やはり、洞窟に入って扉があれば「3点セット」と言って自発的にダイスを振り始めるプレイヤー相手と、「シーフには聞き耳という技能があって、シーフ+知力でダイスを振って……」とひとつひとつ説明しなくてはならない相手とでは、かかる時間が大きく異なる。
これは次回以降の反省にしたいが、まあもし次回があれば、プレイヤーも慣れているだろうし、一番初めはこんなものでしょうがないかなとも思う。シナリオをもう少し短くしても良かったかもしれないが、冒険者の店で依頼を聞いて、依頼主から依頼を受けて、街で森の情報を集め、森で洞窟を探して、扉が一枚も出てこない洞窟を探索。これ以上削りようもないし、無理に削ると面白くなくなってしまう。
PCはおおむねGMの考えたとおりに行動してくれた。ミクの扱いは、死ぬようなことがなければどうしてもいいと思っていたが、無難にセマトスのもとへ。実はキャンペーン化したら、ミクを元の世界に返す話にでもしようと思っていたが、そうはならなかった。
ミクについての注釈。食べなくても大丈夫うんぬんは、ボーカロイドだからというわけではなく、精霊から力を吸収している設定を考えていた。パーティーに精霊使いがいれば気が付くことにしていたが、いなかったので謎のまま終わった。
プレイで残念だったのは、『音楽の洞窟』についての追求がなかったこと。プレイヤーが疲れていたのでしょうがないが、もう一歩踏み込んで欲しかった。
リプレイ小説ということで、小説本編にもあえて書かなかったが、設定はこう。あの音のボタンの奥の部屋に、マウラスもミクも知らない隠し扉があって、その奥に巨大な空洞がある。天井から水滴が無数に滴り、地面には金属製の板が並べてあって、美しい音楽を奏でている。天井にはいくつか穴が空いていて、そこから光が射し込む。ミクがいた場所の前に流れていた地下水脈がこの空間まで流れていて、光に煌いて神秘的な雰囲気をかもし出している。
GMは町おこし企画などを考えていたが、これを知って、さてプレイヤーはどうするか。楽しみにしていたが、残念にもこの空間は未開封で終わった。
最後の想定外が、ギガンティアがマウラスを成敗することに強い難色を示したこと。小説ではさらっと書いたが、実はマウラスをどうするかでかなり長い時間を費やし、ドンファンがダレた最大の原因もこれ。
しかし、GMとしては別にギガンティアの主張は間違っているとは思えず、むしろパーティーがもう少し強い主張をするか、ドンファンがリーダー権限で戦いに持っていけばよかったと思う。ギガンティアのプレイヤーだけ彼らの1年先輩というのが、彼らを遠慮させてしまったのかもしれない。自分は他社の人間なのでいいが、会社の仲間でやると、こういう部分でプレイには不要な遠慮が発生してしまうようだ。
まあしかし、実に久しぶりのマスタリングは上手くいったし、初体験の4人にも、TRPGを楽しんでもらえたもよう。セッションとしては大成功だったと考える。
最後にプレイヤー紹介。
リーダーのドンファンのプレイヤーは入社2年目で、昔のアニメにかなり詳しい。コンシューマーゲームは今でも色々とやっているらしい。美少女の類には興味がなく、彼の部屋に並んでいるのもロボットもののプラモやフィギュアばかり。コミケには一度参加したことがあるが、その時にもう二度と行きたくないと思ったそうだ。ライトノベルはそれほど詳しくないようだが、知識はあるもよう。プレイスタイルは謎解きよりも戦闘。
ファイターのウンババのプレイヤーは入社2年目で、現在もコミケに参戦している猛者。趣味傾向も私に近いが、創作活動はしていないらしい。TRPGは未経験ながらさすがにファンタジー小説の知識は豊富で、「一般的なファンタジー世界」と言えば、大体の世界観を理解してもらえた。プレイスタイルはオールマイティーだが、割と移り気な性格をしており、プレイ中は彼をいかに飽きさせないかに注意を払った。
ソーサラーのルーツのプレイヤーは、ドンファン、ウンババのプレイヤーと同期。好奇心旺盛で、色々なものに興味を示すが、これと言って趣味はなく、本人も何か趣味を持ちたがっているもよう。TRPGを一番やりたがったのも彼だったが、ライトノベルもそれほど読んではおらず、「一般的なファンタジー世界」でどれくらい理解してもらえたかは定かではない。私は彼を、「オタクの世界も理解して参加もしてくれる一般人」と見ている。プレイスタイルは、トークと謎解きが楽しいとのこと。
グラスランナーのギガンティアのプレイヤーは、彼らの1年先輩。こちらは完全に一般人で、先日案外昔のアニメに詳しいことがわかったが、それは子供の頃にアニメを見て育ったというだけで、今でもアニメを見まくっているというわけではない。美少女系の類には興味がなく、ライトノベルというジャンルには触れたこともないそうだ。私が現在はまっている『マリア様がみてる』を貸したのだが、それが初めて読んだライトノベルだとか。そんなわけで、プレイ前は彼が楽しめるかを心配していたが、結果として4人の中で一番楽しんでくれたように見えた。
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