 実は、北京五輪のために、大々的な工事をしているらしい。100年に一度の規模らしいから、ある意味もう一生見られない光景かも知れない。
 北京五輪が終わった後に来たら、くすんだ壁や色あせた瓦が、ピカピカ輝いているかも知れないな。
 さて、故宮。『ラストエンペラー』という映画でも使われた場所で、映画の話は頻繁に出たが、生憎小生は見たことがない。ただ、故宮が映画の撮影に使われたのは、今のところ『ラストエンペラー』が唯一の作品らしい。


 地面にはこのように、レンガが敷き詰められている。
 実はこれ、表面だけでなく、確か17階層と言っていた気がするが、下の方までずっとレンガが積んであるらしい。というのは、地下から穴を掘って侵入できなくするためだそうだ。なるほど!


 太和殿。『ラストエンペラー』で坊やが座っていた玉座があるとか。
 ひれふした人々の声か何かに坊やがひるんで、周りの誰かが「もうすぐ終わるから」と言ったとか。で、実際にその坊やが最後の皇帝になり、「もうすぐ終わるから」という言葉は、中国ではとても縁起の悪い言葉になっているらしい。
 この辺は、映画のシーンにあるそうだから、まあ機会があればちょっと見てみよう。


 その玉座。朝の名古屋−伏見間の東山線のような人波を押し分けて撮った写真。係員の笛が鳴り響いていたし、何度か「もうダメだ」と思ったが、無事に帰ってこられた。


 水を貯める瓶。火事に備えて、このような瓶が故宮内にいくつか置いてあるそうだ。
 元々は金が塗られていたのだが、侵略してきたどっかの国の兵士たちが、その金を削ってしまったらしい。表面にある傷は、その跡だそうだ。
 こんな一見なんでもなさそうな物にも、歴史があるんだねぇ。こういうことを説明してもらえるのは、ガイドツアーの最大の利点だと思う。


 屋根の縁の彫り物。先頭に皇帝様がおり、その後ろに9体の動物が続いている。
 実はこの9というのが、皇帝様を象徴する数字らしい。だから、階段も9段あるそうだ。
 階級によって家に使える階段の数は決まっており、武士は3段、庶民は1段だとか。だから、胡同でも、家の前の段数を見れば、その家の人間の昔の位がわかるのだとか。
 ちなみに、屋根の色がすべて黄色だが、この黄色という色も、皇帝様しか使ってはいけない色で、他の人は、どれだけ身分が高くても、黄色い瓦の家は建ててはいけなかったらしい。
 他にも、皇帝様だけが歩くことができる道などもあり、一般人がそこを踏むと、打ち首になったとか。

 この後、中和殿、保和殿を見てから、休憩所に案内された。はい、押し売りパート4。
 そこにはラストエンペラーの血脈にして、有名な書道家のなんとかさんがおり、我々の前でその書を披露してくれた。いや、彼自身はとても無口で、一言も喋っていなかったが。
 これがその方。


 右にちらっと手が見えている人が、若い中国人で、彼が説明をしてくれた。なかなか日本的なギャグのセンスのある人で、その点では気に入ったのだが、その後例に違わず書や掛け軸を買わせようとしていたのが嫌。まあ、仕事だからしょうがないのだろうが。
 ここも長い時間いた。小生は非常に退屈していたのだが、書の3人家族のご主人はここで書を買い、掛け軸の夫婦のご主人は掛け軸を購入した。需要はあるということだろう。